調理師専門学校はどんなところ?短期間で戦力になる人材を個人飲食店で採用するポイント

こんにちは。過去に飲食店の人材採用を行っていた経験から、これまで飲食業界のリクルートに関連する記事を書いてきましただめたもりです。
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今回取り上げるのは「調理師専門学校」の話。
もしかすると飲食店を経営されている方の中にも、調理師専門学校を卒業したという方がいらっしゃるかもしれません。一般的には、調理師専門学校の生徒を個人の飲食店で採用することは難しいとも言われていますが、実はそれもコツ次第だったりします。
 

 

調理師専門学校とはどんなところ?

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まずは調理師専門学校がどんなところかを、改めてご説明しましょう。
調理師専門学校の最大の特徴は、卒業時に調理師としての免許が取得できることです。
調理師専門学校と聞くと、“料理人やパティシエを目指す人のための学校”というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実は、学校や科・コースによって目的が違い、栄養士、料理研究家、フードコーディネーター、ソムリエやフードライターなど、選べる道は多岐にわたります。
 
講義内容は、調理実習だけではなく、免許取得のための食品衛生学や栄養学などの座学もしっかり取り入れています。また、各学校が独自の特色を出すために、一般教養や英語の授業を取り入れたり、併設するレストランでのサービス実習や、百貨店とのコラボ実演販売なども行っていたりします。
 
現在日本全国に170校以上の調理師専門学校があり、もっとも多くの学生が在籍しているのは、大阪天王寺にある辻調理師専門学校です。製菓専門学校、東京校などの姉妹校と合わせて、2,200名程の学生が在籍しています。それに次ぐのが、栄養専門学校と合わせて約900名弱が在籍する、池袋の武蔵野調理師専門学校。他にも100名程度の規模の学校もあり、その種類や個性は学校によってさまざまです。
 

時代の波に苦戦するも、企業からの採用人気が高い調理師専門学校

東京都内には、製菓専門学校を除いて20の調理師専門学校がありますが、近年、多くの学校が学生集めに苦慮しています。
理由としては、少子化、大学進学率の向上、高校生の著名企業就職の増加が挙げられるのですが、定員の半数程度しか集められない学校もあり、一部では遊休施設を使って料理教室を開くなどの対応策をとっているほど。学生集めが企業でいうところの売上にあたるため、経営状況の改善にあらゆる手段を講じていますが、現実は容易ではないようです。
 
前述のとおり、調理師に必要な免許を取得している点や、基礎的な調理法を学んでいる点をふまえると、一般の人を雇った場合と比べて、より短時間で戦力として働いてもらえることになります。そうなってくると、各飲食企業がこぞって採用活動に乗り出すことは容易に想像できますよね。調理師専門学校の生徒が“高嶺の花”と言われる理由はそこにあります。
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調理師専門学校の就職率は、ほぼ100%

次に、調理師専門学校の就職状況をみていきましょう。
 
飲食業界は慢性的に人手不足という背景もあり、各校とも就職希望者の就職率は、ほぼ100%であるのが現状です。
特に有名ホテルや西洋料理店への就職が人気で、最近では集団給食施設への就職も増加傾向にあります。また、女性を中心に製菓店でパティシエの道へ進んだり、製パン関係へ就職する人も多いです。しかしながら一流ホテルの希望にかなう就職先は、狭き門となっているのが現状です。
 
一方、和食店はブームのわりに、各校平均して12%程度となっています。すし屋や中華料理店はさらに希望者が少なく、毎年数%の就職者しかいないのが実状です。
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調理師専門学校の学生から見た、大手飲食企業と個人店就職へのメリット・デメリット

学生たちは、きちんと自分を育ててくれる職場かどうかも重視して就職先を選んでいます。
学生目線から見た、大手飲食企業・個人経営の飲食店で働く際のメリット・デメリットをまとめてみました。
【大手飲食企業の特徴】
■メリット
・企業としての福利厚生が整っている
・仕入れや食材の良し悪しなどの知識から、調理技術の知識まで、じっくり時間をかけて教えてもらえる
・高い技術力が身につく
・一流のホテルやレストランで修行をしたという実績が残る
■デメリット
・1〜2年は雑用として扱われることが多い
・実際の調理台に立てるまでに時間がかかる
 
【個人経営の飲食店の特徴】
■メリット
・実務経験のない人材でも、実務に触れられる機会が早く訪れる
・保険関係の制度が企業として整っている
・将来独立がしやすい
■デメリット
・大手飲食企業と比べて、修行を積むなどの実績が残らない
・調理に関する知識をどこまで習得できるかは、個人店オーナーの力量に左右される
 
このように、それぞれのメリット・デメリットは大きく違うのですが、時間はかかってもしっかりと経験を積み、大手の飲食企業で働きたいと希望する学生が多いのが現状です。

調理師専門学校の生徒を採用するにはどうしたらいい?

