飲食店閉店時の不用品・ゴミ処分方法|費用を抑える手順と注意点について解説!
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飲食店の店舗閉店に伴い、多くの経営者が直面するのが厨房機器や什器といった不用品の処分です。解約手続きや挨拶回りなど、やるべきことが山積している中で、大量の不用品をどう処分するかは大きな課題となります。
この記事では、飲食店を閉店する際に知っておくべき不用品の処分方法と、処分前に確認すべきことについて詳しく解説します。スムーズな閉店作業のため、ぜひ参考にしてください。

目次
飲食店閉店時に出る不用品・ゴミの正しい分類
飲食店が閉店する際に出る不用品やゴミは、家庭から出る一般ゴミとは扱いが異なります。事業活動に伴って発生する廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、事業者の責任において適正に処理することが義務付けられています。
これらは主に「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に大別され、それぞれ処分方法が異なるため、正しく分類して手続きを進めなければなりません。不適切な処分は罰則の対象となるので、正しい知識を基に適切に対応しましょう。
事業系一般廃棄物:テーブルや食器など
事業系一般廃棄物とは、事業活動によって生じた廃棄物のうち、産業廃棄物以外のものを指します。飲食店の場合、テーブルや椅子、ソファといった什器類、皿やグラスなどの食器、調理器具、使い残した食材や生ゴミ、メニュー表やチラシといった紙くずなどが該当します。これらの廃棄は、家庭ゴミとして出すことはできず、自治体のルールに従って処分する必要があります。
多くの自治体では、許可を持つ一般廃棄物収集運搬業者へ収集を依頼するか、自ら清掃工場などの処理施設へ持ち込む方法が定められています。食器などを廃棄する際は、割れないように梱包するなどの配慮も求められます。
産業廃棄物:厨房機器や廃油など
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物処理法で定められた20品目の廃棄物を指します。飲食店から排出されるものとしては、業務用冷蔵庫やコンロ、シンクといった金属製の厨房機器、調理時に使用した廃油、グリストラップに溜まった汚泥、廃プラスチック類、ガラスくずなどがこれにあたります。
これらの産業廃棄物の処理は、都道府県知事などから許可を得た産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません。許可のない業者に処理を依頼したり、不法投棄したりした場合は、排出者である店舗側も厳しい罰則の対象となるため、信頼できる業者を慎重に選定しましょう。
飲食店の不用品・ゴミを処分する4つの主な方法
飲食店の閉店時に出る大量の不用品やゴミを処分するには、いくつかの方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、店舗の状況や不用品の種類、かけられる時間や費用に応じて最適な選択をすることが大切です。
代表的な方法として、不用品回収業者への依頼、自治体の粗大ゴミ回収の利用、専門業者による買取、そして居抜きでの売却が挙げられます。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて利用することで、効率的かつ費用を抑えた処分が可能になります。
1.不用品回収業者
不用品回収業者は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物の両方について、適切な許可を持つ業者であれば回収を依頼できます。
これにより、分別や搬出にかかる手間を軽減できる点が大きな利点です。
ただし、事業系一般廃棄物と産業廃棄物では、それぞれ異なる法律上の扱いがされており、回収には個別の許可が必要となります。多くの不用品回収業者は、どちらか一方、あるいは両方の許可を保有している場合がありますが、実際に回収を行う際は、それぞれの区分に従って収集・運搬が行われます。そのため、一括回収を謳っている業者であっても、具体的な処理方法は確認することが重要です。
また、電話やWEBで見積もりが可能な上、閉店スケジュールに合わせて迅速に対応してくれます。特に大型の厨房機器や重量のある什器の搬出も任せられるため、人手がない場合や時間的な余裕がない場合に有効な選択肢となります。
