【飲食店】デリバリーの始め方とは?必要な許可・手数料と導入手順を解説 | コラム | TRN飲食店経営サービスサイト

【飲食店】デリバリーの始め方とは?必要な許可・手数料と導入手順を解説

この記事でわかること💡
✅デリバリー開始前に確認すべき許可や法的手続き
✅「自社配達」と「配達代行」の特徴と自店に合った選び方
✅手数料を織り込んで利益を確保するための価格設定方法
✅品質を保つメニュー開発と円滑な店舗オペレーションの構築

飲食店では、天候による来店数の変動を補い、アイドルタイムの売上を確保するために、デリバリー導入を検討するケースが増えています。

しかし、実際に導入を検討すると、「現在の飲食店営業許可で始められるのか」「プラットフォーム手数料を支払って利益を確保できるのか」「配達代行と自社配達のどちらが適切か」といった疑問や懸念が生じることも少なくありません。

デリバリーは初期投資を抑えて始めやすい一方で、手数料構造や容器代、オペレーションへの負荷を十分に考慮せずに導入すると、「注文は入るものの、利益が残らない」「店内オペレーションが混乱し、既存顧客の満足度を低下させてしまう」といった状況に陥る可能性があります。

本記事では、飲食店がデリバリーを始める際に理解しておくべき「法的手続き・許可要件」「配達方式の選び方と手数料の仕組み」「利益を確保するメニュー・価格設定」「衛生管理と現場オペレーション」について、分かりやすく解説します。
自店の立地や客層、厨房環境に合わせたデリバリー導入の判断材料として、ぜひご活用ください。

飲食店がデリバリーを導入するメリットと現状の市場背景

デリバリーの導入を検討するにあたり、まずは市場の動向と自店にとっての意義を整理しておくことが大切です。

デリバリー需要の定着と新たな客層の開拓

感染症拡大期に急速に普及したフードデリバリーは、一時的な需要にとどまらず、飲食サービスの一つとして定着しています。

サカーナ・ジャパン株式会社が提供する外食・中食市場情報サービス「CREST」によると、2025年のデリバリー市場規模は8,240億円となる見込みです。
2024年には一度減少したものの、2025年は前年比2.0%増に転じ、コロナ禍前の2019年と比べて97.0%増の水準となっています。
出典:Circana, サカーナ・ジャパン調べ

デリバリーを導入するメリットの一つは、店舗の席数に左右されず、売上機会を広げられる点です。
来店客数が減少しやすい日や時間帯でも注文を受けられる可能性があり、店内飲食を補完する販売経路として活用できます。

また、商圏内のオフィスワーカーやファミリー層、高齢者世帯など、これまで店舗と接点のなかった顧客に料理を届けられることも利点です。
新たな客層へ店舗を知ってもらうきっかけとなり、認知度の向上にもつながるでしょう。

「売上増」だけでなく「利益の確保」を意識した設計が不可欠

一方で、デリバリーは「注文が入ればそのまま利益になる」わけではありません。
後述するプラットフォーム手数料や使い捨て容器のコスト、店内調理と並行してこなすオペレーション負荷など、店内飲食とは異なるコスト・管理工数が発生します。

導入にあたっては、売上高の拡大だけを目指すのではなく、「しっかり店舗に利益が残るか」「既存のイートイン営業に悪影響を与えないか」を慎重に見極める視点が欠かせません。

デリバリー開始に必要な許可・届出と法的注意点

飲食店がデリバリーを始める際、まず確認しなければならないのが保健所の許認可や関係法令です。
知らずに違法営業となってしまわないよう、自店のメニューや提供形態がどの枠組みに該当するかを正しく把握しましょう。

原則として「飲食店営業許可」があれば開始可能

現在すでに店舗で営業を行っており、有効な「飲食店営業許可(食品衛生法に基づく許可)」を取得している場合、店舗で調理した料理をそのまま注文客へ配達・提供する形態であれば、原則として新たな追加許可を取得する必要はありません。

