テナントの保証金は返金される?相場や敷金との違い、返還の仕組みを解説
| この記事でわかること💡 ✅テナント保証金の役割と敷金との主な違い ✅飲食店やオフィスなど業種別の保証金相場 ✅保証金から「償却費」などが差し引かれる返還の仕組み ✅保証金関連費用の消費税の扱いや会計処理のポイント |
店舗やオフィスの契約・退去を検討する際、多額の初期費用を占める保証金の仕組みを正しく理解することは、円滑な資金計画に欠かせません。
特に退去時は、預けたお金がどれくらい手元に戻るのか、どのような名目で差し引かれるのかによって、次のステップに向けた予算が大きく変わります。
本記事では、保証金の相場や敷金との違い、返還時のトラブルを防ぐためのチェックポイントを専門家の視点で詳しく解説します。
あらかじめ返還の仕組みを把握しておくことで、納得感のある契約判断や退去手続きが可能になるでしょう。
目次
テナント契約の保証金とは?基本的な役割を解説
テナント契約における保証金とは、入居時に借主が貸主へ預けるお金のことで、主に家賃の滞納や物件の損傷が生じた際の担保としての役割を担っています。
住宅の賃貸契約における「敷金」と性質は似ていますが、事業用物件では動く金額が非常に大きく、賃料の半年分から1年分ほどに設定されることが一般的です。
この保証金は、退去時に債務がなければ原則として返還されます。
しかし、契約内容によっては無条件に全額が戻るわけではありません。
退去時の返還条件や差し引かれる項目の内訳をあらかじめ正しく把握しておくことが、退去後のスムーズな資金計画を立てるための第一歩となります。
保証金と敷金の違いは?地域や慣習による使い分けも紹介

保証金と敷金は、どちらも家賃滞納や物件の修繕費用を担保するために預けるお金であり、基本的な性質に大きな違いはありません。
かつては、西日本の商慣習では「保証金」、東日本では「敷金」と呼ぶ傾向が強くありましたが、現在では全国的にその境界が曖昧になっています。
ただし、テナント契約の実務においては、名称によって返還条件の傾向が異なる点に注意が必要です。
保証金として契約する場合、退去時に一定額を差し引く「償却(敷引き)」の特約が付随するケースが多く見られます。
一方、敷金は未払い賃料などの債務がなければ、原状回復費用を除いて全額返金されるのが一般的です。
どちらの名称であっても、大切なのは言葉の定義よりも契約書に記載された返還条件の詳細です。
特に事業用物件では、名称のイメージだけで判断せず、償却率や原状回復の範囲を個別によく確認することが、将来的な返還トラブルを防ぐポイントとなります。
【業種別】テナント保証金の相場目安
テナント保証金の相場は、月額家賃を基準に「家賃の何ヶ月分」という形で示されるのが一般的です。
業種によって貸主が想定するリスク、例えば内装工事の規模や物件の損耗度合いが異なるため、保証金の額も変動します。
飲食店のように物件への負担が大きい業種は高く、オフィスのように比較的負担が少ない業種は低めに設定される傾向にあります。
自身の開業する業種の相場を把握し、資金計画を立てることが重要です。
飲食店(居抜き・スケルトン)の保証金相場
飲食店の保証金相場は、他の業種と比較して高めに設定される傾向にあり、賃料の10ヶ月~12ヶ月分が目安となります。
これは、飲食店特有の厨房設備や給排水工事により、退去時の原状回復リスクや貸主の負担が大きいためです。
内装が残った状態の「居抜き物件」であっても、前入居者の造作を引き継ぐリスクを考慮し、相場通りの保証金を求められることが少なくありません。
一方で、何もない状態から作り上げる「スケルトン物件」では、多額の工事費用がかかる分、保証金も上限に近い月数が設定されるケースが目立ちます。
