外食は飲食料品消費税1%の対象外?飲食店が知るべき影響と対策 | コラム | TRN飲食店経営サービスサイト

外食は飲食料品消費税1%の対象外?飲食店が知るべき影響と対策

※本記事は、2026年8月24日時点の政府方針および現行の軽減税率制度に基づいて作成しています。政府は、2027年4月1日から2年間、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする基本方針を示していますが、関連法案は現時点で成立していません。対象範囲、実施時期、経理・システム上の取扱いなどは、今後の法制化や制度設計によって変更される可能性があります。最新情報は内閣官房、財務省、国税庁などの公式発表をご確認ください。

出典:内閣官房「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』(政府の基本方針)について

この記事でわかること💡
✅飲食料品に係る消費税率1%への引下げに関する政府方針
✅現行制度を前提とした店内飲食・テイクアウト等の対象区分
✅税率変更が一般課税と簡易課税に与える可能性のある影響
✅法制化に備えて確認しておきたいレジ・経理・価格表示の項目
✅店内飲食とテイクアウトの税率差を踏まえた経営戦略

政府は、2027年4月1日から2年間、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする基本方針を示しています。
これは、給付付き税額控除の本格導入までの経過措置として、食料品価格の上昇などによる家計負担を軽減することを目的としたものです。

現行の軽減税率の対象範囲を前提とすると、酒類や外食、ケータリングなどは1%への引下げ対象に含まれない見込みです。
そのため、飲食店では、同じメニューでも店内飲食とテイクアウトで税率が異なる可能性があります。

飲食店経営者にとって重要なのは、今後の制度設計を注視しながら、自店の商品や提供形態がどの税区分に該当する可能性があるのかを把握することです。
本記事では、2026年8月24日時点の政府方針と現行制度をもとに、対象範囲、想定される経営への影響、準備しておきたい実務対応について解説します。

なぜ外食は対象外?政府方針で示された「飲食料品の消費税率1%」の基本

政府は、2027年4月1日から2年間、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする基本方針を示しています。
ただし、関連法案は現時点で成立しておらず、具体的な取扱いは今後の法制化によって確定します。

現行の軽減税率制度では、酒類・外食を除く飲食料品の譲渡が8%の対象です。
政府方針がこの対象範囲を引き継ぐ場合、スーパーなどで購入する飲食料品やテイクアウト商品などは1%となる一方、店内で提供される外食は引下げ対象に含まれず、標準税率10%が続く見通しです。

この場合、店内飲食とテイクアウトの税率には9ポイントの差が生じます。
税率差が顧客の利用動向、価格表示、注文時の確認、区分経理などに影響する可能性があるため、飲食店は今後発表される制度の詳細を確認しながら準備を進める必要があります。

飲食料品の消費税率1%の対象品目とテイクアウトの取扱い

政府の基本方針では、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品について、2027年4月1日から2年間、消費税率を1%とするとしています。
現行制度では、酒類を除く飲食料品の譲渡が軽減税率の対象であり、外食やケータリングなどは対象に含まれません。

具体的には、肉、魚、野菜などの生鮮食品、加工食品、清涼飲料水などが、現行制度における軽減税率の対象です。
政府方針が現行の対象範囲を引き継ぐ場合、これらの飲食料品には1%が適用される見込みです。

飲食店のテイクアウトや、調理済みの商品を届ける一般的なデリバリーも、同じく「飲食料品の譲渡」に該当する場合は1%の対象となる見込みです。
ただし、顧客が指定した場所で調理や給仕などを行うケータリングは、現行制度では軽減税率の対象外のため、提供形態によって区分が異なる点には注意が必要です。

一方、店内で提供する飲食サービスは「外食」に該当します。
そのため、政府方針に基づけば1%への引下げ対象には含まれず、標準税率10%が維持される見通しです。

現行の軽減税率制度から読み解く「外食」の定義

現行制度における「外食」とは、飲食店業などを営む事業者が、テーブル、椅子、カウンターなどの飲食設備がある場所で行う食事の提供を指します。
顧客が店内の設備を利用して飲食する場合は、原則として外食に該当し、現行では標準税率10%が適用されます。

一方、顧客が持ち帰ることを前提として商品を販売する場合は、原則として「飲食料品の譲渡」に該当します。
店内飲食と持ち帰り販売の両方を行う店舗では、商品の提供時点で顧客の意思を確認し、適用税率を判定する必要があります。

政府方針が現行の区分を引き継ぐ場合、この判定の基本的な考え方も維持されると考えられますが、最終的な取扱いは法案や国税庁の通達・Q&Aなどを確認する必要があるでしょう。

