飲食店が赤字になる原因とは?経営を立て直す黒字化への改善策

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飲食店の経営が赤字に陥る背景には、売上の低迷やコストの高騰など、複数の原因が複雑に絡み合っています。
経営状態の悪化を放置すれば、最悪の場合、廃業に至る可能性も否定できません。

この記事では、飲食店が赤字になる原因とは何かを解明し、黒字化を目指すための具体的な改善策について解説します。

あなたの店はどれ?飲食店が赤字に陥る5つの共通原因

飲食店が赤字になるのはなぜでしょうか。
その理由は一つではなく、複数の要因が絡み合っているケースがほとんどです。
特に個人経営の店舗では、日々の業務に追われてしまい、経営数値の分析や改善策の立案が後回しになりがちです。

ここでは、多くの赤字店舗に共通して見られる5つの主要な原因について詳しく解説します。

原因①:売上が伸び悩みと客数の減少

売上の伸び悩みや客数の減少は、店舗の存続を脅かす深刻な問題です。
近年、顧客のライフスタイルや外食に対する価値観は劇的に変化しました。
中食や内食の普及、デリバリー需要の定着といった市場の変化に柔軟に対応できていない場合、客足が遠のく要因となります。

また、近隣に競合店が出現したり、地域の人口動態が変化したりといった外部環境の影響も無視できません。
自店のコンセプトや提供メニューが、現在のターゲット層のニーズと乖離していないか、客観的な視点で定期的に見直すことが重要です。

原因②:原材料費の高騰による原価率の上昇

近年の世界的な情勢不安や円安の影響により、多くの食材や光熱費が高騰し続けています。
これにより、従来と同じメニューを提供していても原価率が上昇し、利益を圧迫する状況が生まれています。

多くの飲食店では、顧客離れを懸念して安易な値上げに踏み切れず、コスト増を自店で吸収しようとしますが、適切な価格転嫁を行わなければ、売上があっても利益が残らないという事態に陥りかねません。
仕入れ先の見直しやメニュー構成の再考が不可欠と言えるでしょう。

原因③:売上に見合わない人件費

人件費は、原材料費(Food)と合わせて「FLコスト」と呼ばれ、飲食店の経営を左右する重要な指標です。
売上に対する人件費の割合が高すぎると、利益を圧迫し赤字の原因となり、最低賃金の上昇や深刻な人手不足による採用コストの増加も、経営に重くのしかかってきます。

従業員のシフトを最適化できていない、あるいは生産性の低い業務に多くの人員を割いているなど、売上規模に見合わない人員配置は早急な見直しが求められます

原因④:新規顧客集客のための施策不足

どれだけ美味しい料理や良いサービスを提供していても、お店の認知が広がらなければ顧客は確保できません。
特に新規開業の店舗や、長年同じ方法で営業してきた店舗では、効果的な集客活動ができていないケースが散見されます。

かつて有効だったチラシやグルメサイト掲載だけでは、情報過多の現代において顧客にアプローチするのは困難です。
SNSの活用やWeb広告、地域に根差したイベントの開催など、ターゲット層に合わせた多角的な集客戦略を立てて実行する必要があります。

原因⑤:どんぶり勘定による経営数値の確認不足

日々の売上や支出を帳簿につけず、通帳の残高のみで経営状況を判断する「どんぶり勘定」は、赤字から抜け出せない店舗に共通する大きな要因です。
感覚に頼った経営では、どこに無駄があるのか、どのメニューが利益を圧迫しているのかを客観的に特定できず、適切な改善策を打つことができません。

黒字化を目指すためには、損益計算書などを通じて、売上高、原価、人件費、家賃といった各数値を正確に把握する必要があります。
まずは自店の損益分岐点がどこにあるのかを明確にし、具体的な数字に基づいた経営判断を行う体制を整えましょう。

赤字経営から脱却!すぐに試せる黒字化への改善策

赤字経営からの脱却には、原因を特定した上で具体的な対策を講じることが不可欠です。
現状を悲観することなく、行動に移すことで状況は好転する可能性があります。

ここでは、コスト削減から売上向上、業務効率化に至るまで、比較的すぐに取り組める黒字化への改善策を具体的に5つ紹介します。
自店の課題と照らし合わせて、実践可能なものから試してみてください。