開業時にはこれら多額の資金が必要となるため、あらかじめ家賃の1年分程度のキャッシュを確保しておくような、余裕を持った資金計画が求められます。
美容室やサロンなどその他店舗の保証金相場
美容室やネイルサロンといったサービス業の店舗では、賃料の6ヶ月~10ヶ月分が保証金の相場となります。
飲食店ほどの大規模な厨房設備は必要ありませんが、シャンプー台などの水回り設備や、間仕切り壁を多用した内装を施すケースが多いため、オフィスよりは高めに設定される傾向にあります。
また、路面店かビル内のインショップかといった立地条件によっても金額は左右されます。
退去時には、飲食店と同様に原状回復義務が生じるため、内装の解体費用をあらかじめ考慮しておく必要があるでしょう。
契約書に記載された償却率を確認し、将来的に手元へ戻る金額を把握した上で、無理のない資金計画を立てることが安定した店舗運営につながります。
オフィス・事務所の保証金相場
オフィスや事務所として物件を借りる際の保証金相場は、賃料の6ヶ月~10ヶ月分が一般的です。
飲食店などの店舗物件と比較すると、大規模な厨房設備や水回り工事を伴わないケースが多いため、相場はやや低めに設定される傾向にあります。
ただし、入居するビルの規模やグレード、管理会社の規定によって月数は大きく変動します。
特に都心のハイグレードなオフィスビルの場合、退去時の原状回復リスクや賃料未払いのリスクを考慮し、1年分程度のまとまった資金を求められることも少なくありません。
一方で、ベンチャー企業向けの小規模オフィスやシェアオフィスなどでは、初期費用を抑えるために保証金を3ヶ月~5ヶ月分程度に低減している物件も見受けられます。
事業の拡大や移転を検討する際は、物件の賃料だけでなく、こうした保証金の月数設定がキャッシュフローに与える影響をあらかじめ想定しておくことが、健全なオフィス運営のポイントと言えます。
退去時にいくら戻る?保証金の「償却」の仕組みと返還額の計算方法
テナントから退去する際、預けた保証金がいくら戻ってくるのかは非常に重要な問題です。
保証金はあくまで預け金ですが、契約内容によっては全額が返還されるわけではありません。
特に「償却」という特約が契約に含まれている場合、保証金の一部は返還されないことがあらかじめ決まっています。
ここでは、その償却の仕組みと、実際に返還される金額の計算方法について解説します。
保証金から差し引かれる「償却(敷引き)」とは?
償却とは、あらかじめ決められた割合や金額を、解約時に保証金から無条件に差し引く仕組みを指します。
商慣習としては「敷引き」とも呼ばれ、主に建物の修繕費や礼金に相当する性質として貸主へ支払われます。
借主にとっては、家賃滞納や原状回復費用の発生に関わらず、手元に戻らない確定的なコストとなる点が特徴です。
特約として「保証金の20%を償却する」や「解約時に家賃2ヶ月分を償却」といった形で明記されることが多く、契約期間の長短に関わらず一定額が引かれるケースが目立ちます。
退去後の資金を正確に見積もるためには、契約書に記載されたこの条件を真っ先に確認し、手元に残る金額をシミュレーションしておくことが重要です。
保証金の償却費相場
保証金の償却費は、物件や地域によって異なりますが、一般的には、家賃の1ヶ月分程度、または保証金総額の10%程度に設定されることがあります。
契約期間に応じて償却額が増える契約形態も存在します。
これはあくまで目安であり、人気エリアの物件や新築物件などでは、上記よりも高く設定される可能性も考えられます。
【具体例】返還される保証金額をシミュレーション!
