飲食店の原状回復工事の相場とは?退去時の費用を抑えるポイントも解説

公開日:
更新日:

飲食店の退去時には原状回復工事が必要になる場合がありますが、これは経営者にとって大きな悩みの一つです。なぜなら、原状回復工事には多くの作業が必要で、費用も高額になる場合が多いからです。

原状回復工事の相場や注意点を把握しておけば、不必要な出費を防げたり、原状回復工事を行わないで済む他の方法を検討できたりします。今回は飲食店の原状回復工事の基本的な知識から、工事の相場や費用を抑えるポイントを解説します。

飲食店の閉店・退店をお考えの方へ

居抜き物件を直接買い取る「退店サポート」について詳しく知りたい方は、こちらから無料の資料をダウンロードしてみてください。

飲食店の原状回復工事とは?

原状回復工事とは、賃貸物件から退去する際に、借りる前の状態に戻すことを指します。居住用・事業用にかかわらず、賃貸借契約には原状回復義務が定められています。

これにより、飲食店の原状回復工事においても「店舗物件を借りる前の状態に戻すこと」を指します。店舗を借りる際には、原状回復工事でどこまで店舗を元通りにするかについて取り決めを交わします。その中には「スケルトン工事」と呼ばれるものもあり、これは店舗を骨組みの状態に戻すことを意味します。

一般的な居住用物件の原状回復工事では、壁紙の交換やクリーニングなど比較的簡易な工事が行われます。一方、飲食店の場合、内外装や設備の変更、汚れやにおいの除去など、より大規模な工事が必要になることがあります。そのため、原状回復工事も大がかりになると認識しておきましょう。借りる前に店舗の状態や原状回復工事の内容をよく確認することが重要です。

また、居住用物件とは異なり、店舗物件(事業用)の原状回復工事費用は貸借人(借主)が全額負担するのが一般的です。

飲食店の原状回復工事の内容と流れ

飲食店における原状回復工事の具体的な内容と流れについて順を追って詳細に説明します。

1.原状回復の目的を把握

飲食店の原状回復とは、賃貸契約終了時に物件を借りた当初の状態に戻す作業を指します。これには、内装や設備の修復、清掃、撤去などが含まれます。原状回復の目的は、次の借主が安心して使用できるようにするためと、物件オーナーとの契約を円満に終了させるためです。

2.契約内容の確認

まず最初に行うべき項目は、「賃貸契約書の内容を再確認する」ことです。物件を借りる際に交わした契約書には、原状回復工事の範囲や具体的な要求事項が明記されています。契約内容をしっかり把握することで、無駄な費用を抑えることができます。以下の点を確認しましょう。

  • 原状回復すべき範囲
  • 具体的な修繕箇所(例:壁、天井、電気の配線、床など)
  • 特別な清掃(クリーニング)の要求
  • 使用してはいけない材料や施工方法の確認

3.費用相場の確認

原状回復工事の費用相場を確認することも重要です。一般的に、飲食店の原状回復工事の費用は坪単価で計算されることが多いです。居抜き物件の場合、元の状態に戻すための追加費用が発生することもあります。クリーニング費用や設備の撤去費用も含まれることが多いので、総合的な費用を把握しておきましょう。

4.工事業者の選定

次に、原状回復工事を実施する業者を選定します。業者選びにおいては、信頼できる業者を選ぶことが重要です。業者によって費用や工事の品質が異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。見積もりには、工事の範囲や期間、具体的な作業内容が明記されているか確認してください。

5.店舗の評価と工事計画の策定

続いて、現状の店舗物件を評価しましょう。専門業者や内装業者とともに現地調査を行い、修復が必要な箇所を洗い出します。この評価に基づき、原状回復工事の詳細な作業計画を策定します。計画には以下の内容を含めます。

  • 作業スケジュール
  • 必要な人員と役割
  • 使用する材料と工具
  • 予算の見積もり

6.必要な許可の取得

一部の作業(特に建物の構造に関わるもの)には、不動産管理会社やオーナーからの許可が必要です。事前に許可を取得し、作業開始前に問題が発生して工事ができないことがないようにしておきます。

7.撤去作業

原状回復工事における具体的な最初の作業は、店舗内の什器や備品の撤去です。厨房機器や家具、装飾品などをすべて取り外します。これらの撤去作業は専門業者に依頼することが多いです。もしくは、内装も含めて物件自体を居抜きで買い取ってもらう方法もあります。詳しくはこちらをご確認ください。

