居酒屋の定番“焼き鳥”!やきとりとは違うもの!?おいしさの秘訣と注意事項

焼き鳥・やきとり・焼鳥とは?長い歴史とおさえるべき知識を紹介します。串打ちの5つのポイントと焼き方、炭の種類と焼きあげのコツ、鶏の部位ごとの特徴と魅力、鮮度の見分け方と判断のポイント、食中毒の予防と対策をまとめます。調理法がシンプルなだけに、仕込みと焼きの技術が必要不可欠な焼き鳥の魅力をお伝えします。

食卓、おつまみ、縁日、食べ歩きどこにでも登場する、私たち日本人には馴染なじみ深い食べ物、それは“焼き鳥”!!!
タレで食べたり、塩で食べたり、種類も豊富で選び放題。串に刺さっているので、食べるのもお手軽。
 
今回は、そんな親しみ深い焼き鳥について、既にご存じのことも、まだまだ知らない一面も、細かにご紹介していきたいと思います。
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焼き鳥とは?“やきとり”の長い長い歴史

鶏の銘柄にもよりますが、焼き鳥といえば、身近でリーズナブルな食べ物としての印象が強いと思います。
そんな焼き鳥の定義は、どのようになっているのでしょうか?
 

焼き鳥(やきとり・焼鳥)とは?

鳥肉を串に刺して、たれや塩をつけてあぶり焼いた料理。鳥のほか、豚や牛の臓物を焼いたものにもいうことがある。<『大辞林』第3版>

 
調べてみるとどうやら、鶏肉を一口大に切り、串刺しにして、直火焼きしたものを一般的に“焼き鳥”といい、鶏肉以外の肉の串焼きを“やきとり”と称しているようです。

そんな“焼き鳥”ですが、私たちの食文化にはどのようにして根付いていったのでしょう? 
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現代では、当たり前のように食している“肉”ですが、日本では度々、肉食(特に牛食)が禁じられてきました。禁止令が出た一番最初と言われているのが、天武天皇4(675)年4月17日に発布はっぷされた「肉食禁止令」です。『日本書紀』にも「牛馬犬猿鶏の宍肉ししにくを食うことなかれ」と記載されており、少なくともこの時代には、鶏を食べる文化があったことがうかがい知れます。

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一方、鎌倉時代になると、鷹狩たかがりで得た野鳥が食卓にあがっていたようで、日本最古の料理指導書『厨事類記ちゅうじるいき』にも雉子きじ料理がいくつか紹介されています。 
はじめて“焼鳥”という文字が登場したのは、室町時代中頃に武士の心得などが書かれた古文書『宗五大草紙そうごおおぞうし。 

『鷹の鳥のくひやう、春の鳥には、なんてんの葉をかんながけにて敷て焼鳥にして出し…<中略>…箸を手に持ちながら、2本の指でつまんで食うべし』

といった記述があり、鷹の鳥とは、鷹狩りで得た雉子のことを指しているため、雉子を食べることが武士のたしなみの1つであったことが分かります。 
 
室町時代では、手を使って食べていた鳥ですが、江戸時代には現在のスタイルである串に刺したやきとりが登場しました。1689(元禄2)年に刊行された合類日用料理抄ごうるいにちようりょうりしょう』には、串に刺さった焼き鳥のレシピがしっかりと記載されているのです。 

『鳥を串にさし薄霜ほどに塩をふりかけ焼き申し候。よく焼き申し時分、醤油の中へ酒を少加え、右のやき鳥をつけ、一へん付けて醤油のかわかぬ内に座敷へ出し申し候』

串に刺した鳥に塩をサッサッと振って焼き、醤油と酒を合わせて作ったタレにつけて提供します、という内容。現代の焼き鳥と似ていて、なんともおいしそうなレシピです。 
 
肉食禁止令の終わりを迎えた1871(明治4)年、西洋の肉食文化が広まりはじめます。当初は、牛肉より鶏肉の方が高級品でした。
庶民の間では、ポピュラーな外食スタイルとして屋台で味わうやきとりが広まりましたが、庶民向けの屋台で売られる“やきとり”といえば、牛や豚の内臓である“モツ焼き”が主流でした。

