コロナ融資が返済できない場合の対処法|免除や公庫の借換も

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新型コロナウイルス感染症の影響を受けて多くの事業者が利用したコロナ融資の返済が本格化しています。

売上が回復せず、資金繰りに窮し返済が困難になるケースも少なくありません。

返済不能に陥る前に、利用可能な公的制度や金融機関への相談など、状況に応じた対処法を検討することが重要です。

この記事では、返済負担を軽減する方法から、事業継続が難しい場合の選択肢まで、具体的な対処法を解説します。

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目次

なぜ今、コロナ融資の返済が問題になっているのか

新型コロナウイルス感染症による経済的な影響への緊急経済対策として実施された「実質無利子・無担保融資」、通称ゼロゼロ融資は、多くの事業者の資金繰りを支えました。

この融資制度では、最長5年の据置期間が設定可能でしたが、2020年から融資がスタートしたため、2024年4月に返済開始のピークを迎えました。

新型感染症の影響が長期化し、業績回復が遅れる中で返済が始まったため、多くの事業者にとって厳しい局面が続いています。2025年上半期にはゼロゼロ融資利用後の倒産件数が210件に達し、累計で2,002件を超えました。

コロナ融資の返済状況は

新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せる一方、コロナ融資の返済に悩む事業者は依然として存在します。多くの事業者は、利子のみを支払う据置期間を利用していましたが、その期間が終了し、元本の返済が次々と開始されています。

しかし、エネルギー価格の高騰や物価高などの影響で業績が思うように回復せず、返済の負担に耐えきれずに倒産する企業も一部に見られます。特に、融資から3〜4年が経過し、据置期間が終わる事業者が多い時期に差し掛かっており、今後の動向が注視されます。

コロナ融資の返済が困難な場合の主な対処法一覧

コロナ融資の返済が困難になった、あるいは返済不能に陥る不安がある場合でも、取りうる選択肢は複数存在します。

事業の継続を前提とするならば、返済負担を軽減するための公的制度の活用や金融機関との交渉が考えられます。

一方で、事業継続が難しいと判断した場合には、会社と経営者への影響を最小限に抑えながら事業を整理する方法を検討する必要があります。

状況に応じて最適な対処法は異なるため、まずは利用可能な選択肢を正しく理解することが不可欠です。

【事業継続が前提】コロナ融資の返済負担を軽減する5つの方法

事業の継続を前提とする場合、まずは返済の負担を軽減し、資金繰りを安定させることが最優先となります。

金融機関への相談を通じて返済計画を見直すことや、既存の融資をより有利な条件のものにまとめる公的制度の活用が有効です。

また、新たな資金調達や補助金の活用によって事業を立て直し、返済原資を生み出すといった攻めの対策も考えられます。

自社の状況に合わせて、これらの方法を複合的に検討していくことが求められます。

方法1:コロナ借換保証制度を活用して複数の融資を一本化する

コロナ借換保証制度は、複数の既存融資を新たな保証付き融資に一本化できる制度です。

信用保証協会の保証のもと、返済期間の延長や据置期間の設定が可能となり、月々の返済額を圧縮できます。

例えば、複数の金融機関からの借入や保証協会付きのプロパー融資などを一つにまとめることで、資金繰りの管理がしやすくなる利点もあります。

ただし、新たな保証料や金融機関の審査が必要となるため、利用を検討する際は早めに取引金融機関や信用保証協会に相談することが重要です。

この制度を活用することで、当面の資金繰りを改善し、事業再生への時間を確保できます。

方法2:取引金融機関に返済条件の変更(リスケジュール)を相談する

返済が困難になった場合、まずは融資を受けている取引金融機関に相談し、返済条件の変更(リスケジュール、通称リスケ)を申し出ることが基本的な対処法です。

リスケジュールでは、一定期間、元本の返済を猶予してもらい、利息のみの支払いに変更してもらうといった対応が一般的です。

これにより、一時的にキャッシュフローを改善させることが可能になります。

交渉にあたっては、なぜ返済が困難なのかという理由とともに、具体的な経営改善計画を提示し、返済の意思と将来の返済能力を示すことが承認を得るための鍵となります。

方法3:日本政策金融公庫に据置期間の延長を申請する

日本政策金融公庫からコロナ関連の融資を受けている場合、返済が困難であれば据置期間の延長を相談できます。

据置期間とは、元金の返済が猶予され、利息のみを支払う期間のことです。

この期間を延長することで、一時的に資金繰りの負担を軽減できます。

公庫では、事業者の状況に応じて柔軟な対応をとっており、初設定した据え置き期間が終了した後でも、追加の延長が認められるケースがあります

延長を希望する場合は、業況や資金繰りの状況を具体的に説明し、今後の事業計画とあわせて公庫の担当窓口に早めに相談することが求められます。

方法4:他の融資制度(セーフティネット保証など)で新たな資金を調達する

既存のコロナ融資の返済が困難な場合、他の公的融資制度を活用して新たな資金を調達し、当座の返済に充てることも一つの選択肢です。

例えば、セーフティネット保証制度は、業況が悪化した中小企業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠で保証を行う制度です。