費用は物量や作業内容によって変動しますが、例えば東京のような都市部でも多くの業者が対応しており、相見積もりを取ることでコストを比較検討できます。
時間と労力を節約できる点で、多忙な経営者にとって利便性の高い方法です。
2.粗大ゴミ回収
自治体によっては、事業活動で出たゴミであっても粗大ゴミとして回収を受け付けている場合があり、不用品回収業者に依頼するよりも費用を安く抑えられる可能性があるのがメリットです。
しかし、多くの自治体では事業系の粗大ゴミの戸別収集を行っておらず、指定の処理施設へ自己搬入する必要があるケースも少なくありません。また回収できる品目やサイズ、点数に制限が設けられていることがほとんどで、産業廃棄物に分類される厨房機器などは対象外となります。
この方法だけで全ての不用品を処分することは困難なため、事前に自治体のルールを詳細に確認し、他の処分方法との併用を検討する必要があります。
3.専門の買取業者
製造年が新しい厨房機器や有名メーカーの什器、状態の良い食器などは、専門の買取業者に売却できる可能性があり、処分費用を支払う代わりに売却によって現金化できるのが大きなメリットです。業務用冷蔵庫や製氷機、フライヤーなどは中古市場でも需要が高く、予想以上の価格で買い取られることもあります。複数の業者に査定を依頼し、最も条件の良い業者を選びましょう。
なお、買取対象は再販可能なものに限られることが多いですが、製造年が古い厨房機器や故障しているものでも、買取対象となる場合があります。特に人気メーカーや状態が良いものは、古いものでも買い取ってもらえる可能性があり、故障品も部品の再利用などを目的として買い取る専門業者も存在します。
買取不可となった品物は別途処分する必要があるため、不用品回収も同時に行う業者に依頼すると手続きが一度で済みます。
4.居抜き売却
居抜き売却とは、店舗の内装や設備、厨房機器などをそのままの状態で次のテナントに売却する方法です。この方法が成立すれば、不用品の処分が一切不要になり、処分費用や原状回復工事のコストを大幅に削減できます。さらに、造作譲渡料として売却益を得られる可能性も期待できます。
ただし、買い手が見つからなければ成立せず、物件の貸主の承諾も必要になってきます。また、立地条件や設備の状態で価値が大きく変動するため、全ての店舗で可能な方法ではありません。
居抜き物件を専門に扱う不動産業者やマッチングサイトに相談し、売却の可能性を探ることから始めましょう。
不用品処分前に確認すべき3つのこと
飲食店の不用品処分を円滑に進めるためには、業者に連絡する前の事前確認が非常に重要です。所有権の所在や契約内容、原状回復の範囲などをあらかじめ明確にしておくことで、後々のトラブルを未然に防ぎ、想定外の費用発生を回避できます。
ここでは、処分前に必ずチェックしておくべき3つの重要なポイントを解説します。
1.リース契約の厨房機器や備品が残っていないか
店舗で使用している機器の中には、購入したものではなくリース契約品である場合があります。
特に、製氷機やビールサーバー、POSレジ、コピー機などはリースで導入されることが多い機器です。リース品は自社の所有物ではないため、勝手に処分したり売却したりすることはできません。誤って処分すると契約違反となり、高額な違約金を請求される可能性があります。
閉店を決めたら、まず厨房機器や備品の一覧を作成し、それぞれの所有権の所在を確認します。リース契約品が見つかった場合は、速やかにリース会社に連絡を取り、契約内容に従って返却や契約解除の手続きを進めましょう。
2.原状回復工事の範囲
賃貸物件で飲食店を営業していた場合、退去時には原状回復義務が生じます。これは、物件を借りたときの状態に戻して返却する義務のことで、どの状態まで戻す必要があるのか、その範囲は賃貸借契約書に定められています。
内装をすべて解体して建物の構造躯体のみの状態にする「スケルトン返し」が求められるのか、あるいは軽微な修繕で済むのかによって、処分すべき不用品の量や解体費用は大きく変わります。
契約書の内容を改めて確認するとともに、物件の貸主や管理会社と事前に協議し、原状回復の具体的な範囲について双方で認識を合わせておくことが、退去時のトラブルを避ける上で不可欠です。
3.処分したいものが回収や買取の対象になるか
業者によって回収できる品目や買取の基準は異なります。不用品回収や買取を依頼する前に、処分したい品物が業者のサービス対象であるかを確認しておきましょう。
