貸借対照表から見る分析方法、飲食店の経営健全化に役立つ知識を簡単解説

貸借対照表を読み解くことは、店舗の財政状況を把握するのに役立ちます。資産、負債、純資産から成り立つ貸借対照表は、バランスシートとも呼ばれ、事業の状況を把握するのには欠かせない財務諸表の1つです。貸借対照を構成している資産、負債、純資産とは?また代表的な勘定科目とは?貸借対照表を活用した経営指標など、分かりやすく解説します。

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飲食店経営を安定的に行うためには、細かな数字の管理が必要です。
そのためには、財務諸表のひとつ「貸借対照表」を読み解き、財政状況をしっかりと把握することが求められます。
今回は、飲食店経営のための貸借対照表の活用方法について、解説していきます。

貸借対照表とは?


貸借対照表とは、その企業が一定の期間において「なににお金を使ったか」と「どこからお金を集めてきたのか」をまとめた表のことです。会社のお金の使い道と出所を客観的に分析できるので、経営の課題発見や舵取りに活用されています。


貸借対照表は「資産」「負債」「純資産」の3つから成り立っており、左側に資産、右側に負債と純資産が記入されます。貸借対照表の名称は左側の資産と、右側の負債、純資産の合計金額が一致する、つまり「対照となる」ことから名付けられており、別名「バランスシート」とも呼ばれています。
 
経営者は貸借対照表をしっかりと管理しなければ「売上が好調に伸びていても、支出も同等以上に増えていて純資産が減っている」という問題点に気がつくのが遅くなってしまいます。
対処が遅れてしまうと、健全な経営が難しくなっていきます。
 
事業の規模が大きくなればなるほど、取り引きやお金の流れが複雑化し、財政状況の管理は煩雑になっていきます。大きくなった事業の全容を人の目だけで把握していくことは、非常に時間がかかる上に、主観的な感覚や経験に基づいた判断になる可能性も少なくはありません。
正しく第三者目線で事業の状況を把握するためには、貸借対照表の活用が欠かせないのです。
 
また、貸借対照表を適切に管理することは、多店舗展開を進めていく際にも重要となります。店舗拡大をしていくには、そのための資金調達として金融機関からの借り入れは必須でしょう。その借り入れ審査の際に必ずチェックされるのが、会社の財政状況を表す貸借対照表なのです。
このように、貸借対照表の管理は飲食店を多店舗展開をしていく上で非常に重要な役割を担います。
 
ちなみに、貸借対照表は「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」と合わせて財務3表と呼ばれています。
 
この章をまとめると・・・
◆貸借対照表は、なににお金を使ったか、どこからお金を集めてきたのかのかが分かる
◆貸借対照表でお金の使い道と出所を客観的に分析、課題発見に活用できる
◆事業が大きくなるとお金の流れも複雑化していくため、貸借対照表の活用は不可欠
 
Point! 貸借対照表を活用して店舗の状況を客観視し、早期に問題の発見と解決を繰り返すことで財政状況の安定を狙う。
 

貸借対照表の構成


貸借対照表は左右に項目が分かれており、左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」が記入されます。それぞれの項目には資産や負債などの名目を誰が見てもわかりやすくした「勘定科目」 が使われます。勘定科目は会社によってその呼び方が変わりますが、資産に入れる科目や負債に入れる科目は変わらないので、呼び名が異なっても意味は同じものです。
ここでは貸借対照表を構成するこの3つの項目について、代表的な勘定科目を使って具体的に確認していきましょう。
 

貸借対照表の構成~資産~

資産とはお金に換金できるものです。会社の全財産を表し、貸借対照表の左側に記入されます。
さらに資産は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に分類されます。
 
◎流動資産
通常の営業活動で獲得した資産です。1年以内に換金することが可能な資産が該当します。
 
【流動資産の勘定科目の例】
現金・売掛金・普通預金・当座預金・受取手形・短期貸付金(1年以内のもの)・棚卸資産(店舗在庫のこと)
 
◎固定資産
通常の営業活動で獲得した資産ではなく、1年以上の期間で使用する資産です。
 
【固定資産の勘定科目の例】
建物(店舗や事務所など)・土地(店舗の所在する土地)・借用地(借りている土地)・器具備品(調理器具、厨房機器など)・構築物(看板、フェンスなど)・ソフトウェア(業務で使用するソフト)
 
◎繰延資産
支払いが発生する費用のうち、その支払いの効果が1年以上続く資産です。繰延資産は一度資産として計上したのち、5年以内に償却していきます。繰延資産は、本来負債となる費用を一時的に資産に計上することができるので、経営の圧迫を防ぐことができます。
ただ、一時的に資産に計上できるものにも条件があります。例えば、創立費は原則として創立した年に資産へ計上、そしてその後5年以内に償却していくなど期間が定められています。
 
【繰延資産の勘定科目の例】
創立費(会社の立ち上げ費用)・開業費(事業を始めるまでの費用)・開発費(新店舗や新製品の開発費用)
 

貸借対照表の構成~負債~

負債とは支払いが発生するものです。貸借対照表の右側に記入され、他人から集めたお金のことを指します。
負債はさらに「流動負債」「固定負債」に分類されます。
 
◎流動負債
営業活動の中で発生した仕入れの支払いや債務などの負債です。1年以内に支払いが行われるものが該当します。
 
【流動負債の勘定科目の例】
買掛金・支払手形・短期借入金(1年以内のもの)・未払利息・未払法人税
 
◎固定負債
1年以上の支払期間が必要な負債です。
 
【固定負債の勘定科目の例】
長期借入金(1年以上のもの)・社債
 

貸借対照表の構成~純資産~

純資産とは資産から負債を差し引いたものです。貸借対照表の右側に記入され、自分で集めたお金のことを指し、自己資本とも呼ばれます。
純資産は最終的に手元に残る資産のことで、プラスであることもマイナスになることもあります。
仮に純資産がマイナスになった場合は、貸借対照表の左側に資産と純資産、右側に負債を記入します。 この際も左右の合計金額は一致していなければなりません。
 
【純資産の勘定科目の例】
資本金・利益剰余金(過去に積み立てた利益)

 
この章をまとめると・・・
◆資産は現金だけではなく換金できるものも資産になる
◆開業費などの負債も一度資産で計上し経営状況の悪化を防ぐことができる
◆流動負債はクレジットカードなどの引き落とし分も計上する
◆純資産は『資産-負債』で手元に残る資産。もちろん経営状況によってはマイナスにもなる
 
Point! 純資産がマイナスになった場合も、純資産は記入し、負債にも記入。 左右の合計額を一致させる。
 
貸借対照表を活用した経営指標とは?貸借対照表の構成をより詳しくご紹介