飲食店の利益率の平均は?正しい計算方法と利益率を上げるポイント

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飲食店の経営において、利益率の管理は事業の健全性を示す重要な指標です。
売上があっても利益が残らない状況では、経営を継続することは困難になります。

自店の経営状況を客観的に把握するためには、まず業界の平均的な利益率を知り、正しい計算方法で数値を算出しましょう。
その上で、具体的な数値を基に分析し、利益率を上げるにはどのような改善策が有効かを検討していく必要があります。

この記事では、飲食店の利益率に関する基本的な知識から、具体的な改善策まで解説していきます。

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目次

飲食店の利益率、平均はどのくらい?

利益率にはいくつか種類がありますが、一般的に飲食店の経営状況を判断する指標としては「営業利益率」が用いられます。
その「営業利益率」について考える際、まずは自店の立ち位置を把握するため、平均的な相場を知ることが重要です。
平均や相場を知ることで、自店の目標設定や経営課題の発見につながります。

ただし、これから解説する数値はあくまで一般的なものであり、店舗の業態や規模、立地によって変動する点を理解しておいてください。

営業利益率の平均は何%?

飲食業界の営業利益率の平均的な目安は、業態や規模、調査機関によって異なる場合があります。
飲食業界全体の営業利益率の平均は、一般的に8.6%とされていますが、日本政策金融公庫の調査によると、小規模な一般飲食店では3.2%(2020年調査)や、黒字かつ自己資本がプラスの一般飲食店で平均4.3%(2023年度調査)といった数値が示されています。

営業利益率は、売上高から食材費などの原価、人件費や家賃といったすべての経費を差し引いた後に残る、本業の儲けを示す重要な指標です。
経営の健全性を判断する際、自身の店舗の営業利益率を客観的に把握し、業界の平均値や類似店舗の状況と比較することが有効です。

もし営業利益率が低水準にある場合は、薄利多売の構造に陥っているか、あるいは原価や固定費のバランスに何らかの課題を抱えている可能性が高いため、早急な経費構造の見直しが求められます。
特に利益率がマイナス、つまり赤字の状態であれば、速やかに現状を分析し、抜本的な対策を講じる必要があります。

目標とする利益水準を明確に設定し、日々のコスト管理を徹底することが、長期的な安定経営を実現するための鍵となります。

【業態別】カフェ・居酒屋・ラーメン店の利益率相場

飲食店の利益率は、提供するメニューの構成や店舗の運営スタイルによって大きく左右されます。
代表的な3つの業態について、それぞれの特徴と利益率の傾向を詳しく見ていきましょう。

▼カフェ業態
コーヒーなどのドリンク類が売上の中心となるため、原価率を25%~30%程度と低く抑えやすいのが大きな強みです。
しかし、客単価が500円~1000円前後と低く、一人のお客様が長時間滞在する傾向があるため、利益を伸ばすには回転率の向上やテイクアウト需要の取り込みが不可欠と言えます。

▼居酒屋業態
原価率の低いアルコール類の注文が多くなるため、ドリンク単体での利益率は非常に高くなります
一方で、多種多様なフードメニューを揃えるための食材ロスや、深夜帯を含む営業時間の長さから人件費が膨らみやすい側面があります。
そのため、おつまみ類とドリンクをバランスよく注文してもらうことで、営業利益率10%以上を目指すのが一般的です。

▼ラーメン店
メニューが絞り込まれているためオペレーションが効率的で、高い回転率を維持できるのが特徴です。
しかし、スープの素材や自家製麺にこだわると原価率が40%近くまで跳ね上がることも珍しくありません。

このように、業態ごとの原価構造と集客の特性を理解した上で、自店の目標利益を設定することが大切です。

経営状況を把握する!利益率算出の正しいステップ

自店の正確な経営状況を把握するためには、正しい手順で利益率を計算する必要があります。

利益にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる側面を示しています。
具体的には、商品自体の儲けを示す「売上総利益(粗利)」、本業の稼ぐ力を示す「営業利益」、そして最終的な会社の利益である「純利益」の三段階で計算し、それぞれの利益率を算出します。