飲食店向けの支援策は?政府の発表と最新動向

2026年8月24日時点では、飲食料品に係る消費税率の引下げに対応するための、外食産業向けの具体的な補助金名、要件、補助額などは発表されていません。

一方、政府は外食産業への影響を見極めたうえで、過去の支援策も参考にしながら、資金繰り等のための予算措置を検討し、与党と連携して支援策を具体化する方針を示しています。
したがって、「支援予定はない」のではなく、具体的な制度内容がまだ確定していない段階と理解するのが正確です。

今後、レジシステムの改修や価格表示、経理対応などに関する支援策が示される可能性もありますが、現時点で対象経費や補助率を断定することはできません。
内閣官房、経済産業省、中小企業庁、国税庁などの公式発表を継続的に確認しましょう。

出典:首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見

仕入税率1%で消費税の納付額はどう変わる?

飲食料品の税率が1%に引き下げられた場合、一般課税を採用する飲食店では、食材仕入れに係る仕入税額控除が小さくなるため、税務署へ納付する消費税額が増える可能性があります。

ただし、仕入先へ支払う消費税相当額も同時に減少します。
そのため、納付額が増えたことだけをもって、店舗の利益や実質的な負担が同額増えるとは限りません。
実際の影響は、税抜きの仕入価格、販売価格、課税方式、テイクアウト売上の割合、食材以外の経費などによって変わります。

【売上10%・仕入1%】具体例で見る仕入税額控除と納付額の変化

一般課税における消費税の納付額は、原則として売上に係る消費税額から、仕入れや経費に係る消費税額を控除して計算します。
これが「仕入税額控除」の基本的な考え方です。

出典:国税庁「No.6401 仕入控除税額の計算方法

例えば、税抜きの店内飲食売上が1,000円、税抜きの食材仕入れが400円で、ほかの条件を考慮しない場合を仮定します。
現行税率では、売上に係る消費税額は100円、食材仕入れに係る消費税額は32円となるため、差額は68円です。
食材の税率が1%になった場合、仕入れに係る消費税額は4円となり、差額は96円になります。

この例では税務署への納付額は28円増えますが、仕入先へ支払う消費税相当額は32円から4円へ28円減ります。
税抜き価格などの条件が同じであれば、納付額の増加と仕入時の支払減少が対応するため、税率変更だけで利益が28円減るわけではありません。

したがって、税率変更の影響を判断する際は、消費税の納付額だけでなく、税込みの仕入支払額や販売価格、資金の入出金時期まで含めて確認する必要があると言えます。

※現行の消費税率および2026年8月24日時点の政府方針をもとに、TRNグループ編集部が試算。地方消費税を含む税率を使用し、食材以外の仕入れ・経費等は考慮していません。

「一般課税」と「簡易課税」で納税額への影響はどう違うのか

一般課税では、実際の課税仕入れ等に係る消費税額をもとに仕入税額控除を計算します。
そのため、食材の税率が1%になれば、食材仕入れに係る控除額は小さくなり、税務署へ納付する金額が増える可能性があります。

一方、簡易課税制度では、実際の仕入税額ではなく、売上に係る消費税額に事業区分ごとの「みなし仕入率」を掛けて控除額を計算します。
飲食店業は原則として第四種事業に区分され、みなし仕入率は60%です。

ただし、テイクアウト商品の製造・販売など、取引内容によって別の事業区分に該当する可能性があります。
簡易課税の事業区分は事業者単位ではなく、原則として課税取引ごとに判定されるため、「飲食店だからすべて60%」と一律に判断するのは避けるべきでしょう。

また、簡易課税でも売上側の適用税率が変われば納付額に影響します。
自店が一般課税・簡易課税のどちらを採用しているかに加え、店内飲食、テイクアウト、そのほかの売上構成を税理士と確認しておくことが肝心です。

出典:国税庁「簡易課税制度の事業区分とは

税率変更後の仕入価格と資金繰りを確認する

税率が1%に引き下げられた場合、同じ税抜き価格であれば、仕入先へ支払う税込み金額は小さくなります。
一方、一般課税では仕入税額控除も減るため、税務署への納付額は増える可能性があります。

そのため、税率変更後の影響を検討する際は、仕入時の支払額だけを見るのではなく、税抜き価格、消費税の納付時期、支払サイト、販売価格などを含めて資金繰りを試算することが重要です。

なお、税率変更を理由に税抜き価格が自動的に下がるわけではありません。
仕入先と価格交渉を行う場合は、消費税率ではなく、取引量、配送条件、発注頻度、原材料価格など、合理的な条件をもとに協議しましょう。

