スケルトン工事の費用はいくら?店舗内装の坪単価からリフォーム相場まで解説

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店舗の開業や移転、退去時に必要となるスケルトン工事について、費用がいくらかかるのかは重要な問題です。坪単価での費用相場は業態や物件の状況によって大きく変動します。

この記事では、スケルトン工事の基本的な知識から、業態別の坪単価相場、費用の内訳、コストを抑えるポイントまで詳しく解説します。

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目次

スケルトン工事とは?内装を骨組み状態に戻す

スケルトン工事とは、建物の内装や設備をすべて解体・撤去し、躯体(くたい)と呼ばれる構造体だけの状態に戻す内装工事のことです。床や壁、天井はもちろん、電気配線や給排水管、空調設備なども取り払い、コンクリートがむき出しになった骨組みの状態にします。

この状態から新たな内装を自由に設計・施工できるため、店舗のコンセプトを最大限に反映させたい場合や、老朽化した設備を一新したい場合などに採用されます。

スケルトン工事と原状回復工事の違い

スケルトン工事と原状回復工事は、どちらも物件を元の状態に戻す工事ですが、その「元の状態」の定義が根本的に異なります。原状回復工事は、賃貸契約に基づき、借主が入居した時点の状態に戻すことを目的とします。つまり、後から設置した間仕切りや設備を撤去し、壁紙や床材の軽微なリフォームを行う程度です。
一方、スケルトン工事は建物の骨組み以外をすべて解体するため、原状回復工事よりも大規模で、工事の範囲が格段に広くなります。

【業態別】スケルトン工事にかかる費用の坪単価相場

スケルトン工事の坪単価は、店舗の業態によって大きく異なります。特に、厨房設備や水回りの配管が複雑な飲食店は高くなる傾向にあります。
一方で、アパレルショップのような比較的シンプルな内装の店舗や、住居用のマンションでは費用を抑えることが可能です。

ここでは、代表的な業態ごとの費用相場について解説しますので、自身のケースと照らし合わせて予算の参考にしてください。

飲食店やカフェなど設備が多い店舗

飲食店やカフェなど、厨房設備や給排水設備、排気ダクトといった設備が多数存在する店舗の場合、スケルトン工事の坪単価は高額になる傾向があります。
特に、大掛かりな厨房設備を必要とする飲食店では、解体・撤去作業の複雑さや産業廃棄物の量の多さから、一般的な坪単価相場である5万円~10万円を上回ることも少なくありません。通常の解体作業に加えて、専門的な設備撤去作業が必要となることも要因の一つと言えます。

美容院やアパレルなど比較的シンプルな店舗

美容院やアパレルショップ、物販店などのスケルトン工事費用は、飲食店に比べて厨房のような大掛かりな設備が少ないため、比較的安価に抑えられる傾向があります。ただし、シャンプー台の給排水設備やデザイン性の高い造作、複雑な間仕切りなどがある場合は費用が加算されることがあります。

スケルトン工事における解体作業の坪単価は3万円~10万円程度が目安とされていますが、これは内装解体工事のみの費用であり、内装工事全体の費用とは異なります。美容室・ヘアサロンのスケルトン物件の内装工事費用は坪単価約40万円~70万円、アパレルショップは約40万円~65万円、物販店は約20万円~40万円程度が相場とされています。

内装のデザインや設備によって解体作業やその後の内装工事の手間と費用が変動するため、見積もり時には詳細な確認が必要です。

マンションやオフィスビル

住居用のマンションをリノベーション目的でスケルトンにする場合、坪単価2万円~4万円程度が目安とされています。オフィスビルの場合は、OAフロアや多数の間仕切り、空調設備などが解体対象となり、坪単価2.2万円~3.8万円程度が相場とされています。
いずれの場合も、共用部の養生や、騒音・振動への配慮から作業時間の制限が多く、費用に影響を与える場合があることに注意が必要です。

