飲食店の売上アップに役立つアイデアを紹介! 効果を上げるポイントとは

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競争の激しい飲食店において、安定的な経営を続けるためには常に売上アップを目指す必要があります。しかし、すでに店舗経営の経験がある場合でも、売上アップは決して容易なことではありません。例えば、単純に価格を上げても中身が伴っていないと、客離れを起こし、競争力が失われる結果ともなりかねません。

そこで、今回は飲食店の売上アップにつながるアイデアとその基本的な考え方、効果を出すためのポイントを解説します。

売上をアップする方法

売上アップを実現するために、そもそも「売上」とは何か、何を目指せば良いのかを解説します。

「売上」の構造

売上は客数、客単価、購買頻度の3つの要素から成り立っています。つまり売上の向上とは、この3要素を上げるための取り組みです。売上は以下の式で表すことができます。

売上=客数×客単価×購買頻度

それぞれの詳細と売上との関係を解説します。

客数(来店数)

客数(来店数)は、 店舗を訪れる客の人数のことです。通常は来店数が多ければ多いほど、売上が増える可能性が高まります。

以下は一般的に来店数を示す計算式です。

来店数=消費者数×認知率×配荷率

消費者数は、対象期間内における潜在的な消費者や顧客の総数を指します。

認知率とは、消費者数のうち、実際に店舗や商品について知識を持っている人の割合です。広告、宣伝活動、口コミなどに影響を受けます。

配荷率は、認知した消費者のうち、実際に店舗を訪れて購買行動を起こす割合を指します。マーケティング努力や競合状況によって変化します。

たとえば、消費者数100,000人、認知率70%、配下率50%とした場合、来店客は以下のように計算されます。

  • 来店数

100,000人×70%×50%=35,000人

  • 客単価

客単価は、来店客一人当たりの平均支払い金額です。客が注文する料理やドリンクの価格、セットメニューや追加メニューの利用、付加サービスなどが客単価に影響を与えます。

  • 購買頻度

購買頻度は、飲食店の場合、個々の顧客がどれだけ頻繁に店舗を訪れるかを示します。通う頻度の高いリピーターが多ければ、売上が安定しやすくなります。

売上の目安や計算方法については以下の記事でより詳しく紹介しています。

売上アップへの考え方

先に説明したように売上は「客数(来店数)」「客単価」「購買頻度」の3つの要素で成り立っているため、最大化するためにはどれか一つではなく、複数の要素の改善に取り組むのが効果的であるといえます。

売上を改善するためには、自店舗における3要素について客観的に把握する必要があります。数値で可視化し、分析することで現状を具体的に理解できます。

自店舗の強み、弱み、課題を抽出するためには、イメージでとらえず、明確な根拠を見つけることが大切です。上記の分析を踏まえ、他社の真似をするのではなく、あくまで「参考」としながら独自の施策を考えていく姿勢が求められます。

売上アップのアイデア

上記で紹介した3要素を改善し、売上アップを目指すためのアイデアを紹介します。自店の状況に合わせて、できることから進めていくといいでしょう。

客数(来店数)を増やすアイデア

テイクアウトやデリバリーサービスの実施

商圏を拡大できるだけでなく、さまざまな制約から来店できない層を取り込む効果も期待できます。扱うメニューや商品によっては、別途許可が必要な場合があるため、事前に保健所に確認することをおすすめします。

ランチやカフェ時間など営業時間の拡大

ディナータイムがメインの店では、昼間の営業時間を増やすことは来店数を増やすのに効果的です。営業時間を拡大する場合には人員や食材の面で負担が増えるため、慎重に検討する必要があります。

他業態への路線変更

現在の業態で伸び悩んでいるのであれば、違う路線に変更することで来店数を増やす効果が期待できます。たとえば、本格派のレストランが、カジュアルやファスト、中食系路線へ変更することで、従来とは異なるターゲット層への訴求も可能になります。

イベントやキャンペーンの開催

これまで接点のなかった消費者へにお店の魅力を伝えるきっかけになり、新規の顧客獲得が期待できます。店の強みを活かした内容を企画するといいでしょう。

オンライン予約の実施

電話予約は繁忙時や時間外の受付が難しいため、本来取れるはずの予約を取りこぼす可能性があります。オンライン予約は、24時間365日稼働しているため、そうした取りこぼしを防げます。また、スタッフの電話予約受付にかかる負担も軽減できます。

SNSの活用

FacebookやInstagram、LINEなどを活用し、店のコンセプトやこだわりをアピールし前面に押し出し、ブランディングの強化を図ることも有効です。口コミ効果も高まり、インターネット経由での利用が増えることも期待できます。

目玉商品やコンセプトのアピール

「選ばれる店」になるためには、「肉料理ならこの店」「特別な日に行くならばこの店」など、目玉商品や明確なコンセプトの存在が必要です。顧客に強く自店のアピールポイントを訴求し、他店と差別化を図ることで、お店の魅力を際立たせることができます。

