【お店レポ】東京に本場を届け、そして東京から世界一になったピッツェリア『中目黒 聖林館』

「ナポリスタイルのピッツァを東京に届けた店」として知られる「中目黒 聖林館(セイリンカン)」。海外のメディアで「ここのピッツァが世界一」と紹介されたというピッツァとは?ピザとの違いとは何か?「日本のピザをピッツァに変えた男」といわれる柿沼佑武氏に出店までの経緯、オープンから23年間の店舗運営、そして現在とこれからについて教えていただきました。

こんにちは。ブッチです。2回にわたり「京都の路地裏」について記事を書いて参りました。今回は東京に戻り、中目黒で1つの歴史を築き上げたピッツァ店(ピッツェリア)について紹介していきたいと思います。
 

東京ピッツァの歴史は、中目黒なくして語れない

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「ピッツァ」と聞くと連想ゲームのように思い浮かべる店が1つだけあります。2000年の前半ころ、情報誌を見て訪れたのがその店と私の最初の出会いでした。
 
その後、たまたま一緒に仕事をしていた商社役員の方がピッツァに造詣が深く、その方曰く「ここのピッツァが今まで食べた中でいちばんだ」とおっしゃられていたので、店の話題を通じてすっかり意気投合。ご一緒させていただく機会が増えました。
 
現在では友人と一緒に行く機会がほとんどですが、変わらずピッツァが食べたくなったら足を運んでいます。私にとって「ピッツァといえばこのお店」ですから、他にはわざわざ食べに行くことは、ほぼありません。そんなお店の話です。
 

ナポリピッツァと日本のピザ

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ナポリピッツァと呼ばれている料理、日本でよく食べられている"ピザ"とは異なることをご存じでしょうか。もはや全く違う食べ物といっても過言ではありません。もしあなたが今思い浮かべているピザの種類が1種類だけならば、ぜひ一度中目黒に訪れていただきたい。 
 
 

中目黒 聖林館(セイリンカン)のご紹介

というわけで、本日は「ナポリスタイルのピッツァを東京に届けた店」として知られている中目黒 聖林館(セイリンカン)へとやって参りました。
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外観はこんな感じ。どうですか、この気迫。鉄骨がむき出しです。一体どこのファンタジー世界に迷い込んでしまったんだ…。そんな気持ちにさせられます。
 
聖林館は2007年の6月6日にオープン。2018年現在11年目のお店ですが、店主はもともと向かいで、中目黒SAVOY(サヴォイ)というお店を12年間営んでいたため、合計で23年目の営業です。私は前の名前のころからファンであります。
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中目黒 聖林館 内装
店内のいたるところに現れる「THE BEATLES」の文字と、鉄に覆われた店内。スチームパンクのような世界観に感じましたが、店舗デザインのイメージは潜水艦とのこと。確かに、某夢の国の【海底二万マイル】の世界に飛び込んだようです。
 
地下1階~3階まで続く鉄のらせん階段。1階はカウンター席と窯のみ、2階と3階がメインの客席となっています。
 
 

さぁ味わおう!これが老舗の東京ピッツァ!

聖林館のピッツァメニューは「マルゲリータ」と「マリナーラ」のみ。その他に前菜とパスタもあります。なんとこれらのメニューは全て、創業時から変わっていないとのこと!季節によって入れ替わるものが一部あるだけで、ほぼ変わらずに提供されてきました。
 
創業時に考えて考えて決めた…といわれているメニュー。今回はその中でも私のおススメの前菜2点と、メインのピッツァ2種類について紹介します。
 

【前菜①】カプレーゼ

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まずはこちら。モッツァレッラチーズ、トマト、バジリコとオリーブオイルがベストマッチな、おなじみのサラダ「カプレーゼ」です。クリーミーなモッツァレッラチーズは、歯ごたえがモッチモチでとてもおいしい。もちろんトマトとの相性も抜群です。
 

【前菜②】ブロッコリー

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おなかの容量が許す限り、聖林館に訪れた際はぜひ頼んでいただきたい一品!お皿いっぱいにブロッコリーがやってくる、ボリューミーで男気ある一品です。シンプルかつガツンとくる味も実に男らしい。ブロッコリーと和えられたニンニクがパリパリで香ばしく、トウガラシがピリリとアクセントを残していきます。大口開けてモリモリ召し上がってください。
 

