【第2回】契約時はココをチェック!物件賃貸借契約の中身-中級編★★

前回は賃貸借契約って何??ということを簡単に書きました。今回の記事では、中級編ということで建物を借りる際の賃貸借契約内容について、具体的に掘り下げてみたいと思います。 【目次】 賃貸人・賃借人について 賃料について 契約期間について 賃貸借契約の目的物は、物、不動産、債権があると言いました。

最近聞き間違いが多く、ハッっとした後に「冷静に考えたらありえんだろ」と自分に考える余裕を持たせている一二です。前回は賃貸借契約って何??ということを簡単に書きました。
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今回の記事では、中級編ということで・・・前回の記事内で取り上げた、建物を借りる際の賃貸借契約内容について、具体的に掘り下げてみたいと思います。
 
◆目次


では早速始めていきます。賃貸借契約の目的物は、不動産債権があると言いました。今回は不動産を例にお話します。

賃貸人・賃借人について(誰と誰の間で)

 賃貸借契約の登場人物は,賃貸人(貸す人)・賃借人(借りる人)。
 
 貸す人は、貸す建物について、使用収益する義務を負います。
 借りる人は、借りた建物について、賃料支払義務を負います。


ここで見落とし易いポイントをご紹介します。


f:id:tentsu_media:20160407145214j:plain建物所有者と賃貸人は同じであるか??

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契約の当事者がそれぞれ相手方に義務を負う場合、それは有償契約という性質があります。有償契約の典型契約に売買契約(財産移転義務と代金支払義務を互いに追っている)があり、それについて関わる規定が、売買契約以外の有償契約に広く適用されます(民法559条)。


上記の通り、賃貸借契約も使用収益義務と賃料支払義務を互いに追っているため、有償契約であるといえます。ここで売買契約の規定の中で注意しなければならないのが、他人の物を売買の目的物にできるという規定です。(民法560条)。


これを賃貸借契約に準用すると、他人の所有する建物でも、賃貸借契約の目的物にすることができます。このため、他人の建物であっても、借りる人が建物を引渡しを受け、それを使用する対価として賃料を支払った場合、その支払は有効な弁済となります。でも、これは建物を借りる側・貸す側の関係でのみ有効であっても、一般的にその関係が正当化されてしまったら、建物の真の所有者としてはたまったものじゃないです。


建物所有者は、その建物について使用する権利・収益を得る権利・処分する権利、すなわち「所有権」を有しており、それが害されている状態にあります。赤の他人が自分の所有する建物で使用し、それで収益を得、はたまた勝手に売却されてしまっても正当化されてしまうなんて無秩序な世の中ですよね。世紀末です。

所有権って何?

所有権とは:物を使用・収益・処分する権利。この権利は物権の典型です。
物権とは:物を直接、排他的に支配する権利。
 
所有権がどれほど強い権利かわかると思います。自分が所有権を有している建物や物に対して、誰に対してもこれは自分のだと主張することができると共に、この物権の享受の円満な状態が妨害され、又は妨害されるおそれがある場合には、①妨害の排除、②予防を請求できます。
   

①所有権に基づく物権返還請求権

・他人の占有によって物権は侵害されている場合
・他人の占有以外の方法で物権が侵害されている場合

②所有権に基づく妨害予防請求権

・物権が侵害されるおそれがある場合

建物所有者はこの違法な状態を打開するため、自らの所有権に基づく請求を行います。これに加えて、所有権侵害が不法行為にあたるとして損害賠償請求もついてきます。


このようなリスクを負わないために

・建物所有者と賃貸人が同一人物か
・同一人物でない場合でも、賃貸人はその建物を貸す権限を有しているのか

上記の2点について確認をとり、同一人物でない場合には、建物所有者から賃貸人に対して建物を貸す権限を認める文書や賃貸借契約書の特約事項に一文入れていただくのも一つの手段だと思います。


物について(何を)

賃貸借の対象は、主に物、不動産の2つ。

建物を借りるとき、まずは不動産会社に問い合わせるかネットで簡単に検索できます。そこに写真があり、その内容だけでここを借りよう!と思うのは危険です。ちゃんと自分の目で見ましょう。

f:id:tentsu_media:20160407145214j:plain建物を見るときのポイント

・駅からの距離
・設備面(電機・排水設備)
・賃貸条件

事前の下調べを怠ると、後に思わぬトラブルに巻き込まれることも・・。それについては〇〇にて、詳しく説明します。

賃料について(いくらで)

一回借りたら賃料が未来永劫同じ値段としてしまったら、借りる側にとってはその値段についてメリットしかないように思えますが、周辺の賃料相場や経済情勢によっては賃料だけが異常に高くなってしまい、それを下げられないのであれば死活問題にも発展します。

f:id:tentsu_media:20160407145214j:plainこのような文言には気を付けましょう!

