飲食店の平均年収・給料の実態|正社員・アルバイト別の水準と収入アップ方法

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飲食店を経営する立場や現場を預かる店長にとって、従業員の給与設定や自身の年収水準を把握することは、店舗運営の根幹に関わる重要なポイントです。

昨今の人手不足の影響もあり、飲食業界の給与相場は上昇傾向にあります。
優秀な人材を確保し、定着させるためには、世間一般の平均額や競合他社の動向を正しく理解し、自店の給与体系が妥当であるかを常に検証していく必要があります。

本記事では、正社員とアルバイトそれぞれの給与水準について詳しく解説します。
また、現場の責任者がさらに収入を高めていくための具体的なキャリアアップの手法についても触れていくので、安定した店舗経営と個人としての所得向上の両面でぜひ参考にしてください。

飲食店の平均年収・月収はいくら?正社員・アルバイト別に解説

飲食店の給与は、雇用形態によって大きく異なります。

ここでは、正社員とアルバイトそれぞれの平均的な年収や月収がいくらなのか、具体的な金額の目安を紹介します。

正社員

飲食業界で働く正社員の平均年収は、一般的に350万円~400万円程度が相場です。
月収に換算すると、約25万円~30万円前後となります。

ただし、この金額はあくまで全国的な平均値であり、企業の規模や役職、勤務する地域によって変動します。
経験やスキルを積んでキャリアアップすることで、平均を大きく上回る年収を得ることも可能です。

アルバイト

飲食店のアルバイトの給与は時給制が一般的です。
全国的な平均時給は変動しますが、例えば2026年2月度の飲食・フードの全国平均時給は約1,208円となっています。
地域差が大きく、特に東京都心部では平均時給を上回る求人も多く見られます。

働く時間や日数によって月収は変わりますが、例えば、

時給1,100円 × 1日5時間 × 週4日(※月16日勤務想定)= 月収 約88,000円

となります。
また、深夜帯の勤務では時給が25%増しになるため、より高い収入を得られます。

飲食店の給料はなぜ「安い」と言われる?主な2つの理由

飲食業界の給料は、他の業界と比較して「安い」「低い」というイメージを持たれがちです。
実はその背景には、業界特有の構造的な課題が存在しています。

ここでは、なぜ飲食店の給料が安いと言われるのか、その主な2つの理由について解説します。

理由1:慢性的な人手不足

飲食業界は慢性的な人手不足に悩まされており、これが給料が安いと言われる一因になっています。
少ない人数で店舗を運営するため、一人当たりの業務量が多くなり、長時間労働につながりやすい傾向があります。

しかし、その労働負荷の増加が必ずしも給与に反映されるわけではなく、結果として「仕事のきつさの割に給料が安い」と感じられてしまいます。
日々、人材を確保し定着させることを心掛けた経営が求められます。

人手不足の解消には、採用戦略の見直しも重要です。
TRNグループでは、飲食店に特化した人材採用支援サービスも提供していますので、あわせてご覧ください。

理由2:利益率の低さ

飲食店の経営は、売上に対して原材料費や人件費(FLコスト)が占める割合が高く、利益率が低いビジネスモデルであることが一般的です。
売上からこれらのコストを差し引くと、手元に残る利益は限られてしまいます。

そのため、従業員の給与を大幅に引き上げることが経営的に難しいという構造的な問題を抱えています。
利益を確保しつつ人件費に適切に分配するバランスを取ることが、経営者にとっての大きな課題と言えます。

利益率に関する基本的な知識や具体的な改善策について、以下の記事で詳しく解説しています。

【条件別】飲食店の給与水準を徹底比較!

飲食店の給与は、雇用形態だけでなく、職種や業態、働く地域、企業の規模など、さまざまな条件によって変動します。

ここでは、それぞれの条件別に給与水準がどのように異なるのかを詳しく比較していきます。

職種・役職:ホール・キッチン・店長など

ホールスタッフやキッチンスタッフなどの一般店員の場合、年収は300万円前後が一般的です。
責任者である店長や料理長になると、店舗の管理業務や調理部門の統括を任され、年収は400万円~500万円程度まで上がります。

さらに、複数の店舗を管理するエリアマネージャーになると、500万円以上の年収も珍しくありません。
雇われ店長であっても、成果次第で高い報酬が期待できます。

【職種・役職別】年収相場

一般店員店長・料理長エリアマネージャー
300万円前後400万円~500万円程度500万円以上

業態:居酒屋・カフェ・レストランなど

飲食店の給与水準は、運営する業態によっても差が見られます。

一般的に、客単価の高い高級レストラン、特にフランス料理や高級寿司店などは、専門的なスキルが求められる分、給与も高い傾向にあります。
居酒屋や専門料理店も、独自の強みや調理技術が評価され、給与水準は比較的高めになっています。