【ピッツァ①】マルゲリータ

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本命のピッツァ第一弾。マルゲリータです。しっかりとした額縁の生地は、外はサックリ中もっちり!とにかくまずは食べて生地のおいしさに驚いていただきたい。
 
日本で広く知られているピザ(宅配ピザなど)は「アメリカ風ピザ」です。丸くて大きな生地に、トマトやチーズを筆頭にさまざまな具材を乗せたボリューミーなもので、大勢でシェアするイメージも強いかもしれません。
 
一方で、今回ご紹介する「ナポリスタイルのピッツァ」は生地を楽しむ料理。そのため具材はシンプルなものが多いです。そして基本的に取り分けはしません。1人1皿が基本です。自分の食べたいものを自分のために頼むのがスマートです。
 
本当においしいピッツァとは、生地の味で感動するものだと思います。弾力のある生地の食感と香ばしい香りに、思わず顔がほころんでしまいます!そして口の中に広がるトマトとモッツァレッラのハーモニーは、先程のカプレーゼとはまったく違う装いでやってくるものだから驚きです。ピザ1枚1人で食べる習慣がなくても大丈夫。感動している間にペロリと食べ切ってしまいますから。
 

【ピッツァ②】マリナーラ

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お次はマリナーラ。マリナーラは、トマトソース、スライスしたニンニク、オレガノで作られている、よりシンプルなピッツァです。そのため、生地そのものの味をダイレクトに感じることができます。トマトとニンニクの風味や全体の塩気も実に絶妙。どちらもいつ食べても絶品です。
 
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ピッツァはナイフとフォークで!ちなみに、日本ではあらかじめ何等分かにカットして提供されることが多いですが、本場では食べる分だけ都度カットするようですよ。手で食べるのはスマートではありません。アツアツのうちに、ナイフとフォークで召し上がりましょう。
 
 

中目黒 聖林館 オーナーインタビュー

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本日はお時間をいただき、聖林館オーナー 柿沼佑武かきぬますすむ氏にお話をお伺いしました。
 

ピッツァの道を志したキッカケ

◆出店の経緯から教えてください。
35歳まで音楽活動をしていてフリーターでした。ある時「自分の好きな音楽では飯を食えない。好きではない音楽をやってまで飯を食う道はちがう」と判断し、自分の好きな音楽をかけて料理を出せる居場所があったらいいなと思い始めたことがきっかけです。
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“みんな知ってる”秘密の地下室には、「THE BEATLES」の世界が広がっています
20代のころにナポリに行ったことがあり、既にナポリピッツァを体験していました。なぜピッツァを選んだのかというと…「ピッツァつくりと音楽つくりは感覚が似ている」と感じたからです。僕はドラムなので、ドラムもピッツァもほら、丸いでしょ!(笑)
 
f:id:tentsu_media:20181108182513j:plain中目黒 聖林館オーナー柿沼様
◆具体的にはどのように学ばれたのですか?
まずは服部栄養専門学校の夜間に通いました。当時は「免許がないとお店が出せない!」と思っていまして。
 
しかし、当時の夜間の生徒は図書館も調理室も使えない規則でした。昼間の生徒と同じ学費を払っているし、夜間の生徒の方が本気の人が多いのに!と異論を唱えて学校と戦っていました!
その後、勉強のためにナポリへ。しかし当時ナポリはとても田舎で、日本人が珍しかったようで「ピッツァを教えて欲しい」と言っても「そんなことよりブルースリーのマネしてよ!」と遊ばれてしまい、誰も真面目に教えてくれませんでした…
 
1年間居ましたが、そんな状況が続き、ほとんど勉強はできませんでした。仕方がないので、たくさんのナポリピッツァを食べて東京に帰ってきました。でも、もともと人から何かを教わる、という行為が嫌いな人間だったので…最終的には自分で何とかするしかなかったんだと思います。
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オープン。そしてその後

結局、修行と呼べるような期間は一度もないまま、聖林館の前店、中目黒SAVOY(サヴォイ)の物件が見つかり、1995年4月に出店。23年前はバブル崩壊後、フレンチブームもイタ飯ブームも終わり「いまさら?」と言われながらの開店だったそう。
 