ゼロゼロ融資のような実質無利子・無担保の制度ではありませんが、通常のプロパー融資に比べて低い金利で借入できる可能性があります。

これにより、資金繰りを一時的に安定させ、事業を立て直すための時間を確保することが可能になります。

方法5:事業再構築補助金などを活用して返済原資を確保する

返済負担を軽減するだけでなく、収益力を向上させて返済原資そのものを確保する視点も重要です。

事業再構築補助金のような大型の補助金を活用し、新分野への展開や業態転換を図ることで、新たな収益の柱を育てることができます。

補助金は融資と異なり返済義務がないため、自己資金を大きく増やし、財務体質の改善に繋げられます。

これにより元本の返済能力が高まり、根本的な経営改善が期待できます。

ただし、補助金の申請には詳細な事業計画が必要であり、採択される保証もないため、専門家と相談しながら準備を進めることが望ましいです。

また、リースバックのように借入れにならずに資金調達が可能なサービスもございます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【事業継続が困難な場合】会社を整理するための3つの選択肢

様々な手を尽くしても事業の継続が困難であり、債務超過の状態から抜け出せないと判断した場合には、会社を整理することも考えなければなりません。

事業を整理する方法には、主に法的な倒産手続きである「法人破産」や「特別清算」があります。

これらの手続きは、債務を法的に整理し、経営者自身の再出発を図るための選択肢です。

どの方法が最適かは、会社の状況や債権者の意向によって異なるため、廃業を決断する前に専門家への相談が不可欠です。

選択肢1:経営者保証ガイドラインに沿って債務整理を行う

コロナ融資の多くは、経営者が個人として連帯保証人になっています。

事業継続が困難になり債務整理を行う際、「経営者保証に関するガイドライン」を活用することで、経営者の個人資産を守りながら再起を図れる可能性があります。

このガイドラインは、経営者の保証債務の整理にあたり、華美でない自宅や一定期間の生計費(最大360万円)などを残せるよう配慮するものです。

すべての債権者の同意が必要となりますが、誠実に交渉することで、保証人としての責任を果たしつつ、生活への影響を最小限に抑えることを目指せます。

選択肢2:「法人破産」の手続きで会社と債務を清算する

会社の債務が資産を大幅に上回り、支払不能の状態に陥った場合、裁判所に申し立てて「法人破産」の手続きを行うことで、会社と債務を清算できます。

破産手続きが開始されると、裁判所から選任された破産管財人が会社の財産をすべて現金化し、法律の定める優先順位に従って債権者に公平に配当します。

手続きが完了すれば、会社の法人格は消滅し、残った債務の支払い義務もなくなります。

これにより、経営者は経済的な重圧から解放され、新たなスタートを切ることが可能になります。

選択肢3:「特別清算」の手続きで会社を清算する

特別清算は、株式会社のみが利用できる清算手続きの一つです。

破産手続きに比べて手続きが簡易で、費用を抑えられるという特徴があります。

この手続きを選択するには、債務超過の疑いがあることに加え、債権者集会で議決権総額の3分の2以上の同意を得る必要があります。

そのため、債権者の協力が得られやすい状況で、比較的円満に会社を整理したい場合に適した方法です。

破産のような社会的なマイナスイメージを避けたい場合にも検討される特別な手続きといえます。

コロナ融資の返済は免除される?債務減免の可能性について解説

コロナ融資の元本が自動的に免除されることは原則としてありません。

融資はあくまで借金であり、返済義務が伴います。

ただし、事業継続が極めて困難で、前述の「経営者保証に関するガイドライン」などを活用した私的整理や、法人破産などの法的整理を行う過程で、結果的に債務がカットされる、つまり債務減免が実現する可能性はあります。

特に、自然災害による二重ローン問題を対象とした「自然災害債務整理ガイドライン」のコロナ特則を利用できれば、一定の要件下で債務の減額や免除が受けられる場合があります。

利息のみの免除とは異なり、元本に踏み込んだ整理となるため、専門家への相談が不可欠です。

コロナ融資の返済に困ったときに相談できる4つの窓口

コロナ融資の返済に少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まずに外部の機関へ相談することが解決への第一歩です。