一方、カフェやファミリーレストランは、他の業態に比べると給与がやや低めになる傾向がありますが、大手チェーンではキャリアパスが明確なので、安定した昇給が望める業態と言えます。

(資料出所)株式会社シンクロ・フード

地域別:都市部と地方

勤務する地域によっても給与水準は大きく変動します。
特に、東京や大阪といった都市部は、地方に比べて給与相場が高い傾向にあります。
これは、最低賃金が高いことや、人口が多く市場規模が大きいためです。

求人情報を見ると、同じ職種でも都市部と地方では月給に数万円の差があることも少なくありません。
ただし、都市部は家賃などの生活費も高くなるため、可処分所得も考慮する必要があります。

(資料出所)株式会社シンクロ・フード

企業規模:大手チェーン・個人店

企業規模も給与を左右する重要な要素です。
大手チェーン店は、給与テーブルや評価制度が明確に定められており、福利厚生も充実している場合が多くあります。
また、安定した昇給やキャリアアップが見込める点も大きな魅力です。

一方、個人経営の店舗は、給与や待遇がオーナーの方針に大きく依存します。
経営状況によっては大手よりも高い給与を得られる可能性がある反面、不安定な側面も持ち合わせています。

飲食店の店長が年収を上げるための方法

現在、店長として現場を預かる皆様が、さらなる年収アップを実現するためには、店舗運営の延長線上にある戦略的なキャリア形成が欠かせません。
日々の業務で培ったマネジメント能力や数値管理のスキルは、業界内でも高く評価される貴重な資産です。

今の職場で上席を目指す道はもちろん、資格取得による専門性の証明や、より好待遇な環境への転身など、収入を伸ばすための選択肢は多岐にわたります。

ここでは、店長という立場から一歩踏み出し、自身の市場価値を最大化して理想の年収を掴み取るための具体的な方法を解説します。

方法1:現職での昇進を目指す(店長・エリアマネージャーなど)

店長としてさらなる年収アップを目指すなら、まずは現在の職場で昇進を重ねることが最も現実的で着実な方法です。
店長職の次は、自店舗だけでなく近隣の複数店舗を統括するエリアマネージャーやスーパーバイザーへの昇格を目標に据えましょう

役割が広がることで役職手当が加算され、給与水準は一段と高まります。
昇進を実現するためには、日々の店舗運営で安定した売上を確保するだけでなく、スタッフの採用や教育、コスト管理といったマネジメント能力を磨き、本部から高く評価される成果を出し続けることが重要です。

自社のキャリアパスを改めて確認し、昇格に必要な要件を一つずつ満たしていくことが、着実な所得向上へとつながります。

方法2:専門スキルを証明する資格を取得する(調理師・ソムリエなど)

店長として年収アップを狙う方法の一つとして、専門スキルを客観的に証明できる資格の取得があります。
調理師免許はもちろん、「ソムリエ」や「利き酒師」、「製菓衛生師」といった特定の分野に特化した資格は、店舗の提供価値を直接高める武器になります。

多くの飲食店では「資格手当制度」を導入しており、取得するだけで月々の給与に上乗せが期待できます。
また、専門知識を活かしてメニュー開発や原価低減に貢献すれば、店舗実績としての評価にも繋がり、昇給や賞与の交渉を有利に進めることも可能です。

高度な専門性は社内評価を高めるだけでなく、将来的に好待遇な企業へ転職する際や、独立開業を目指す際にも一生モノの財産となるでしょう。

飲食店で活用できる資格の詳細については、以下の記事をご覧ください。

方法3:より給与水準の高い企業へ転職する

現在の職場の給与水準に限界を感じている店長にとって、より待遇の良い企業への転職は、年収を劇的に引き上げるための極めて有効な手段です。
飲食業界内でも、企業によって設定されている給与テーブルや賞与の支給実績には大きな開きがあります。

特に近年は、店長経験者を即戦力として高く評価し、月給30万円~35万円以上の好条件を提示して「攻めの採用」を行う成長企業や大手チェーンが増えています。

まずはこれまでの店舗運営で培ったマネジメント実績や数値管理スキルを棚卸しし、自身の市場価値を再確認しましょう。
そのスキルを高く評価してくれる企業を戦略的に選ぶことで、現在の業務内容を大きく変えることなく、大幅な年収アップを実現できる可能性があります。