 
・一方的に賃貸人側が望めば賃料を上げられる
・一定期間経過後、必ず賃料が上がっていく

などの文言が契約書に記載されていれば、修正依頼をする必要があります。


望ましいのは、「賃料相場や社会経済情勢の著しい変動があった場合、賃料の増減について、賃貸人と賃借人が協議の上決定できる。」といった、そもそも一方的な意思表示で賃料が変わってしまうような不合理なことがないようにすることが必要です。


契約期間について(いつからいつまで)

契約期間は、いつからいつまでかは最初に賃料と同時に情報として取得する内容です。ここは契約書上、平成○年○月○日~平成△年△月△日と一般的には書かれているので、問題が見出しにくいと思います。

しかし、どういった場合には契約期間に関わらず、途中で終了してしまうのかは必ず契約書上確認をしましょう。そこで、これは不合理だ!借りる側にだけ著しく不利で、人の生活の根幹を揺るがすような解約事由があれば、削除・修正依頼をしましょう。

f:id:tentsu_media:20160407145214j:plainその契約は平等ですか?

借りる側にとっては一見不利なようですが、貸す側の経済活動もある。一方を優先して、もう一方が不合理を受けるのは、契約当事者が平等であるという大前提を損なう物なので、比較考慮が必要となります。ここで分かり易いように、ひとつ例を挙げます。


事例:借り主に一定の事由が生じた場合に催告なしに即時に解約する

借り主:住む場所を急に失う可能性がある


貸し主:滞納家賃が重なるなどのトラブルが生じ、収益を一定期間得ることができなくなる

      
両者の立場を考え、一方が被る不利益よりも、もう一方を優先した方が良いといえるか。こういった考え方をした上で、なおこれは不合理・不利であるかを考える必要はあります。

契約書の内容については、「意味が理解できない」、「この条件はきつい」など思うことがあれば、まずは貸し手側と話してみることが重要だと思います。人が人らしく暮らすためには、行動に移していくことも必要なときがあります。

意思の合致について(貸し借りすることを約した)

f:id:tentsu_media:20160411101914j:plain最終的に、契約書に署名・捺印をしたした段階で口頭上のものではなく、意思の合致があったと対外的にも証明できるものとなります。後の紛争が起きた際には、その紛争解決に資するものとなるので、必ず保管するようにしましょう。

この署名捺印行為ですが、一見簡単に見えますが、思っている以上に重要です。民事訴訟法には、署名・実印による捺印がある場合、その文書の内容が当事者の意思に基づいて真正に成立したものと推定する規定があります。この規定があるため、署名と実印による捺印をする際には、しっかりと契約書の内容を読む必要と、納得した状態にすることが重要です!

・文言確認
・修正して欲しい物は相手に伝える

f:id:tentsu_media:20160407145214j:plain契約前にキチンとやり取りを記録しよう

事例:この家は静かで見晴らしも良く、これからも近くにこれらを阻害するような施設などは建たないと言われたことが気に入って借りた。立つ計画があるのであれば、借りなかった。

・自身で計画の有無を確認し、建設の可能性が無いと言われている事実があり、自分に重大な落ち度がないこと。
・それを賃貸人側にしっかり伝わっていること。

借りて側としては何もできないのか?というとそうではありません、上記の内容をクリアしていれば、要素の錯誤として借りるという内容の意思表示を取り消すことができる場合があります。契約書の内容を確認することはもちろん借りる意図を表示していくことも重要だと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。民法と民事訴訟法、さらに民事保全・執行法を個別に勉強していると、なんて量の多い分野だろうと思います。しかも難しい。嫌になっちゃう。でも、それぞれ個別に考えるとそう思えるかもしれませんが、これを民事法としてひとつに考えると、それぞれの関係性が見えてきて逆に勉強しなければならないという思いに駆られます。

最初に学ぶであろう民法が民事訴訟法を通じて具体的な権利となる。でも判決を得たからと言っても、実現しなければ権利はないものと同じであす。そこで相手を動かすための民事保全法、民事執行法も学ぶ必要が出てくる。今日述べている内容が要件事実に関わる部分で、民法と民事訴訟法の繋がりを初めて実感できた部分なので。気になる方は知識のひとつとして勉強してみてはいかがでしょうか。

一二



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