店舗移転の手続き・費用とは?メリット・デメリットまで徹底解説

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店舗の移転は、業績改善やリブランディングといった経営戦略を目的として実施されます。現在の店舗を閉店し、新店舗を開店する際には、様々な手続きと費用が発生するため、早期に詳細な計画を立てることが重要です。

本記事では、店舗移転を検討すべきタイミングから、具体的なメリット・デメリット、移転をスムーズに進めるための手順、必要な費用や手続きについて詳しく解説します。

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目次

店舗の移転を検討すべき3つのタイミング

店舗の移転は、事業の転換点となる重要な経営判断一つです。現在の経営状況や将来の展望を踏まえ、適切なタイミングを見極める必要があります。

移転を検討する具体的な理由としては、集客力の向上、経営コストの削減、事業規模の変化への対応などが挙げられます。これらの課題や目標が明確になったときが、移転を具体的に考え始める好機と言えます。

より良い立地で集客力を高めたい場合

現在の店舗周辺の環境が変化し、ターゲットとする顧客層が減少したり、競合店が増えたりした場合、より集客が見込める立地への移転は有効な選択肢です。例えば、駅からのアクセスが良く人通りの多い場所や、ターゲット層が多く住むエリア、商業施設が近くにある場所などは、新たな顧客獲得につながる可能性があります。

現在の立地で売上が伸び悩んでいる、商圏を広げて事業を成長させたいと考えるなら、移転を検討する価値は十分にあります。

賃料などの固定費を見直し経営を改善したい場合

売上に対して賃料の負担が大きい場合、経営を圧迫する大きな要因となります。より賃料の安いエリアや物件に移転することで、毎月の固定費を削減し、利益率の改善を図ることが可能です。
特に、デリバリーやオンライン販売が好調で、必ずしも一等地にある必要性が薄い業態であれば、郊外など賃料を抑えられる場所への移転は合理的な判断と言えます。

固定費の見直しは、経営の安定化に直結するため、資金繰りに課題を感じている場合に検討すべきタイミングです。

事業規模の変化に合わせて店舗の広さを最適化したい場合

事業が成長し、例えば2店舗、3店舗と展開していた事業を統合して大型化する場合や、逆に5店舗あったものを集約して効率化を図る際には、店舗の広さを見直す必要が出てきます。従業員が増えて手狭になったり、在庫を保管するスペースが不足したりといった問題は、より広い物件に移ることで解決できます。反対に、事業を縮小する場合は、現在の広さが過剰となり無駄な賃料を払い続けることになりかねません。

事業規模の変動は、店舗の広さを最適化するための移転を考える重要なきっかけとなります。

店舗移転で得られるメリット

店舗移転は、多大な労力と費用を伴いますが、それに見合うだけのメリットが期待できます。主なメリットとしては、新規顧客の開拓による売上増加、経営コストの削減による利益率向上、そして店舗のコンセプト刷新によるリブランディングなどが挙げられます。

ここでは、以上3つのメリットについて詳しく解説していきます。

新たな顧客層の開拓による売上アップが期待できる

移転によって商圏が変化することで、これまでアプローチできなかった新しい顧客層にリーチできる可能性が高まります。例えば、オフィス街から住宅街へ移転すれば、ターゲット層が会社員からファミリー層へと変化し、新たな需要を掘り起こせます。

移転オープン時には、特別なキャンペーンやイベントを実施することで注目を集め、新規顧客の来店を促進する効果も期待できるでしょう。既存顧客の維持も重要ですが、新たな市場を開拓することは、事業の持続的な成長のために不可欠な要素です。

経営コストの削減で利益率の向上が見込める

現在の店舗よりも賃料が安い物件に移転すれば、毎月の固定費を直接的に削減できます。また、最新の省エネ設備が導入された物件を選ぶことで、光熱費の抑制も可能です。

移転には初期費用がかかりますが、国や自治体が提供する補助金制度を活用することで、負担を軽減できる場合もあります。例えば、小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化に取り組む小規模事業者を支援するもので、移転に直接関わる広告宣伝費が対象となる可能性は低いものの、補助事業に関連する商品やサービスの宣伝にかかる費用は対象となり得ます。

