こんにちは。菫青石です。
前回の食品サンプル工場見学取材の帰り、店通-TENTSU-編集部メンバーと「暑い!ビールが飲みたいー!」と言いながら会社に戻ったのですが、その時からすでに次回はビール工場の見学ができたら良いな、なんてたくらんでいました。
あれから1年、編集部と記事の打ち合わせをしながら、ビール工場見学なんてどう?と提案。そして真っ先に思い浮かんだのが、無料で見学から試飲までできると大人から子どもまで大人気のサントリーさんのビール工場でした。
東京・武蔵野にあるサントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野ブルワリーは、無料のガイドツアーが開催されており、都心や関東近郊からもアクセスが良好。ビールを飲めないお子様にも、夏休みの自由研究にはもってこいの題材なんじゃないでしょうか。
今回は実際にこちらのガイドツアーに参加し、ビールづくりの話を聞いて学んだことや、ツアーのレポートをお伝えしていきます!
続いて第二弾・講義編では、ビールの素材とつくり方におけるこだわり、第三弾・飲食店編では、飲食店でおいしいビールを提供するための秘訣について。以上全3回に分けてお送りしたいと思います!
バスに乗り込み、サントリーの工場見学・ガイドツアーへ!
やってきたのは、JR南武線と京王線が乗り入れる分倍河原駅。駅前のシャトルバス乗り場で待っていると、ザ・プレミアム・モルツのデザインを施したシャトルバスがやってきました。バスに乗り込み、約10分の道のりを経て工場に到着です!

本来のガイドツアーは、約40人単位でおこなわれますが、今回は店通-TENTSU-取材ということで特別に個別でご対応いただくことに。(ありがとうございます…!)
このツアーでは、サントリー様の看板商品である、ザ・プレミアム・モルツの製造工程を追いかけていきます。ガイドをしていただくのは、醸造技師長の西川様、ツアーガイドの五十嵐様です。よろしくお願いします!

①ビールの基礎!天然水、麦芽、ホップについて学ぶ
まずツアーのはじめに、ザ・プレミアム・モルツこだわりの素材である、天然水・麦芽・ホップについて勉強していきます。麦芽とホップは、実際の素材も見ることができるので、とてもわかりやすい!ビールの約90%を占めている水。その水にもこだわりを持つザ・プレミアム・モルツは、自然の地層によって磨かれた天然水を使用してつくられています。その関係で、サントリーのビールは、良質な天然水の採れる利根川、武蔵野、京都、阿蘇でしかつくっていません。天然水醸造により、他の素材のうまみをしっかりと引き出すことができるのだそうです。

豊かな味わいが特長の二条大麦麦芽に、チェコや周辺国で採れる希少なダイヤモンド麦芽を加えるのがポイント。


ホップは病害虫に弱く、雨量が多く湿度の高い日本ではあまり栽培されていないため、ドイツやチェコなどの欧州産が使用されています。
ホップという言葉は聞いたことがあっても、実物を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。ホップの蔓の高さは7~8mくらいになり、その蔓になる花のような「毬花」という部分を乾燥させ、ペレット(粒子状にして固めたもの)にして輸入してきます。
素材の話だけでも、厳選された良い素材だけを使用して作られている“こだわり”が伝わってきますね。
②ついに工場内へ!仕込エリア
ビールの素材について学び、仕込のエリアへと進んでいくと、いきなり大きな釜が出現!まずは説明動画で基本的な仕込工程を勉強してから、実際の設備を見学していきます。

この「仕込」については、後ほどおこなわれる座学でも詳しく勉強していきますが、この大きな釜の中でどんなことが起こっているのか、説明していきましょう。
温めた天然水にくだいた麦芽を加え、麦芽中のでんぷんを糖に分解し、麦のジュースである麦汁をつくります。さらにその一部を、巨大な仕込釜で2度煮出すことで、より濃厚な麦汁を作っていくのです。
これがザ・プレミアム・モルツこだわりの「ダブルデコクション製法」と呼ばれる製法です。
さらにこの濃厚な麦汁にホップを加えて煮沸をおこなうことで、ホップ特有の香りと良質な苦味をプラスしていきます。
引き締まった苦味を抽出するアロマホップと、上質で華やかな香りを引き出すためのファインアロマホップを、それぞれ最適なタイミングで投入していくのですが、この独特の製法を「アロマリッチホッピング製法」と呼ぶのだそうです。
CMなどでいつも目にしていたこの製法、実際に話をうかがって「こういうことだったんだ!」と納得しました。