ただし、食品衛生法が2021年6月に完全施行された改正内容により、すべての食品等事業者に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」の実施が義務付けられています。
デリバリーを開始する際は、店内飲食用の衛生管理計画書に加えて、調理後の保管温度や配達までの時間管理などを盛り込んだ計画の更新・記録の徹底が求められます。

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追加の許可が必要となる可能性のある主なケース

調理方法や製造工程、包装・保存方法、販売範囲によっては、飲食店営業許可とは別の営業許可が必要になる場合があります。
判断は個別の営業形態によって異なるため、以下を一般的な例として確認し、実際に提供するメニューについては管轄の保健所へ事前に相談してください。

■食肉製品・ハム・ソーセージ等の製造
◦必要な許可・届出: 食肉製品製造業許可
◦主な該当例: 自家製の生ハムやベーコン、ソーセージを単体で加工・パッキングして販売する場合

■パンや菓子類の単体販売
◦必要な許可・届出: 菓子製造業許可
◦主な該当例: 料理のセットではなく、パンやケーキ、焼き菓子等をテイクアウト・デリバリー専用に個包装して販売する場合

■アイスクリーム・ジェラートの製造
◦必要な許可・届出: アイスクリーム類製造業許可
◦主な該当例: 店舗で自家製アイスクリームをカップ等に詰めて個別に配達・販売する場合

■あらかじめパック詰めした惣菜の販売
◦必要な許可・届出: そうざい製造業許可
◦主な該当例: 注文を受けてから調理するのではなく、別の場所や時間帯にまとめてパッキングした惣菜を配送・販売する場合

■未開封の酒類(ボトル・缶等)の配達
◦必要な許可・届出: 通信販売酒類小売業免許 または 一般酒類小売業免許
◦主な該当例: 料理とセットであっても、開栓していない市販の瓶ビールやワインを配達・販売する場合(所轄の税務署へ要確認)

酒類の取り扱いには特に注意が必要です。
未開封の瓶や缶などを継続的に販売・配達する場合は、原則として酒類販売業免許が必要となります。
また、店舗で酒類を別の容器へ小分けして販売する場合は、詰め替えに関する手続きが必要となる可能性があります。
販売地域や受注方法によって必要な免許が異なるため、事前に所轄税務署へ確認してください。

また、加工品の範囲や設備要件は自治体(所轄保健所)の条例や運用判断によって微妙に異なるケースがあります。
トラブルを未然に防ぐためにも、メニューを確定する前に、現在の飲食店営業許可で提供できるかを管轄の保健所へ相談し、必要な許可や施設要件を確認しましょう。

「自社配達」と「配達代行(プラットフォーム)」の比較と選び方

デリバリーの配達手段には、大きく分けて「自社のスタッフや車両で配達する方式」と、「Uber Eatsや出前館などの配達代行プラットフォームを活用する方式」の2種類が存在します。

両者のメリット・デメリットを整理し、自店の状況に合った方式を検討しましょう。

自社配達の特徴:コスト抑制とブランド体験の維持

自社配達は、注文の受付から料理の調理、顧客宅への配送までをすべて店舗スタッフが担う形態です。

■メリット
配達代行を利用する場合に発生するプラットフォーム手数料を抑えられるため、注文1件あたりの利益を確保しやすくなります。
また、配達スタッフの接客態度やユニフォーム、お届け時の挨拶などを通じて、自店の世界観やブランドイメージを直接顧客に届けられる点も強みです。

■デメリット・注意点
配達用バイクや電動アシスト自転車の購入・リース費用、ガソリン代、配達員専用の任意保険(事業用任意保険)への加入費用など、初期費用・固定費がかかります。
さらに、雨天時や注文集中時に配達スタッフが不足すると、調理や店内接客にしわ寄せが及び、店舗全体のオペレーションが破綻するリスクを抱えます。

配達距離が店舗周辺の狭いエリア(徒歩や自転車で数分圏内)に限られる場合や、もともと出前需要の高い地域密着型店舗を除き、初めてデリバリーを導入する飲食店にとって自社配達のハードルはやや高めといえます。