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◆当時、苦労した点について教えてください。
当時もピッツァを提供しているお店もなくはなかったですが、いわゆる専門店がありませんでした。そのため、全く認知がなかった部分では、苦労しました。1日の売り上げが800円だったことも…。しかも、売れたのはパスタです(笑)
 
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◆過酷なスタートの中、ヒットのきっかけとなった出来事は何だったのでしょうか
地道に続けていく中、1人の友人が中目黒SAVOYのことをとても良く言ってくれていました。「自分のおじさんが飲食業界の人だから紹介する」といって連れてきてもらったのが、表参道にある人気店『サンドイッチハウスバンブー』のオーナーでした。
 
食べてもらったところ、大変感動していただき「これはあの人にも知ってもらいたい…」といって紹介してもらったのが、なんとさんざん暴れまわった母校、服部栄養専門学校の服部校長だったんです。奇跡的な再会を果たした服部校長も気に入ってくださり、中目黒SAVOYを世に出す!といって奮闘してくださいました。
 
そしてはじめてテレビに出させていただいたのが、東京12chの番組でした。番組中に電話が鳴り始め、夜中の1時まで鳴りやみませんでした。それが、はじまりだったと思います。
 
酒屋や食材屋や薪屋…いろんな業者に「よくわからないお店」とさんざんな扱いを受けていたのに、次の日から「昨日テレビに出てましたよね!すぐ持っていきます!!」と態度をガラッと替えられたのは苦くも面白い思い出です。
 

23年間の店舗運営。現在とこれから

1人の口コミから1本のテレビ取材につながり、ブームの先頭に立ち続けてきた聖林館。今もなお、話題になるメディアからの取材が重なっています。取材の内容や客層は創業時から少し変わってきたといいます。
 
 
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◆現在の客層について教えてください。
今は外国人のお客様がすごく増えました。海外の取材がたくさん来てくれていることがきっかけだと思います。本格的に増えたのは2018年2月放送のネットフリックスの『アグリー・デリシャス-極上の食物語-』という番組で、デイビッド・チャンという方が「ここのピッツァが世界一」と紹介をしてくれました。そこから日本人と外国の方の比率がおかしなことになってきましたね。
 
実は先日、ナポリでピッツァを作っているイタリア人から問い合わせがきて「セイリンカンで修業させてもらえないか?」と言われました。日本人がアメリカで「寿司を教えてくれ」と言っているようなものですから、笑ってしまいました。
 
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◆今後の展望について、考えていることがあれば教えてください。
現在は木更津、品川、大井町、全部で4店舗展開中です(直営は大井町のみ)。今後の展望は「世界制覇」です!!
 
 

ピッツァの世界を変える、ピッツァが世界を変える

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「日本のピザをピッツァに変えた男」と言われている柿沼オーナー。しかし今後は「ピザをピッツァに変えて、またピザに戻した男」にしてもらおうかな、と笑いながらおっしゃっていました。今や生地の作り方を含めた全てが聖林館オリジナル。本場のナポリとはもう違うもの。ですから「ナポリで生まれ、東京で育った。そして東京のピッツァとして世界に羽ばたいていってほしい」という思いから、あえて「ピザ」にしようかな、とたくらんでいるそうです。
 
東京のピッツァがナポリで「本場よりおいしい」と言われ、また世界へ羽ばたいていく、と聞くと、日本人として誇らしい気持ちになります。いつか、ナポリの人々が聖林館流ピッツァのことを「ピザ」と呼び親しんでいる風景が見られる日がくるかもしれません。
 
聖林館の経営理念は「ピッツァの世界を変える、ピッツァが世界を変える」です。ピッツァの世界を変えた今、聖林館のピッツァが世界を変える日も近いでしょう。
 
 

今回取材したお店

■中目黒 聖林館(セイリンカン)
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アクセス:中目黒駅 徒歩2分
住所:〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-6-4(地図)
営業時間:
月~金:ランチ 11:30~14:00(L.O.13:30)/ ディナー 18:00~22:00(L.O.20:45)
土・日・祝:ランチ 11:30~15:00(L.O.14:30)/ ディナー 17:00~22:00(L.O.20:45)
※全曜日、ランチ・ディナーともに売り切れ次第終了となります。
電話:03-3714-5160
聖林館(中目黒/ピザ) - ぐるなび
  

ブッチ



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