久々の執筆となります。おれ秋葉です。
飲食店のダクト火災、漏電、漏水、騒音といったトラブル事例や、消防法や防水工事、空調設備など、飲食店に関わる方々に知っていただきたい情報を店舗流通ネットの施設部が分かりやすくお伝えする、店通企画「実録!トラブル対応24時シリーズ」より、今回は少しイレギュラーなトラブル対応のご紹介をいたします。
みなさん平和の象徴といえば何を想像いたしますか?
正解です。鳩です。
平和の象徴とされているハトですが、ビル運営・店舗運営の中ではトラブルとなりうることがあります。
おもな被害としては騒音・糞害などがあげられます。
ハト被害に関してもそれぞれ段階がありますので、今回はハト被害のレベルおよび対策についてお話していきます。
目次
ハト被害のレベルについて、知らぬ間に飼い主にならないために

ハト被害といっても、大きく4つの被害レベルに分けることができます。
ここでは、4つに分けたレベルごとにどのような被害が生じるおそれがあるのかをみていきたいと思います。
ステージ1 ~休憩~
呼び名の通り、移動中の休憩として敷地内に立ち入ります。特徴としては比較的明るい時間にやってきて、滞在時間も短いです。この段階での被害としては「騒音被害」「糞による軽度の汚れ」が中心となり、軽度なものが主となります。しかし、この段階で対策をしなかった場合、ハトも安全な場所と認識してしまうため、ハトを飼育したくない方は早急な対策が必要となります。
ステージ2 ~待機・待ち合わせ~
休憩するのに安全だとハトが認識した場合、その場所はハトの待機場所となり、エサや仲間を待つ場所として次第に定住するようになります。必然的にハトの滞在時間も増えるので、糞の量も増大し、本格的に現場汚染が進行していきます。
また、ハトは常に安心できる寝床を探しているため、ベランダ・店先にハトの姿を頻繁に見かけるようになったら、それはあなたが飼い主になりかけているサインです。
ステージ3 ~ねぐら~
ハトは長時間待機しても問題がないと分かると、その場所を住処として認識します。ベランダの室外機周り・商店街のアーケード内など、雨風をしのげる場所が住処の対象となります。ねぐら鳩になると、明るい時間ではなく夕方から夜にやってきて、滞在時間も長時間となります。
その結果、「騒音被害」「糞害」も甚大なものになります。
この段階まできてしまうと、あなたの意思に関係なく、あなたは飼い主となってしまっています。
ステージ4 ~巣作り~
ねぐらとして利用している状態を放置していると、巣作りをはじめ繁殖活動を開始します。ハトの繁殖は年3~4回といわれており、帰巣本能も縄張り意識もあるため、巣作りを許してしまうと対策には労力を要します。巣作りに気づいたときには、既に大家族になっている場合もあります。
知らぬ間にハトの飼い主になっていた・・・なんて恐ろしい事態を招かないためにも、たかがハトと侮らず、早期の対策が必要であることが分かりますね。
汚染だけではない、恐ろしい糞害
糞害というと、汚れや清掃の手間などを思い浮かべるかもしれません。ですが、糞害は汚染だけではないのです。実はとても恐ろしい糞害について、ここでは学んでいきましょう。
感染症・アレルギー症状