配達代行(プラットフォーム)の特徴:初期負担を抑えて集客につなげやすい

配達代行プラットフォームを活用する方式は、注文受付用のタブレット端末を設置し、注文が入ったら調理して配達クルー(ギグワーカー等)に料理を渡す形態です。

■メリット
自社で車両や配達スタッフを雇用・維持する必要がなく、固定費を抱えずにスタートできます。
また、Uber Eatsや出前館などのアプリを通じて、新たな顧客に店舗を知ってもらう機会を得られる点もメリットです。

■デメリット・注意点
売上に応じたプラットフォーム手数料が発生します。
手数料率や内訳はサービスや契約プランによって異なるため、加盟前に最新の条件を確認する必要があります。
また、自店に顧客情報(氏名や連絡先)が直接蓄積されにくく、リピーター育成のための直接的なアプローチに制限がある点にも留意が必要です。

方式別の比較まとめ

①初期費用
◦自社配達: 高い(車両購入、保険、資材)
◦配達代行プラットフォーム: 比較的低い(端末・通信環境・容器・販促素材などの準備費用が発生する場合あり)

②固定費
◦自社配達: 車両維持費、保険料、固定人件費
◦配達代行プラットフォーム: ほぼ不要(月額基本料無料のサービスが多い)

③サービス利用に伴う手数料
◦自社配達: 注文受付や決済サービスを利用する場合、その契約内容に応じた手数料が発生
◦配達代行プラットフォーム:売上に応じた手数料が発生(料率や内訳はサービス・契約プランによって異なる)

④集客力
◦自社配達: 自社チラシ配布やSNS運用が必要
◦配達代行プラットフォーム: アプリ内の既存ユーザーへ直接訴求可能

⑤配達可能エリア
◦自社配達: 人員や車両、配達時間を踏まえて自店で設定
◦配達代行プラットフォーム: サービスや地域ごとに定められた配達範囲に準じる

⑥適している店舗
◦自社配達: 近隣固定客が多い老舗店、専属スタッフを確保できる店舗
◦配達代行プラットフォーム: 初めてデリバリーを始める店舗、固定費を抑えてスモールスタートしたい店舗

初期リスクを抑えてスタートし、まずはデリバリーの需要やオペレーションの感覚を掴みたい場合は、配達代行プラットフォームの利用から始めるのが現実的です。
軌道に乗り、近隣のリピーターから直接注文を受けられるようになった段階で、自社配達への切り替えや併用を検討するステップが堅実な進め方といえます。

手数料の仕組みと利益を残す「価格設定・採算計算」

デリバリー導入で最も多い失敗が、「売上は伸びたが、原価と手数料を引いたら手元に利益がほとんど残らなかった」というケースです。
利益を残すための計算式と、価格設定の考え方を把握しておきましょう。

なお、国税庁によると、店内飲食には標準税率10%が適用される一方、出前や宅配など、単に飲食料品を届ける場合は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率8%の対象となります。
デリバリーの価格や採算を考える際は、店内飲食との税率の違いも把握しておきましょう。

手数料構造の把握(出前館・Uber Eats等の目安)

手数料は、プラットフォームや契約プランによって異なります。
配達代行を利用する場合、売上の一定割合がサービス手数料として差し引かれるため、加盟前に最新の契約条件を確認しましょう。
以下の例では、採算の考え方を示すため、手数料率を35%と仮定します。

例:料理の販売価格が1,500円の場合
サービス手数料は525円となり、店舗の受取額は975円になります。
※注:各プラットフォームの正確な手数料率や初期費用、振込手数料などの契約条件は、契約時期やキャンペーン、事業形態(法人・個人)によって異なります。
必ず各社の最新加盟店募集要項を確認してください。

デリバリーにおける損益構造のシミュレーション

デリバリーにおける損益構造のシミュレーション

店内飲食とデリバリーでは、発生するコストの内訳が根本的に異なります。
店内飲食では「原価率30%、人件費・固定費等を引いて営業利益10〜15%を残す」という設計が一般的ですが、デリバリーでは、食材原価や人件費などに加え、プラットフォーム手数料や容器・カトラリー代が発生します。
以下では採算の考え方を示すため、手数料率を35%、容器・資材費を販売価格の7%と仮定して試算します。

