【飲食店向け】造作譲渡で閉店するメリットやデメリット、相場を解説
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飲食店の閉店理由には、売上不振や移転、経営方針の変更などさまざまな事情があります。とはいえ、経営者としては「できるだけコストを抑えて撤退したい」と考えるのが本音ではないでしょうか。その解決策の一つとして活用されているのが「造作譲渡(居抜き譲渡)」です。造作譲渡をうまく活用すれば、内装や厨房機器などをそのまま引き継ぐことで原状回復費用を削減でき、場合によっては譲渡料を得られるケースもあります。
ただし、メリットが大きい一方でデメリットや注意点も存在します。物件所有者や次の借り主とのトラブルを避けるためには、仕組みや流れを正しく理解しておくことが大切です。造作譲渡を得られれば、次の開業や他店舗の運営において、物件や採用に資金を回すことができます。実際に、好条件の物件選びと採用戦略を両立させたことで、オープン前から150名以上の応募を集め、成功を収めたお客様もいらっしゃいます。
本記事では、造作譲渡の仕組みからメリット・デメリット、譲渡料の相場までを徹底解説しつつ、飲食店経営者が次の一手を考える上で押さえておきたいポイントをご紹介します。

目次
造作譲渡とは?居抜きとの違い
飲食店を退去する際、店舗を設備や内装がないコンクリートむき出しの「スケルトン」に戻して返却するのが一般的です。厨房設備や内装を撤去する工事には数百万円規模の費用がかかることも少なくありません。
しかし、居抜き物件として退去すれば、設備や内装を残したまま引き渡すことができます。さらに新しい借り主が決まっていれば、造作譲渡という形で、これらの設備や内装を有償で引き渡すことも可能です。つまり造作譲渡とは、現借り主が店内の造作や設備を新借り主へ売却し、その対価を受け取る仕組みのことです。 新借り主は初期費用を抑えて開業でき、現借り主は譲渡料を得られるため、双方にメリットがある方法といえます。
造作譲渡に含まれるもの
・店舗内装(床・壁・天井の仕上げ)
・厨房設備(コンロ、冷蔵庫、換気扇)
・空調設備(エアコン、ダクト)
・テーブルや椅子などの備品(契約内容による)
造作譲渡に含まれないもの
・リース品(所有権はリース会社にあり返却が必要)
・個人所有のパソコンや私物
※リース品は新借り主が引き継げる場合もあるため、事前に確認しましょう。
閉店して退去する場合は、内装を入居前の状態に戻す原状回復工事が必要な場合があります。店舗や契約によって差はありますが大きな額の費用が必要なので、現在の借り主にとっては負担となるでしょう。
原状回復工事について以下の記事でくわしく解説しています。
閉店時に飲食店が造作譲渡を選ぶメリット
譲渡料を収入として得られる
スケルトン工事には数百万円かかることも珍しくありません。造作譲渡を活用すれば、その費用を大幅に抑えることができます。
原状回復工事の費用を削減できる
譲渡する設備や内装に応じて、造作譲渡料を受け取れます。これにより閉店費用の一部をまかなったり、新規出店の資金に充てたりすることが可能です。
営業を続けながら退去準備ができる
原状回復工事が不要なため、退去日直前まで営業を続けられます。閉店までの売上を確保しつつ、スムーズにバトンタッチできます。
閉店時に造作譲渡するデメリット・注意点

飲食店の閉店時に造作譲渡する場合、主に3つのデメリットが挙げられます。デメリットも重要なポイントなのでしっかり把握しておきましょう。
物件所有者の承諾が必要
造作譲渡は、必ず物件所有者の承諾が必要です。賃貸借契約書によっては禁止されている場合もあるため、事前確認は必須です。物件所有者の承諾を得ないで造作譲渡の話を進めないように注意しましょう。
買い手が(新借り主)つかない可能性がある
店舗の立地や業態、設備の状態によっては、新借り主が見つからないこともあります。その間も賃料負担が続くため、資金繰りに注意が必要です。店舗の価値を見極めて、どれくらいの期間がかかりそうなのか検討しておきましょう。
閉店の噂で営業に影響する
造作譲渡を進める過程で閉店の話が広まると、従業員や常連客の離脱につながることがあります。情報開示のタイミングは慎重に判断しましょう。
飲食店の閉店や退店をお考えの方はこちらの資料も参考にしてみてください。