例えば、製造から年数が経過しすぎた厨房機器や、故障・破損が激しい什器は買取を断られることが一般的です。また、フロンガスが使用されている古い冷蔵庫やエアコンは、専門の資格を持つ業者でなければ適切にリサイクル処理ができません。
事前に処分したいもののリストを作成し、メーカーや型番、状態などを業者に伝えることで、スムーズに見積もりや作業を進めることができます。
【業態別】処分が必要になる不用品・ゴミの具体例
飲食店の閉店時に処分する不用品は、店の業態によってその種類や量が大きく異なります。
厨房で使用する専門的な機器から、客席を構成するテーブルや椅子、店舗の雰囲気を演出する装飾品まで、その範囲は多岐にわたります。自店の業態ではどのようなものが処分対象になるのかを事前に把握しておくことで、片付け作業の見通しを立てやすくなります。
ここでは、代表的な業態別に処分が必要になることが多い不用品やゴミの具体例を一覧で紹介します。
例1:カフェ・喫茶店
カフェや喫茶店の閉店では、コーヒーやドリンク類を提供するための専門機器が主な処分対象となります。具体的には、エスプレッソマシン、コーヒーグラインダー、ドリップマシン、業務用冷蔵庫、製氷機、ケーキなどを陳列する冷蔵ショーケースなどが挙げられます。
厨房機器以外では、客席のテーブルや椅子、ソファ、カウンター、照明器具、BGM用の音響設備なども処分が必要です。また、大量のコーヒーカップやソーサー、グラス、カトラリーといった食器類や、店内の雰囲気を演出していた装飾品、観葉植物なども忘れずに処分しなけなければなりません。
例2:ラーメン屋・うどん屋・そば屋
ラーメン屋やうどん屋、そば屋といった麺類を提供する店舗では、麺を茹でるための大型の茹で麺機や、スープを大量に仕込むための寸胴鍋が特徴的な処分品です。自家製麺を提供していた場合は、製麺機も処分対象となります。
その他、業務用コンロ、チャーシューやメンマを保管する冷蔵庫、冷凍ストッカー、食器洗浄機などが厨房の主な不用品です。客席では、カウンターやテーブル、椅子、調味料入れ、箸立て、レンゲなどが挙げられます。
特に、豚骨や鶏ガラなどスープの出汁を取った後のガラや、使い終わった廃油は産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
例3:焼肉専門店
焼肉専門店の閉店処分で最も特徴的なのは、各テーブルに設置された無煙ロースターと、それに付随する排煙ダクトです。これらの設備は専門的な知識がなければ撤去が難しく、原状回復工事の一環として解体業者に依頼することが一般的です。
厨房内では、肉をカットするミートスライサー、大量の肉を保管するための大型冷凍庫や冷蔵庫、食器洗浄機、サイドメニュー用のコンロなどが処分対象となります。客席のテーブルや椅子、七輪、トング、肉用の皿なども大量に発生します。
排煙設備の撤去は建物の構造に関わる場合があるため、事前に貸主や管理会社と十分に協議しておきましょう。
例4:レストラン・食堂
レストランや食堂は、提供する料理のジャンルが幅広いため、厨房機器の種類も多岐にわたります。
ガスコンロやオーブン、フライヤー、グリル、サラマンダーといった加熱調理機器から、作業台となるコールドテーブル、シンク、食器洗浄機まで、あらゆる厨房設備が処分対象となります。
客席では、テーブルや椅子はもちろん、お子様用の椅子、レジカウンター、食器棚、配膳用のワゴンなども含まれますし、洋食、和食、中華など、業態に応じた大量の食器やグラス、カトラリー類も処分が必要です。店舗のコンセプトに合わせて設置した看板や装飾品も、原状回復の範囲に応じて撤去します。
例5:寿司店
寿司店の閉店において特徴的な処分品は、カウンターに設置されるネタケース(冷蔵ショーケース)です。また、シャリを保温するためのシャリジャーや寿司桶、大量の魚を保管する大型の業務用冷蔵庫、製氷機なども処分対象となります。
職人が立つ「つけ場」やお客様が座るカウンターは、店舗の造作として解体・撤去が必要になるケースが多く、客席の椅子やテーブル、湯呑みや醤油皿、ガリ入れといった陶器類も処分が必要です。
高級な一枚板を使用したカウンターや、有名作家が手掛けた器などは骨董的な価値があるかもしれませんので、買取専門業者に査定を依頼してみるのも一つの方法です。
不用品処分にかかる費用を安く抑えるコツ
飲食店の閉店には、不用品の処分費用や原状回復工事費など、さまざまなコストが発生します。特に処分費用は、物量や依頼する業者によって大きく変動するため、少しでも負担を軽減したいと考えるのが自然です。
