”土用の丑の日”の由来とうなぎの秘密!うなぎはプロモーションの成功事例!!

皆さん「うなぎの旬」がいつかをご存じでしょうか?
 
毎年夏が近づくと街中やスーパーなどで”土用の丑の日”どようのうしのひなんて文字を目にするので、「夏が旬でしょ?」と思われている方は多いのではありませんか?
実は、うなぎの旬は冬なのです。
 
では、なぜ現在のように”土用の丑の日”にうなぎが食べられるようになったのでしょうか?
今回店通で初めての記事を書かせていただくにあたり、土用の丑の日も近づいたこの時期に、大好きなうなぎについて調べてみました!

この記事を読んで、少しでもうなぎのことを知っていただけたら幸いです。
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”土用の丑の日”とうなぎの関連性とは?

そもそも、”土用の丑の日”とはどのような意味があるのでしょうか?そして、なぜその日にうなぎは食べられるようになったのでしょうか?
今や当たり前のように日本食として親しまれているうなぎですが、いつ頃から食べられ始めたのでしょうか?
 
うなぎの蒲焼かばやきの、あの甘くこおばしい香りは思い出せても、知らないことばかり…。

まずは、今年も間もなくやってくる”土用の丑の日”について調べてみようとおもいます!
 

1、”土用の丑の日”ってどんな日?

「土用の丑の日」について理解するには、「土用」と「丑の日」それぞれの言葉の意味を知る必要があります。

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はじめに「土用」について説明をします。
中国の戦国時代の頃、1年を24等分し季節を表す名前をつけた”二十四節気”という暦の区分手法が誕生しました。
陰陽五行説では、四季を火・水・木・金・土の5行に割り振っているのですが、四季ですから必然的に”土”があぶれてしまいます。
そこで”土”は各季節の間、それぞれの季節の始まりである立春・立夏・立秋・立冬の直前約18日間を指す言葉として使われるようになりました。
この時期は、土の気が盛んになる時期と考えられ、土を動かしたり、穴を掘ることが避けられていました。
 
「土の気がさかんになり事を用うる」、「土旺用事」どおうようじとされ、それを省略し「土用」という言葉が誕生したのです。
長々と説明してしまいましたが、要するに”季節の変わり目”の頃にやってくるのが土用なのですね。
 
 

2、”丑の日”の由来は十二支から

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「丑の日」に関しても、もともとは中国から伝来したもので、日にちや方角などを十二支に当てはめて考えたとき、丑にあたる日のことをさします。つまり、12日に一度は丑の日がやってくることになりますね。
「土用の丑の日」についてまとめると、各季節の変わり目、18日間の間にやってくる丑の日のことということがわかりました!
 
ちなみに今年の夏時期の土用の期間は7月20日(土)からの18日間となり、丑の日が27日(土)となるため、7月27日(土)が土用の丑の日になります。
 
土用の丑の日の言葉の謎が解けたところで、いよいようなぎのルーツと、うなぎの持つ栄養価に着目してみようと思います。
 

驚きの歴史!うなぎは『万葉集』の時代から食べられていた!

うなぎに関連した記録のうち、日本で最も古いものは縄文時代の貝塚から出土された骨で、その時代既に、日本でうなぎが食べられていたことが分かっています。文献では、『風土記ふどき』や、新元号のゆかりとなった『万葉集』にもうなぎは登場しています。
こと『万葉集』に関しては大伴家持おおとものやかもち(718年頃~785年)がうなぎに関する歌を二首も読んでいるので、紹介させていただきます。
 

石麻呂に われ物申す 夏せに 良しといふものぞ むなぎ
                      『万葉集』大伴家持  巻16‐3854
す痩すも 生けらばあらむを はたやはた むなぎると 川に流るな
                      『万葉集』大伴家持  巻16‐3853

  
一首目冒頭の”石麻呂”とは吉田連老よしだのむらじのおゆという老齢ろうれいの痩せた男性のあざなのことで、二首ともにこの男性に向けられた歌になります。この2人、親しい間柄だったようで、どれだけ飲んで食べても全然太らず、栄養不足かのような痩せた容姿をしていた吉田連老に対して、一首目では夏痩せ(夏バテ?)にうなぎを食べたらどうか?とうたっています。(詳しくはぜひ『万葉集』をご覧になってみてください。)
このように、どうやらこの頃からうなぎは滋養強壮じようきょうそうに良い食べ物と知られていたようです。

ですが、この頃はまだ夏にうなぎを食べる風習があったわけではないようです。
それでは一体何がきっかけで夏にうなぎを食べる習慣ができたのでしょうか?

そこには、日本で最初のあるこころみが関わっていることが判明しました。
 

”土用の丑の日”は日本で最初のキャッチコピー

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江戸時代の有名な蘭学者らんがくしゃ”平賀源内”ひらがげんない(1728~1780)という人物がいます。”エレキテル”(当時オランダで医療器具として用いられていた摩擦により静電気を起こす機械)を修理・復元したことで一躍有名となった人物です。

夏場の売り上げ不振に悩んでいたうなぎ屋が、当時多彩な分野で活躍していた源内に相談したところ、源内は店前に「本日土用丑の日」と張り出すことをすすめました。昔から夏の土用の時期は暑さが厳しく、「精のつくもの」を食べて夏バテを防ぐ習慣がありました。くわえて、「丑の日に『う』の字がつく物を食べると夏負けしない」と信じられていたこともあり、”土用の丑の日”は一般に広まっていったのです。
同時期に活躍した文人で狂歌師きょうかし大田 南畝おおた なんぽ(1749~1823)が発案したという説もありますが、いずれにしても、「土用の丑の日」という日本で最初のキャッチコピーは大いに効果を発揮し、現代に至るまで浸透することになったのでした。
 

うなぎはすごい食材!?豊富な栄養の源だった

そうして世に広まった、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣ですが、実際のところ本当にうなぎは夏に適した食べ物なのでしょうか?
 