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2027年4月の実施方針に備える!飲食店が確認しておきたい実務対応

政府方針では2027年4月1日からの実施が示されていますが、関連法案や詳細な実務ルールは現時点で確定していません。
そのため、レジや会計システムを直ちに改修するのではなく、現在利用しているシステムの対応可否や、改修に必要な期間をベンダーへ確認しておくことが現実的です。

ここでは、具体的な対応ポイントについて解説します。

税率1%への対応を想定したレジシステムの確認点

制度が政府方針どおり実施される場合、POSレジや会計システムでは、新たな税率の設定、税率ごとの区分計算、レシートへの税率・税額表示などへの対応が必要になると考えられます。

イートインとテイクアウトの両方を扱う店舗では、注文時に提供形態を確認し、店内飲食、持ち帰り、酒類などを正しい税区分で処理できるかを確認する必要があります。
ただし、現時点で具体的なシステム要件は確定していません。
改修を発注する前に、法案の成立状況と国税庁の案内を確認したうえで、ベンダーへ対応方針や更新スケジュールを問い合わせておくとよいでしょう。

インボイス制度下で想定される経理処理の変更と注意点

制度が政府方針どおり実施される場合、会計ソフトや経理処理でも、新たな税率に対応する必要が生じると考えられます。

飲食店では、仕入れや売上げに適用される税率を取引ごとに確認し、インボイスに記載された適用税率や消費税額をもとに、正しく区分経理を行うことが重要です。
特に、店内飲食、テイクアウト、酒類など複数の区分を扱う店舗では、商品マスタや勘定科目の設定、入力・確認フローを見直す必要が出てくる可能性があります。

ただし、現時点では新制度に対応したインボイスの記載方法や経過措置など、具体的な実務ルールは確定していません。
法案成立後に国税庁から示される案内を確認し、会計ソフトの更新や社内のチェック体制を整えましょう。

お客様に誤解を与えないメニューや価格表示の見直し方

店内飲食とテイクアウトで適用税率が異なる場合、価格の設定・表示方法によっては、お客様にとって分かりにくくなる可能性があります。
混乱や会計時のトラブルを避けるため、メニューやプライスカードの表記方法を事前に検討しておくことが大切です。

例えば、税抜価格を共通にする場合は、「店内価格1,100円(税率10%)」「お持ち帰り価格1,010円(税率1%)」のように、それぞれの税込価格を分かりやすく表示する方法が考えられます。

※政府方針どおり店内飲食10%・テイクアウト1%が適用され、両者の税抜価格を同額に設定した場合の表示例です。

消費者に対して価格を表示する際は、原則として税込みの総額表示が必要です。
実際の表示方法は、今後示される制度の詳細や国税庁の案内を確認したうえで決定しましょう。
Webサイト、モバイルオーダー、デリバリーサービスなどの価格表示についても、店舗での案内と矛盾が生じないよう確認が必要です。

“税率9ポイントの差”をどう乗り越える?外食離れを防ぐメニュー・価格戦略

政府方針どおり制度が実施される場合、店内飲食の10%と、対象となるテイクアウト等の1%との間には9ポイントの税率差が生じます。
ただし、税率差がそのまま販売価格の差になるとは限りません。

飲食店は、税抜価格を共通にして提供形態ごとに税込価格を分ける方法のほか、税込価格を統一する方法なども検討できます。
実際の価格表示は、総額表示のルールや今後示される実務上の取扱いを確認したうえで決定する必要があります。

中食・テイクアウトへの顧客流出リスクをシミュレーション

※以下は、店内飲食とテイクアウトの税抜価格を同額に設定し、店内飲食10%、テイクアウト1%が適用されると仮定した単純試算です。実際の販売価格や適用税率は、店舗の価格方針および今後確定する制度内容によって異なります。

「税率9ポイントの差」によって想定される顧客流出リスクは、具体的な金額でシミュレーションするとより現実味を帯びます。
例えば、税抜き1,000円のランチを提供している場合、店内飲食であれば税込1,100円ですが、テイクアウトなら税込1,010円となり、90円の差額が生じます。
家族4人で5,000円の食事をした場合、店内では5,500円、テイクアウトでは5,050円と、その差は450円にのぼります。

このような価格差が日常的に発生すると、これまで店内で食事をしていた顧客が、節約のためにテイクアウトやスーパーの惣菜へと流れてしまう可能性は十分に考えられます。
特にランチタイムなど、価格が利用判断に影響しやすい場面では、一定の影響が生じる可能性があるでしょう。