このステップを踏むことで、売上の中からどの経費が利益を圧迫しているのかを構造的に把握でき、具体的な改善策の立案に役立ちます。

STEP1:売上総利益率(粗利率)を計算する

飲食店の収益性を分析する最初のステップは、売上総利益(粗利益)を算出し、その利益率を正確に把握することです。
売上総利益とは、売上高から食材費や飲料代などの売上原価を差し引いた金額を指し、その店舗が提供する商品そのものが持つ基本的な稼ぐ力を示しています。
計算式は以下のようになります。

■売上総利益÷売上高×100=売上総利益率(%)

例:売上高=300万円 / 売上原価=90万円の場合(1ヶ月)
売上総利益(300万円-90万円)÷売上高(300万円)×100=売上総利益率(70%)

このように、売上総利益は210万円となり、売上総利益率は70%と算出されます。
この数値が高いほど、付加価値の高い商品を効率よく販売できていると言えます。

飲食業界において、この売上総利益率は一般的に60%~70%程度が目安とされており、原価率は30%~40%以内に収めるのが理想的です。
もしこの数値が目安を大きく下回っている場合は、過剰な盛り付けによるポーションの乱れや、仕入れ価格の高騰、あるいは調理工程での廃棄ロスが発生している可能性があります。

まずはこの数値を算出し、メニューごとの原価構成を見直すことが、経営改善に向けた重要な足がかりとなります。
売上総利益は、その後に支払う人件費や家賃といった諸経費の原資となるため、この段階で十分な利益を確保しておくことが安定経営の絶対条件です。

STEP2:営業利益率を計算する

次に、本業での収益力を示す営業利益とその利益率を計算します。
営業利益とは、店舗が提供する商品やサービス本来の価値から、運営に必要なあらゆる経費を差し引いた、実質的な儲けのことです。

計算の第一歩は、先ほど算出した売上総利益から「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引くことです。
販管費には、以下のようなものが含まれます。

・人件費
・家賃
・水道光熱費
・広告宣伝費
・消耗品費
・設備の減価償却費


先ほどの例を用いると、売上総利益が210万円で、販管費の合計が180万円かかっている場合、営業利益は30万円となります。

それでは、営業利益率を求めていきましょう。計算式は以下のようになります。

■営業利益÷売上高×100=営業利益率(%)

具体的には、売上高が300万円でしたので、以下のように算出されます。

営業利益(30万円)÷売上高(300万円)×100=営業利益率(10%)

この指標は、飲食店の経営成績を最も的確に表す数字として、銀行からの融資審査や多店舗展開の判断基準でも非常に重視されます
売上総利益が十分に確保されていても、営業利益が極端に低い場合は、人件費の過多や固定費の負担が重すぎるなど、運営体制に問題があると考えられます。
この段階でしっかりと利益を残せているかどうかが、事業の継続性と安定性を見極める上で重要なポイントです。

STEP3:純利益率を計算する

最後のステップとして、会社に最終的に残る利益である純利益とその利益率を算出します。
純利益は、営業利益から本業以外の活動で発生する収益や費用、さらに法人税などの税金を差し引いた、いわば経営活動の最終的な成果です。

具体的な計算には、受取利息などの「営業外収益」を加算し、支払利息といった「営業外費用」を差し引きます。
さらに、火災損失や固定資産売却損益といった、その期にだけ発生した一時的な「特別損益」も考慮して「税引前当期純利益」を求め、そこから税金を支払った額が純利益となります。
純利益率の計算式は以下のようになります。

■純利益÷売上高×100=純利益率(%)

飲食業の日常的な経営状態を評価する際は、本業の力を示す営業利益率が重視されますが、借入金の返済原資となる純利益も、長期的な経営の安定性を測る上で欠かせない指標です。
理想的な経営状態としては10%~15%程度の純利益率を確保できると良いでしょう。

この数値は、将来の設備投資や店舗リニューアル、予期せぬトラブルへの備えとして蓄積される重要な資金源となります。
純利益まで正確に把握することで、店舗が真に持続可能な状態にあるかを判断できると言えるでしょう。

利益を圧迫する経費の内訳を理解しよう

利益率を改善するためには、売上からどのような経費が差し引かれているのか、その内訳と比率を正確に把握することが不可欠です。
飲食店経営における経費は多岐にわたりますが、特に大きな割合を占めるのが「食材費」と「人件費」です。
これらは「FLコスト」と呼ばれ、経営の根幹をなす重要な指標とされています。

その他にも家賃や水道光熱費などがあり、これらの経費を構造的に理解することで、どこに改善の余地があるのかを見極めることができます。

経営の重要指標「FLコスト」とは?