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以上のデータを見ていくと、個人経営の飲食店が調理師専門学校の生徒へ求人をかけても、採用の見込みはあるのだろうか…と、少し不安に思ってしまいますよね。
調理師専門学校からの人材採用は高嶺の花と言われていますが、しっかりと関係性を築けば、まったく望みがないわけではありません。調理師専門学校の生徒を、実際に募集する方法を紹介してみたいと思います。
 

調理師専門学校の生徒の採用・募集方法

募集方法は至って簡単。学校別の求人票に必要情報を記載して提出するだけです。
しかし、ただ提出しただけでは知名度のある大手飲食店でない限り、そう簡単には良い人材を集められないかもしれません。大事なことは、そこから学校側と関係値を築いていくことです。学校との縁づくりの機会として以下のようなものがあります。
 
①5月頃:学校別求人票の作成・提出
まず、学校別に用意されている求人票を作成して提出します。提出時期は、各校で就職ガイダンスが行われ、学生が就職活動を本格化する5月頃が適切でしょう。ここで重要なのは、求人票を送付するのではなく、直接学校に持参して、就職担当者に会うことです。
学校では教務課が窓口になっていることが多いのですが、学校によっては講師が就職担当者を兼ねている場合もありますので、アポをとってからの訪問がベターです。
話の内容としては、自社(自店)の育成方針や営業内容、独立支援などの制度があれば、その説明を行います。ただ、担当者はさまざまな求人依頼を受けている場合があるので、他の企業との差別化を図るためにも、独自の制度や取り組みをアピールしていくと効果的です。
また、多くの学校は6月から7月にかけて学内説明会を実施しますが、説明会に参加できる企業は限定されるので、ここに食い込むのは難しいです。
 
②10〜2月頃:学園祭や作品展へ顔を出す
求人票を持参する方法以外にも、学園祭や作品展などで就職担当者と会う方法もあります。
ほとんどの調理師専門学校では、10月~2月頃に、学生たちが自分の料理作品を披露するための学園祭や作品展が開催されています。特に1~2月は卒業作品展が中心となっているため、学生の力作が見ることができます。学校関係者以外の一般の方でも学校に出入りができる、数少ない機会です。
学園祭と作品展を併せて開催する学校もあるため、ホームページなどで開催日時を確認しておくと良いでしょう。
 
また、上記の催し物の他に、ほとんどの調理師専門学校が加入している、全国調理師養成施設協会(全調協)主催の調理技術コンクール全国大会というものがあります。
この大会は、別名「グルメピック」とも呼ばれている調理師専門学校最大級のイベントで、全国7地区の予選を勝ち抜いた和・洋・中の作品が展示される様は圧巻です。この大会には、ほぼすべての学校関係者が訪れているため、リレーション構築を図る上での絶好の機会でもあります。
 
今年は2月26日(水)に池袋のサンシャインシティで開催されます。ぜひ、この機会に足を運んでみてはどうでしょう。

(2/26 追記:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年度コンクールの一般公開が中止となりましたのでご注意ください。)

■2020年調理技術コンクール全国大会(グルメピック)情報
開催日 :2020年2月26日(水)
開催場所:サンシャインシティA-1展示ホール(盛付作業・展示会場)
詳細URL:https://www.jatcc.or.jp/concour

 

終わりに

学校の就職担当者と関係を築くことで、ホテルや著名企業だけでなく、個人経営の店舗でも実際に学校の推薦就職先として紹介された実例もあります。
どの飲食企業でも人手不足のこのご時世。こうしたところから、少しでも前向きに取り組んでみてもよいのではないでしょうか。
 

だめたもり

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