造作譲渡料の相場
造作譲渡料の相場は100〜300万円程度ですが、店舗の条件によって大きく異なります。
立地:駅近や繁華街の店舗(特に路面店)は高額になりやすい
業態:ラーメンや焼肉など重飲食は200〜300万円、カフェやバーなど軽飲食は100〜200万円が目安
設備の状態:導入から新しいほど評価が高い
店舗の価値を正しく査定するには、専門業者への相談が安心です。
通常閉店と造作譲渡による店舗売却をしたときの比較
原状回復工事をして借りる前に戻すとなると、それなりに費用がかかります。では、実際に飲食店を通常閉店するのと、店舗売却するのでは、金額にどれくらい差が出るのでしょうか。保証金500万円、20坪、賃料50万円の物件を想定して計算すると、下記の図のようなイメージになります。

店舗を売却すれば原状回復費用や解約前家賃がかからないことに加え、造作譲渡料が手元に入るため、通常閉店と比べて約800万円の差が生じます。
上記の図は一つの例ですが、適正な造作譲渡料がわからない場合は、店舗物件の取り扱い実績のある専門業者に相談するといいでしょう。店舗売却に関しては店舗流通ネットが実績も豊富で安心して相談できます。
造作譲渡をスムーズに進めるためのポイント
造作譲渡はコスト削減につながる一方で、正しい手順を踏まなければトラブルになることもあります。スムーズに進めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
事前に物件所有者の承諾を得る
まずは賃貸借契約書を確認し、造作譲渡が可能かどうかを把握することが大切です。たとえ「造作譲渡不可」と記載があっても、条件や交渉次第で承諾を得られる場合があります。交渉のタイミングによっては解約予告期間に影響することもあるため、早めに準備しておきましょう。
譲渡品のリストアップと状態確認
譲渡対象となる設備や備品は、事前にリスト化して明確にしておくことが重要です。認識の食い違いを防ぐことで、譲渡後のトラブルを回避できます。あわせて希望する譲渡価格を整理し、交渉がスムーズに進むよう準備しましょう。さらに、譲渡品の状態を細かく把握しておくこともポイントです。
リース品を正しく把握する
厨房機器や家具の中にはリース契約のものも含まれているケースがあります。リース品はリース会社に所有権があるため、原則として譲渡はできません。ただしリース会社の承諾を得れば、新しい借り主が契約を引き継げることもあります。誤って処分したりトラブルにならないよう、必ず確認しておきましょう。
造作譲渡料の相場を把握する
造作譲渡料は、立地・設備・需要によって大きく変動します。インターネット上の情報だけで判断するのではなく、実績豊富な専門業者に相談するのが安心です。物件所有者との交渉や譲渡価格の設定、リース会社との調整など、専門的なサポートを受けることでトラブルを未然に防ぐことができます。
造作譲渡以外に資金を調達する方法「リースバック」
資金繰りに課題があり、閉店を検討している場合は「リースバック」という方法もあります。
リースバックとは、専門会社と店舗の賃貸契約を結び直すことで敷金や保証金を返金してもらい、営業を続けながら資金を調達できる仕組みです。
閉店を回避しつつ資金を確保できるため、「事業は続けたいが資金繰りを改善したい」と考える飲食店経営者にとって有効な手段のひとつです。
店舗流通ネットでは、リースバックを応用した新サービスとして「テナントリースバック-賃借権買取りプラン-」をリリースしました。まとまった資金を「一次獲得キャッシュ」として受け取ることが可能です。テナントオーナー様が将来を見据え、安心して次の一歩を踏み出すための時間と資金を提供する新しいシステムです。詳しくは下記の資料をダウンロードしてみてください。

造作譲渡のポイントを押さえて退去コストを削減しよう
造作譲渡は、原状回復費用を削減し、早期に退去できる有効な方法です。ただし、交渉や譲渡品の扱いを誤ると思わぬトラブルに発展する可能性があります。物件所有者や譲渡先を探すのは容易ではないため、経験豊富な専門業者に相談することをおすすめします。
店舗流通ネットでは、店舗買取から退去に関わる実務までをワンストップで支援。さらに、営業を続けながら資金調達できる「リースバック」のご相談も承っています。
コスト削減や資金調達の工夫ができれば、浮いたリソースを、次の開業や他店舗への「採用」や「教育」に回すことが可能です。実際に、好条件の物件選びと採用戦略を組み合わせることでオープン前に150名以上の応募を集めた飲食店の事例もあります。
「コストを抑えつつ、出店後の採用や人材定着をどう進めるか」まで意識した経営判断が、これからの飲食店には求められています。
店舗流通ネットは、豊富な経験とノウハウに基づき、店舗買取から退店に関わるさまざまな業務をサポートします。少しでも気になる方や、閉店にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