ここでは、実際に返還される保証金額を計算してみましょう。
例えば、以下の条件で契約した場合を想定します。
・家賃:月額30万円
・保証金:10ヶ月分(300万円)
・償却の特約:保証金の10%
・原状回復費用:50万円
・家賃の未払い:なし
まずは償却費を計算します。
300万円(保証金)×10%(償却率)= 30万円 |
次に、保証金から先ほどの償却費を差し引きます。
300万円 – 30万円 = 270万円 |
最後に、原状回復費用を差し引いた額が最終的な返還額となります。
270万円 – 50万円 = 220万円 |
このように、実際に返還される金額は、保証金の総額から様々な費用が引かれることを理解しておきましょう。
償却以外にも注意!保証金の返還額が減ってしまう主な2つのケース

保証金の返還額に影響を与えるのは、契約時に定められた償却だけではありません。
借主の契約履行状況によっては、さらに保証金から差し引かれる費用が発生することがあります。
主に「債務の不履行」と、借主が負担する「原状回復費用」が該当します。
これらの費用が発生すると、想定していたよりも返還額が大幅に少なくなってしまう可能性があるため、内容を正しく理解しておくことが重要です。
ケース1:賃料や光熱費に未払いや滞納がある場合
賃料や共益費、光熱費といった月々の支払いに未払いや滞納がある場合、その不足分は退去時に預けている保証金から優先的に充当されます。
店舗経営においてキャッシュフローが厳しい時期に家賃を延滞してしまった経験がある方は、その未払い分がそのまま返還額から差し引かれることを念頭に置く必要があります。
また、退去月までの光熱費の精算が完了していない場合も同様の処理が行われるのが一般的です。
本来、保証金は貸主にとっての担保としての性質を持っているため、金銭的な債務が残っている状態ではその分だけ手元に戻る金額が減少します。
まずは現在の支払い状況を正確に整理し、未精算の項目が残っていないか改めて確認することで、返還額の乖離を防ぎましょう。
ケース2:原状回復費用が保証金から差し引かれる場合
テナント退去時に発生する原状回復費用は、保証金の返還額を左右する大きな要素です。
店舗物件の場合、入居時に施した内装や設備をすべて取り払い、スケルトン状態に戻す義務が課されるのが一般的です。
この解体工事にかかる費用は借主の負担となり、多くの場合、預けている保証金から精算されます。
飲食店や美容室などは設備が複雑なため、工事費が高額になりやすく、当初の予想以上に返還額が目減りしてしまうケースが少なくありません。
退去後の手元資金を少しでも多く残すためには、見積書の内容が適切か精査するとともに、原状回復義務を回避できる居抜きでの売却なども視野に入れ、多角的に検討しましょう。
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原状回復費用を抑えて保証金を残す!TRNグループの「退店サポート」

保証金の返還額を少しでも多く確保するには、償却や未払い賃料だけでなく、原状回復費用をどこまで抑えられるかも重要です。
特に飲食店では、厨房設備や排気ダクト、給排水設備などの解体・撤去に多額の費用がかかり、想定以上に保証金が目減りしてしまう場合があります。
そこで、原状回復工事を手配する前に検討したいのが、内装や厨房設備、備品などを残したまま店舗を引き継ぐ「居抜き売却」です。
貸主の承諾を得て居抜きで退店できれば、原状回復工事や設備の撤去・処分にかかる費用を抑えられる可能性があります。
TRNグループの「退店サポート」では、店舗の立地や内装・設備、賃貸借契約の内容などを確認し、居抜き売却や直接買取を含めた退店方法をご提案しています。
当社による直接買取が可能な場合は、売却先を探す手間や仲介手数料を抑えながら、退店を進めることができます。
また、居抜き売却には貸主の承諾をはじめ、原状回復義務の確認やリース品の整理など、事前に調整すべき事項があります。
判断が遅れると、退去期限までに十分な準備期間を確保できず、選べる退店方法が限られてしまうこともあるため、早めに相談することが大切です。
「原状回復費用を差し引くと、保証金がほとんど残らない」
「居抜き売却と原状回復のどちらがよいか判断できない」
「保証金の返還も含め、退店にかかる費用を整理したい」
このようなお悩みがある方は、原状回復工事を始める前に一度当社へご相談ください。
店舗の状況を踏まえ、退店時の負担を抑えるために検討できる方法をご提案いたします。
他社見積り+50万円で店舗を買取ります!