例:店内と同じ価格(1,000円)でそのままデリバリー提供した場合
・販売価格:1,000円
・食材料費(原価率30%):300円
・プラットフォーム手数料(35%):350円
・容器・資材費(7%):70円
・食材費・手数料・容器代を差し引いた残額:280円(販売価格の28%)

この280円から、さらに調理人件費や水道光熱費、その他の経費を賄う必要があります。

失敗しないための「デリバリー専用価格」の設定

このコスト構造を解決するため、多くのプラットフォームでは「店内価格とデリバリー価格を分けて設定すること」が認められています。
デリバリーの販売価格を設定する際は、以下の計算式を基本に考えます。


目標販売価格 =(食材原価+容器代+確保したい利益)÷(1-手数料率)

例えば、原価350円の料理で容器代が50円かかり、手数料控除後に600円を店舗へ残したい場合(手数料率35%と仮定)


(350円 + 600円 + 50円) ÷ (1 − 0.35) ≒ 1,538円

デリバリー価格は、店内価格に一定の割合を上乗せして決めるのではなく、原価や容器代、利用するサービスの手数料などを踏まえ、必要な利益を確保できる価格を設定することが大切です。

価格を上げると「注文が入らないのではないか」と懸念されがちですが、デリバリー利用者は「自宅にいながら専門店の料理が食べられる利便性」に対価を払っています。
無理に店内価格と同額に据え置くのではなく、後述するトッピングの追加やデリバリー専用のセット構成(スープや副菜付き)にすることで、価格に対する納得感を高める工夫が重要です。

デリバリーの採算性は、プラットフォームの手数料だけでなく、食材原価や容器代、調理人員、注文数、店内営業への影響などによって変わります。
一般的な計算式で利益が見込めても、注文が集中する時間帯や現在の厨房体制によっては、無理なく運用できない場合もあるでしょう。

導入の可否を判断する際は、デリバリーだけを切り離して考えるのではなく、既存の店内営業や人員配置、今後の事業展開まで含めて検討することが大切です。

TRNグループでは、飲食店経営に関する幅広いご相談を受け付けています。
デリバリーを始めるべきか迷っている方や、自店に合った販売方法・運営体制を検討したい方は、ぜひ無料相談をご活用ください。

メニュー開発と容器選定・衛生管理のポイント

デリバリーでリピート客を獲得できるかどうかは、「手元に届いた瞬間の料理の状態」で決まります。
調理したてをすぐ提供できる店内飲食とは異なり、「調理から喫食まで一定の時間が経過しても、品質と安全性を保てること」を前提とした商品設計が必要です。

デリバリーに向くメニュー・向かないメニュー

料理の特性によって、デリバリーへの適性は大きく分かれます。

■向いているメニュー
◦ 丼もの、カレー、オムライス、炒飯(ご飯もので冷めにくい)
◦ 煮込み料理、ハンバーグ、唐揚げ(時間が経っても味や食感が劣化しにくい)
◦ ピザ、サンドイッチ、巻き寿司(形状が崩れにくく常温でも食べやすい)

■注意・工夫が必要なメニュー
◦ ラーメン・うどん等の汁麺(麺がスープを吸って伸びやすいため、セパレート容器を活用するなどの工夫が必要)
◦ パスタ(配送中にアルデンテが失われやすいため、太麺の採用や茹で時間の調整が必要)
◦ 生野菜サラダなど温度管理が必要なメニュー(配送時間や保冷方法を十分に検討する)
◦ 刺身などの生もの(食中毒のリスクが高いため、原則としてデリバリーでの提供を避ける)
◦ 揚げたての食感が命の天ぷら・フライドポテト(蒸気によって衣の食感が損なわれやすいため、蒸気抜き穴付きの容器を選ぶ)

自店の看板メニューをそのままデリバリーに回すのではなく、「冷めても美味しい調理法への微調整(味付けをやや濃いめにする、脂っこさを抑える等)」を施すことが満足度向上につながります。