返済が滞る前に相談することで、取れる選択肢の幅が広がります。

金融機関はもちろん、国が設置している公的な支援機関や、法律・財務の専門家など、様々な相談窓口が存在します。

それぞれの窓口には専門性や役割に違いがあるため、自社の状況に合わせて適切な相手に相談することが重要です。

窓口1:融資を受けている取引金融機関

コロナ融資の返済に関する最初の相談先は、融資を受けた銀行や信用金庫などの取引金融機関です。

返済が厳しくなる見通しが立った段階で、正直に現状を伝え、今後の返済計画について相談することが重要です。

金融機関側も、貸し倒れになるよりは、返済条件を変更してでも完済してもらうことを望んでいます。

そのため、実現可能な経営改善計画を提示できれば、リスケジュールなどの相談に柔軟に応じてもらえる可能性が高まります。

信頼関係を損なわないためにも、延滞する前の早めの相談が不可欠です。

窓口2:日本政策金融公庫の相談窓口

日本政策金融公庫から融資を受けている場合は、公庫の担当窓口に直接相談することが有効です。

公庫は中小企業や小規模事業者の支援を目的とした政府系金融機関であり、民間の金融機関に比べて返済条件の変更や据置期間の延長などに柔軟に対応してくれる傾向があります。

全国各地に支店があり、電話や窓口で経営上の悩みに関する相談を受け付けています。

返済計画の見直しだけでなく、追加融資や経営改善に関するアドバイスを受けられる場合もあるため、積極的に活用を検討すべきです。

窓口3:中小企業活性化協議会(旧:再生支援協議会)

中小企業活性化協議会は各都道府県に設置されている公的な経営相談窓口です。

収益力はあるものの財務上の問題を抱えている中小企業の再生を支援する機関であり無料で相談できます。

協議会には専門家が在籍しており企業の財務状況を分析した上で実効性のある再生計画の策定を支援してくれます。

また複数の金融機関からの借入がある場合でも中立的な立場で金融機関との間の調整役を担ってくれるため経営者単独で交渉するよりも円滑に話を進められる可能性が高いです。

窓口4:弁護士や税理士などの法律・財務の専門家

返済問題が深刻化し自力での解決が難しいと感じた場合は税理士や弁護士といった専門家への相談が不可欠です。

税理士は、財務状況の正確な把握や資金繰り改善計画の策定を支援してくれます。

一方の弁護士は、金融機関との交渉代理や経営者保証ガイドラインの活用、さらには法人破産や特別清算といった法的整理手続きの専門家です。

特に事業の整理を視野に入れる段階では法的な知見が不可欠となるため早期に弁護士へ相談することでより有利な条件で手続きを進められる可能性があります。

コロナ融資の返済に関するよくある質問

ここではコロナ融資の返済に関して事業者の皆様からよく寄せられる質問について回答します。

返済を放置した場合のリスクや借り換えの審査、経営者が自己破産した場合の家族への影響など、具体的な疑問点を解消するための参考にしてください。

ゼロゼロ融資の返済を放置するとどうなりますか?

返済を放置すると、まず遅延損害金が発生し、電話や書面での督促が始まります。

それでも返済しない場合、信用保証協会が代位弁済を行い、その後は保証協会から債務の一括返済を求められます。

最終的には、会社の資産や代表者の個人資産が差し押さえられる可能性があります。

コロナ融資を借り換える際の審査は厳しいですか?

審査は、事業の現状や将来性、提出する事業計画の合理性に基づいて行われるため、決して甘くはありません。

赤字決算だからといって即座に否決されるわけではありませんが、なぜ借り換えが必要で、今後どのように返済していくのかを明確に説明できるかが重要になります。

経営者が自己破産すると家族にどのような影響がありますか?

家族が連帯保証人になっていない限り、法律上の返済義務は生じません。

ただし、破産する経営者名義の自宅や車は処分対象となるため、同居する家族の生活に影響が及ぶ可能性があります。

また、家族が経営する別会社の役員になることなどは制限されません。

まとめ

コロナ融資の返済が本格化する中で、返済困難に直面した場合でも、取りうる選択肢は複数存在します。

事業継続を前提とするならば、コロナ借換保証制度や金融機関とのリスケジュール交渉が有効な手段となります。

一方で、事業継続が難しい場合は、経営者保証ガイドラインの活用や法人破産といった方法で、経営者の再起を図りながら会社を整理することも可能です。

いずれの選択をするにせよ、返済が滞る前に金融機関や専門家といった窓口へ早期に相談し、自社の状況に合った最適な対処法を見つけ出すことが肝要です。

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著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。