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飲食店の未来を変える、売上予測システム「AI店舗開発」開発メンバーが紐解く、その仕組みとは

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店舗流通ネットは、2023年5月より、飲食店に特化した売上予測サービス「AI店舗開発」の提供を開始しました。株式会社MILIZEと協業して開発を行ったこのサービスは、これまで店舗流通ネットが培ってきた3,800件の出店支援の実績のデータを活かした、業界初となる飲食店特化型のAI売上予測サービスです。

従来の売上予測サービスは、主に既存の店舗の将来予測を行うことに特化していました。精度を高めるためには、過去の売上データなどを用意する必要があり、そのために利用できる対象者が限られてしまうといった問題がありました。
そこで私たちは、初めて出店する方や、既存店舗とは別の商圏で出店する方に対しても利用可能な売上予測サービスの開発に乗り出しました。今回ご紹介する「AI店舗開発」は、過去の売上データは不要、物件情報を入力するだけで出店候補地での月商予測の算出が可能なため、すべての飲食店事業者にご利用いただけるサービスとなっています。
本記事では、AI店舗開発に携わった弊社のオープンイノベーション担当の甲斐と、新規事業開発担当の荻田による解説を交えながら、サービスについて紐解いていきます。
特に、サービスの利用をご検討されている皆様にとって、より詳しく理解を深めていただける内容となっていますので、ぜひご覧ください。

“開業の不安を確信に変える”AI店舗開発

AI店舗開発では、高性能なAI分析システムにより飲食店の出店候補地での月商予測を算出することが可能です。また、チケット購入制であることから、無駄な費用がかかることもありません。ここからはAI店舗開発の特徴をポイント毎に解説します。

AI店舗開発の特徴

過去データ不要ですべての飲食店事業者の利用を実現

これまで、飲食店事業者が出店候補地の良し悪しを判断するには、自身の経験や過去のデータが必要とされることが多々ありました。そのため、独立開業での初出店や、小規模展開の飲食店にとっては頭を悩ませるポイントとなっていました。そこで、店舗流通ネットは、3,800件以上の出店実績から得た「物件」と「売上」に関するデータを組み合わせた独自のプログラムを開発。これにより、過去のデータを持たない飲食店事業者の利用を実現しました。

初期費用・月額不要のチケット制

従来の売上予測サービスは、高額な初期費用がかかるケースや毎月費用が発生する月額料金制が主流でした。AI店舗開発は、必要なときに必要な分だけ利用できるチケット購入制を採用しています。

業態別の月商予測が可能

「居酒屋・バル」、「ラーメン」、「焼肉・ホルモン」の業態別での売上予測が可能なだけでなく、予測に基づいた商圏の傾向や特徴も分析します。

予測結果誤差10.79%以下の高精度

売上予測値は精度誤差10.79%を実現。コロナ禍での経験を踏まえ、非常事態が起きた際のイレギュラーな売上測定も可能な仕様となっています。

AI店舗開発を利用するメリット

  • 熟練した店舗開発者がいなくても物件の良し悪しの判断がしやすい
  • 物件のポテンシャルを予め確認した上で、開業に臨むことができる
  • 費用を抑えた売上予測ができる
  • 商圏の特性も把握できるため、より高い売上を目指すための施策を考えることが可能

月商予測までのステップ

開発メンバーによる、月商予測結果解説

ここからは、「AI店舗開発」のサービス開発に携わった甲斐と荻田による解説も交えながら、予測結果の活用方法について説明します。

甲斐 良男(カイ ヨシオ) / 事業企画室 専任課長

2007年入社。当社のマーケティングデータを活用したビジネスレポ―トの企画・制作や他社とのアプリ開発などオープンイノベーション活動にも尽力。AI店舗開発においては、開発プロジェクトの初期段階から協業開発(株式会社MILIZE)含めたプロジェクトメンバーの窓口を担う。また、AIの学習用データ検証やクレンジング作業を担当し、PoC※における精度検証などに従事