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戦後、闇市ではやきとりの屋台が人気となりますが、この時点でもまだ、モツ焼きのお店が主流です。
では、いつ頃から現在の焼き鳥屋のようなお店が普及したのでしょうか。それは、米軍の駐留により生産管理された食用の若鶏がアメリカから導入されたことによります。鶏肉の生産量も増え、低価格で提供できるようになり、大衆食として日本全国に広まっていったのです。 
 
そして、食生活が豊かになった現在は、希少価値の高い地鶏や銘柄鶏にこだわるお店も増え、大衆向け~高級向けと幅広いお店が存在するようになりました。
 

焼き鳥の基本~おさえておくべき知識~

やきとりの長い長い歴史を振り返ったところで、今度は焼き鳥をおいしく作るうえでの基礎知識を学んでいきましょう。
 

焼き鳥に重要な串打ちとは?

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串打ち
串打ちは、焼き鳥の焼き上がりを左右するといわれる、重要な要素です。お店によって、串打ちの方法は異なりますが、基本的なポイントは以下の5つ。 
①繊維に対して垂直に!
②重心をとらえる!
③肉の厚みを揃える!
④肉の重量を揃える!
⑤末広がりに打つ!
 
 
肉は加熱すると繊維に沿って縮みます。また、焼き上がりを均一にするためには、肉の大きさ以外にも焼台の火力を意識することが重要です。焼台は基本的に手前の火力が弱いといわれています。おいしい焼き鳥を作るためには、肉の特徴、焼台の特徴をしっかり把握しておきましょう。

また串ですが、串にもぎんなん串、丸串、角串、平串と種類があります。素材も竹串、金串とあるので、素材や用途によって使い分けましょう。 
 

味を左右する焼き鳥の焼き方とは?

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鶏の状態、お店ごとのこだわり、焼台のつくりなどによって変わってきますが、焼き鳥に重要な“焼き”の技術。部位によっても異なりますが、基本的に大事だといわれているのが、強い火で焼くことです。炭の高温を保ちつつ、短時間で焼くことで、肉汁を逃さずに表面をパリッと焼き上げることができます。
 
お店によっては、店内の風向きを計算しながらうちわで扇ぎ、火力を調整したり、串の返しを意識し、位置や向きを変えながら、焼き加減を整えたりしています。もちろん、塩やタレをつけるタイミングも重要になってきます。
 

焼き鳥店の名脇役!炭について学ぶ!!

焼き鳥の名脇役といっても過言ではない炭ですが、大まかに分けて2種類あります。
非常に硬度が高く、火持ちもよいので燃焼温度が一定に保てるが、火をおこすのに時間がかかる“白炭”と、硬度が低く軟らかいので燃焼スピードも速いが、火がつきやすい“黒炭”です。焼き鳥店では、白炭を使用するのが一般的で、なかでも最も高品質なものが備長炭といわれています。
なぜ、炭火が焼き鳥店に向いているのかというと、炭火は波長の長い遠赤外線が多いので、食材の外側部分の水分を蒸発させ、表面をパリッと内側はふわっと香ばしく焼きあげることができるからです。

 

焼き鳥について~食べたい串、もう悩まない~

さて、焼き鳥ですが、部位によって味も食感もさまざま。食べたことはあっても、それが鶏のどこの部分なのかは謎のままということもあると思います。ここでは、そんな悩みを解決すべく、鶏を徹底解剖したいと思います。
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■焼き鳥の部位■
 

①皮
基本厚みのある首皮を利用する。脂が多くジューシー。表面はカリっと、中はふわっとした焼き上がり。

②せせり
よく動かす筋肉質な首まわりの肉のため、身がしまっており弾力のある食感を楽しめる。

③手羽
皮目はパリッと香ばしく、身の部分は肉厚でプリっとしており、異なる食感を味わえる。

④胸肉
脂肪が少ないため淡白な味わいが特徴。

⑤ささみ
脂肪分が少なく、肉質は柔らかい。

⑥軟骨
もも肉のジューシーさと、コリッとした食感のコントラストが魅力。

⑦モモ
よく運動する部位のため、肉質はしまっており、適度な脂も含んでいる。骨や筋を取り除き、「正肉」や「かしわ」として提供したり、ねぎを間に挟んで、やきとりの王道「ねぎま」として提供されたりする。

