飲食店で立ち退きを要求されたら?立ち退き料の相場と増額交渉のポイント
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飲食店の営業中に大家から立ち退きを要求されたとしても、借主が即座に応じる法的義務はありません。
日本の法律では借主の権利が強く保護されており、適切な知識を持つことで正当な立ち退き料を受け取ることが可能です。
本記事では、立ち退き料の相場や請求できる費用の内訳に加え、有利に交渉を進めるための具体的なステップを詳しく解説します。
突然の通告に慌てて不利な条件で合意することなく、まずは自身の正当な権利を理解しましょう。


目次
まずは落ち着いて!立ち退きにすぐ応じる必要はありません
大家から立ち退きを要求されても、法的には即座に応じる義務はありません。
借地借家法では、貸主からの解約申し入れには6ヶ月以上前の通知と、立ち退きを正当化する理由である「正当事由」が必要です。
したがって、突然の要求に慌てて合意する必要はなく、まずは要求の内容を冷静に確認し、自身の権利を理解した上で対応することが肝心です。
立ち退き要求は6ヶ月前までに通知
貸主が借主に対して立ち退きを要求する場合、借地借家法に基づき、契約期間満了の1年前~6ヶ月前までに通知する義務があります。
この規定は、借主が突然営業拠点を失うことがないよう、次の店舗物件を探したり移転の準備を進めたりするための猶予期間として設けられています。
もし通知が解約希望日の6ヶ月を切ってから行われた場合、法的にはその通知が届いた日から6ヶ月が経過するまでは、借主が立ち退きに応じる義務は発生しません。
したがって、立ち退き要求の書面を受け取った際は、まず送付された日付や解約希望日を正確に確認し、残された法的猶予期間を把握することが交渉を有利に進める第一歩となります。
急な移転は引越し費用の高騰や新店舗選びの妥協を招くため、この6ヶ月という期間を権利として正当に主張し、余裕を持ったスケジュールで対応を検討しましょう。
大家が立ち退きを要求する「正当事由」とは?
大家が立ち退きを要求するためには、法律で定められた「正当事由」が必要です。
「老朽化による建て替え」や「大家自身がその物件を使用する必要性」などが該当しますが、単に大家の都合だけでは認められにくいのが実情です。
正当事由の有無は、大家側と借主側の双方の事情を比較して総合的に判断されます。
具体的には、建物の利用状況や老朽化の程度、そして立ち退き料の提供といった財産上の給付も、正当事由を補完する重要な要素として考慮されます。
そのため、立ち退きを要求された際は、大家が主張する理由が法的に正当なものかを見極めることが大切です。
飲食店の立ち退き料の相場はいくら?

飲食店の立ち退き料には、法律で定められた明確な計算式や固定の相場は存在しません。
金額は個別のケースごとに、移転先の物件取得費用や内装工事費、休業期間中の営業補償などを基に算出され、最終的には大家との交渉によって決定されます。
一般的には家賃の6ヶ月分から、移転費用や営業利益などを考慮して数年分に相当する金額になることもあり、ケースバイケースで大きく変動するのが実情です。
立ち退き料の金額を左右する判断要素
立ち退き料の金額を決定するプロセスでは、複数の判断要素を総合的に評価することが不可欠です。
まず基本となるのは、店舗の移転に伴う物理的・経済的な実費です。
これには新店舗を確保するための物件取得費だけでなく、飲食店の肝となる厨房設備や内装の工事費用、什器の搬入費などが含まれます。
現在の店舗と同等の営業環境を再構築するために必要なコストが、算定の大きな柱となります。
次に、事業継続への影響を補償する観点も欠かせません。
移転準備や工事によって生じる休業期間中の営業利益の損失に加え、長年築き上げた常連客や地域での認知度といった「のれん代」の消失に対する補償も重要な検討材料です。
特に立地条件が売上に直結する飲食店にとって、移転による集客力の低下は将来的な逸失利益として重く受け止められます。
さらに、大家側が主張する立ち退きの「正当事由」がどの程度強固であるかも金額を左右します。
例えば、建物の老朽化が進み倒壊の危険が切迫している場合などは、大家側の正当事由が強いとされ、立ち退き料は低めに抑えられる傾向にあります。
一方で、大家側の自己都合や再開発が理由で正当事由が不十分な場合には、借主の権利を補完するために高額な立ち退き料が提示されることが一般的です。
これらの要素を個別に精査し、双方が納得できる適正な金額を導き出します。
立ち退き料は交渉次第!請求できる費用の内訳を解説

立ち退き料は、単なる迷惑料ではなく、店舗を移転するために発生する様々な費用や営業上の損失を補填するための金銭です。
