こんにちは、店通ライターのもやしです。
今年も春がやってきました。春にはお花見やピクニック、またゴールデンウイークなどの連休にはイベントへの参加や、キャンプ、バーベキューを計画されている方も多いのではないでしょうか。
そんな野外での楽しいイベントが増えるシーズンに、気を付けたいのが「食中毒」。
せっかくの楽しいお出かけも、体調を崩してしまうと台無しになってしまいます。そこで、今回はさまざまなシチュエーションでの食中毒について、気をつけるべきポイントを抑えていきたいと思います。
目次
そもそも食中毒とは?5つの種類に分けられる!?

一言に食中毒といっても種類はさまざまで、大きく分けるとウイルス性・細菌性・自然毒・化学性・寄生虫の5つに分けられます。その中でも、特に身近な食中毒がウイルス性食中毒と細菌性食中毒です。また、症状や潜状期間、予防方法なども種類によって異なるので、正しい対処法を一緒に勉強していきましょう。
主な流行時期はいつ?夏も冬も油断は禁物!
食中毒は夏に発生するイメージがありますが、実は一年を通じて発生します。意外かも知れませんか、なかでも冬場の発症率が特に高い傾向にあります。

「2016~2018年 食中毒発生状況の統計資料」によると、食中毒が一番発生しやすいのは12月。原因としては、ノロウイルスのようなウイルスは低温や乾燥の環境に強いので、冬場に増加する傾向があります。また、暖かく湿気が多い気候は、細菌が食材内で繁殖しやすいため、春先(4月~6月)は細菌性食中毒が最も多く発生します。
食中毒の種類とは?感染原因を知って対策を練ろう!
ウイルス性の食中毒
ノロウイルス
年間の食中毒患者の約半分はノロウイルスによるものです。厚生労働省により、2018年の食中毒総患者の半数以上は「ノロウイルス」患者でした。感染されたカキなどの貝類を加熱不足で食べることが感染の原因だと言われていますが、主な感染ルートは手指・吐しゃ物・便などを介して人から人へと感染していくことで被害が拡大します。
感染した場合は、約1~2日の潜伏期間をへて発症するケースが多く、発症後は激しい下痢や嘔吐に襲われます。感染力が強く集団感染になりやすいので、拡大を防ぐことが大切です。
ロタウィルス
3月~5月にかけて乳幼児に多く発症すると言われているのが「ロタウィルス」です。ノロウィルスと同様貝類など、ロタウィルスに汚染された水や食品が感染原因とされていますが、こちらも人から人への糞口感染により、被害が拡大します。潜伏期間は2~4日とされ、発症すると、水下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状があらわれ、そのあと脱水症状が数日続くこともあります。細菌性の食中毒
カンピロバクター
牛・豚・鶏など家畜類の腸に生息する「カンピロバクター」。感染経路は加熱不十分な肉や、菌の付着した肉類を摂取することとされ、特に鶏肉の生食を原因とすることが多いです。潜伏期間は2~5日で、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐の症状が発生します。ウェルシュ菌
健康な人の腸内にも生息しており、自然界に幅広く分布している「ウェルシュ菌」。酸素を嫌う菌のため、調理後のなべ底などで繁殖しやすく、肉や魚などを使った煮込み料理の作り置きが原因となりやすいので、暖かい部屋に長時間置いたままにすることは避けましょう。約半日と潜伏期間が短く、下痢や軽度の腹痛を発症します。多くの菌類と異なり、芽胞を作ると加熱に強いことが特徴です。
食中毒の予防方法、基本の4原則!
食中毒を起こす原因はそれぞれですが、基本は「つけない」「増やさない」「やっつける」「持ち込まない」という4つの原則を守れば予防できます。日常生活から衛生管理をしっかりと行いましょう!1. つけない