飲食店の閉店・退店をお考えの方へ

居抜き物件を直接買い取る「退店サポート」について詳しく知りたい方は、こちらから無料の資料をダウンロードしてみてください。

8.修繕作業

次に、内装の修繕作業を行います。これには以下のような作業が含まれます。

  • 壁や床の補修
  • 塗装や壁紙の張り替え
  • 照明や電気配線の修理
  • 配管や排水の点検と修理

9.清掃(クリーニング)

修繕作業が完了したら、徹底的な清掃を行います。店舗全体をクリーニングし、特に厨房やトイレなどの衛生面に注意を払います。これにより、次の借主がすぐに使用できる状態にします。業者に依頼する場合もありますが、自分で行うことも可能です。

10.最終チェックと引き渡し

最後に、オーナーや管理会社とともに最終チェックを行います。契約書に基づいて、修繕や清掃が適切に行われているかを確認します。問題がなければ、正式に物件を引き渡し、鍵を返却します。

11.追加費用の確認

原状回復が完了した後、追加の費用が発生する場合があります。特に修繕箇所が多い場合や、特別な清掃が必要な場合です。これらの費用を精算し、オーナーとの契約を終了させます。

以上が飲食店における原状回復工事のおおまかな流れです。原状回復工事は、飲食店の退去時において重要なステップです。契約書をしっかり確認し、信頼できる業者を選定することで、スムーズかつコスト効果の高い工事を実現しましょう。

飲食店の原状回復工事の相場

原状回復工事は、店舗の規模や店舗の業態によって相場が異なります。実際に必要な費用を把握するには見積もりを取る必要がありますが、スケルトン工事のおおよその相場は下記の通りです。

小規模店舗の場合(30坪未満)

敷地面積が小さく、キッチンや水回りがコンパクトな場合だと、1坪あたり4~6万円程と言われています。

カフェやバーなど、調理設備や空調設備がコンパクトな軽飲食業は1坪5万円ほどです。しかし、焼肉屋やラーメン屋などの、調理設備や空調設備が大がかりな重飲食業は原状回復工事の費用が高額になります。

大規模店舗の場合(30坪以上)

敷地面積が広く、大規模なキッチンや水回り、専用器具などが設置されている場合、 1坪あたり3~5万円程が相場です。

業者に見積もりを依頼すると、経営していた店舗の条件を踏まえたうえで原状回復工事の見積もりが出されます。退去を検討している場合や、退去日が決まった際にはあらかじめ工事費用を確保しておくと安心です。

飲食店の原状回復工事の期間

原状回復工事の期間は、工事内容によって大きく異なります。

物件所有者(オーナー)が求める工事は部屋の状況によって異なるため、見積もりを取る際はその意向に配慮することが重要です。実際の店舗の状態を物件所有者(オーナー)と共有し、工事の範囲についてお互いの認識をすり合わせる必要もあります。契約内容を確認しながら進めることも、将来的なトラブル防止に役立つでしょう。

飲食店の原状回復工事期間のおおまかな目安は以下の通りです。

  • 店舗規模が小さく、工事が少ない場合

1週間

  • 店舗規模100坪未満

2週間~1カ月

  • 店舗規模100坪以上・特殊な設備や工事が多い場合

1カ月以上

実際に店舗を見たうえで見積もりをしてみないと、原状回復工事の期間はつかみにくいでしょう。店舗の退去日が決まっているのであれば、物件所有者に早めに連絡し、可能であれば2カ月ほど余裕を持って見積もりと相談ができると安心です。

見積もりが早めにできれば、物件所有者とも時間をかけて相談ができます。お互いが気持ちよく退去の手続きができるように早めの行動を心がけましょう。

飲食店の原状回復工事のよくある質問

ここからは飲食店の原状回復工事においてよくある質問をまとめましたので、参考にしてみてください。

原状回復工事を自分で行う事は可能?

原状回復工事を自分で行うことは可能ですが、専門的な知識や技術、そして適切な設備が必要です。特に大規模な工事や専門的な設備の撤去などは、専門業者に依頼することが一般的かつ安心です。また、契約書に明記された原状回復の範囲や条件に従うことも重要です。

原状回復工事の作業中に店舗内での営業は可能?

