和食は想像以上のパワーを秘めていた!味噌やだしの健康効果や郷土料理の誕生由来とは?

和食とは。健康効果とうま味を倍増させる出汁(だし/ダシ)と、たくさんの栄養が摂れる味噌を基本とし、日本の四季の変化が恵む食産物による一汁三菜といった特徴がある。外国人観光客が最も期待する「日本食」の健康効果と、和食の基本、栄養バランス、都道府県による味噌の違い、ユネスコ無形文化遺産に登録された世界に誇る日本の食事、日本の郷土料理についてご紹介します。

日本の伝統料理である和食。2013年には、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。和食のすばらしさは周知の事実ですが、実は、平成28年の観光庁の調査では、外国人観光客が日本に旅行をする際に最も期待しているのは、日本の食事だという結果が出ています。

今回は、和食についての基本、栄養バランスや都道府県による味噌みその違い、和食ならではの健康効果についてご紹介します。
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和食とは?

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された世界に誇る日本の食事。それでは特徴を見ていきましょう。

特徴1. 多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。
 
特徴2. バランスがよく、健康的な食生活
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っています。
 
特徴3. 自然の美しさの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。
 
特徴4. 年中行事との関わり
日本人の食文化は、民族の年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆が強くなるのです。
 
農林水産省より


四季があり、南北に長いため国内でもさまざまな気候が特徴な点が、食文化にも生きていることが分かります。まさに和食は日本文化といえますね。
 

日本の四季が恵む食

日本は四季の変化が明瞭であり、温暖で多湿な気候です。また、平野より山が多く地形が複雑なので、その地形や気象条件の違いなどにより、さまざまな食産物が育まれてきました。
それでは、季節ごとの食の恵みを見ていきましょう。
 

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芽吹きの季節である春に摘み取れるのが山菜。春の山菜や野菜に含まれる苦味には、新陳代謝をよくし、味覚神経を敏感にさせる働きがあります。
 
代表的な春の食材
わけぎ、わらび、ふき、たらの芽、菜の花、春キャベツ、ほうれんそう、たけのこ、きぬさや、たい、あさり、はまぐり
 

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夏は、水分を多く含んだ野菜が旬となる季節。湿気が多く蒸し暑い日本の夏に旬を迎える野菜には、暑さで火照った体を冷やす役割があります。
 
代表的な夏の食材
なす、かぼちゃ、きゅうり、ゴーヤ、とうがん、かつお、うなぎ、いわし、とびうお
 

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実りの季節の秋。「食欲の秋」ともいわれるように、でんぷん質をたっぷり含んだいも類をはじめ、きのこや甘い果物などたくさんの食材が旬を迎えます。北から南下してくるかつおやさんまは脂がのり、一年で一番の食べ頃を迎えます。
 
代表的な秋の食材
さといも、まつたけ、さつまいも、じゃがいも、りんご、柿、くり、さけ、さば、さんま
 

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冬は、根菜と葉物野菜の季節。寒さやみから身を守ろうと、野菜は糖分を蓄えるので甘くなります。野菜だけではなく、魚介も寒さから身を守るために脂肪を蓄えるので、味もよくなります。
 
代表的な冬の食材
大根、れんこん、ごぼう、かぶ、白菜、ねぎ、にんじん、牡蠣かき、ぶり、たら、かれい、ふぐ

和食の基本!一汁三菜

和食の基本である一汁三菜は、主食のご飯、主菜に魚介類、副菜・副々菜には野菜・海藻かいそう・いも・豆類など、汁には味噌汁、それに香の物をプラスした食事のこと。
 
今では一汁三菜は健康的な食事といわれますが、戦前は一汁一菜が基本で、一汁三菜はハレの日の食事でした。現代では、ダイエットのために糖質制限ダイエットと称し、炭水化物を減らしたり抜いたりする人が多いですが、和食の基本は、「白ご飯を食べる」ということ。
つまり、おかずやお味噌汁は、ご飯の味を引き立たせるために存在しているということなのです。

一汁三菜の配膳の仕方

 
一汁三菜の配膳の仕方は図の通り。和食は、ごはんと汁物、またはごはんと主菜・副菜、というように、ごはんと他のおかずを交互に食べます。これを「口内調味」といい、「白ご飯を食べる」和食の食べ方です。
 
一日に必要なカロリーの半分以上をご飯から取る日本の食事は、欧米人の間でも人気を集めています。穀物を食べる量を増やすことで、脂質から取るカロリーを抑えられるため、肥満や心臓病の予防に効果的だと評価されているのです。

和食のもとになる日本の調味料

5つの味覚といえば、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味。5つ目の味覚、「うま味」の成分は日本人が発見したため、海外でも「UMAMI」と呼ばれ、国際的に使われており、世界の料理に影響を与えています。

出汁(ダシ)の秘密に迫る!