✓ 退店サポートのメリット
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✓ 買取の実績一覧
テナント保証金の消費税は?仕訳で迷わないための会計処理

テナント契約に伴う保証金の会計処理、特に消費税の扱いは、経理担当者が間違いやすいポイントの一つです。
保証金に関連する費用は、その性質によって消費税が課税されるものと、課税されないものが混在しています。
具体的には、将来返還される「預り金」としての性質を持つ部分は非課税ですが、返還されないことが確定している「経費」と見なされる部分は課税対象となります。
この区別を正しく理解し、適切に仕訳を行うことが大切です。
保証金そのものは預り金のため非課税
保証金そのものは、将来的に返還されることを前提とした「預り金」としての性質を持つため、消費税の課税対象にはなりません(不課税取引)。
会計処理上、借主側は支払った保証金を「差入保証金」などの勘定科目を用いて資産の部に計上します。
これは、あくまで貸主に預けているだけであり、費用として支出したわけではないからです。
同様に、貸主側も受け取った保証金を「預り保証金」として負債の部に計上し、消費税の対象外として処理します。
償却費や原状回復費用は課税対象になる点に注意
保証金のうち、返還されないことが確定している償却費は、貸主に対する権利金やサービスの対価と見なされるため、消費税の課税対象となります。
会計上は「長期前払費用」として資産計上し、契約期間に応じて費用化するのが一般的です。
同様に、借主が負担する原状回復費用も、修繕という役務提供への対価と見なされるため、消費税が課されます。
こちらは「修繕費」などの勘定科目で費用処理します。
保証金とは異なり、これらの費用には消費税がかかることを覚えておきましょう。
テナントの保証金に関するよくある質問
最後に、テナントの保証金に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
契約や退去の際に抱きやすい疑問を解消し、スムーズな手続きに役立ててください。
Q. テナントの保証金は、退去時に全額返還されるのでしょうか?
A. 全額が返還されるとは限りません。
契約に「償却」の定めがあればその分が差し引かれます。
また、未払いの家賃や借主負担の原状回復費用がある場合も、保証金から相殺されます。
退去時に返ってくる金額は契約内容と物件の使用状況で変わるため、入居前に契約書をよく確認することが重要です。
Q. テナント契約における保証金と敷金は、どう違うのでしょうか?
A. 法的な定義に大きな違いはなく、どちらも家賃滞納などを担保するためのお金です。
主な違いは慣習にあり、関西では「保証金」、関東では「敷金」が使われる傾向があります。
また、保証金には返還されない「償却」の特約が付くことが多い点も特徴です。
契約内容は物件ごとに異なるため、名称だけで判断せず、詳細の確認を心掛けてください。
Q. 保証金の「償却」とはどういう意味でしょうか?また、なぜ差し引かれるのでしょうか?
A. 「償却」とは、契約時に定めた割合や金額が、退去時に保証金から差し引かれて返還されない仕組みのことです。
物件の自然な損耗に対する補填や、貸主への権利金のような意味合いで設定されます。
賃料滞納などの有無にかかわらず、契約の特約に基づいて差し引かれる点が特徴です。
まとめ
テナントの保証金は、家賃の滞納や物件の損傷などに備えて貸主へ預けるお金であり、退去時に未払いの債務がなければ原則として返還されます。
ただし、契約書に償却の特約が設けられている場合や、未払い賃料、原状回復費用などが発生した場合は、それらを差し引いた金額が実際の返還額となります。
保証金がいくら戻るのかを把握するには、契約書に記載された償却率や返還時期、原状回復義務の範囲を確認することが重要です。
特に飲食店や美容室など、内装や設備が複雑な店舗では原状回復費用が高額になりやすいため、早い段階で費用を見積もり、退店後の資金計画を立てておきましょう。
また、店舗の状況や契約条件によっては、原状回復工事を行う以外にも、内装や設備を残したまま居抜きで退店できる可能性があります。
退去期限が迫ってからでは選択肢が限られることもあるため、原状回復工事を発注する前に、利用できる退店方法を比較検討することが大切です。
「保証金がどの程度戻るのか見通しが立たない」
「原状回復費用を含めた退店コストが不安」
「居抜きで退店できる可能性も検討したい」
このようなお悩みがある方は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。