また、事務所の家賃は原則として補助対象外ですが、新たな販路開拓の一環として事務所を賃借する場合は対象となる可能性もあります。補助金の活用を検討する際は、最新の公募要領で詳細を確認することが重要です。長期的な視点でコスト構造を見直し、利益率を高めるための移転は有効な経営戦略と言えます。

店舗のコンセプトを一新しリブランディングを図れる

店舗移転は、これまでのブランドイメージを刷新し、リブランディングを行う絶好の機会です。新しい立地の特性や顧客層に合わせて、店舗の内装デザイン、商品ラインナップ、サービス内容などを全面的に見直すことができます。例えば、老朽化した店舗からデザイン性の高い新店舗へ移ることで、ブランドイメージを向上させ、客単価アップを狙うことも可能です。

移転を機に事業の方向性を再定義し、新たなスタートを切ることで、従業員のモチベーション向上やメディアへの露出増加といった副次的な効果も期待できるでしょう。

店舗移転で注意すべきデメリット

店舗移転は多くのメリットが期待できる一方で、無視できないデメリットも存在します。計画段階でこれらのリスクを十分に認識せず、対策を講じなかった場合、移転が失敗に終わってしまう可能性もあります。特に大きなデメリットとして、多額の費用と時間が必要になること、そして長年通ってくれた既存顧客が離れてしまうリスクが挙げられます。

これらの点を慎重に考慮した上で、移転の実行について判断を行いましょう。

多額の費用と時間的なコストの発生

店舗移転には、まとまった資金が必要です。新店舗の物件取得費(保証金、礼金など)や内装工事費、設備の購入費に加え、旧店舗の原状回復費用も発生します。また、物件探しから契約、工事、そしてオープン準備までには相当な期間を要し、その間の営業が停止すれば売上がゼロになる期間も生じます。

これらの金銭的、時間的コストは経営に大きな負担をかけるため、綿密な資金計画とスケジュール管理が必要です。予期せぬ出費や遅延も考慮し、余裕を持った計画を心がけましょう。

これまで利用してくれていた顧客が離れる可能性

移転先が現在の店舗から離れている場合、これまで頻繁に利用してくれていた常連客が通えなくなり、客離れが起こるリスクがあります。特に地域に密着した店舗の場合、顧客との関係性が売上の基盤となっているため、深刻な影響を受けかねません。

移転前から丁寧に告知を行い、移転後も利用してもらえるような特典を用意するなど、顧客との関係を維持するための努力が必要です。また、新しい土地で一から顧客を開拓していくには時間がかかるということにも留意しておく必要があります。

【5ステップ】店舗移転をスムーズに進めるための手順

店舗の移転は、単なる引っ越しとは異なり、事業を継続させながら計画的に進める必要があります。目的の明確化から物件探し、各種手続き、そして新店舗のオープンまで、踏むべきステップは多岐にわたります。移転プロセスをいくつかの段階に分け、一つずつ着実にクリアしていくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに移転を行うことができます。

ここでは、移転完了までの具体的な5つのステップについて解説します。

ステップ1:移転する目的を明確にし、新店舗の物件を探す

最初に重要なのが、「なぜ移転するのか」という目的を明確にすることです。集客力アップ、コスト削減、事業拡大など、目的によって選ぶべき立地や物件の条件は大きく異なります。目的が定まったら、それに合致するエリアを絞り込み、具体的な物件探しを開始します。

希望する広さやレイアウト、賃料などの条件をリストアップし、不動産会社や物件情報サイトを活用して情報収集をします。複数の候補がリストアップできたら、実際に現地に赴き、周辺環境や人通りなどを自分の目で確認しましょう。

ステップ2:お客様や取引先へ移転のお知らせをする

移転日が決まったら、できるだけ早い段階でお客様や取引先に移転のお知らせをすることが大切です。既存顧客の離反を防ぎ、取引先との関係を円滑に維持するため、丁寧な案内が求められます。

告知方法としては、現店舗への張り紙やチラシの設置、DMハガキの送付、メールでの一斉連絡など、複数の手段を組み合わせると効果的です。案内状には、移転先の新しい住所、地図、電話番号、営業開始日を明記します。挨拶文の例文などを参考にしながら、感謝の気持ちを伝える丁寧な文章を心がけ、移転後も変わらぬお付き合いをお願いする旨を伝えます。