⑧ハツ(こころ)
心臓の部分。コリコリとした食感。

⑨レバー(肝)
肝臓のこと。独特の食感なので好みがわかれる。また、焼きすぎるとパサついてしまうので注意が必要。脂肪肝である白レバーは、希少。

⑩砂肝
胃のこと。焼き方で食感が変わるといわれるが、筋肉質で噛み応えがある。

⑪ぼんじり
メスのものを「みさき」という。脂を多く含んでいてジューシーな味わい。
※全国の店舗すべてに当てはまるわけではありません。

鶏を扱う上で注意しなくてはいけないこと

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焼き鳥において欠かせないのが、名前にもあるように鶏ですが、取り扱いには十分に注意しなくてはいけません。
 
なぜならば、鶏肉は、一般的に食中毒の原因となる菌を保有しているからです。
特に生の状態での取り扱いには気をつけなくてはいけません。素材として鶏を扱うお店はもちろんですが、家庭の安全を守るためにも、しっかりと注意点を学んでおきましょう。
正しい知識を身につけておけば、鶏肉は恐れるものではなく、おいしい食材です。
 

鶏の鮮度の見分け方

鶏肉の鮮度は、見た目の色・弾力・張りが判断のポイントになってきます。
また、皮に関しては、皮の毛穴がしっかりと目立つものの方が新鮮です。皮がつるっとしているものや、ネバっとしているものは鮮度が落ちてしまっているものなので、避けましょう。
レバーは、まな板に置いた時にだらっとしないものが良いといわれています。包丁で切ったときに、角が立つようであれば新鮮であること間違いなしです。
 

鶏に関わる菌、予防と対策

先程も述べましたが、鶏肉は食中毒の原因になる菌、“カンピロバクター”“サルモネラ菌”を保有しています。
どちらも感染すると、腹痛、下痢、嘔吐おうと、発熱などの症状がおこり、とても辛い思いをすることになります。食中毒に関しての詳細は、過去の記事を参照していただくことにして、ここでは予防法をご紹介したいと思います。
(食中毒について詳しく知りたい方はコチラ
 
◆カンピロバクター◆
芯温75℃で1分以上十分に加熱する。40~42℃で最も増殖しやすく、水中でも生き延びる菌のため、調理道具や食器は消毒後、しっかり乾燥させること。 
 
◆サルモネラ菌◆
4~5℃の低温保存を心がけ、解凍後も表面温度が上がらないように注意すること。芯温75℃で1分以上十分に加熱することで死滅するとされている。 
 
◆二次感染◆
菌が付着している調理器具などから、別の食材に菌が感染してしまうこと。肉用と他の食材用の調理器具を分ける、調理前にはまな板や包丁の除菌を徹底し、手洗いを行うなど注意すること。
 
温暖化といわれている昨今ですが、夏の暑さは鶏肉を痛みやすくさせたり、菌の増殖を助けてしまうので、冷房のきいた場所で作業をしたり、串打ちを行ったらすぐに冷蔵庫管理をするように心掛けましょう。

まとめ

比較的シンプルな調理法といえる焼き鳥ですが、お店の個性やこだわりが色濃く現れる料理でもあります。シンプルだからこそ、下処理の丁寧さ、手の込んだ仕込み、熟練した焼きの技術が必要不可欠で、また魅力なのかもしれません。
最近は、お店の設備技術も進み、焼き鳥店に赴く際の懸念事項の1つであった、けむりの問題も解決されはじめています。お客さんの洋服ににおいがつかないような排煙、女性客にはうれしい限りです。

 
リーズナブルな値段で仲間内でわいわいと、たまには銘柄鶏にこだわり、希少部位を提供してくれる隠れ家的なお店で贅沢ぜいたくに、さまざまな楽しみ方のある焼き鳥を今日はどのように楽しみますか? 
 

店通-TENTSU- では、さまざまな焼き鳥店情報を発信しています!

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店通編集部

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