飲食店の売上の目安は? 安定経営に向けた基本知識と売上アップ策を解説

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飲食店を経営していると、「自分の店は平均より売上が高いのか? 儲かっているのか?」と気になることが多いのではないでしょうか。平均的な売上の目安が分かれば、自店でどの程度の改善が必要となるのか目標も立てやすくなります。今回は飲食店の売上の目安と考え方、参考となる指標のほか、売上アップの方法について解説します。

飲食店の売上平均(目安)

飲食店の売上平均はどの程度なのでしょうか。日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」によると、売上平均は以下のとおりです。

2021年度調査の従業員1名あたりの年間売上高

業種平均売上
食堂、レストラン778万7,000円
一般食堂742万7,000円
日本料理750万9,000円
中華料理863万4,000円
そば うどん610万6,000円
すし876万9,000円   
喫茶674万7,000円
参考:日本政策金融公庫 「小企業の経営指標調査」飲食店・宿泊業

業態によって平均売上は多少変動しますが、商品に平均単価が高い業態である「すし」の平均売上が比較的高い数値となっています。

個人飲食店の売上平均

上記の数値から推計すると、従業員1~2名が働いている個人飲食店の場合、少なく見積もって年間800~1,600万円、月平均では67~135万円、週一休業であれば1日あたり3~5万円強の売上が必要であると考えられています。

ですが、売上と同様に重要なのが「利益」です。家賃や人件費、食材などの費用は個人飲食店において、約9割を占めると言われています。そのため、仮に年間300万円の利益を目標とするのであれば、単純計算で3,000万円以上は売上を出さないといけません。

もちろん、従業員数や営業日数によって売上や利益は変動しますが、売上と利益の両方を視野に入れて納得のいく飲食店経営を図りましょう。

飲食店の売上の計算方法

飲食店の経営においては、売上について数値を明確にすることが重要です。経営計画を立てる際にベースとなる売上高と、売上予測の計算方法を見ていきましょう。

売上の基本的な概念は、飲食メニューなどの商品やサービスの売上総額です。注文した料理や飲み物の代金、提供されたサービスに対する支払いなどの収入を総合したものです。

飲食店の売上は、店の規模や業態によって異なるため自店舗の理想的な売上高について、各自で知る必要があります。

売上高の計算方法:客数×客単価=売上高

たとえば、客数100人、客単価1,500円の場合、100人×1,500円=15万円となります。

上記からわかるように、客数もしくは客単価を上げることで売上を上げられます。売上が下がっているのであれば、客単価が下がったのか、客数が下がったのかを検証し、改善策に繋げることが必要です。

次に売上予測の考え方を説明します。

売上予測の計算方法:客数×回転数×客単価×営業日数=売上予測

売上予測は、営業時間や定休日を考慮して、実稼働時間から算出します。

たとえば、客数300人、回転数10回転、客単価1,500円、営業日数27日の場合、次のように計算されます。

300人×10回転×1,500円×27日=1億2,150万円

飲食店の売上には波があるため、過去の売上実績や来店数、来店者の利用傾向、季節要因、キャンペーンの影響、競合店の状況などできるだけ多くのデータを収集し、正確に売上予測を計算しましょう。

正確な売上予測は、飲食店経営において重要な指標です。正確な売上予測を立てることで、仕入れや人員計画などを適切に行え、経営を安定化できるからです。

売上予測を実際の売上データと比較し、大きく異なっている場合には、どこに問題があるのかを分析し、早期に改善策を検討しなければなりません。

飲食店の売上管理に重要な知識

ここからは飲食店の売上管理を行っていくうえで必要不可欠な基本的な知識をお伝えします。

売上管理とは?