FLコストとは、飲食店経営において最も大きな割合を占める二大経費、すなわち食材費(Food Cost)と人件費(Labor Cost)を合算した指標です。
売上高に対するこれら二つのコストの合計割合を「FL比率」と呼び、店舗の収益性を左右する極めて重要な管理項目として扱われます。

一般的な飲食店経営におけるFL比率の目安は、売上の60%以内が健全なラインとされています。
さらに、安定した利益を継続的に確保するためには55%以内を目指すのが理想的です。

例えば、売上高が300万円の店舗で食材費が90万円(30%)、人件費が90万円(30%)であれば、FL比率は60%となり標準的な経営状態といえます。

この指標が重要な理由は、食材費と人件費のどちらか一方が低くても、もう一方が高騰していれば利益が残らないためです。
高級食材を使い原価率が40%に達する業態であれば、セルフサービスの導入などで人件費率を20%に抑え、トータルで60%を維持するといったバランス調整が必要です。
営業利益を最大化するためには、日々の廃棄ロス削減や効率的なシフト管理を通じて、このFLコストを適切にコントロールし続けることが求められます。

家賃や光熱費などの固定費・変動費の種類一覧

経費は、売上の増減に関わらず毎月一定額が発生する「固定費」と、売上の増減に伴って変動する「変動費」に大別できます。
以下に代表的なものを挙げていきます。

固定費変動費
家賃、減価償却費、
正社員の給与など
食材費、アルバイトの人件費、
水道光熱費、販売促進費など

一般的に、固定費の割合が低い店舗ほど損益分岐点が低くなり、売上が落ち込んだ際にも赤字になりにくい安定した経営体質といえます。
自店の経費をこの2つに分類し、特に固定費をいかに抑えるかを考えることが重要です。

利益率を改善する!具体的な7つの方法

店舗の経費構造を正しく理解したら、次はいよいよ利益率を改善するための具体的な行動に移ります。
利益を出す方法として、単に売上を伸ばすだけでなく、コストを削減したり、より効率的に利益を生み出す仕組みを構築したりすることが求められます。
利益率を上げるには、原価の見直し、人件費の最適化、客単価の向上、業務効率化など、多角的なアプローチが必要です。

ここでは、明日からでも実践できる具体的な7つの方法を紹介し、それぞれのポイントについて解説します。

方法1:原価率を見直して食材費を削減する

食材費の削減は、飲食店が利益率を改善するために取り組むべき最も基本的な施策です。
一般的に飲食店の原価率は30%~40%の範囲に収めることが目標とされますが、これを超えると経営を圧迫する要因となります。

具体的な改善策として、まずは仕入れルートの最適化が挙げられます。
一つの業者に依存せず、複数の業者から定期的に相見積もりを取ることで、市場価格に適した仕入れを実現できます。
また、使用頻度の高い乾物や調味料などを特定し、大量一括仕入れを行うことで単価の引き下げ交渉を行うことも有効です。

調理現場においては、歩留まりの改善を徹底する必要があります。
例えば、野菜の皮や芯、魚の骨などを捨てずにスープの出汁として再利用すれば、廃棄コストを抑えつつ付加価値を生み出せます。
さらに、ポーションコントロールの徹底も欠かせません。
一人前の量を正確に計量し、盛り付けのばらつきをなくすことで、意図しない原価の上昇を防ぐことができます。

ただし、過度なコストカットにより料理の質が落ちれば、顧客離れを招き逆効果となってしまうことも。
あくまで提供する味や品質を維持し、お客様の満足度を損なわない範囲で無駄を削ぎ落としていく視点が重要です。
定期的に理論原価と実際原価を比較し、その乖離を埋める努力を心掛けましょう。

方法2:シフト管理を最適化して人件費をコントロールする

人件費は食材費と並んで飲食店経営における二大コストであり、その管理状況は利益率を直接左右します。
一般的に、健全な店舗経営における人件費率の目安は売上の20%台後半~30%程度です。
この範囲を大幅に超えると利益の確保が困難になるため、適切なコントロールが欠かせません。