容器選びの3つの基準:「汁漏れ防止」「保温・耐熱性」「蒸気対策」

容器は単なる入れ物ではなく、品質保持とブランド価値を支える重要な資材です。以下の3点を満たす容器を選びましょう。

1. 嵌合性(かんごうせい・汁漏れ防止)
配送中はバイクの振動や傾きが避けられません。フタがカチッと密閉できる「内外嵌合容器」や、カレー・タレ類が混ざらない「中子(仕切り)付きセパレート容器」を活用する方法があります。

2. 保温性・耐熱性
電子レンジ対応の容器(PP素材など)を選んでおくと、顧客が自宅で温め直しやすくなり、食べやすさや満足度の向上につながります。

3. 蒸気対策
揚げ物や焼き物は、密閉しすぎると、料理から出る蒸気によって食感が損なわれます。通気口のある専用容器を選ぶか、クッキングシートを敷いて油分と水分をコントロールする工夫が求められます。

容器代は1セットあたり30円〜80円程度かかりますが、コストを抑えすぎて料理がこぼれたり冷めたりすると、顧客満足度の低下につながる可能性があります。必要な品質を確保できる容器を選ぶことが大切です。

食中毒を防ぐ衛生管理と提供時間のルール

厚生労働省は「テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防」で、調理してから消費者が食べるまでの時間が長くなるデリバリーでは、特に気温の高い時期に食中毒のリスクが高まると注意を呼びかけています。
また、調理した食品は速やかに10℃以下まで冷やすか、65℃以上で保管することなどを対策として示しています。

■中心部までの十分な加熱
加熱調理する食品は、中心部まで75℃で1分以上(二枚貝等は85〜90℃で90秒以上)しっかりと熱を通します。

■粗熱を取ってからのパッキング
ご飯やおかずが熱いままフタを閉めると、内部に水滴がたまり、細菌の繁殖原因になります。
清潔な作業台で適切な温度のもと放冷(または急速冷却)してから、フタを閉める手順を徹底してください。

■消費目安時間のアナウンス
容器のフタや外袋に「本日中にお召し上がりください」「涼しい場所で保管してください」といった注意書きシールを貼付し、顧客側での長期放置による事故を防ぎます。

■保冷剤の活用・配送時の温度管理
夏季は配達バッグ内が高温になりやすいため、保冷剤の同梱や配送時の温度管理について配達員にも協力を促す体制を整えましょう。

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失敗しないデリバリー導入の5ステップ

実際に検討を開始してから、注文受付を開始するまでの具体的な実務の流れを5つのステップで解説します。

ステップ1:コンセプト設計と採算計画

まずは「誰に、何を、いくらで売るのか」を定義します。
店内メニューをそのまま並べるのではなく、オペレーションに負荷をかけずに提供できる主力商品3〜5品に絞り込むのが成功のコツです。
前述の計算式を用いて、容器代と手数料を差し引いても十分な利益が出る価格を設定します。

ステップ2:プラットフォーム選定と出店申込

出前館、Uber Eatsなど、自店の商圏で利用者の多いサービスを選定して加盟店登録を行います。
申込時には主に以下の書類が必要となります。

・飲食店営業許可書の写し
・本人確認書類(個人の場合:運転免許証等、法人の場合:登記簿謄本)
・売上振込用の銀行口座情報
・メニュー情報・料理写真

申し込みから掲載開始までの期間は、プラットフォームや審査状況、書類の不備などによって異なります。
希望する開始時期から逆算し、余裕を持って手続きを進めましょう。

ステップ3:容器・資材の選定とテスト配送

メニューに合わせた容器、手提げ袋、割り箸、おしぼり、注意書きシールなどの資材を発注します。

資材が届いたら、実際の配送を想定したテストを行いましょう。
実際に料理を容器に詰めて30〜40分放置し、「料理の温度はどうなっているか」「フタが蒸気で歪んでいないか」「配送時の振動や傾きで汁漏れしないか」「冷めた状態で食べて味のバランスが崩れていないか」をスタッフ全員で確認します。

ステップ4:厨房オペレーションと導線の整備

注文が入ってから配達クルーに渡すまでの現場動線を設計します。

・端末の配置場所:注文通知の音に厨房スタッフが即座に気づける位置にタブレットを設置。
・パッキングエリアの確保:店内用の盛り付け台とは別に、容器を並べてフタを閉め、袋詰めを行う清潔なスペースを確保。
・配達員の受け渡し導線:配達クルーが料理を受け取りに来た際、店内飲食の一般客の邪魔にならない動線(レジ脇や出入口付近の専用受け渡し口)を決めておく。

