【飲食店の殺菌・消毒】アフターコロナの調理器具殺菌と野菜の洗い方、食中毒予防とは

飲食店での調理器具・野菜・果物の殺菌・消毒と洗い方とは。アルコールと次亜塩素酸ナトリウムによる正しい消毒・殺菌と、希釈のパーセントとppmの計算式、基本の調理器具であるまな板・ふきん・スポンジ・ブラシ・たわし使用・洗浄・消毒方法、注意が必要な次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは違いまで、飲食店経営を脅かす食中毒の原因となる細菌・ウイルスへの対策とともにお伝えします。

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日本の気候において、春から夏にかけては高温多湿により細菌が繁殖しやすく、冬の低温で乾燥した気候はウイルスが活動しやすくなるため、年間を通して食中毒を警戒しなければなりません。
今回は食中毒の原因となる細菌ウイルスの対策、そして調理器具の正しい殺菌・消毒について紹介します。

飲食店経営を脅かす食中毒

新型コロナウイルスの影響により、消費者の需要はイートインよりもテイクアウトやデリバリーとなり、自宅での食の充実を求める新たな生活様式へと移行しています。

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しかし、テイクアウトやデリバリーサービスの場合、万全の衛生管理で調理しても、運ばれる環境や食べてもらうまでの経過時間によっては調理品の劣化が進み、細菌が増殖し食中毒リスクが高まることも。

まずは、食中毒の原因となる細菌・ウイルスの性質から予防のポイントを見てみましょう。
下記の 開く ボタンから、一覧でご覧いただけます。

食中毒を起こす細菌・ウイルスと原因になりやすい食品一覧

原因になりやすい食品 予防のポイント
サルモネラ 加熱不足の卵、肉・魚料理、生卵、オムレツ、自家製マヨネーズ、洋生菓子、牛肉のたたき、レバ刺など 卵を割ったらすぐ使う、加熱が必要な食品は中心まで十分に加熱する
黄色ブドウ球菌 ヒトの皮膚、鼻や口の中、傷口、髪の毛などにいる菌なので、加熱後に手作業を行う食品:おにぎり、いなりずし、巻きずし、弁当、調理パンなど 手にケガをしているときは調理しない、手袋をする、髪の毛やつばの混入に気を付ける
腸炎ビブリオ 魚介類の刺身や寿司など 魚介類は流水でしっかり洗う、生の魚介類は食べる直前まで冷蔵庫で保存、解凍後の魚介類を放置しない
腸管出血性大腸菌(O157、O111など) 加熱不足の肉、菌に汚染された生野菜など 生の肉など加熱が必要な食品は中心まで十分に加熱する、生野菜はよく洗う
カンピロバクター 生や加熱不足の肉(特に鶏肉や鶏レバー) 生の肉など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱する
ボツリヌス菌 長期間保存されることが多い自家製の食品:いずし、瓶詰、缶詰、ハム・ソーセージなど(乳児ボツリヌス症の主な原因はハチミツ) 料理は十分に加熱する、1歳未満の乳児にハチミツ入りの食品を与えない
ウェルシュ菌 煮物、カレー、シチュー、スープ、麺つゆなど 作りおきの料理は十分に加熱する
セレウス菌 チャーハン、ピラフ、焼きそば、スパゲッティなど 大量の米飯やめん類を作りおきしない、この菌はあらゆる所にいるので、食品にほこりが付かないように、調理済みの食品にフタやラップをしたり、台所を清潔にするよう心がけましょう。
エルシニア・エンテロコリチカ 肉(特に豚肉)など この菌は冷蔵庫の中でも増えるため、生の肉など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱する
リステリア・モノサイトゲネス 未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品、野菜、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品など 生野菜や果物は食べる前によく洗う
ノロウイルス ウイルスを含む二枚貝(カキ等)を生や十分加熱せずに食べた場合 ウイルスの保有が疑われる食品の中心部を85~90℃で90秒間以上加熱する
A型肝炎ウイルス 国内の場合、生又は加熱不足の魚介類 生の魚介類など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱する
E型肝炎ウイルス 生または加熱不足のブタ、イノシシ、シカなどの肉や内臓 ブタ、イノシシ、シカなどの肉や内臓は、生食を避け、中心まで十分に加熱する
アニサキス サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカ等の海産魚介類の刺身、冷凍処理をしていないシメサバ等 冷凍・加熱によりアニサキスは死滅する
 
