【火災保険の注意点】防災・防火と保険の選び方、実体験から学ぶ災害の備え

《実体験から学ぶ、火災保険の選び方と延焼の損害賠償》隣地のたばこの不始末で私の実家は全焼しましたが、幸い怪我人はいませんでした。しかし、火災後の出火元の驚くべき対応と損害賠償問題が。 本当に火災保険だけで大丈夫なのか? 家庭での防災・飲食店の防火の対応とは? トラブルを専門に扱う保険担当者に相談してみました。

秋の温かさが嘘だったかのような冬の寒さと、昨年末から関東は雨が降っていないためか、だいぶ乾燥し、とても寒々しく感じるこの頃です。

私は、寒々しい冬には10年近く前の出来事を思い出します。
それは実家の火災です。
原因は隣地りんちからの延焼えんしょう(※)でした。
※延焼(えんしょう)とは 火災がおきた際に出火元以外の建物などに火が燃え広がること。
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今回は、私の経験から、保険がとても重要だということを説明したいと思います。

たばこの不始末から延焼 ~実家の全焼~

隣地のたばこの不始末が原因で私の生家、実家は全焼しました。
当時すでに実家の近くに自宅を購入し、年老いた父と母と移り住んでいたので、実家が全焼してもすぐに生活に困るということは有りませんでした。
 
被害は・・・・。
実家に置いてあった父と母の家財道具が燃え、消火の際の放水で水浸しになり、全て使用できなくなったこと。
実家に置いてあった普段は使わない卒業アルバムや写真が全て焼失しょうしつしたこと。
そして何より、柱やはりが焼け落ちて水浸しになった家屋だった物の残骸が残ったこと。
被害はざっとこんなもので、不幸中の幸いか怪我けがをおった人間はいませんでした。
全焼した出火元の建物からも出ていないし、何かの用で実家に泊まっていた母が煙を吸いこんで咽喉を少し腫らして痛いと言っていた程度です。 

しかし、いまだに思い出すと気持ちが滅入めいるには十分な出来事だったといえます。

生まれ育った家が自身や家族の意思とは関係なく無くなり、思い出を記した色々なものが無いのはやはりさびしいものです。

さらに追い打ちをかけるような出来事が、火事の翌日、仕事を休み、焼け跡の片付けをしている際に起こりました。


火災の後に起こる問題 ~損害賠償と出火元の対応~

隣地はとある会社の所有で、社員寮のような用途で使われていたため、その会社の名刺を持ち背広をきた中年男性が私に挨拶あいさつをしてきました。
「今回は大変なご迷惑をかけて申し訳ありません。この家の所有者の方ですか?」
私は「所有者は父です、今いませんが1時間ほどで戻ってきます」と答えました。

 
そして1時間後、父が戻り現地で私と片付けをしているところに中年男性は現れ、私にした挨拶とも謝罪ともいえない言葉を全くそのままテンプレート的に発してきました。
父が「そうだ」と短く答えると、その中年男性は父に封筒を渡しました。
「今回の件のお見舞いです、受け取ってください」
父は「見舞いってなんだ?誰も怪我してないぞ?」と返答しましたが
中年男性は「今回はこれで失礼します」と、そのまま父の質問に答える訳でもなく、気まずそうに帰って行きました。
そのあと封筒を開けると見舞金として数十万円が入っていて、びっくりしたのを覚えています。

それから数日たち、片付けも少し落ち着いたところで、父に頼まれたことも有り、その名刺の中年男性に連絡をしました。
損害賠償についての話をするためです。
 
電話でその旨を伝え、会って打合せをしたいことを伝えましたが、会社に確認して折り返しますとのこと。その後の電話で貰った回答は
「当社としては今回の件で大変申し訳なく思っているものの、金銭的な賠償を負う考えは有りません。先日のお見舞金が当社から出来るお支払いの全てです。」
といったものでした。

実体験から学ぶ ~延焼の損害賠償~

これは、失火責任法(民法709条)による判断でご存じの方も多いかと思います。

民法709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ザックリいうと重過失が無ければ出火元は隣地の延焼については賠償の責任を負わないということです。