ここでは、不用品処分コストを削減するための具体的な方法を3つ紹介します。
1.複数の業者から相見積もりを取る
不用品回収や買取を業者に依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取得することが、費用を抑えるための基本です。
同じ品物を回収・買取する場合でも、業者によって料金設定や査定基準が異なるため、提示される金額には大きな差が出ることが少なくありません。最低でも3社程度に連絡し、現地調査の上で見積もりを出してもらいましょう。
その際、料金の総額だけでなく、作業内容の内訳や追加料金が発生する条件などを詳細に比較検討します。
料金の安さだけで判断せず、対応の丁寧さや許可の有無なども含めて、総合的に信頼できる業者を選ぶことを心がけましょう。
2.自分で処理できるものは分別してゴミに出す
業者に依頼する不用品の量を減らせば、その分だけ処分費用は安くなります。
そのため、時間と人手に余裕があれば、自分で処理できるものは可能な限り片付けておきましょう。
例えば、段ボールや雑誌などの古紙、空き缶やペットボトルといった資源ゴミは、分別してリサイクルに出します。
また、自治体のルールで事業系ゴミとして捨てられるものがあれば、規定に従って処分します。
こうした地道な作業が、結果的に業者に支払う費用を削減することにつながります。
3.買取可能なものは売却して処分費用と相殺する
まだ十分に使える厨房機器や状態の良い什器は、廃棄処分するのではなく、積極的に売却を検討しましょう。業務用厨房機器の専門買取業者に査定を依頼すれば、思わぬ高値で買い取ってもらえる場合があります。
特に、製氷機や業務用冷蔵庫、フライヤーなどで、製造年が新しく人気メーカーの製品は高価買取が期待できます。
このように、売却によって得た代金を買取対象外となった不用品の処分費用に充てることで、全体のコストを相殺し、実質的な負担を軽減できます。
不用品回収と買取を両方行っている業者に依頼すれば、手続きが一度で済むため効率的です。
悪質な不用品回収業者の見分け方
閉店作業で多忙とはいえ、不用品回収業者選びは慎重に行う必要があります。業者の中には法外な料金を請求したり、回収したものを不法投棄したりする悪質な業者が存在するためです。
こうしたトラブルに巻き込まれると、金銭的な損害だけでなく、排出事業者としての責任を問われることにもなりかねません。
ここでは、悪質な業者を見分ける具体的な方法を解説します。
1.「無料回収」を強調する業者に注意する
どんなものでも無料回収といった宣伝文句を過度に強調する業者には、注意が必要です。トラックで街を巡回したり、ポストにチラシを投函したりする業者がこれに該当することがあります。
事業系の廃棄物を処分するには、運搬費や人件費、適正な処理費用がかかるため、全ての品目を完全に無料で回収することは事業として成り立ちません。無料なのは一部だけと後から言われたり、積み込み手数料や出張費といった名目で、作業終了後に高額な料金を請求されたりするトラブルが多発しています。
料金体系が不明瞭な業者は避け、必ず事前に書面で見積もりを取りましょう。
2.事業に必要な許可を取得しているか確認する
事業活動で出た廃棄物を収集運搬するには、法律で定められた許可が必要です。
飲食店から出るテーブルや生ゴミなどの一般廃棄物を扱うには、市町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が、厨房機器や廃油などの産業廃棄物を扱うには、都道府県の「産業廃棄物収集運搬業許可」がそれぞれ必須となっています。
業者を選定する際には、これらの許可をきちんと取得しているか必ず確認してください。業者のウェブサイトで許可番号を確認したり、見積もり時に許可証のコピーの提示を求めたりするのが確実な方法と言えるでしょう。
無許可営業の業者に依頼すると、不法投棄につながるリスクがあり、その場合は依頼した側も責任を問われてしまいます。
まとめ
飲食店の閉店は、精神的にも経済的にも大きな負担を伴いますが、計画的な準備と適切な処分を行うことでスムーズに進められます。
廃棄物の分類と処分方法を正確に理解し、原状回復工事と契約解消を事前に行いましょう。買取やリサイクル、業者活用により費用を最適化できれば、トラブルのない店舗閉鎖を実現できます。
閉店作業を「終わり」ではなく「次のステップへの準備」と捉え、前向きに進めることで、新たなスタートを切るきっかけにもなるでしょう。