人件費を最適化するための基本は、過去の来客データに基づく精密な人員予測です。
POSレジのデータを活用し、曜日や時間帯ごとの客数を詳細に分析することで、無駄のないシフト作成が可能になります。
例えば、来客が落ち着く14時~17時までのアイドルタイムには最小限の人数で運営し、ランチやディナーのピークタイムには手厚くスタッフを配置するといった、メリハリのある管理が求められます。

さらに、従業員の多能工化を推進することも非常に有効な手段です。
ホールスタッフが簡単な調理や洗い場を兼務し、キッチンスタッフが接客やレジ対応をこなせる体制を整えることで、少人数でも柔軟な店舗運営が可能になります。
一人で複数の業務を完結できれば、突発的な欠員にも対応しやすくなり、結果として人件費の抑制と生産性の向上を同時に実現できます。

現場の状況に合わせた柔軟な人員配置を常に意識し、コスト意識を高く持つことが大切です。

方法3:フードロスを削減するための在庫管理を徹底する

フードロスを削減することは、仕入れ費用を無駄なく売上に変えることに直結するため、原価率を改善し、粗利益率を向上させる非常に効果的な手段です。
飲食店において廃棄される食材は、本来得られるはずだった利益を失うだけでなく、仕入れにかかった原価がそのまま純損失となるため、経営に与えるマイナスの影響は無視できません。

フードロスを防ぐための第一歩は、定期的な棚卸しによって正確な在庫量を常に把握することです。
在庫の動きを可視化することで、過剰な発注や死蔵在庫の発生を未然に防ぎます
その運用においては、仕入れた食材を古いものから順に使用する「先入れ先出し」を徹底し、賞味期限切れによる廃棄を最小限に抑える管理体制を構築することが基本です。

また、食材を無駄なく使い切るための現場での工夫も欠かせません。
例えば、先述したように、本来は廃棄されやすい野菜の皮やヘタを煮込んで自家製スープの出汁に活用したり、余剰気味の食材を日替わりメニューやスタッフのまかない料理に取り入れたりする手法が挙げられます。
このように、捨ててしまうはずの部位に新たな価値を与えることで、食材の歩留まりが高まり、結果として利益率の土台を強化することにつながります。

方法4:看板メニューなど利益率の高い商品を開発・提供する

飲食店全体の収益性を向上させるためには、すべてのメニューで一律の原価率を目指すのではなく、戦略的に利益率の高い「高収益商品」を開発し、それを看板メニューとして提供することも有効な手段です。
例えば、原価を低く抑えやすい鶏むね肉や卵、じゃがいも、小麦粉といった食材を主役に据えつつ、独自の調理法や目を引く盛り付け、専用の器などで演出を加えます。
このように商品に付加価値をつけることで、高い販売価格を設定しても顧客の満足感を得られる商品を生み出すことができます
看板メニューは注文が集中しやすいため、こうした「儲かるメニュー」の出庫比率が高まれば、店舗全体の利益率は飛躍的に改善します。

さらに、これらの商品を確実に選んでもらうための販売戦略も欠かせません。
メニューブックの左上や中央など、視線が最初に集まる場所に写真を大きく配置したり、スタッフが「当店自慢の逸品です」と積極的に推薦したりする動きは非常に効果的です。

方法5:客単価アップのためのメニュー構成を工夫する

利益率を向上させるためには、顧客一人当たりの支払額である客単価を高める施策が非常に有効です。
具体的には、メイン料理にドリンクやデザートを組み合わせたセットメニューの提供が挙げられます。
例えば、単品で注文するよりも数十円から百円程度お得感が出るように設定しつつ、サイドメニューを抱き合わせることで、結果として一人当たりの支払額を引き上げることが可能です。

また、追加料金で選択できるトッピングの用意も効果的です。
ラーメン店での煮卵やチャーシューの追加、カレー店でのチーズトッピングなどは、オペレーションの負荷を抑えつつ単価を底上げできる優れた手法と言えます。
さらに、スタッフによる積極的な声掛けも欠かせません。「ご一緒にポテトはいかがですか?」といったクロスセルの提案や、より付加価値の高い上位モデルを勧めるアップセルを徹底することで、購買意欲を自然に刺激できます。