この補償内容は交渉によって決まるため、どのような費用を請求できるのかを正確に把握しておくことが重要です。
具体的には、新店舗の契約費用から内装工事費、休業中の利益補償、さらには従業員への手当まで、多岐にわたる項目を立ち退き料に含めて請求できる可能性があります。
新店舗の契約にかかる費用(物件取得費)
立ち退きに伴い新しい店舗を契約する際には、多額の初期費用が発生します。
これらは物件取得費として、立ち退き料に含めて請求することが可能です。
具体的には、
・新たな賃貸借契約を結ぶための保証金や敷金、礼金
・不動産会社に支払う仲介手数料
・前払いの家賃や共益費
などが含まれます。
重要なのは、現在の店舗と同等規模・同等立地の物件を確保するために必要な費用として算出することです。
これらの費用を証明するために、移転候補となる物件の見積書などを複数取得し、具体的な金額を根拠として提示できるように準備しておくことが交渉を有利に進めるポイントとなります。
内装や厨房設備の移転・設置費用
飲食店の移転では、内装や厨房設備の移転・設置に専門的な工事が必要となり、高額な費用がかかります。
これも立ち退き料として請求すべき重要な項目です。
具体的には、
・厨房機器や空調設備、什器などの運搬・設置費用
・新しい店舗の規模やレイアウトに合わせた内装工事費(電気、ガス、水道工事を含む)
・看板の制作・設置費用
などが該当します。
現在の設備を移設できない場合は、同等品の新規購入費用を請求することも可能です。
これらの費用は専門業者からの見積書を取得し、客観的な証拠として提示することが不可欠です。
正確な見積もりを基に、移転に伴う実費を漏れなく請求しましょう。
休業期間中の損失を補う営業補償
立ち退きに伴う移転作業中は、一時的に営業を停止せざるを得ません。
この休業期間中に得られたはずの利益の損失は、営業補償として請求できます。
補償の対象となる期間は、
・現在の店舗の明け渡し準備期間
・新店舗の選定・契約・内装工事期間
・営業再開準備期間
までを含みます。
補償額の算定は、一般的に過去の確定申告書などから1日あたりの平均利益を算出し、それに休業日数を乗じて計算します。
人件費や家賃などの固定費も考慮される場合があります。
この営業補償は、立ち退きによって事業が受ける直接的な損害を補填するものであり、交渉における重要な項目です。
常連客を失うことへの補償(のれん代)
店舗の移転は、単に物理的な場所が変わるだけでなく、長年築き上げてきた常連客との関係や、その立地ならではの集客力といった無形の価値を失うことにもつながります。
この無形の価値の損失に対する補償が「のれん代」や「借家権価格」として請求できるものです。
例えば、駅前の一等地で長年営業してきた店舗が、移転によって人通りの少ない場所へ移らざるを得ない場合、売上の減少は避けられません。
のれん代の算定は複雑ですが、店舗の収益性や立地の優位性などを具体的に示し、失われる価値を主張することは、適正な補償を得るために必要不可欠です。
従業員への補償(解雇予告手当など)
店舗の立ち退きは、経営者だけでなく従業員の雇用にも影響を及ぼします。
移転に伴い、やむを得ず従業員を解雇しなければならない場合、労働基準法に基づき解雇予告手当を支払う必要があります。
この手当は、立ち退きがなければ発生しなかった費用であるため、大家に補償を請求することができます。
また、就業規則で退職金制度を設けている場合は、その支払いも補償の対象となり得ます。
さらに、解雇には至らないものの、移転先が遠方になることで通勤が困難になる従業員への見舞金なども、交渉次第では立ち退き費用として認められることがあります。
立ち退き料を増額させるための交渉術4ステップ

大家から提示された立ち退き料は、あくまで最初の提示額であり、交渉次第で増額できる可能性が十分にあります。
しかし、やみくもに増額を要求するだけではうまくいきません。
法的な根拠と客観的な資料に基づき、論理的に交渉を進めることが重要です。
ここでは、立ち退き料を増額させるための具体的な交渉の進め方を4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:大家が提示する「正当事由」の妥当性を確認する
立ち退き交渉を有利に進めるための第一歩は、大家側が主張する立ち退きの理由、すなわち「正当事由」が法的にどの程度認められるものかを精査することです。
日本の借地借家法では借主の権利が強く保護されており、大家が建物の返還を求めるには、単なる主観的な都合ではなく客観的で合理的な理由が求められます。
