飲食店の人手不足、理由と4つの具体的な対策方法。営業できない事態を防ぐには

飲食店の人手不足の現状、原因と理由とは?飲食業界の離職率は、他業界と比べて高い傾向にあるとされています。人手が足りず営業できない事態を防ぐための対処方法として、従業員にやりがいを感じてもらう方法、適切な目標設定の方法、従業員の評価の仕方などをご紹介します。

現在新型コロナウイルスの影響により、人材不足問題は少し緩和されている様子が伺えますが、従業員の離職率に頭を抱えている飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか?
 
離職・退職を減らすには、店舗の職場環境や営業方針を見直すことも求められます。今回の記事では、店舗の離職率を改善する方法について解説します。

飲食店の人手不足の現状

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まずは実際のところ、飲食業界の離職率はどのくらいなのか、他業種と比べてみましょう。
 

離職率と社会状況

厚生労働省から発表されている「平成30年雇用動向調査結果の概況」によると、産業計の離職率が14.6%であるのに対して、宿泊業・飲食サービス業の離職率は29.8%との数値が出ています。
つまり、飲食業界の離職率は平均値の約2倍ということになり、飲食業界の離職率は他業種に比べると高い傾向にあるようです。
 
また、平成31年の「外食産業市場動向調査」によると、飲食店の店舗数はここ10年でほぼ横ばいという統計が出ています。その反面、日本は少子高齢化に伴い働くことのできる人材の数を表す「生産年齢人口」が低下しているのです。
 
前述のデータから、飲食店の店舗数は変わっておらず、働き手が減少しているというこの状況は、飲食業界の悩みの一つである人材不足の原因にもなっていると考えられます。
 

飲食店が人手不足に陥ってしまう理由

店舗にもよりますが、飲食業界では労働者の70%以上が非正規社員、つまり契約社員やパート、アルバイトであるとのデータがあります。そのような飲食店の場合、非正規労働者に大きく依存することになり、人口が減ってきている年代のパートやアルバイト人材の取り合いが激化する可能性があるのです。
 
飲食業界に限らず言えることですが、学生やフリーターなどの非正規雇用者の立場としては、求人数が多い中であればアルバイト先を見つけるのは比較的容易です。そのため、今の職場が自分に合わないと思えば、働く店を変えてしまうこともあるでしょう。こういった背景も離職率を高める要因となっています。
 

飲食店の人手不足が生み出す負の連鎖

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離職率の高い店舗は、単に人手不足を招くだけでなく、以下のような負のスパイラルを生み出します。
 
①従業員が退職する
②従業員数が減って業務が忙しくなる
③業務が忙しくなって人材育成をする余裕がなくなる
④人材育成ができずに生産性が上がらない
⑤生産性が上がらず収益が上がらない
⑥職場環境の悪化が進み退職者が出やすくなる
 
このように、退職者が出ることは店舗運営にさまざまな悪影響を及ぼす原因となります。飲食店は離職率が他の業界よりも高い傾向にあるため、上記のような状況に陥りやすい可能性があるといえるでしょう。このような連鎖を食い止めるためにも、従業員の退職を防ぐための工夫をしていかなければなりません。
 
飲食店で従業員の離職を防ぐ方法を4つご紹介します

飲食店で従業員の離職を防ぐ方法

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では、従業員に長く働いてもらうためには具体的にどのような対処方法があるのでしょうか?ここからは飲食店スタッフの離職を防ぐ方法について解説していきます。
 

仕事の達成感を味わってもらう

達成感のある仕事はやりがいを感じやすく、その仕事を続けたいと思うようになります。そのため、従業員に達成感を味わってもらえるような仕組みづくりを目指しましょう。
 
仕事の達成感を感じてもらうには、目標の設定が効果的です。目標をクリアすることで従業員は「達成感」を得て、仕事にやりがいや楽しさを見出すことができるでしょう。
 
ここでポイントとなるのが、目標の設定は具体的な数字にすることです。
point!
OK 具体的で誰が見てもわかりやすい
例)「売上○○円」「特定の商品を1日で○○個売る」
 
NG 具体性がなく、どうなれば目標達成かが見えづらい
例)「顧客満足度の追求」「この商品の販売に注力する」
 
この数値の設定はバランス感覚も重要です。あまりにもハードルが高かったり低すぎたりしては、従業員のやる気を起こすことはできません。月間や週間での過去の実績を確認し、達成可能な数値を目標に設定するようにしましょう。また、後述しますが、目標を達成したときにはしっかりと評価することも大切です。
 