では、重度の過失とは何か。これはとても曖昧だと私は思います。
逆にいうと相当な被害が無い限りは出火の原因も数日後に消防署に確認してやっと分かるわけで、被害者が死傷しなければ捜査機関が捜査することもないので過失や重過失を素人が証明すること自体が出来ないのです。
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長くなりましたが、結局、予防をしていても延焼を受けてしまえば自身で復旧をしなければならないということが分かっていただけたと思います。
明日からの住まいも何もかも無くなった上に、保険に加入していなければ補償すら受けられないのです。

それでも、私の実家の事故は不幸ではあったものの、『住む場所、生活の拠点は既に別に確保されていた』『銀行への返済は済んでいた』『死傷者がいなかった』など、色々な部分で救われていたと思います。
 

保険担当者に聞く ~火災保険のポイント~

さて、ここまで自身の経験談をつらつらと書いてみましたが、火災保険に加入しているだけで本当に大丈夫なのでしょうか。
とても不安に思ったので、当社の専門部署に相談をしてみました。

店舗流通ネットには店舗資産の管理やメンテナンス、トラブルの緊急対応、保険代理店との折衝などを専門に行う部署「施設部」があります。施設部スタッフによる人気シリーズ記事、『トラブル対応24時』はこちらからご確認いただけます。

 
1023:「今回、過去の経験から火災について書いたのですが、素人の経験だけでは、火災保険が重要だとしか書けませんでした。本当に火災保険だけで大丈夫なのでしょうか?
保険担当:「確かに、火災保険に加入していることは必須です。1023さんの場合は戸建の住宅でしたが、マンションなどの集合住宅であれば延焼のリスクはさらに上がります。また、マンションの場合、大抵は構造体が木造では無いため『延焼は受けたものの躯体くたいは残る』ということも十分にあり得ます。その場合は家財に対する補償を受けないとならないので、火災保険とは別に家財保険に加入していることが必要です。
また、借家やテナントの場合、民法上の失火責任法の適用だけではなく、賃貸借契約上の責任から賠償責任を負うことも有りますので、借家人賠償責任特約などが必須になります。」

【火災保険に加入する際のポイント】
  • 保険の適用範囲を確認しましょう。
  • 築何十年経った家屋でも検討が必要。『新たに建てる場合、どの程度の家屋を建てるか』で保証範囲が変わります。
  • 加入する際は保険会社を何社か競合させ、説明を聞いた方が良いでしょう。
  • マンションなどの集合住宅では家財保険にも加入しましょう。
  • 賃貸物件の場合、借家人賠償責任特約が必須です。
  • 保険の期限を把握しておきましょう。『火災保険の期限切れで更新していなかった』という事例もあります。

 
保険担当:「保険加入の観点から考えると、どのような形態で資産や生活を補償してもらうかどのような責任を負うことになるかは対象物や契約によって異なるので、しっかり相談をすることが最初にするべきことだと思います。また、保険の加入と同時に重要なことは火災を起こさないための予防、「防災」だと思います。」


防災の措置として・・・・。

家は保険で建て直すことが出来ても人は元には戻りません。起きてから考えるのでなく、起こる前に考え行動することが何よりの予防となります。
  • ストーブやヒーターの近くに燃えやすいものを置かない。
  • 子供がいる家ではライターを手の届くところに置かない。
  • コンロには安全装置を付けるなどの処置を行う。
  • オール電化にして屋内で火を扱う頻度を極端に減らす。
  • 火をつけっぱなしでその場を離れない。
  • 寝たばこをやらない。

当たり前のことを当たり前にやる。簡単なようで難しいことです。


転じて、飲食店のテナントの火災原因で一番多いのは、ダクト火災といわれるダクト内に残された油分に引火する火災です。毎日の清掃や定期的な業者によるダクト深部の清掃を怠ると、飛躍的に火災のリスクが上がります。
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なかでも、焼肉店などでよく見かけるロースター設備は、煙を逃さず吸い込むためにコンロとダクトの入り口が近く、コンロから出た炎も吸い込みやすい構造になっています。
そのため、毎日の清掃で入口に油分を残さないこと、定期的な専門業者による手の届かないところまでの清掃が重要になると思います。

 

まとめ

火事や火災を起こさないために、日ごろから生活の延長線上で最大限に防災に気を付けなくてはなりません。さらに店舗やテナントとなると予防の方法も頻度も違ってきます。油を多く使う飲食店では予防に対する実務が重要であり、事業者としてもはや義務と言える次元だと思います。
今後は自宅でも、会社でも火災を起こさせない活動に力を入れていきたいと思います。

1023 & Supervision:仮面ライター1号

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