例えば、大家が「建物の老朽化による建て替え」を理由に挙げている場合、単に外観が古いという主張だけでは不十分です。
この場合は、建築士による精密な構造診断書や耐震診断の結果など、放置すれば倒壊の危険があることを示す具体的な証拠の提示を求めましょう。
客観的なデータに基づかない曖昧な理由であれば、正当事由としての妥当性は低いと判断されます。
また「大家自身や親族がその物件を使用する必要がある」という自己使用を理由にする場合も、その必要性がどれほど切迫しているのかを具体的に確認する必要があります。
他に代替できる所有物件がないか、なぜその場所でなければならないのかといった事情を掘り下げることで、正当事由の強弱を推し量ることができます。
大家側の正当事由が不十分であればあるほど、それを補完するために必要な立ち退き料の金額は上昇する傾向にあるため、初期段階での徹底的な確認が大切です。
ステップ2:移転にかかる費用の見積もりを正確に算出する
大家側との立ち退き交渉を有利に進めるためには、移転に伴って発生する損失を具体的かつ客観的な数字で示すことがとても重要です。
まずは移転先で現在の店舗と同等の営業環境を再構築するために必要な費用をすべて洗い出しましょう。
具体的には、
・新店舗の敷金・礼金・仲介手数料といった物件取得費
・内装・外装の再構築費用
・厨房設備や空調の移設・購入費
・什器の運搬費
・移転を周知するための広告宣伝費
・ショップカードの刷り直し費用
まで、細かな項目も漏れなくリストアップします。
この際、自己申告の金額だけでは説得力に欠けるため、必ず複数の専門業者から相見積もりをとってください。
複数の見積書を提示することで、請求金額の妥当性が客観的に証明され、大家側も「法外な要求ではない」と納得しやすくなります。
飲食店の場合、特殊な排気設備や防水工事などが必要で工事費が高額になりやすいため、詳細な内訳が記された見積書は強力な武器となります。
どんぶり勘定での交渉は、大家側につけ入る隙を与え、結果的に提示額を下げられる原因になりかねません。
一つ一つの項目に明確な根拠を持たせ、資料を整えることが、希望する立ち退き料を獲得するための鍵となります。
ステップ3:立ち退きによる逸失利益を具体的に主張する
立ち退きによって生じる損失は、移転に直接かかる実費だけにとどまりません。
店舗を閉めている期間の売上減少や、移転によって長年の常連客が離れてしまうことで生じる将来的な利益の損失、すなわち「逸失利益」も重要な補償対象として主張すべきです。
まず休業補償については、移転準備や内装工事のために営業ができない期間の利益を請求します。
この際、過去3年分程度の確定申告書や売上台帳、損益計算書をエビデンスとして提示し、1日あたりの平均粗利益に具体的な休業日数を乗じて算出します。
単なる売上ではなく、固定費や本来得られたはずの利益を詳細に数値化することが増額への近道です。
さらに、現在の店舗が持つ立地の優位性やブランドイメージによって維持されていた利益、いわゆる「のれん代」が移転によって失われるリスクも具体的に主張します。
例えば、駅徒歩1分の好立地から徒歩10分の場所へ移転する場合、集客力の低下は避けられません。
このような客観的なデータを基に、事業全体が受ける長期的なダメージを損失補償として求めることが可能です。
実費以上の正当な対価を得るためには、これらの見えない損失を論理的に言語化して交渉に臨む姿勢が求められます。
ステップ4:交渉の記録を書面に残し、安易に合意しない
大家との交渉を進める際は、その場のやり取りをすべて正確に記録に残すことが極めて重要です。
具体的には、電話での会話内容や対面での打ち合わせ、合意した事項などをメールや書面などの形に残る方法で保存しておきましょう。
直接会って話した場合には、交渉の日時、参加した相手方の氏名、発言の要点をまとめた議事録をその都度作成してください。
作成した議事録を相手方にも送付し、内容に相違がないか確認を求めることで、後になって言った言わないのトラブルを未然に防ぐことができます。
こうした記録の積み重ねは、万が一裁判や調停に発展した際にも、交渉の経緯を示す有力な証拠となります。
また、最も注意すべき点は、大家から提示された立ち退き条件に少しでも疑問や不満がある場合、その場ですぐに合意書や承諾書へ署名・捺印をしないことです。
一度書面にサインをしてしまうと、法的に有効な合意が成立したとみなされ、後から条件の変更や増額を求めることは極めて困難になります。
例えば、移転先の内装工事費が想定より高くなることが後から判明しても、合意後では追加請求が認められないケースがほとんどです。
立ち退き料の金額だけでなく、明け渡し時期や原状回復義務の有無など、すべての条件を精査し、納得できるまで粘り強く交渉を続ける姿勢を持ちましょう。