スケルトン工事費用の具体的な内訳

スケルトン工事の見積もりを取る際、総額だけでなくその内訳を理解することが大切です。
工事費は主に、内装や設備を解体する「作業費」、解体で出た資材を処分する「廃棄物処理費」、そして現場管理などにかかる「諸経費」の3つに大別されます。これらの内訳を把握することで、見積もりが適正であるかを判断しやすくなり、不要なコストの削減にもつながります。

ここでは、それぞれの項目について具体的に解説します。

内装や設備の解体にかかる作業費

この場合の作業費とは、壁、床、天井といった内装材や、間仕切り、厨房設備、空調、什器などを解体・撤去するためにかかる費用を指します。この費用は、解体する対象物の量や材質、構造の複雑さによって大きく変動します。
例えば、手作業で慎重に解体する必要がある部分と、重機を使って効率的に進められる部分とでは、必要な人員や時間が異なるため、作業費も変わってきます。内装の造作が凝っているほど、解体作業は複雑になり、費用も高くなる傾向が見られます。

解体で出た資材の廃棄物処理費

解体工事で発生した木材、石膏ボード、コンクリートガラ、金属くずなどは、産業廃棄物として法律に基づき適正に処理する必要があります。この廃棄物処理費は、廃棄物の種類と量によって算出され、スケルトン工事費全体の中でも大きな割合を占める項目です。不法投棄などを防ぐため、マニフェストの発行が義務付けられており、その費用も含まれます。

作業員の人件費や現場管理などの諸経費

諸経費には、現場で作業を行う職人や、工事全体を管理する現場監督の人件費、車両のガソリン代や駐車場代、各種保険料などが含まれます。また、工事に必要な書類の作成費用や、近隣への挨拶回りなどの費用もこの項目に含まれる場合があります。
一般的に、諸経費は解体作業費や廃棄物処理費を合わせた金額の10%程度が目安とされており、見積書で「諸経費一式」とまとめられている場合には、事前に具体的な内訳を確認しましょう。

スケルトン工事の費用が高額になる5つのケース

スケルトン工事費は、物件の条件や状況によって相場よりも高額になることがあります。あらかじめ費用が高騰する可能性のあるケースを把握しておくことで、予期せぬ出費を防ぎ、余裕を持った資金計画を立てられます。

ここでは、工事費が高額になりやすい5つの代表的なケースについて、その理由とともに具体的に解説します。

1.解体する内装の装飾や間仕切りが多い場合

内装に複雑な装飾が施されていたり、細かく部屋を分けるための間仕切りが多数設置されていたりする場合、解体作業に多くの手間と時間がかかります。一つひとつの造作を分別しながら慎重に解体するため、作業員の数や工数が増え、人件費も上昇します。また、解体する部材が多くなるということは、それだけ廃棄物の量も増加しますので、廃棄物処理費用もかさみます。

2.厨房設備や什器などの撤去物が多い場合

特に飲食店や物販店において、大型の業務用冷蔵庫や調理台といった厨房設備、重量のある陳列棚などの什器が多く残されている場合、撤去費用が高額になります。これらの設備や什器は重量があるため、搬出には専門の作業員やクレーンなどの重機が必要になるケースがあり、その分の費用が上乗せされます。
店舗に残されているものが多ければ多いほど、解体・撤去の手間と廃棄物の量が増え、全体の費用を押し上げる大きな要因となります。

3.搬出経路が狭い、またはエレベーターがない建物

解体で発生した資材を運び出すための搬出経路が狭い、あるいはトラックを横付けできないといった立地条件は、費用を増加させる要因となります。特に、エレベーターがない建物の高層階や、あっても養生が必要で利用に制限があるマンションなどでは、資材を階段で降ろさなければなりません。
これにより作業効率が大幅に低下し、通常よりも多くの作業員と時間が必要になるため、人件費が大きく膨らんでしまいます。

4.アスベストの含有調査や除去が必要になった場合

2006年以前に建てられた古い建物の場合、壁や天井、断熱材などの建材にアスベスト(石綿)が使用されている可能性があります。アスベストが含まれている建材を解体する際は、飛散防止のための厳重な措置と、専門の資格を持つ業者による除去作業が法律で義務付けられています。
このアスベストの事前調査や除去工事には高額な追加費用が発生し、リフォーム全体の予算を大幅に超過するリスクがあるため、築年数の古い物件では特に注意が必要です。