機械だけに頼らず、一つひとつの工程がプロの目でチェックされながら作られているのがわかります。

③続いて発酵エリアへ
次は、仕込エリアから発酵エリアに移ります。ここは麦汁に酵母を加えて低温で発酵していくエリアですが、24時間体制で温度等が管理されているそうです。


最近CMや飲食店でもよく目にするようになった「神泡」についても、ここで説明があります。
泡の役割は主に4つ。「口当たりを良くする」「炭酸ガスを逃がさない」「味・香りを逃がさない」「酸化を防ぐ」というもの。
特にこのザ・プレミアム・モルツが研究の末にたどり着いた「神泡」は、きめ細かな泡がしっかりとフタの役割を果たしてくれるので、時間が経ってもおいしくビールを味わうことができるのです。このクリーミーな泡体験は、第三弾の回にてお伝えしていきますね。
④仕上げの工程「貯酒・ろ過・パッケージング」

ここからは貯酒の説明を受けます。貯酒とは、発酵が終わった若ビールを熟成、安定化させる工程で、この期間を設けることによって、オリ(沈殿物)が沈んでまろやかになるのだとか。
そして、説明を受けたあとこの扉が開くと…。

そこにはまるで宇宙船のような通路が!ここは以前貯酒に使用していたタンクを見学通路として使用しているのだそうです。

せっかくなので記念撮影しておきましょう。
そしてこのトンネルを抜けると、次の工程であるろ過のエリアへ。

貯酒が完了したビールを、何層にもなっているフィルターに通しながらろ過をしていくのですが、オリや役目を終えた酵母も取り除いていきます。
ここまでの工程を経て、ようやく最後にパッケージングです。
まずは缶を洗浄し、炭酸ガスを注入。酸化を防ぐため、酸素を追い出してから完成したビールを充填します。

ザ・プレミアム・モルツではなかったのですが、ちょうど別の商品が工場ラインに流れていました。
こんなにたくさんの工程を経て、ビールを愛する方々の元へ届けられていくんだなぁ…なんてことを思いながら眺めてしまいました。
製造工程の見学はここで終了です!
ただただ作られている現場を見るのではなく、展示や動画も混じえながら、そしてガイドの五十嵐さんの丁寧な説明のおかげでしっかりと理解することができました。
ガイドツアーの最後は、至福の時間!
そしてここからはお待ちかねの試飲タイムです!ここまでビールのつくり方をじっくりと勉強したからこそ、飲みたい気持ちがMAXにきていました。

今回は私たちだけですが、こちらが試飲の会場となっています。
照明の部分に、以前仕込で使われていた釜を発見!こうして装飾の一部として使うとオシャレに見えますね。

試飲で選べるのはこちらの3種類。
「ザ・プレミアム・モルツ」「ザ・プレミアム・モルツ〈香る〉エール」「〜ザ・プレミアム・モルツ〜マスターズドリーム」の中から好きな銘柄が選べます。
どれにするか迷いますが、ここはやはり先ほどまで製造工程を追いかけてきた「ザ・プレミアム・モルツ」一択でしょう!

五十嵐様の注ぎ方のテクニックもあいまって、見学の後のビールは一段とおいしく感じました・・・
おみやげも充実。ここでしか買えないブルワリー限定グッズも!
せっかくこうして工場見学に来たのなら、記念のものが欲しい気持ちになりませんか?そんな方のためにも、エントランスにきちんとブルワリーショップが用意されています。

定番の「ザ・プレミアム・モルツ」シリーズはもちろんのこと、東京・武蔵野ブルワリーでしか作られていない「TOKYO CRAFT」も売られています。

お酒や食べ物の他にも、東京・武蔵野ブルワリー限定グッズなんかも。クールなデザインがかっこいい!

その他にもビールにぴったりなおつまみや、麦芽を使用したお菓子など、種類はさまざま!
私たちもさっそくお買い物!といきたかったのですが、次に座学講義が控えていますので、いったんおあずけです。
通常のガイドツアーはこれで終了。本当にこれが無料のツアー?と思ってしまうくらいしっかりした内容で、おまけに試飲の時間まであって、とても大満足です!
次回は、ビールの味・ブランドを守り続ける“醸造技師”のお仕事についてフォーカスしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!
▼第二弾・第三弾の記事はこちらから!
工場見学の予約は下記のリンクから行えます。ぜひこの機会に足を運んでみては?↓


JR南武線・武蔵野線「府中本町駅」より徒歩約15分
住所:東京都府中市矢崎町3-1
予約受付電話:042-360-9591(9:30〜17:00受付)
営業時間:9:30〜17:00
休業日:年末年始・工場休業日(臨時休業あり)
www.suntory.co.jp
菫青石