※PoC・・・新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること

荻田 有佑(オギタ ユウスケ) / 事業企画室 専任課長

2022年3月入社。過去に従事していた企業で新規事業創出などに携わった経験を活かし、当社の新たな事業の創出を担う。今回のAI店舗開発では、PoC後に本プロジェクトに参加。プロトタイプの検証から、サービスリリースに向けたUIや細かな仕様見直しなど、AI店舗開発が持ち合わせている機能をより引き出すことに従事

—―AI店舗開発を使用した際に出力される売上予測金額はどのように算出されているのでしょうか
AI店舗開発内の実際の画像
荻田

この時点で分かる予測金額というのは、開業初年度の年商を12等分した値になります。開業初年度の売上予測値を算出することで、物件のポテンシャルを把握することができます。予測金額は、これまで当社が出店支援や業務委託などの事業を行ってきた中で集計した独自のデータに基づいた値です。有名店・個人店など、店舗のポテンシャルは一切関係なくフラットな状態で算出されるため、あらゆる飲食店事業者のみなさまに使用していただける仕様となっています。

—―商圏情報の分析結果として算出される「売上予測に影響する上位20位の項目」の数値は、どのように利用したら良いのでしょうか
AI店舗開発内の実際の画像
荻田

上位20項目は、AIの学習に使用した売上データや商圏のデータから、売上金額への影響が大きいと分かった項目です。例えば「飲食店事業所数」は、駅徒歩5分以内の飲食店舗数を表しており、駅周辺の飲食店を利用する人が多いのか少ないのかをジャッジする材料となります。その他、各年齢層の人口や増減についても細分化した項目を設けています。ご自身が想定しているターゲットと実際の商圏の状態を数値で比較し、開業に向けて業態やメニュー等の詳細を決める際の判断材料として使用することができます。

甲斐

飲食店事業者の多くは、予め事業計画を立て物件も検討した上で出店されているかと思います。一方で、物件の最終的な見極めに関しては、“感覚頼り”になっていた部分も多くあったのではないかと考えます。これまで熟練した物件開発担当者の感覚やご自身で培った経験など、“勘”のようなものに頼っていた部分を、AI店舗開発により数値化して提示します。そうすることで、より客観的な判断材料が、早期に入手できると考えております。AI店舗開発を通じて、物件のポテンシャルと商圏情報とを参考に、ご自身のつくりたいお店とマッチするのか、不安に感じている部分を確信に変えた上で出店していただければと思っています。

AI店舗開発を、より多くの方が使いやすい形にしていきたい

—―今後、AI店舗開発をどのようなサービスにしていきたいかなど、今後の展望について教えて下さい
荻田

より便利に、より多くの方に使っていただけるように、今回のものを完成品とせず、バージョンアップしていきたいと考えています。現時点では、予測できる業態が限られているので、例えば他の業態でも対応できるようにしたり、商圏情報の機能も具体的にどれくらいの影響があるのかを金額で表したりなど、機能面の拡充を図りたいです。
多くの飲食店がAI店舗開発を活用し、良い物件で繁盛する店舗が増えることにより、飲食業界、そして街全体の活性化に繋がれば嬉しいです。そうすることで、私たちのコーポレートスローガンである「明日の街、もっと楽しく。」の実現にも繋がると考えています。

甲斐

将来的にはAI店舗開発が国内の飲食店出店に限らず、日本の飲食店の海外出店や新築ビル建設の際にも活用されるようになるなど、さまざまな業界で利用されるようになることで、より有益なものになると考えています。空想を現実にすることは難しいかもしれませんが、まずは現状に最善を尽くし、お客様一人ひとりの満足に努めていきます。その上で、いつか実現するチャンスが訪れることを期待しています。
また、我々でも想定していなかったAI店舗開発の活用方法など、利用者目線から生まれる発想でサービスの可能性もより広がると思っています。新たな価値やサービスを提供できるよう、利用者の意見や発想に耳を傾け、より良いサービスを探求していきたいです。

すべての飲食店経営者の利用を叶えるAI店舗開発。今後も飲食業界を盛り上げるべく、さらなるアップデートを視野に走り続けてまいります。