5.夜間や休日の作業が必須になる場合

商業施設やオフィスビルに入居している店舗など、建物の規約によって日中の工事が制限されている場合、作業を夜間や休日に行わなければなりません。夜間や休日の作業では、労働基準法に基づき作業員に割増賃金を支払う必要があるため、人件費が通常よりも高くなります。
また、作業できる時間が限られることで、全体の工期が長引き、結果として総額が割高になることもあります。周辺環境による制約も、費用に大きく影響する要素の一つと言えるでしょう。

スケルトン工事の費用を安く抑えるための3つのポイント

スケルトン工事は高額になる傾向がありますが、いくつかのポイントを押さえることで費用を抑えることが可能です。特に重要なのは、業者に依頼する前の準備と、受け取った見積もりの精査です。

ここでは、スケルトン工事の費用を少しでも安くするための具体的な3つの方法を紹介します。

ポイント1:相見積もりで比較検討

スケルトン工事を依頼する際は、必ず複数の解体業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。1社だけの見積もりでは、提示された金額が適正価格なのか判断できません。3社程度から相見積もりを取ることで、その工事内容における費用相場を把握できます。
単に総額の安さだけで決めるのではなく、見積もりの内訳が詳細か、担当者の対応は丁寧かなども含めて総合的に判断し、信頼できる業者を選ぶことが、結果的にコストパフォーマンスの高い工事につながります。

ポイント2:不用品は工事前に自分で処分

店舗に残っている什器や備品、家具などで、まだ使用できるものは工事前に自分で処分することをおすすめします。これらを解体業者にまとめて依頼すると、すべて産業廃棄物として扱われ、高額な処理費用が発生します。
リサイクルショップに売却したり、フリマアプリで販売したりすれば、処分費用がかからないどころか、収入になる可能性もあります。廃棄物の量を減らすことは、工事費を直接的に削減する効果的な手段と言えます。

ポイント3:業者の繁忙期を避ける

解体工事業者には、公共工事が集中する年度末(2月~3月)や、年末(12月)といった繁忙期があります。この時期は工事の依頼が殺到するため、業者は強気の価格設定になりがちで、値引き交渉も難しくなります。
工事のスケジュールに余裕がある場合は、これらの繁忙期を避けて依頼することで、比較的落ち着いて対応してもらえる可能性が高まり、費用交渉がしやすくなります。

工事を依頼する期間を調整するのも、費用を抑えるための一つの工夫として取り入れてください。

知っておきたい!スケルトン工事を行うメリット

スケルトン工事は費用が高額になるという側面がありますが、それを上回る多くのメリットも存在します。
内装をゼロから構築できるため、理想の店舗空間を追求できるほか、見えない部分のインフラを刷新することで、将来的なリスクを回避できます。物件を長期的な資産として捉えた場合、リノベーションによる価値向上も期待できるでしょう。

ここでは、スケルトン工事を選択することで得られる主なメリットについて解説します。

1.内装デザインの自由度が格段に上がる

スケルトン工事の最大のメリットは、内装デザインの自由度が非常に高い点にあります。間仕切りや設備がすべて撤去された状態から始めるため、レイアウトの制約がほとんどありません。ブランドイメージやコンセプトを最大限に反映させた、独創的で理想的な店舗空間をゼロから創造することが可能です。
また、給排水管や電気配線の位置も自由に変更できるため、効率的なオペレーションを実現する動線計画など、機能性を追求した内装工事が実現可能です。

2.劣化した配管や配線を一新できる

普段見ることのできない壁や床の内部に隠れている給排水管、ガス管、電気配線といったインフラ設備の状態を確認し、劣化していれば一新できる点も大きなメリットと言えます。古い物件では、配管の腐食による漏水や、配線の老朽化による漏電・火災のリスクが潜んでいます。
スケルトンリフォームを行うことで、これらのインフラをすべて新しいものに交換でき、将来起こりうる重大なトラブルを未然に防いで、長期にわたる店舗運営が可能になります。