特に、アルコール類やソフトドリンクは原価率が低く、注文数が増えるほど店舗全体の利益率は飛躍的に向上します。
飲み放題プランの導入や、料理とのペアリング提案を強化し、飲料の注文率を高める工夫が求められます。

方法6:店舗のオペレーションを効率化して回転率を向上させる

特に席数が限られている店舗や、ランチタイムのように客足が集中する時間帯がある店舗では、顧客の回転率を高めることが売上と利益の向上に直結します。
回転率とは、一定の時間内に一つの客席を何人のお客様が利用したかを示す指標です。
この数値が向上すれば、客単価や席数が変わらなくても総客数が増えるため、固定費の比率が下がり、結果として利益率が大きく改善します。

回転率を上げるためには、まず注文から提供までの時間を短縮することが不可欠です。
調理工程の無駄を省くための仕込みの徹底や、提供スピードを速めるための動線設計を見直しましょう
例えば、頻繁に注文されるメニューの調理器具を手に取りやすい位置に配置するだけでも、提供までの数分を短縮できます。
また、お客様が退店した後のテーブルの片付けから、次のお客様をご案内するまでのオペレーションをパターン化し、スタッフ全員がスムーズに動ける体制を整えることも重要です。

方法7:ITツールやシステムを導入して業務の生産性を高める

現代の飲食店経営において、ITツールやシステムの活用は生産性を飛躍的に向上させる不可欠な要素です。
例えば、以下のようなものが挙げられます。

POSレジモバイルオーダーシステムクラウドサービス
売上や勤怠を
リアルタイムで可視化
顧客が
自身の端末から注文
予約管理や
シフト管理を自動化

これらのツールを導入することで、スタッフが注文受けやレジ会計に割いていた時間を大幅に短縮でき、より付加価値の高い接客や調理業務に集中できる環境が整います。

これだけでなく、オペレーションの精度向上も大きなメリットです。
モバイルオーダーの導入により、注文の聞き間違いといった人的ミスが防げるほか、会計時のレジ待ちが解消されることで客席の回転率が高まります。
あるデータでは、ITシステムの導入によってホールスタッフの業務量を約20%~30%削減し、その分を少数精鋭での運営に充てることで、営業利益率を数%改善させた事例もあります

さらに、蓄積されたデータを分析すれば、曜日や時間帯ごとの需要予測が可能になります。
これにより、無駄な仕入れの抑制や最適な人員配置が実現し、変動費のコントロールが容易になります。
システム導入には初期費用や月額料金が発生しますが、長期的な視点で見れば、労働力不足の解消と利益構造の強化を同時に実現する極めて有効な投資となります。

利益率を意識したメニュー作りのコツ

利益率を改善する上で、メニュー作りは最も創造的かつ重要な要素です。
ただ美味しいだけでなく、「儲かる」メニューをいかに生み出すかが経営の鍵を握ります。
そのためには、原価を低く抑えられる食材を使いながらも、顧客に価値を感じてもらえるような工夫が必要でしょう。
また、単純な値上げは顧客離れのリスクを伴うため、満足度を維持、あるいは向上させながら客単価を上げるテクニックが求められます。

ここでは、利益率を意識したメニュー作りの具体的なコツを紹介します。

原価が低く利益を出しやすいメニューの具体例

利益を効率的に積み上げるメニューを開発するには、原価を抑えた食材を主役に据えつつ、調理工程や演出で付加価値を高めることが基本です。

代表的な食材としては、じゃがいも、もやし、玉ねぎ、キャベツといった根菜や葉物野菜が挙げられます。
これらに加え、鶏むね肉、豚こま切れ肉、豆腐、卵、そして小麦粉などの粉ものは、仕入れ価格を抑えやすく、工夫次第で高い利益率を目指すことが可能です。
例えば、大量仕入れが可能なじゃがいもを使ったフライドポテトやポテトサラダは、トッピングの工夫次第で利益率を高められます。
また、お好み焼きや各種パスタなどの粉ものメニューは、比較的原価が安価である一方でボリューム感を出しやすく、顧客満足度と高利益を両立できるポテンシャルを秘めています。