売上管理は、売上目標を達成するために飲食店の売上を記録・集計し、その総額や達成率を把握・分析する業務のことです。業種や業態によっても異なりますが、日次や週次、月次、年次というように期間を区切って売上情報を集計します。さらに、売上目標に対する達成率を確認したり、過去の売上数値との比較を行ったりします。売上管理の目的は、以下の項目に分類されます。

店舗の現状を把握

売上管理を行う第一の目的は、店舗の現状を数値で正確に把握することです。売上のデータが曖昧では、目標の達成状況や課題を認識できず、数字に基づいた根拠のある解決策を導き出すのが難しくなってしまいます。売上管理において、売上・利益が増減する根本的な要因を突き詰めることで、現状の店舗の弱みや問題点が鮮明になります。これにより、効果的な改善案や解決策を見つけ出すことが可能です。

経営に役立てるためのデータ分析

売上管理は漠然とデータを集めるだけは意味がありません。売上データを活用して店舗の経営に役立てることを意識しましょう。売上が減っているのにもかかわらず、従業員を採用して人件費がかさんでしまっては利益拡大に繋がりません。もし経営状況を理解していれば、売上の減少を早い段階で発見でき、余裕をもって対策できます。また、売上が好調なときは、新しいことに挑戦したい気持ちも湧いてくるでしょう。そのような場合、売上管理で得たデータは、好調な時期に新たなチャンスを見つけるのに役立ちます。

売上管理に必要な項目

売上管理においては、以下の項目を確認する必要があります。基本的な項目ですが、重要ですのでしっかりおさえておきましょう。

売上

売上とは、商品やサービスなどを提供したことへの対価のことを言います。もちろんですが、売上は売上管理の中でも、最も重要な項目です。売上管理において必要な項目は、「売上金額」「売上げた月日」「顧客や取引先の情報」「販売した商品・サービス」などについて正しく記録しておくことが大切です。これらの情報が売上金額と紐付いていないと、正確な分析ができないので注意してください。

顧客情報

顧客名や連絡先、来店日時などの情報をきちんと記録しておくことで、お客様ごとの購入履歴や好みを把握できます。これにより、リピート客の特定や、顧客満足度の向上に向けた施策を立てることが可能です。

商品情報

実際に販売した商品やサービスの詳細な情報を記録しましょう。商品名や単価、在庫数、仕入れ先などが含まれます。商品ごとの売上分析や在庫管理に役立ちます。

支払い情報

顧客が支払った方法(現金・クレジットカード・電子マネーなど)や支払い金額を記録します。これにより、支払い方法の傾向や売上の収益性を把握できます。

日時情報

売上が発生した日時や時間帯を記録します。曜日や時間帯ごとの売上傾向を分析するために重要な項目になります。

これらの項目を適切に管理し、定期的に集計・分析することで、飲食店の売上管理を効果的に行うことができます。

飲食店の売上管理に必要な指標

飲食店の売上管理を正しく行うためには、売上だけでなく、利益や費用に関する指標の把握も重要です。飲食店の売上管理に必要な指標を解説します。

FL比率

▲FL比率と経営状況の相関関係

FL比率は、FLコスト(Food=食材費とLabor=人件費の合計金額)が売上に占める割合です。一般的には、50~60%であることが適正値と言われており、比率としては、食材費 35%、人件費は25%が望ましいと考えられます。

FL比率は、低ければ低いほど儲けが大きくなります。55%以下であれば良い経営ができている目安となりますが、60%以上の場合は早急改善が求められます。

損益分岐点

損益分岐点とは、売上と営業にかかる費用が同じとなるゼロ地点を指します。そこから売上が上回れば黒字、下回ると赤字です。

損益分岐点売上高の計算:固定費÷{1-(変動費÷売上高)}

このとき、{1-(変動費÷売上高)}は限界利益率を示し、売上高に対する限界利益の割合を表す数値です。限界利益は商品やサービスの販売で直接得られる利益を指します。

限界利益率の計算では、食材費など売上に連動して変化する変動費が重要な要素です。売上に対して変動費の割合が高いと、限界利益が小さくなり、限界利益率は低くなります。低い限界利益率は、利益を生み出しにくいことを意味し、損益分岐点売上高は高くなります。