うなぎの栄養価について調べてみると、うなぎにはビタミンA(レチノール)、B1、B2、D、EやDHA、EPA、 ミネラル(鉄、亜鉛、カルシウム)など多くの栄養素が含まれています。
特に多く含まれるビタミンA眼や皮膚、粘膜を正常に保ち、視覚障害の予防・カロチンの吸収を助けるなどの効果があります。
また、抗酸化作用もあるため肌の老化を防ぎ、がん・老化・免疫機能の低下につながる働きをおさえてくれます。
他にも、ビタミンB群には疲労回復効果があるので、まさに疲れやすい夏に適した食材というわけです。
 
一方で脂質も多いうなぎですが、うなぎに含まれる脂質は多価不飽和脂肪酸たかふほうわしぼうさんといい、牛や豚、鳥など動物性の脂質とは異なり、常温でもサラサラで、体内でも液体の状態を保ちます。特徴として、悪玉あくだまコレステロールを減らし、善玉ぜんだまコレステロールを増やす作用があり、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節してくれることがあげられます。
ビタミンAやミネラルが豊富で、栄養価が高く、バランスが良いうなぎですが、ビタミンCや食物繊維は取れないため、うなぎを食べる際は、野菜と一緒に食べるようにすると、より健康や美容への効果が期待できるでしょう。

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季節を問わず、おいしく食べられるようになったうなぎ

豊富な栄養素と、長い歴史の中で愛されてきたうなぎですが、しょうゆとみりんで味付けされた現在の蒲焼が登場したのは江戸時代のことでした。季節を問わず食べられてきたうなぎですが、夏にうなぎ屋の売り上げが落ちたのは、やはりおいしくなかったから。
では、現在はなぜ夏でもおいしいうなぎが食べられるのでしょうか?理由の1つとして、養殖の技術が進歩したことが挙げられます。
次は、そんな”養殖うなぎ”と、今では大変貴重な”天然うなぎ”の違いについてみていきたいと思います。
 
天然うなぎの獲れる時期は、例年5月頃から12月で、その中でも特においしい季節は、水温が下がり始める10月頃です。冬眠に向けて栄養を蓄えたうなぎが、産卵にむけて川を下ってくるためと言われています。
このような天然うなぎは、生息する環境により大きさや脂の乗り具合にも違いが生じます。水温やエサなどがうなぎの成長に大きく影響してくると言われており、移動を頻繁に行ううなぎよりも同じ場所に居つくうなぎのほうが香りや癖が強くなります。また、養殖うなぎよりも運動量が多くなるため、身に弾力があり、小骨も柔らかくなります。
 
一方、現在の主流である養殖うなぎは、土用の丑の日に併せて育てられているため5月から8月頃が旬と言われています。ですが、実際は年間を通して温度管理がされたビニールハウスの中で育てている業者も多く、今や1年を通しておいしく食べられるようになっています。
養殖も育った環境によって品質に違いがありますが、天然うなぎのような自然の風合い(泥臭さのようなもの)がないため幅広い層の人がた食べやすくなっています。
このように、さまざまな工夫によって今では旬に限らずおいしいうなぎが食べられるようになりました。これも、土用の丑の日プロモーション効果かもしれません。

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絶滅の危機!?うなぎは食べられなくなってしまうの…?

近年、うなぎが激減しているというニュースを耳にしたかたもいると思います。
それに呼応するかのように価格も高騰しており、江戸時代とは打って変わって、今やうなぎは高級食材のひとつになってしまいました。
これからも私たちは、うなぎを変わりなく食べることができるのでしょうか?
今の日本の抱えるうなぎ事情を、最後に少しだけお話しておこうと思います。
 
現在、私たちが食べているうなぎのほとんどは養殖うなぎです。
しかし、養殖されているうなぎは、天然の稚魚(天然シラスウナギ)から成魚に育てているため、厳密にいえば完全養殖ではありません
うなぎは、昔から食べ続けられている一方で、いまだに解明されていないことも多く、生まれてから稚魚になるまでの生存率が低かったり、成長するにあたっての環境が大きく影響を及ぼしたりと、かなりデリケートな側面もあります。
今後養殖うなぎに関しても、取り巻く状況は変化し続けていくことでしょう。

 

まとめ

いま、水産庁や養殖業に携わる多くの方々が、日夜うなぎについて研究を続けています。
私たち消費する側も、今まで脈々と伝えられてきたうなぎの味に舌鼓したづつみを打ちつつ、ほかの食材も含め、今食べられることへの感謝を感じて食を楽しんでいけたらと思います。
 
環境の変化の荒波にさらされながらも日本で愛され続けてきたうなぎには、これからも変わらずその味を伝え続けていってほしいと願ってやみません。

この記事をきっかけに、ぜひ皆様も歴史を感じながらうなぎを楽しんでいただけたら何よりです。
 
 
なんだかうなぎが食べたくなってきたな…なんて方はこちらの記事もおすすめです。
 
www.tenpo.biz

ゆかし

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