改善策1:コスト管理を徹底しFL比率を60%以下に抑える

飲食店の経営改善において、最も優先すべきはコスト管理の徹底によるFL比率のコントロールです。
FL比率とは、売上高に対する食材費と人件費の合計割合を指し、健全な経営を維持するためにはこの数値を60%以下に抑えることが目安となります。
FL比率の詳しい説明については、以下の関連コラムをご覧ください。

具体的な対策として、まずは食材の廃棄ロス削減や仕入れルートの見直しを行い、原価率の適正化を図ります
併せて、アイドリングタイムの人数調整やスタッフの多能工化を推進し、労働生産性を高めることで人件費の無駄を排除してください。

数値目標を明確に設定し、日々のコストを可視化することが、利益の出る体質へと転換するための第一歩となります。

改善策2:看板メニューや新メニューで客単価アップを狙う

売上を伸ばすためには、客数を増やすだけでなく客単価を上げる視点も重要です。
看板メニューに付加価値をつけた上位メニューを開発したり、利益率の高いサイドメニューやドリンクとのセット販売を強化したりする方法が有効です。
特に平日のランチタイムは集客しやすい反面、単価が低くなりがちなので、少し豪華なランチセットを用意するなどの工夫で単価アップを狙えます。

安易な値引きによる集客ではなく、顧客満足度を高めながら利益を確保するメニュー構成を考えましょう。

改善策3:SNSやWeb広告を活用して新規顧客を呼び込む

新規顧客の獲得には、オンラインでの情報発信が欠かせません。
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを活用し、料理の魅力や店の雰囲気を写真や動画で伝えることで、潜在顧客の来店意欲を刺激できます。

また、Googleビジネスプロフィールに店舗情報を正確に登録し、口コミへの返信を丁寧に行うことは、MEO(マップエンジン最適化)対策としても有効です。
少額から始められるWeb広告を出稿し、地域やターゲット層を絞って宣伝することも、効率的な集客手段の一つです。

改善策4:リピーターを増やすための接客サービスを強化する

安定した経営基盤を築く上で、リピーターの存在は大切な要です。
新規顧客の獲得にはコストがかかる一方、リピーターは継続的な売上に貢献してくれます

顧客の顔や名前、好みを覚えて声掛けをする、アンケートを実施してサービスの改善点を探るなど、顧客満足度を高める取り組みがリピーターの育成につながります。
また、ポイントカードやLINE公式アカウントを活用したクーポン配布など、再来店を促す仕組み作りも効果的と言えます。

改善策5:ITツール導入で業務を効率化し生産性を高める

深刻な人手不足が続く飲食業界において、ITツールの導入は業務効率化と生産性向上を実現するための不可欠な戦略です。

具体的には、POSレジの活用により売上分析や顧客管理をデジタル化することで、経営判断の精度を高められます。
また、予約管理システムを導入すれば、電話対応による業務中断を減らし、ダブルブッキングなどの人的ミスを未然に防ぐことが可能です。
さらに、セルフオーダーシステムやキャッシュレス決済を整備すれば、ホールスタッフの負担が大幅に軽減されます。
捻出した時間を接客サービスの向上に充てることで、顧客満足度を高めながら、少ない人員でも円滑に回る店舗経営を構築できるでしょう。

改善が見込めない場合の選択肢|閉店や売却の判断基準

あらゆる改善策を試みても、経営状況の好転が見込めない場合もあるでしょう。
そのような状況では、事業を継続することがかえって損失を拡大させることになりかねません。

赤字が続く状況では、冷静に出口戦略を考えることも経営者の重要な判断です。
ここでは、事業の継続が困難になった場合に検討すべき選択肢として、閉店や売却という判断の基準について解説します。

閉店の決断は運転資金が底をつく前に!