食材の特徴と予防のポイントを考慮し、テイクアウト・デリバリーには

  • 生ものや劣化しやすい食材を避けたメニュー構成にする
  • 調理の際には使い捨て手袋やマスクを徹底する
  • 調理器具の洗浄・消毒をする
  • 加熱が必要な食品は十分加熱する
  • 調理~販売するまで適切な温度管理をする

といった対策を行いましょう。

正しい消毒・殺菌の仕方

食中毒を起こさないためには、調理器具の洗浄と消毒・食材の殺菌といった対策が必要です。殺菌・消毒といえば、アルコールと、「ハイター」や「ブリーチ」といった商品名でなじみの深い次亜塩素酸ナトリウムが基本ですが、用途に合わせた使用ができていますか?
アルコールと次亜塩素酸ナトリウムの性質と特徴、注意点をまとめます。

アルコールによる消毒・殺菌



 アルコールによる消毒・殺菌の使用目的 
調理器具類の殺菌
手指の消毒

 アルコールによる消毒・殺菌の特徴 
即効性のある殺菌能力
食品添加物の認可があるものは食品に噴霧できる
スプレーなどによる噴霧ができ、速乾性である
手指の消毒にも使用できる

 アルコールによる消毒・殺菌の注意点 
水分を完全に取り除いてから使用する
引火性が高いので火の近くでの使用は要注意
洗浄効果は少ないため、洗浄された状態で使用する
殺菌能力は濃度や食品添加物によって変わる

次亜塩素酸ナトリウムによる消毒・殺菌



 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒・殺菌の使用目的 
ふきん、調理器具類の殺菌・漂白
野菜の殺菌

 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒・殺菌の特徴 
比較的安価
水道水やプール、野菜や果物の殺菌剤に使用されている
床や壁の殺カビにも適している
用途に合わせた濃度に希釈して使用する

 次亜塩素酸ナトリウムによる消毒・殺菌の注意点  
商品により塩素濃度が異なるので表示などを確認する
アルカリ性なので必ず手袋の着用と換気を行う
有毒の塩素ガスが発生するため、酸と混合しない
有機物の存在下では著しく殺菌効果を失う
金属腐食性が強く、塩素臭がある 

正しくできていますか?殺菌消毒の計算

消毒・殺菌用に、アルコール製剤や次亜塩素酸ナトリウムを使用するとき、どのくらいの容量を使用したらよいか、迷うことはありませんか?
さらに表示ラベルや使用法にある「%」や、「ppm」といった単位で混乱しますね。

ppmとは

ppm(ピーピーエム)とは、parts per million (パーツ・パー・ミリオン)の略で、1ppm は 100万分の1 を表します。
同じく濃度の単位として、より一般的な% (パーセント) は、1% が100分の1を表します。
つまり、100%が100万ppm1%が1万ppmとなります。

例)[A]%の次亜塩素酸ナトリウムを[B]ppmに希釈する場合
2種類の単位が登場する場合は、まず単位を統一します。
1%が1万ppmなので、
[A]%をppmに換算するには[A%×10,000]ppmになり、これを求める[B]ppmで割ると、希釈する倍数が求められます。
その倍数で、作りたい容量を割ると、必要な原液量を求めることができます。
問題:6%の次亜塩素酸ナトリウムから、200ppmの消毒液を2,000ml作るには?

(6%×10,000)ppm÷200ppm=300倍
2,000ml÷300倍=6.66ml
2,000ml-6.66ml=1993.33ml

答え:6%の次亜塩素酸ナトリウム液6.66mlを、水1993.33mlと合わせる
 
いつでも正しい希釈濃度で使用できるよう、水容量と原液量を示したマニュアルを準備しておきましょう。
 
生野菜の洗浄と殺菌方法