●具体的な目標設定の方法は?●

①最低目標と最高目標の2つを立てる
目標設定の方法として、これだけは達成すべき「最低目標」と、努力しなければ達成できない「最高目標」の2つを設定するというものがあります。前者は達成が比較的容易なので、従業員は継続して達成感を得られ、後者は目標がハードなだけに達成したときの喜びが大きくなるというメリットがあります。
 
目標を設定した後はその達成率をチェックし、従業員にとってちょうどよく達成できるレベルに内容を調節するようにしましょう。
 
②共通目標と個人目標を立てる
もうひとつの方法としては、1つは従業員全員に共通のもの、もう1つは従業員個人のレベルに合わせたものにするという方法。この場合は、店舗の一体感が得られやすいというメリットがあります。
 

従業員をこまめに評価する

従業員を評価することは、従業員の承認欲求を満たすことにつながります。他人からの評価をもらえるかどうかは、仕事のモチベーション維持において非常に重要です。
 
仮にホールスタッフが、単価の高い料理やお酒を多くお客様に売り込んで店舗の売上に大きく貢献したという事実があったとしても、そのことを誰からも評価されなければやる気を維持するのは難しくなります。そのため、経営者は従業員の働きぶりをしっかりと見て、適切に評価することが求められます。
 
評価とは、なにも従業員を誉めなければいけないというわけではありません。その従業員の仕事のやり方や振る舞いを観察し、良い点は褒めるべきですし、悪い点は丁寧に指摘し、改善案を提示してあげるなどのコミュニケーションを取ることが重要です。
 
可能であれば、評価に応じて昇給やボーナスなどを支給できるのが理想的ですが、労いの言葉をかけたり店舗のちょっとした相談事をするなどのコミュニケーションを取るだけでも、従業員の働きがいを向上させる効果が期待できるでしょう。
 

仕事に興味を持ってもらう

仕事に興味を持ってもらうことは、離職率を下げることだけでなく、スキルの向上にもつながります。仕事が面白い、楽しいと感じている従業員は、非常にポジティブな状況であることは言うまでもないでしょう。
 

●仕事に対する興味・関心を従業員に感じてもらうには?●

①経営理念やビジョンの共有
あなたのお店で働くことでこんなことが実現できる、もしくは社会にこのような好影響をもたらしている、ということを従業員と共有しましょう。それによって、従業員があなたのお店で働くことの意味を見出してくれることに期待できます。
 
②店舗の外で研修を行う
研修にはさまざまな手法がありますが、代表的な例としては、取り扱っている商品の生産者訪問や、同業繁盛店の視察などが挙げられます。
 
生産者の思いや商品知識を知ることで飲食に対する価値観が変わったり、繁盛店の盛況ぶりや接客・料理の品質などを肌で感じて自分の店舗をもっと良くしたいという思いを従業員が持つこともあるでしょう。
 
③独自の研修制度をつくる
一定以上の規模の飲食企業では、独自の研修制度を行っているところもあります。焼き鳥専門店の串打ちスピード検定制度、グループ店舗内での売上表彰制度、資格取得で表彰もしくは時給アップなど、業態や規模に合った研修制度の導入を検討してみるのも良いかもしれません。
 

従業員へ権限を付与する

店舗にはさまざまなルールがあるかと思いますが、時にこのルールは従業員のやりがいを奪ってしまったり、息苦しさを感じさせてしまっている可能性があります。
 
例えば、
ルール①「販売する料理やドリンクは社員や本部が決定する」
→「お客様にこういうものを販売したら喜ぶのではないか?」
 
ルール②「マニュアルにないお客様からの要望については必ず店長に確認を取る」
→「これくらいの要望なら自分で対応できるのに...」
 
上記のように、業務やルールに対して自分なりの考えを持っている従業員も中にはいるかもしれません。そのため、信頼できる従業員には自由に仕事をできるだけの権限を与えてみてはいかがでしょうか?
人に仕事を任せるということは、信頼関係を構築することにもつながります。重要な仕事を任せられればモチベーションアップにもなりますし、自由な仕事の仕方は充実感を高めます。
 
ただし、どれだけの権限を与えるかはその従業員のやる気やスキルによって変わります。大きすぎる責任や権限はプレッシャーとなり、逆に従業員の負担となりますので注意が必要です。
 

まとめ

従業員にいかに長く働いてもらえるかは、店舗の環境に大きく左右されます。近年はお客様満足度とは異なる「従業員満足度」の充足にも注目が集められています。職場の離職率を低くするために、従業員の働きやすい環境を整えていきましょう。
  

店通編集部