判断に迷うときは、その場での回答を避け、弁護士などの専門家に相談する時間を確保することも大切です。
注意!立ち退き料がもらえない・交渉が難しい3つのケース

基本的に立ち退きを要求された借主は、立ち退き料を請求する権利があります。
しかし、すべてのケースで請求が認められるわけではありません。
借主側に契約違反がある場合や、契約の種類によっては、立ち退き料がもらえなかったり、交渉が著しく困難になったりすることがあります。
ここでは、立ち退き料の請求が難しい代表的な3つのケースについて解説します。
自身の状況がこれらのケースに該当しないか、事前にしっかり確認しておきましょう。
ケース1:家賃滞納など契約違反がある場合
借主が家賃を長期間滞納していたり、大家に無断で店舗の一部を他人に貸したり、契約内容と異なる用途で物件を使用したりといった契約違反をしている場合、立ち退き料の請求は極めて困難になります。
これらの行為は、貸主と借主の信頼関係を破壊するものと見なされ、貸主は正当事由の有無にかかわらず、契約違反を理由に賃貸借契約を解除できます。
この場合、借主は立ち退き料を請求する権利を失い、即時明け渡しを求められる可能性が高くなります。
日頃から契約内容を遵守し、誠実な店舗運営を心がけることが、万一の際に自身の権利を守ることにつながります。
ケース2:契約が「定期借家契約」である場合
賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があり、契約の種類によって立ち退きの条件が大きく異なります。
更新が前提の普通借家契約とは異なり、定期借家契約は契約期間の満了によって確定的に契約が終了し、原則として更新されません。
そのため、期間満了を理由に大家から明け渡しを求められた場合、正当事由は不要であり、立ち退き料を請求することも基本的にはできません。
ただし、契約期間中に大家の都合で中途解約を求められた場合は、立ち退き料を交渉できる可能性があります。
まずは自身の賃貸借契約書を確認し、どちらの契約形態に該当するのかを把握することが重要です。
ケース3:建物の老朽化で倒壊の危険性が高い場合
建物の老朽化が著しく、地震などによって倒壊する危険性が客観的に極めて高いと判断される場合、立ち退き料の交渉は難しくなる傾向があります。
これは、借主や従業員、近隣住民の生命や身体の安全を確保することが最優先されるためです。
耐震診断の結果、行政から是正勧告が出されているなど、倒壊の危険性が具体的に証明されるケースでは、大家の立ち退き要求の正当事由が非常に強いと認められます。
その結果、立ち退き料が支払われないか、支払われるとしても移転実費の一部など、かなり低額に抑えられる可能性が高くなります。
ただし、危険性の程度については専門的な判断が必要なため、一方的な主張を鵜呑みにせず、客観的な証拠を確認することが重要です。
交渉が難航したら弁護士へ相談!専門家に依頼する3つのメリット

大家との立ち退き交渉が平行線をたどったり、提示された条件に到底納得できなかったりする場合、専門家である弁護士への相談が有効な解決策となります。
法的な知識や交渉の経験がないまま当事者だけで話し合いを続けると、不利な条件で合意してしまうかもしれません。
弁護士に依頼することで、法的な観点から適切な主張を行い、交渉を有利に進めましょう。
メリット1:法的根拠に基づいた交渉で立ち退き料の大幅な増額が期待できる
立ち退き交渉を弁護士に依頼する最大のメリットは、立ち退き料の大幅な増額が期待できる点です。
個人で交渉する場合、感情的な主張になりがちですが、弁護士は過去の裁判例や借地借家法などの法的根拠に基づいて、大家が提示する正当事由の妥当性を厳密に検討します。
その上で、新店舗の取得費用や内装工事費、営業補償、のれん代といった請求可能な費用を漏れなく、かつ法的に説得力のある形で積み上げて主張します。
これにより、大家側も無視できない正当な要求となり、当初の提示額から数倍に増額されるケースも少なくありません。
専門的な知識と交渉力を持つ弁護士の存在は、適正な補償を得るための強力な後ろ盾となります。
メリット2:大家との直接交渉による精神的ストレスから解放される
大家や不動産管理会社との立ち退き交渉は、専門的な知識が必要なだけでなく、精神的にも大きな負担となります。
高圧的な態度で立ち退きを迫られたり、複雑な法律用語で言いくるめられそうになったりすることもあり、日々の店舗運営に集中できなくなる経営者も少なくありません。
弁護士に依頼すれば、交渉の窓口をすべて一本化できるため、大家と直接やり取りする必要がなくなることが利点と言えます。