ステップ3:現在の店舗の解約手続きと原状回復工事を行う

新店舗の契約と並行して、現店舗の解約手続きを進めます。賃貸借契約書を確認し、解約予告期間(通常3〜6ヶ月前)を把握した上で、貸主または管理会社へ書面で解約を通知します。

解約時には、多くの場合、店舗を借りた当初の状態に戻す「原状回復」が義務付けられています。契約書で原状回復の範囲を確認し、専門業者に見積もりを依頼して工事の準備を進めましょう。工事費用や期間は、店舗の規模や状態によって大きく異なるため、早めの手配が肝心です。また、契約内容によっては、「居抜き売却」という選択肢も活用できます。居抜き売却が可能であれば、現状回復工事が不要となり、初期投資を抑えてスピーディーに新店舗を開店することができます。

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ステップ4:新店舗の内装工事やインフラ整備を進める

新店舗の物件契約が完了したら、内装工事とインフラ整備に着手します。事業コンセプトやターゲット顧客に合わせて店舗内のデザインやレイアウトを決定し、設計会社や施工業者と打ち合わせを重ねます。工事のスケジュール管理を徹底し、オープン日に間に合うようにこまめに進捗確認をすることが肝心です。

同時に、電気、ガス、水道、インターネット回線、電話などのインフラ契約も進めなければなりません。各事業者への申し込みから開通までには時間がかかる場合があるため、内装工事の計画と連携させながら早めに手続きを開始しましょう。

ステップ5:行政への各種届出を済ませ新店舗を開店する

店舗の移転では、行政へのさまざまな届出が必要です。業種によって必要な手続きは異なりますが、例えば飲食店であれば、旧店舗を管轄する保健所への廃業届と、新店舗を管轄する保健所への営業許可申請が新たに必要になります。

その他、税務署への移転届、消防署への防火対象物使用開始届など、関連する法令に基づいた手続きを漏れなく行わなければなりません。これらの手続きをすべて済ませ、万全の体制を整えた上で新店舗の開店日を迎えます。

店舗移転に必要な手続きを一覧で解説

店舗移転に伴う行政手続きは、旧店舗の閉店に関するものと、新店舗の開店に関するものの二種類に大別されます。これらの手続きは業種や事業形態によって異なり、非常に複雑です。届出を怠ると罰則の対象となったり、営業を開始できなかったりする可能性があるので、特に注意が必要です。

ここでは、主な行政手続きを一覧で解説します。必要な手続きを正確に把握し、新店舗開店に備えましょう。

現店舗の閉店時に必要な行政手続き

現在の店舗を閉鎖する際には、管轄の行政機関に対して各種届出を行う必要があります。個人事業主の場合、まず税務署へ「個人事業の廃業届出書」を提出します。ただし、事業自体は継続するため、移転先で改めて開業届を出すことになります。

また、飲食店や深夜営業を行う店舗など、保健所や警察署から許可を得て営業していた場合は、それぞれの機関へ営業許可証を返納する手続きが必要です。従業員を雇用している場合は、労働基準監督署やハローワークで労働保険に関する手続きも忘れずに行いましょう。

新店舗の開店時に必要な行政手続き

新店舗で営業を開始するためには、移転先の所在地を管轄する行政機関で新たに手続きを行います。

まず、税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出します。法人の場合は、法務局で本店所在地の変更登記手続きが必要です。飲食店であれば保健所へ営業許可を申請し、施設の検査を受け、新たな営業許可証の交付を受けなければなりません。その他、消防法に基づく「防火対象物使用開始届」の提出や、業種によっては警察署への届出も求められます。これらの手続きは必ず開店前に済ませておきましょう。

店舗移転にかかる費用の内訳と相場

店舗移転を検討する上で、最も重要な要素の一つが費用です。移転には、旧店舗の閉鎖と新店舗の開設の両方でコストが発生するため、全体でどの程度の資金が必要になるかを正確に把握し、綿密な資金計画を立てる必要があります。