お味噌汁を作る時や煮物を作る時、私たち日本人は、かつおぶしや昆布でとった出汁をあたりまえのように使いますが、このだしこそ健康面においてとても優秀なものなのです。そんなだしの秘密がこちらです。
 
だしの秘密その1 健康効果がある
かつお節と煮干しにはイノシン酸、昆布にはグルタミン酸、干しシイタケにはグアニル酸が含まれます。これらはすべて、うま味のもとになるアミノ酸。このアミノ酸は、うま味のもととなるだけでなく、頭脳力の向上にも役立ち、記憶力や創造力を高めます。
だしとなる各食材に健康効果がありますが、一番よく使うかつお節には、人体が毎日コンスタントに必要とする必須アミノ酸がすべてバランスよく含まれており、昆布のぬめり成分には抗酸化作用、免疫力の強化、血栓の防止などの作用があります。
 
だしの秘密その2 合わせ出汁でうま味は倍増
かつお節や昆布や煮干しなど、だしの食材は他のだしの食材と組み合わせることで、うま味がさらに増します。よく使われるダブルだしである「かつお節×昆布」であれば、うま味はなんと約7倍にもなるのです。
 

どこの地域の味噌がお好み?全国味噌マップ

味噌は、だしと並んで和食の味を支える基本調味料。味噌とひとくちに言っても、使われる味噌は、米味噌・豆味噌・麦味噌と、地域によって違いがあります。

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米味噌・・・大豆に米こうじと塩を混ぜて作る
豆味噌・・・大豆と塩のみで作る
麦味噌・・・大豆に麦こうじと塩を混ぜて作る
 
このように、各地域で使われる種類の異なる調味料ですが、味噌は古くから「味噌の八徳」といわれてきました。
その8つとは、「骨を丈夫にする・物忘れを防ぐ・イライラを防ぐ・病気を防ぐ力が強くなる・胃の調子を整える・血液のめぐりをよくする・整腸効果を高めてくれる・実の三種は身の薬」というもの。実の三種は身の薬、というのは味噌汁の作り方のコツで、三種類以上の実(具)が入った「具だくさんの味噌汁」は、ビタミンやミネラル、食物繊維など、たくさんの栄養が摂れるため、身体の薬になるという意味です。
昔から、日本人の健康を守る食品として重宝されてきたことがわかりますね。

誕生の由来もさまざま!日本の郷土料理

日本は地域ごとに気候が異なるため、各地でさまざまな食文化が生まれたことも和食の特徴といえます。それが、現代でも受け継がれている郷土料理なのです。
 
ほうとう(山梨県)
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麦を麺にして、季節の野菜とともに煮込んで食べる料理。麦を使う麺ですが、うどんとは少し異なり、ほうとうの麺は、打った後に寝かさずすぐに切って煮込みます。そのため、麺は少し煮崩れしてしまいますが、この煮崩れした麺と味噌がまざるのがほうとうのおいしさなのです。
 
いぶりがっこ(秋田県)
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秋田の方言では、「がっこ」は漬物のことで、いぶりがっことは燻製くんせいにした漬物のことです。秋田は、日照時間が少なく降雪が多いため、大根を十分に天日干しができなかったため、囲炉裏いろりの煙でいぶし、保存食とされました。
 
西京漬(京都府)
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京都の白味噌である、「西京味噌」につけた魚を焼いた料理。京都は海から遠いため、魚の鮮度を保つのが難しかったのですが、味噌に漬け込んでつくることで日持ちを可能にしました。まさに、先人の知恵が作り出した料理といえます。
  
冷や汁(宮崎県)
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魚のすり身に味噌とゴマを混ぜた物を焼き、だし汁で伸ばしたものに、きゅうりと豆腐を加えたものを、ごはんにかけて食べる料理。薬味として、みょうがや大葉をのせることも多いです。
もともとは、忙しい農家の人が手早く食べられ、かつ栄養をとるために作られていた料理です。
  

まとめ

幼いころから慣れ親しんできた和食ですが、これまでの日本の歴史の中で生まれた文化や、さまざまな面での健康効果を再発見できました。
今回ご紹介した郷土料理は、ごく一部。それぞれの地域でそれぞれの歴史があり、その背景に誕生して今も愛されている郷土料理が日本各地にはたくさんあります。
移ろう四季と、地形の違いにより異なる食文化をさらに楽しめるといいですね。
 

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店通編集部/ぴのこ

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■参考文献
奥村彪生『郷土に根ざした伝承の技と味に学ぶ 和食の基本がわかる本』
永山久生『なぜ和食は世界一なのか』

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