これにより、精神的なストレスから解放され、経営者は本来の業務である店舗運営や、移転先の選定といった前向きな活動に専念することができます。
この心理的負担の軽減は、金銭的なメリットと同じくらい大きな価値があると言えるでしょう。
メリット3:書類作成や法的手続きをすべて任せられる
立ち退き交渉では、内容証明郵便の送付や交渉経緯の記録、最終的な合意書の作成など、法的に重要な書類を扱う場面が多くあります。
これらの書類に不備があると、後々不利な状況に陥るリスクが高まります。
弁護士への依頼は、こうした専門的な書類の作成をすべて正確に行ってくれることが魅力と言えるでしょう。
さらに、交渉が決裂し、民事調停や裁判といった法的手続きに移行せざるを得なくなった場合でも、煩雑な手続きや裁判所への出廷などを一任できます。
不慣れな法的手続きに時間を費やすことなく、専門家が最善の解決に向けて動いてくれるため、安心して本業に集中することが可能です。
飲食店の立ち退き交渉に強い弁護士の選び方

飲食店の立ち退き交渉において、納得のいく結果を得るためには、弁護士なら誰でも良いわけではありません。
不動産関連法務に精通していることはもちろん、特に店舗の立ち退き案件における交渉実績が豊富な弁護士を選ぶことが極めて重要です。
飲食店特有の事情として、厨房設備の特殊な価値評価や、立地に依存するのれん代の算定、移転に伴う複雑な営業補償の算出などが挙げられます。
これらの要素は一般的な住居の立ち退きとは大きく異なるため、飲食業界特有の商習慣や損害の構造を深く理解している専門家でなければ、適切な立ち退き料の増額交渉は望めません。
選定の際は、弁護士事務所のウェブサイトを確認し、飲食店の解決事例が具体的に記載されているかをチェックしてください。
また、初回の法律相談の場を有効に活用することも大切です。
自身のケースにおいて「どのような項目で立ち退き料を積み上げられるか」「過去に似た条件でどのような解決を導いたか」を具体的に質問してみましょう。
相談者の話を親身に聞きつつ、リスクも含めた明確な見解を提示してくれる弁護士であれば、信頼して交渉を任せられます。
法的な専門性と、飲食店経営の苦労を理解する柔軟性を兼ね備えたパートナーを選ぶことが、正当な権利を守るための第一歩です。
飲食店の立ち退きに関するよくある質問
ここでは、飲食店の立ち退きに関して、経営者の方々からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
立ち退きを要求されてから実際に退去するまでの期間や、受け取った立ち退き料の税務上の扱い、居抜き売却との関係など、具体的な疑問について簡潔に解説します。
Q. 立ち退きを要求されたら、いつまで営業を続けられますか?
A. 立ち退き料などの条件について大家と合意が成立するまでは、原則として営業を続けることができます。
法律では大家からの通知は6ヶ月前までと定められていますが、これは最低限の期間です。
交渉が長引けば、1年以上営業を継続できるケースも少なくありません。
合意書に署名するまでは、退去の義務は発生しません。
Q. 立ち退き料に税金はかかりますか?
A. 立ち退き料は、その内訳によって課税対象となるかが異なります。
移転費用の補填など、実費を補う部分は非課税となることが多くあります。
しかし、営業補償やのれん代に相当する部分は、事業所得や譲渡所得として課税対象になる場合があるので注意しましょう。
最終的な判断は税務署が行うため、詳細は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
Q. 居抜きで売却する場合でも立ち退き料はもらえますか?
A. 居抜き売却益と立ち退き料の両方を得ることは一般的に困難です。
立ち退き料は移転損失の補償であり、居抜き売却は営業権の譲渡という性質が異なるためです。
ただし、大家との交渉次第では、一部の立ち退き料(迷惑料など)を受け取れる可能性もゼロではありません。
どちらがより経済的に有利かを慎重に検討する必要があります。
まとめ
飲食店が立ち退きを求められた際、最も重要なのは、自身の権利を正しく理解し、安易に合意せず冷静に対応することです。
立ち退き料には決まった相場がなく、移転にかかる実費や営業補償、立地条件に伴う利益損失など、多角的な視点から根拠を積み上げることが増額への鍵となります。
納得のいく補償を得るためには、専門的な知識を持つ弁護士などのサポートを受けることも検討してください。
法的な正当性を主張しながら粘り強く交渉を進めることで、店舗の将来を守り、次なる一歩を有利に踏み出すための資金を確保できます。
まずは現在の状況を整理し、適切な相談先を見つけることから始めましょう。