ドリンクメニューにおいては、ハイボールやレモンサワー、焼酎などが利益確保の代表例です。
これらはビールと比較して原価を抑えやすく、特に炭酸水や割り材を効率的に活用することで、一杯あたりの利益額を最大化できる可能性があります。
フードメニューでは、だし巻き卵や鶏の唐揚げといった、どの業態でも注文されやすい定番商品に独自の味付けや盛り付けを施し、看板メニューとして打ち出す戦略が有効です。

こうした原価を抑えたメニューを戦略的に「おすすめ」として提供し、注文率を高めることで、店舗全体の利益構造は着実に改善されることが期待できます。

顧客満足度を下げずに値上げするテクニック

原材料費や光熱費の高騰が続く中で、単純な値上げは顧客離れを招くリスクがあります。
そのため、顧客の納得感を引き出しながら単価を上げる戦略的なアプローチが求められます。

有効なテクニックの一つが、価格帯の異なる選択肢を用意する「松竹梅の法則」の活用です。
人間には極端な選択を避け、無意識に真ん中の価格を選んでしまう「妥協効果」という心理傾向があります。

例えば、1,000円のランチを1,200円に値上げしたい場合、

「梅」1,000円
「竹」1,200円
「松」1,800円


という3つの選択肢を提示します。
すると、多くの顧客が中間の1,200円を選ぶようになり、心理的な抵抗感を抑えながら客単価アップを実現できます。

また、価格改定に合わせて「付加価値」を上乗せすることも重要です。
単に金額を上げるのではなく、盛り付けを華やかにしたり、小鉢やドリンクをセットにしたりと、見た目やサービスの内容をわずかに向上させます
価格以上の価値を感じてもらうことで、値上げは「改善」として受け入れられます。

理想的な値上げとは、顧客満足度を損なうことなく、店舗の利益構造を健全化することにあります。
常に顧客の視点に立ち、納得感のある価格設定を心がけましょう。

飲食店の利益率に関するよくある質問

ここでは、飲食店の利益率はどのくらいが適切か、また経営する上で生じる様々な疑問について、よくある質問とその回答をまとめました。
損益分岐点の考え方や、個人経営の店舗における利益率の目安、新規開業時の目標設定など、多くの経営者が直面する課題を取り上げます。

Q.損益分岐点とは何ですか?計算方法も知りたいです。

A.損益分岐点とは、売上と費用が等しくなり、利益も損失もゼロになる売上高のことです。
この点を上回れば黒字、下回れば赤字となります。
経営の安全性を測る重要な指標であり、計算方法は、

■損益分岐点売上高=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}

で算出できます。

Q.個人経営の飲食店の利益率はどれくらいが一般的ですか?

A.個人経営の飲食店であっても、理想的な営業利益率の目安は10%~15%とされています。
ただし、個人事業主の場合、事業主の給与を経費としないケースもあり、その分利益が大きく見えることがあります。

事業の継続性を考えると、生活費とは別に、店舗の再投資や将来のための資金を確保できる利益水準を目指すことが大切です。

Q.新規開業する場合、利益率はどのくらいを目標にすれば良いですか?

A.新規開業する場合、事業計画書を作成する段階では、営業利益率10%以上を理想の目標として設定するのが一般的です。
開業当初は、知名度の低さから集客に苦戦したり、オペレーションが安定しなかったりして利益が出にくい時期が続きます。

まずは赤字を出さないことを最優先し、早期に5%の利益率を確保、その後安定的に10%を目指せるような経営計画を立てることが成功の鍵となります。

まとめ

飲食店経営において、利益率の管理は事業の継続性を左右する生命線です。
経済産業省の調査によると、飲食業界全体の平均営業利益率は8.6%とされており、まずはこの数値を参考に自店舗の現状を客観的に把握することから始めましょう。

算出された数値を基に、FLコストの最適化やフードロスの削減、ITツールの活用による業務効率化など、多角的な視点で改善に取り組むことが重要です。
売上の向上だけでなく、コスト構造を緻密にコントロールし、利益が確実に残る仕組みを構築してください。

日々のデータ分析と地道な改善の積み重ねが、変化の激しい飲食業界で生き残り、安定した収益を生み出す強い店舗へと成長するための確かな土台となります。

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店舗流通ネットグループ

著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。