ハト自体が病原菌や寄生虫を宿している場合もありますが、それよりもさまざまな病原菌が潜んでいるのが、ハトの糞です。そのため、ハトの糞を放置すると、感染症やアレルギー症状を引き起こすリスクも高くなります。
◆クリプトコックス症
感染経路は経口感染。乾燥した糞が風で舞い上がり、口の中に入ってしまい感染します。
健常者の場合は、感染しても無症状のまま完治することがほとんどで、免疫力が低下している際などに発症することがあります。
潜伏期間は不明で、症状としては全身の倦怠感・頭痛・発熱・乾咳などが挙げられます。重篤な場合、意識障害や脳髄膜炎を発症することもあるので、注意が必要です。
◆オウム病
クリプトコックス症同様に、舞い上がった糞を吸引することによって感染します。子供より成人のほうが感染患者数が多く、年間では鳥類の繁殖期である5~6月に患者数が増加する傾向にあります。
潜伏期間は1~2週間とされ、症状としては全身の倦怠感・頭痛・発熱・乾咳など、インフルエンザに似た症状といわれています。重篤な場合、肺炎や呼吸困難、髄膜炎を発症することもあり、最悪の場合死に至ることもあります。
◆トキソプラズマ症
全人類の1/3以上が感染されているとされる原虫により起こされる感染症です。
“感染”というと不安になるかもしれませんが、基本的には感染したとしても免疫系の働きにより、臨床症状は顕在化しません。ですが、妊婦中の女性が感染すると、死産や流産、胎児に視力障害や脳性麻痺などの症状をもたらすことがあるので、妊娠中の方は注意が必要です。
金属の腐食

感染症以外にも、ハトの糞による金属の腐食なども問題視されています。ハトの糞には酸成分が含まれているので、大量の糞を長期間放置すると、金属の酸化・建物の劣化などのリスクが高まります。
建物の設備によっては、鉄骨などが露出されている箇所もあるので、知らない間に腐食が進んでいた、なんてことにならないよう注意しましょう。
その他、糞を放置していると、糞をエサにする、ゴキブリなどの害虫の発生を促してしまいます。糞を放置することで良いことなど何もなく、あらゆるリスクが高まってしまうことが分かります。
ハトによる被害について分かってきたところで、ここからはハトへの対策および改善方法についてご紹介していきます。
自分でできる早めのハト対策!
ハト被害のステージレベルから分かるように、ハトは安全な場所なのかを見極めながら、少しずつ滞在時間をのばしていきます。そのため、ハトの飼い主を目指していないのならば、早め早めの対策が必要不可欠になってきます。そこで、自分自身で行える対策について、いくつかご紹介させていただきます。
◆ネットやスパイクの設置
ハトがよりつかないようにするため、市販のネットによって物理的にハトの立ち寄れない環境を作ることや、待機場所にスパイクを設置してハトにとって生活しづらい環境を作ることが重要となります。ステージ1の休憩鳩や、ステージ2の待機鳩に有効な対策です。


◆こまめな糞の清掃
ハトは縄張り意識が強いため、糞のある場所を安全な場所として認識し、寝床にします。糞が放置されている場所は、ハトが寝床にしないよう早急な清掃を心がけましょう。先ほど述べたとおりハトの糞にはさまざまな菌が潜んでいるので、清掃時にはマスクを使用するなど、糞を吸い込まないよう注意を配り、清掃後には清掃箇所の消毒および清掃用具の処分をおすすめします。

早期対策を講じたにもかかわらず、ハトが寝床として巣作りをしてしまった場合、糞の清掃に加え、ハトへの対処が必要となってきます。
ハトへの対処となると「鳥獣保護法」という法律が関係してきます。平たく言いますと、たとえ敷地内であったとしても、巣の撤去・卵の処分・ハトへの威嚇などの行為は、すべて法律違反となってしまいます。
そのため、ハトが巣作りをし、ねぐらと化した場合、専門業者の対応が必要となります。
専門業者での作業費用については、現場状況にもよりますが、弊社管理物件で起きた事例では、ハトの駆除および汚染箇所の清掃で約28万円の費用を要しました。
決して安価な金額ではないため、ハトが住み着かないよう事前の予防および、こまめな清掃を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか?たかがハト・・・と放っておくと大変な事態を招く恐れがあることがお分かりいただけたと思います。早めに自分で行える鳩対策、少しは参考になったでしょうか?
みなさまが安心安全に店舗運営を行うため、少しでも手助けができるならば、われわれ施設部としては幸いです。
施設部では、ダクト清掃や防水工事など、店舗の設備周りのことでお困りの方の手助けをさせていただきます。快適な店舗運営に向け、課題のある方は、ぜひ一度施設部にご相談ください。
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