赤字経営が続くなかで最も避けるべき事態は、手元のキャッシュが完全に尽き、支払い不能に陥ることです。

具体的な閉店の判断基準として、現預金が家賃の3~6ヶ月分を切った段階が、決断すべき最適なタイミングでしょう。
この余力があるうちに撤退を決めれば、取引先への支払いやスタッフへの給与を滞らせることなく、経営者としての責任を果たすことができます。

早期の決断は負債の膨張を食い止め、将来的な再起に向けた資産をわずかでも手元に残すことにつながります。
手遅れになる前に、資金繰りの状況を精査し、冷静に撤退時期を見極めることが重要です。

赤字でも売却できる?M&Aという新たな選択肢

赤字経営の店舗であっても、事業を第三者に譲渡するM&Aという選択肢は十分に検討に値します。
買い手側は単なる直近の利益だけでなく、店舗の立地条件や造作の価値、独自の調理技術や秘伝のレシピといった、目に見えにくい資産を評価対象とするからです。

特定の地域で長年親しまれてきた知名度や固定客の存在は、新規出店を検討する企業にとって大きな魅力となります。
M&Aが成立すれば、経営者は売却益を得られる可能性があるだけでなく、従業員の雇用を維持したままスムーズにリタイアできるというメリットも得られます。

自店舗にどのような価値があるのかを客観的に把握するためにも、まずは飲食業に精通した専門の仲介会社へ相談し、査定を受けることから始めてみてください。

損失を抑えるための居抜き売却という方法

閉店に伴う損失を少しでも抑える方法として、居抜き売却があります。
これは、店舗の内装や厨房設備、什器などをそのままの状態で次の借主に売却する方法です。

メリットは、本来であれば費用がかかる解体・原状回復工事が不要になる点と、設備等の売却によってまとまった資金を得られる点です。
買い手側にも初期投資を抑えて開業できる利点があるため、需要は高く、閉店コストを大幅に削減できる有効な手段です。

飲食店の赤字経営に関するよくある質問

飲食店の赤字について、多くの経営者が抱える共通の疑問や不安があります。
ここでは、融資や相談先、事業撤退の判断基準といった、特によくある質問に対して、簡潔に回答します。

Q. 赤字経営でも受けられる融資や補助金はありますか?

A. 赤字経営でも利用できる可能性のある公的な融資や補助金は存在します。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付や、新型コロナウイルス感染症特別貸付などがその一例です。

また、「事業再構築補助金」や「小規模事業者持続化補助金」なども、事業計画次第で採択の可能性があります。
まずは最寄りの商工会議所や金融機関に相談してみてください。

Q. 経営改善について、どこに相談すれば良いですか?

A. 経営改善の相談先としては、中小企業診断士や税理士、飲食店専門の経営コンサルタントといった専門家が挙げられます。
また、国が設置する「よろず支援拠点」や、地域の商工会議所・商工会では、無料で経営相談を受け付けています。

開業時にお世話になった機関があれば、まずはそこに相談してみるのも一つの方法です。

Q. 赤字が続いて廃業を考えるべきラインはどこですか?

A. 一般的に、運転資金が家賃の3〜6ヶ月分を下回った場合や、債務超過の状態が続いている場合は、廃業を検討すべき一つのラインです。
数字上の判断だけでなく、経営者自身の心身の健康状態が限界に近いと感じた場合も、重要な判断基準と持っておきましょう。

まとめ

飲食店が赤字に陥る主な原因は、売上の低迷やコストの高騰、集客不足、そして数値管理の甘さにあります。
経営を立て直すためには、まず自店の課題を正確に把握し、FLコストの適正化や客単価の向上、SNSを活用した集客などの改善策を速やかに実行することが重要です。

もしあらゆる対策を講じても改善の見込みが立たない場合は、運転資金が底をつく前に閉店や売却といった出口戦略を検討してください。
早期に決断を下すことは、損失を最小限に抑え、再起に向けた資産を残すための重要な経営判断となります。

現状を客観的に分析し、攻めと守りの両面から最適な道を選択しましょう。

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店舗流通ネットグループ

著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。