客単価を上げるアイデア

高単価メニュー、セットメニューの提供

高級食材、季節の特選素材、特別コースの追加など、より単価の高い選択肢を顧客に提供することは、客単価を上げる有効策です。セットメニューの提供も、お得感を与えつつ単価を引き上げられます。

相性のいい組み合わせの提案

生ガキと冷えた白ワインのように、相性のいい組み合わせの提案は顧客を喜ばせます。食事メニューとワインやカクテルのペアリングは、顧客満足度と客単価の両方を引き上げる効果が期待できます。

「ワンモア」メニューの提案

追加注文の提案ができるように、季節の一品料理、サラダ、ドリンク、デザートなど「ワンモア」を考えることも必要です。接客時のコミュニケーションにさり気ない情報提供を加え、気持ちよく追加オーダーをもらえるよう努めましょう。

購買頻度を増やすアイデア

リピート特典の提供

特別な割引やポイントプログラムを導入し、リピートのきっかけを作ります。特典や割引を提供することで、お得感を与え、顧客の購買頻度を高められます。例えば、次回来店時に使えるドリンク無料券や割引クーポンの配布、一定のポイント数に達すると500円引きになるといった手法があります。

限定メニューやイベントを活用した飽きさせない工夫

リピートを促進するためには、飽きさせない工夫が必要です。季節ごとに限定メニューを提供し、新鮮な体験となるよう工夫します。期間限定メニューやイベントを宣伝し、訪れる期待感を高めることが重要です。

リピートを促す情報発信

SNSやニュースレター、メールマーケティングを活用し、定期的に最新のメニューやイベント情報、特別なオファーや割引情報を顧客に発信するのも効果があります。特に誕生日や記念日などの特別な日に、個別メッセージや特典を送ることで、顧客の店への愛着を深められます。

売上アップのアイデアを効果的に実施するポイント

飲食店の売上アップのアイデアが、効果的に機能するためのポイントを説明します。

現状分析の重要性を理解する

売上アップを図るため、効果的な施策(アイデア)を実行する前にまず現状把握が大切です。例えば、来店数を増やしても接客が追いつかないと、顧客満足度が低下し、逆効果となりかねません。
また、ターゲット層によっては、立地の悪さがマイナス要因ではなく「隠れ家的」なプラス要因となることもあります。店の置かれている状況をよく確認し、施策のミスリードをしないよう注意しましょう。

安易な割引は短期的には売上アップにつながることもありますが、最終的に経営を圧迫するため、十分に考える必要があります。客層やニーズを把握分析することで、価格に関系なく集客が可能となるケースもあるからです。

徹底した現状分析から課題を抽出することで、改善策とともにステップアップできる施策を打ち出せる可能性を高められます。例えば、売上データを分析し、売上のトレンドやピーク、ダウンの要因を特定できれば、具体的な施策へとつなげられます。顧客レビューの分析からは、顧客のニーズや不満を把握でき、改善の方向性を見つけることが可能です。

各施策についての効果測定を実施する

売上アップさせるためには、客数、客単価、購買頻度の3要素について具体的な指標を定め、売上アップの施策の効果測定が重要です。各指標に目標値を定め、達成状況を定期的に確認します。好ましい結果が出ていない指標については、改善策を考え、重点的に強化していきましょう。

売上アップを目指す際に見るべき指標には、以下のようなものがあります。

  • 総売上高:一定期間の総売上の合計金額です。
  • 平均客単価:期間内の総売上高を、来店した客数で割った値です。
  • 平均客数:期間内に来店した客数の平均値です。日次、週次、月次など、特定の期間で客数を集計します。
  • リピート率:総来店数に対する再来店数の割合です。ポイントカードなどを配布すると、リピーター数を把握しやすくなります。ある顧客が特定の期間に何回来店したかを示す、購買頻度を知るのに役立ちます。
  • メニューの売上比率:メニューごとの売上の割合を示す指標です。人気メニューとマイナーメニューの比率を把握することで、売上を最適化するための情報が得られます。期間限定メニューの売れ行きや、効果がわかります。
  • 席利用率:店舗の席の利用状況を示す指標です。席利用率が高ければ、店舗のキャパシティを最大限に活用できていることを示します。

売上アップの施策を効果的に行うためには客観的な現状分析と効果測定が重要

売上アップのアイデアは多種多様ですが、自店の現状把握ができていないと、どのような策も効果が出にくくなるおそれがあります。まずは客観的な視点から自店の状況を見極めたうえで、売上アップの施策を実施し、効果の検証と改善を重ねていくことが重要です。

店舗流通ネットでは、売上アップの支援をはじめ、出店から店舗運営まで飲食店経営をトータルにサポートしています。豊富な知見をもとに飲食店の売上アップのアドバイスを行っています。