工事の規模や店舗の状況にもよりますが、一部の工事は営業と併行できます。しかし、大規模な工事やアクセス制限がある場合、一時停止するのが一般的です。営業中はお客様や従業員の安全を確保し、工事業者と調整して営業と工事が両立できるよう努めましょう。

不明点や疑問については誰に問い合わせればいいの?

契約内容や工事に関する詳細を把握している「物件の所有者」や「管理会社」、または工事を担当する「業者」に問い合わせるのが適切です。専門家へ様々な質問をして不安を解消し、適切なアドバイスや情報を提供してもらいましょう。

飲食店を原状回復工事する際の注意点

原状回復工事の範囲が契約書では正確にわからない場合は、物件所有者(オーナー)の立ち合いの上で認識をすり合わせる必要があります。

原状回復工事を担当する業者との連携も重要で、貸借人や物件所有者、工事責任者の三者で工事内容について話し合う場を設けるとスムーズでしょう。

退去時にスケジュールが崩れたり、相互理解ができていなかったりすると、思わぬトラブルが発生します。トラブルを未然に防ぐためにも事前に認識を合わせることが大切です。

飲食店の原状回復工事の費用を抑えるための5つのポイント

工事担当の人が図面を見て作業しようとしている写真。

大きな費用が発生しがちな原状回復工事では、費用を抑える工夫が必要です。費用がかさめば、それだけ次の事業や今後の生活に影響を及ぼすからです。

特に次の事業のビジョンが決まっていたり、手元の資金が今後に大きく影響したりする場合は注意が必要です。

手元に資金を残して退去するためにも、原状回復工事の費用を抑える5つのポイントを紹介します。

相見積もりを取る

原状回復工事では依頼先によって費用に差が出ます。原状回復工事に業者が指定されていなければ、相見積もりを取り、サービスや工期、費用を比較して検討すると費用を抑えられる可能性があります。

相見積もりを取る際は、情報の扱いについても注意深く確認しましょう。まだ退去が決まっていないのに、従業員に退店を知られるような方法で連絡を取ろうとしたり、物件所有者へ先に話が伝わってしまったりする業者ではないかどうか注意が必要です。

退去日の告知はデリケートな問題です。いきなり従業員や物件所有者が知ってしまうと、退去までの事業に支障が出る場合があるでしょう。

相見積もりを取る前に、業者について前もって調べておくと安心です。

退去日までに工事を終わらせる

物件所有者に退去日を知らせて工事を開始したら、退去日までに必ず工事を終わらせるよう工事の進行には気を配りましょう。終わらなければ物件の賃料の支払いが続くだけでなく、違約金を請求される場合もあるからです。

退去の際に思わぬ出費が発生しないように、計画的に工事を行う必要があります。

造作譲渡も検討してみる

造作譲渡とは、店舗の内外装や設備をそのまま次の借主に譲渡することです。造作譲渡には物件所有者の了承が必要ですが、了承を得られれば、原状回復工事の費用をかけずに退去することができます。

造作譲渡については以下の記事でくわしく解説しています。

店舗をきれいに使うよう心掛ける

原状回復工事が大がかりにならないよう、日頃から店舗をきれいに使うよう心がけましょう。店舗に大きな破損や汚れがあれば、そのぶん原状回復工事の費用はかさみます。借りている物件だという点を意識し、店舗の外装や内装を丁寧に扱うようにしましょう。

物件所有者に交渉してみる

物件所有者(オーナー)に原状回復工事に関して交渉する方法もあります。店舗を借りる際や店舗運営時に良好な関係性が築けていれば、工事内容に関して交渉に応じてくれるかもしれません。

日頃から物件所有者(オーナー)とのコミュニケーションを大切にし、円満な退去を目指しましょう。

飲食店の原状回復工事は早め相談が鍵

飲食店の原状回復工事は費用が高額になりがちです。退去が決まったら早めに原状回復の範囲について契約書を確認し、工事の手配を行うことが重要です。早めに手配を進め、相見積もりを取ることができれば、適正な相場を把握でき、工事費用を抑えられる可能性があるでしょう。

また、造作譲渡をして原状回復工事の費用負担を回避する方法もあります。店舗流通ネットでは、居抜き店舗の直接買い取りもしています。原状回復費用の削減はもちろん、退店にかかわる面倒な業務もトータルでサポートしていますので、まずはお気軽にご相談ください。

退店サポートのバナー
内装工事のバナー