以下は限界利益率と損益分岐点売上高の計算例です。

例:売上高100万円、固定費40万円、変動費20万円の場合

限界利益率は80%、40×0.8=50万円が損益分岐点となり、これより上であれば黒字、下であれば赤字になると判断されます。

営業利益率

営業利益率とは、売上高の中の営業利益の割合を示す数字です。

  • 営業利益の計算:売上高-原価-経費
  • 営業利益率の計算:営業利益÷売上高×100(%)

経済産業省「2021年企業活動基本調査確報(2020年度実績)」によると、飲食企業における売上高営業利益率は、平均で3.7%となっています。

一方で、安定した経営のために目指す目標値は10~15%であると言われています。10%以下が続く場合には、経営改善を考える必要があります。営業利益率は、経営の健全性や収益性を評価する指標の一つとして重要であるため、常に営業利益率向上への意識が求められます。

飲食店経営には、売上を伸ばすことに加えて、利益率を上げるという視点も重要です。利益率を上げるためには経費を抑えるか、売上を上げる必要があります。利益率向上に向けて、以下で説明する具体的な施策を、実施することが大切です。

飲食店経営で売上や利益率を上げる方法

飲食店経営においては、売上だけでなく、利益率を上げることも重要です。利益率を上げるには、売上を上げる方法と経費を下げる方法があります。

売上に関する指標から、自分の店舗の改善すべき問題を明らかにし、できるころから改善していくといいでしょう。

来店客数を増やす

売上を伸ばすためには、安定した集客が必要です。来店数が思うように伸びないときには、広告戦略の見直し、SNS活用、顧客による紹介制度、チラシ配布、ランチ営業、テイクアウトなど、多角的な方法を考えて実行していきます。

客単価を上げる

売上アップには、客単価アップも重要な要素になります。客単価を上げるためには、高利益メニューの開発やセットメニュー、追加メニューなどを提供するといった工夫が必要です。メニューや価格設定を見直し、利益率の高い商品を重点的に扱うのも有効策です。

回転率を上げる

座席数が決まっている飲食店で、売上アップに必要となるのが回転率の向上です。回転率を上げるためには厨房作業の効率化、時短メニューの工夫、メニューを絞って選びやすくする、待ち時間にはメニューを渡すといった接客に関する工夫や、スタッフ同士がスムーズに移動できる導線を意識したレイアウトなど、さまざまな手法が考えられます。

来店客を待たせず、滞在時間を短縮するためにはどうすれば良いのか、現状から課題を洗い出して改善します。

変動費を下げる

利益率を上げるためには、変動費を見直すことが有効です。シフトの見直しや繁忙・閑散に合わせた人数調整などによる人件費の見直し、電気・ガス料金プランの見直し、食材調達先の見直しなど、少しずつ変えるだけでもトータルで変動費に影響が出ます。運営状況を把握し、小さなことでも見落としがないかチェックしていきます。

食品ロスを減らす

適正量での仕入れは、経費削減につながります。過去のデータを活用してムダが出ないように、計画的かつ合理的に仕入れる、仕入業者を選定し直すなど、仕入れに関しての工夫が必要です。同業者や近隣店舗との食材シェアも有効策です。

さらに食材管理を見直し、小分けにして真空・冷凍による保管、保管場所の整理をし、ラベルを貼る、アプリ管理による期限アラートなどで食材管理の可視化を徹底することで、食品ロスの減少につなげます。

売上アップのアイデアについては以下の記事でより詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

飲食店経営では売上に関する数値を把握して利益向上に努めよう

飲食店を安定的に経営するためには、売上に関する数値を定期的にチェックし、売上や利益率の向上に努めることが大切です。経営の状況を把握し、問題点を明らかにすることで、早期に改善策を講じることができます。地道に改善を行う姿勢が、飲食店経営を成功に導くでしょう。

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