費用は物件の規模や立地、工事の内容によって大きく変動しますが、ここでは一般的な内訳と目安について解説します。事前に詳細な見積もりを取り、自己資金や融資の計画を立てておきましょう。

現店舗の閉店時に発生する費用

現在の店舗を明け渡す際には、原状回復工事費用が最も大きな割合を占めます。これは、内装や設備を撤去し、入居時の状態に戻すための工事で、物件の規模や契約内容によりますが、坪単価で3万円から10万円程度が目安です。

その他、不要になった什器や設備の廃棄物処理費用、解体費用がかかる場合もあります。賃貸借契約の解約予告期間中に賃料が発生することも考慮に入れ、どの程度の費用が見込まれるかを把握しておくことが重要です。

新店舗の開店時に発生する費用

新店舗の開店にかかる費用は、新規出店の場合とほぼ同様です。

まず、物件取得費として、保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃などが必要で、これだけで賃料の10ヶ月分以上になることも珍しくありません。次に、内外装工事費、厨房機器や什器などの設備購入費、看板製作費などがかかります。さらに、引っ越し費用、新しいスタッフの求人広告費、オープンを告知するための販促費も発生します。これらの初期投資に加えて、開店後しばらくの運転資金も別途確保しておくことが求められます。

店舗移転を成功させる3つのコツ

店舗移転は、単に場所を移すだけでなく、事業をさらに飛躍させるための戦略的な一手です。成功させるためには、事前の準備と情報収集が重要な鍵となります。移転を失敗させないためには、なぜ移転するのかという目的意識を常に持ち、計画段階で押さえるべきポイントを確実に実行することが大切です。

ここでは、移転を成功に導くための3つのコツを紹介します。

移転先エリアの市場調査を徹底的に行う

移転の成否は、立地選定で大半が決まると言っても過言ではありません。候補となるエリアの市場調査を徹底的に行い、自店のコンセプトやターゲット層と合致するかを慎重に見極める必要があります。具体的には、周辺の人口構成、年齢層、所得水準などのデータ分析が重要です。

また、実際に現地へ足を運び、平日と休日、昼と夜での人流の変化を確認したり、競合店の客層や繁盛具合を調査したりすることも不可欠です。客観的なデータと現地での肌感覚の両方から、最適な立地を導き出しましょう。

複数の不動産会社や物件サイトを活用して情報収集する

理想的な物件を見つけるためには、情報収集のチャネルを複数持つことが重要です。特定の不動産会社だけに依存するのではなく、複数の会社に相談することで、幅広い情報を得られます。

また、インターネットの物件情報サイトも併用し、常に最新の情報をチェックする習慣をつけることも大切です。多くの情報を比較検討することで、相場観が養われ、より良い条件の物件を見つけられる可能性が高まります。気になる物件があれば、すぐに内見を申し込む行動力も求められます。

旧店舗を居抜きで売却して初期費用を抑える

先述しましたが、店舗移転にかかる費用を少しでも抑える有効な方法として、現在の店舗を「居抜き」で売却することが挙げられます。内装や厨房設備、什器などをそのままの状態で次の借主に引き継ぐことができるため、本来であれば多額の費用がかかる原状回復工事が不要になる、あるいは大幅に減額される可能性があります。

さらに、設備や内装に対する造作譲渡料として、売却益を得られる場合もあります。この売却益を新店舗の開業資金に充当すれば、初期費用の負担を大きく軽減させることができます。

まとめ

店舗移転は、集客力の向上やコスト削減、リブランディングといった多くの可能性を秘める一方、多額の費用と労力、そして既存顧客を失うリスクを伴う経営判断です。移転を成功させるには、まず移転の目的を明確に定め、徹底した市場調査に基づいて最適な立地を選定しましょう。その上で、旧店舗の解約から新店舗の開店準備、複雑な行政手続きまで、詳細なスケジュールと資金計画を立てて着実に実行していく必要があります。

メリットとデメリットを総合的に比較検討し、周到な準備を行うことが、移転を事業成長のチャンスとするための鍵となります。

当社「店舗流通ネット」では、飲食店舗の閉店から退店、さらには初期投資を抑えたスピーディーな出店までトータルサポートいたします。店舗移転を検討されているオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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店舗流通ネットグループ

著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。