外食ならではの付加価値を高める新サービス開発の視点

価格差というハンディキャップを乗り越えるためには、テイクアウトや中食では決して得られない「外食ならではの付加価値」を徹底的に高めることが大切です。
それは、プロの料理人が作るできたての温かい料理はもちろんのこと、心地よい空間、質の高い接客サービス、食事中の楽しい会話など、店舗で過ごす時間そのものの価値を指します。

例えば、シェフが目の前で調理するライブ感あふれる演出を取り入れたり、季節ごとの限定メニューや特別なペアリングコースを提供したりするなど、顧客に「ここでしか味わえない体験」を提供し、価格以上の満足感を感じてもらうための工夫がこれまで以上に重要になると言えます。

テイクアウト・デリバリーを新たな収益の柱として検討する

政府方針が現行の軽減税率の対象範囲を引き継ぐ場合、飲食料品の譲渡に該当するテイクアウトや一般的なデリバリーは、1%の対象となる見込みです。

税率差によって持ち帰り需要が高まる可能性に備え、テイクアウト専用商品の開発や容器の見直し、注文・受け渡し動線の整備などを検討するのも一つの方法です。

ただし、売上増加につながるかどうかは、地域の需要、容器・人件費、デリバリー手数料、商品品質などによって異なります。
税率だけを理由に参入するのではなく、採算性を事前に検証することが重要です。

このように、店内飲食とテイクアウトの税率差が生じれば、価格設定やメニュー構成、販路、店舗オペレーションなどを見直す必要が出てくる可能性があります。
制度変更を見据えた店舗運営や経営改善にお悩みの方は、一度TRNグループへご相談ください。
なお、適用税率や納税額などの個別具体的な税務判断については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

飲食料品消費税の1%減税に関するQ&A

政府方針で示された飲食料品に係る消費税率1%への引下げは、多くの飲食店経営者にとって疑問や不安の多いテーマです。
ここでは、政府方針どおり制度が実施され、現行の軽減税率の対象区分が引き継がれると仮定した場合に想定される疑問について、Q&A形式で解説します。

Q. 食材の仕入税率が1%になると、消費税の納付額は増えるのでしょうか?

A. 一般課税では、食材仕入れに係る仕入税額控除が小さくなるため、税務署へ納付する消費税額が増える可能性があります。
ただし、同じ税抜価格であれば、仕入先へ支払う消費税相当額も減少します。
そのため、納付額の増加が、そのまま店舗の利益減少や実質負担の増加を意味するわけではありません。

実際の影響は、一般課税・簡易課税の別、店内飲食とテイクアウトの売上構成、仕入価格、食材以外の経費などによって異なります。
個別の試算は税理士へご相談ください。

Q. テイクアウトやデリバリーは1%の対象になりますか?

A. 政府方針が現行の軽減税率の対象範囲を引き継ぐ場合、テイクアウトや、調理済みの商品を届ける一般的なデリバリーは、「飲食料品の譲渡」に該当するものとして1%の対象となる見込みです。

ただし、顧客が指定した場所で調理や給仕を行うケータリングなどは、現行制度では軽減税率の対象外です。
最終的な対象範囲は、今後成立する法令や国税庁の案内をご確認ください。

まとめ

政府は、2027年4月1日から2年間、現在の軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする基本方針を示しています。
ただし、関連法案は現時点で成立しておらず、具体的な対象範囲や実務上の取扱いは今後確定します。

現行制度の対象範囲が引き継がれる場合、店内飲食は1%への引下げ対象に含まれず、飲食料品の譲渡に該当するテイクアウト等との間に税率差が生じる見込みです。
飲食店では、レジや会計システム、価格表示、注文時の確認方法などへの影響を想定しておく必要があります。

また、一般課税では食材仕入れに係る仕入税額控除が減り、税務署への納付額が増える可能性がありますが、同時に仕入先へ支払う消費税相当額も減ります。
納付額の増加だけを見て実質負担が増えると判断せず、売上構成や仕入れ、資金繰りを含めた試算が必要です。

制度変更を見据えた価格戦略やメニュー構成、テイクアウト展開など、店舗経営面の対応にお悩みの方は、ぜひ当社へご相談ください。
適用税率や納付額など、個別具体的な税務判断については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

【参考資料・出典】
内閣官房「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』(政府の基本方針)について
首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見
国税庁「No.6102 消費税の軽減税率制度
国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの
国税庁「No.6401 仕入控除税額の計算方法
国税庁「簡易課税制度の事業区分とは
国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存
国税庁「No.6902 『総額表示』の義務付け