手指の洗浄
食事前は必ず手を洗いましょう。野外で開催されるイベントなどで外食する場合、手洗いがおざなりになりやすいので要注意です。手を洗う場所が近くにない場合もありますので、ウエットティッシュを持ち歩くなど工夫して、手を清潔に保ちましょう。調理器具の洗浄
調理時は、手指だけでなく調理器具もしっかりと洗浄しましょう。調理前に清潔な状態を保っておくことはもちろんですが、肉や魚を調理した包丁やまな板は細菌やウイルスが潜んでいるため、そのまま生で食べる野菜などを調理するのはNGです。都度調理器具を除菌洗浄するか、生食の野菜などを調理したあとに加熱する食材の調理をしましょう。
▼飲食店での調理器具・野菜・果物の殺菌・消毒と洗い方についてはこちらの記事でも紹介しています。
【飲食店の食中毒対策】生野菜の洗い方、調理器具の正しい殺菌・アルコール消毒方法 – 店通-TENTSU-
2. 増やさない

食品を低温で保存
多くの細菌やウイルスは高温多湿の環境で活発に増殖します。ご家庭での食品保存は冷蔵庫にしまうようにしましょう。キャンプやバーベキューで食材を持ち込む場合は、保冷剤や保冷バッグで食材を低温に保ちましょう。ただし、低温でも菌はゆっくりと増殖するので、過信は禁物です。生の食品と調理済み食品を分けること
微生物は食材に広がらないよう、食材別に小分けにして保存しましょう。ラップや密封容器を活用すると管理しやすくなります。冷蔵庫に保存する時は、生の食品から汁が垂れる可能性があるので、調理済みの食品は必ず生の食品より上に置くのがポイントです。3. やっつける

食品を十分に加熱
多くの細菌やウイルスは加熱により死滅します。肉や魚は中心までしっかり火を通すように、85度以上で目安1分30秒以上加熱をすると安全です。
加熱温度については75度以上とも言われますが、一般的な調理環境では厳密に温度管理をすることは難しいので、85度以上で加熱したほうが無難です。
調理器具も煮沸消毒
生肉や生魚を調理したあと、まな板や包丁は微生物に汚染されているので、洗浄を徹底するのはとても重要です。産経ニュースの調査によると、まな板を洗剤で洗ったあとでも表面の細菌数は豚肉を切った後より多いという結果でした。細菌を落とすために熱湯消毒は、一番有効的だと言われています。ただし、調理器具は洗剤できちんと洗浄したあとに熱湯消毒をしましょう。なぜかというと、お肉やお魚を切った直後に熱湯で消毒をすると、肉の残ったたんぱく質が固まってしまい、汚れが落ちにくくなるからです。煮沸消毒の時間は、沸騰(80度くらい)してから5分が目安です。煮沸消毒以外、塩素系漂白剤の消毒も効果があります。
4. 持ち込まない

ウイルスは細菌と違い、食品で自己増殖はできないので、「増やさない」の予防方法は対応できません。だからこそ日常生活する上で、食事管理と体調管理はとても重要です。
生肉の摂取は控える
飲食店や食フェスなどでは、調理者も経験の浅いアルバイト社員が担当していることもあり、安全管理が行き届いていないケースも残念ながら存在します。最低限、中までしっかり火が通っているか、自分の目で確かめてから食べることをおすすめします。また、抵抗力の弱い人は、肉の生食は控えましょう。
症状のある場合は
症状のある場合は、必ず医療機関の受診をしましょう。基本、食中毒の症状持続期間は2~3日程度で、発症してしまった場合は、自宅で安静にしていたほうががいいでしょう。共同生活施設で人と接触すると、集団食中毒を引き起こす可能性があるため、無理せず、拡散しないように学校や会社を休むようにしてください。おわりに
食中毒の予防や症状について理解を深めることはできましたか?作る側から食べる側まで気をつけるべき事項はたくさんありますが、まずは簡単にできる対策から意識してみてはいかがでしょうか。
最後になりますが、食中毒を完全に排除・予防することは困難です。もしも「食中毒かな?」と思い当たる症状が出たら、やみくもに市販の胃腸薬や腹痛薬に頼るのではなく、早急にお近くの医療機関を受診してくださいね。
もやし