方法4:高価格帯のレストランやホテルへキャリアチェンジする

年収アップを目指せる有効な手段として、客単価の高い高級レストランや外資系ホテル、高級旅館といった業態へのキャリアチェンジという方法があります。

これらの高価格帯の施設では、従業員の給与水準が比較的高く設定されていることがあります。
特にマネジメント経験を持つ店長層は、現場の統括能力を高く評価され、年収500万円~700万円以上の好待遇で迎えられるケースも少なくありません。

ただし、高い報酬に見合う一流の接客技術や、緻密なコスト管理、洗練された立ち振る舞いが求められます。
これまでの店長経験で培った数値管理能力を軸に、専門的なホスピタリティを磨き直すことで、自身の市場価値を飛躍的に高めることができるでしょう。

方法5:将来的な独立開業を視野に入れて経験を積む

店長としての経験を活かし、将来的な独立開業を視野に入れて動くことは、年収を飛躍的に高めるための非常に強力な選択肢です。
雇われの身から一城の主になれば、店舗の利益がダイレクトに自身の収入へと直結するため、経営手腕次第で店長時代を遥かに凌ぐ年収を実現できます。

独立を成功させるためには、日々の店長業務を単なる作業としてこなすのではなく、経営者視点で取り組むことが大切です。
資金繰りや物件選定のノウハウ、効果的なマーケティング手法、さらには独自の仕入れルートの開拓など、独立後に必要となる実践的な知識を今の環境で貪欲に吸収してください。

また、店長として質の高いサービスを追求し、自分についてくれる常連客を増やしておくことも、開業時の大きなアドバンテージとなります。
現在の職場で培うマネジメント能力や数値管理スキルは、そのまま自身の店を成功させるための経営基盤となり、将来的な高所得獲得への確かな一歩となるはずです。

飲食店開業までの具体的な流れについて、以下の記事で解説しています。
ぜひご覧ください。

飲食店の給料に関するよくある質問

飲食店の給料について、多くの方が抱く疑問は共通しています。
ここでは、特に質問の多い項目をピックアップし、Q&A形式で簡潔に解説します。

Q. 未経験から飲食店に就職した場合の初任給はいくらですか?

A. 未経験や新卒で飲食店に就職した場合、初任給は月給20万円〜25万円程度が相場となっています。
ただし、この金額は勤務する地域や企業の規模によって変動します。

近年は人材獲得のため、大手企業を中心に初任給を引き上げる動きも見られます。

Q. 飲食店の店長になると年収はどれくらい上がりますか?

A. 店長に昇進すると、年収は400万円〜500万円程度が目安となり、一般社員から100万円以上の増加も珍しくありません。

店舗の売上実績に応じたインセンティブ制度を導入している企業もあり、成果次第でさらに高い年収を目指せます。

Q. 人手不足は今後の飲食店の給料にどう影響しますか?

A. 人手不足の深刻化は、人材確保の競争を促し、結果的に飲食業界全体の給与水準を押し上げる要因となっています。
特に若手人材を確保するため、初任給の引き上げや福利厚生の改善など、待遇を見直す企業が増加傾向にあります。

まとめ

飲食業界の給与水準は、人手不足や最低賃金の引き上げを背景に上昇傾向にあります。
飲食店運営を任されている皆様にとって、正社員の年収相場である350万円~400万円という数字や、地域ごとのアルバイト時給の動向を把握することは、適正な労務管理と採用戦略を練る上で欠かせない知識です。

店舗の安定経営を実現するためには、自店のコスト構造を最適化しつつ、スタッフの定着を促す待遇改善が求められます。
同時に、個人としての所得向上を目指すなら、エリアマネージャーへの昇進や専門資格の取得、あるいは高待遇な企業への転職といった選択肢を戦略的に検討してください。

日々のマネジメントで培った数値管理能力や人材育成のスキルは、自身の市場価値を高める強力な武器となります。
店舗の利益貢献と自身のキャリア形成を両立させ、理想とする年収の実現に向けて具体的な一歩を踏み出してください。

店舗流通ネットグループ

著者:店舗流通ネット株式会社
編集チーム

「明日の街、もっと楽しく」をスローガンに、創業から25年、飲食店支援のスペシャリストとして4,000件を超える課題解決をサポートしてきました。
この長年の経験と知見を、悩めるオーナー様や未来の開業者様へ届けるべく、編集チームが執筆・解説します。