ステップ5:販売開始と初期レビューの獲得

準備が整ったらサービスを開始します。
導入初期に意識したいポイントの一つが、「アプリ内での評価(レビュー)を高めること」です。
オープン当初は調理時間に余裕を持った受注設定にし、遅延や入れ忘れを防げるよう確認体制を整えましょう。

「ご注文ありがとうございます」といったサンクスメッセージカードを添えることも、顧客に好印象を持ってもらうための工夫の一つです。レビューへの対応やサービス改善を続け、次の注文につなげていくことが大切です。

飲食店デリバリーに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、飲食店がデリバリーを始める際によくある疑問について回答します。

Q. ゴーストレストラン(実店舗を持たない業態)として始める場合と何が違いますか?

A. 実店舗を持つ飲食店がデリバリーを始める場合、既存の厨房設備や仕入れルートをそのまま活用できるため、追加の家賃や設備投資をかけずにスタートできる利点があります。一方、ゴーストレストラン(バーチャルレストラン)は実店舗の客席を持たずデリバリーに特化するため、看板認知がない分、アプリ内でのWebマーケティングやブランド構築の難易度が高くなります。
実店舗がある飲食店は、すでに地域で培った知名度や信頼を活かせる点で有利といえます。

Q. デリバリー専用の保険に加入する必要はありますか?

A. 自社スタッフや店舗の車両で配達する場合は、業務中の事故が補償対象となる自動車保険・バイク保険への加入を検討する必要があります。
現在加入している保険が業務使用を補償しているか、保険会社へ確認してください。
通常の自家用保険では業務中の事故が補償対象外となるケースが大半ですので注意してください。

一方、配達代行を利用する場合、配達中の事故などに対する補償制度が設けられていることがあります。
ただし、補償対象や適用条件はプラットフォームによって異なるため、契約前に確認が必要です。
加えて、調理起因の食中毒リスクに備えるため、「生産物賠償責任保険(PL保険)」への加入についても検討しておくとよいでしょう。

Q. 写真撮影はプロに頼むべきですか?スマホ撮影でも大丈夫ですか?

A. デリバリーアプリにおいて、料理写真は利用者が商品を選ぶ際の重要な判断材料の一つです。
可能であればプロのカメラマンに撮影を依頼するか、プラットフォーム側が提供している公式撮影サービス(初回出店時に安価または無料で利用できるプランがある場合もあります)を活用することをおすすめします。

予算の都合で自社撮影(スマートフォン等)を行う場合は、自然光の入る明るい場所で撮影し、料理のシズル感(湯気、ツヤ、断面)がしっかり伝わる構図を意識してください。暗く影の多い写真は料理の魅力が伝わりにくくなるため、明るさや構図にも配慮しましょう。

まとめ

飲食店がデリバリーを始めるには、必要な許可を確認したうえで、自社配達と配達代行のどちらを利用するかを決め、無理なく続けられる運営体制を整えることが大切です。
特に、デリバリーサービスを利用する場合は、手数料や容器代を考慮した価格設計が欠かせません。売上だけで判断するのではなく、必要なコストを差し引いても利益が残るかを事前に確認しておきましょう。

また、デリバリーに適したメニューや容器を選び、衛生管理を徹底するとともに、店内業務と両立できる作業フローを整えておくことも重要です。最初から規模を広げるのではなく、自店の立地や客層、厨房の状況に合わせて始め、注文状況を見ながら改善していきましょう。

デリバリーの導入だけでなく、店舗運営や今後の事業展開について「自店の場合はどう進めればよいのか」と迷うこともあるでしょう。

TRNグループでは、飲食店の出店・退店支援をはじめ、店舗開発や事業用不動産の活用など、店舗運営に関するさまざまな相談に対応しています。
店舗の移転や業態転換、追加出店なども含め、今後の店舗展開についてお悩みの方は、TRNグループへお気軽にご相談ください。