3.建物の資産価値向上につながる可能性がある

老朽化したインフラを更新し、現代のニーズに合わせて内装を全面的に刷新するスケルトンリノベーションは、建物そのものの資産価値向上に寄与する場合があります。
特に築年数の古い物件でも、構造体を補強し、断熱性や耐震性を向上させる工事を併せて行うことで、建物の耐久性と安全性が高まります。これにより、物件の魅力が増し、将来売却や賃貸に出す際、より有利な条件で取引できる可能性が生まれます。

スケルトン工事のデメリットと注意すべき点

多くのメリットがある一方で、スケルトン工事には無視できないデメリットや注意点も存在します。
特に、多額の工事費と長い工事期間は、事業計画全体に大きな影響を及ぼすため、事前の十分な検討が不可欠です。また、工事を開始してから予期せぬ問題が発覚するリスクも念頭に置く必要があります。

メリットとデメリットの両方を正しく理解し、総合的に判断することを心がけましょう。

1.居抜き物件に比べて初期費用が高額になる

スケルトン工事における最大のデメリットは、費用が高額になることです。内装をすべて解体撤去する工事費用に加えて、その後ゼロから内装や設備をすべて新設するための費用も必要となります。内装や設備がそのまま残っている居抜き物件を取得する場合と比較すると、開業までにかかる初期投資は格段に高額になってしまいます。

総額でいくら必要になるのか、解体と内装の両方の見積もりを取り、綿密な資金計画を立てることが極めて重要です。

2.工事期間が長くなる

スケルトン工事は、解体工事と内装工事という2つの大きな工程が必要になるため、開業までの準備期間が長くなる傾向があります。居抜き物件であれば数週間から1ヶ月程度で開業できるケースもありますが、スケルトンからの場合は数ヶ月単位の期間を見込む必要があります。
工期が長引けば、その分だけ売上がない状態で家賃を支払い続ける「空家賃」の期間も発生し、資金繰りを圧迫する要因となるため、スケジュールには十分な余裕を持たせることが肝心です。

3.着工後に構造上の問題が見つかるリスク

内装をすべて解体して初めて、建物の構造的な問題が明らかになるリスクがあります。

例えば、柱や梁の腐食、雨漏りの跡、シロアリによる被害など、内装で隠されていた欠陥が工事中に発覚することも少なくありません。こうした構造上の問題が見つかった場合、計画にはなかった追加の補修工事が必須となり、予期せぬ費用の発生や工期の大幅な延長につながる可能性があります。特に古い物件でリノベーションを行う際は、このリスクを考慮しておいてください。

スケルトン工事に代わる退店手段:居抜き売却

店舗を閉店する際、多額の費用をかけてスケルトン状態に戻すことが必ずしも唯一の選択肢ではありません。特に、まだ使用可能な内装や設備が残っている場合には、「居抜き売却」という手段が有効です。
これは、内装や設備をそのままの状態で次のテナントに売却する方法で、退去費用を大幅に削減できる可能性があります。

この居抜き売却については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

飲食店の「居抜き売却」をご検討の方へ

最小限のコストで退店したいという方は、ぜひダウンロードしてみてください。

まとめ

スケルトン工事は、自由な店舗設計が可能になる一方で、費用や期間がかかるという特徴があります。坪単価は飲食店のような設備が多い業態で高く、アパレルなどでは比較的安くなる傾向にあります。費用を抑えるため、相見積もりや不用品の事前処分を積極的に行いましょう。
また、メリット・デメリットを正しく理解し、アスベスト調査など古い物件特有のリスクも考慮する必要があります。
退去時には高額な費用をかけて原状回復するだけでなく、居抜き売却によるコストの削減も視野に入れましょう。

内装工事やリフォームにおいて適切な予算計画を立てるため、ぜひこの記事を参考にしてください。

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著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。