【子会社とは。親会社とは】本当にあった、親会社と子会社のこわ~い話

親会社とは?子会社とは?子会社の定義と、子会社化で何が変わるのか、会社法に基づく親子会社関係の規律、親会社と子会社化のメリットとデメリットは何か。私が体験した企業親子関係のヒヤッとする資産調査トラブルや、上から目線の子会社の話、円満に関係性を解消した事例などを紹介します。

こんにちは。店舗流通ネット、施設部のどんぐりです。
 
会社経営には悩みがつきものですが「親会社・子会社の関係」が関わってくると、その悩みは一層深いもの…。一言で親会社と子会社といってもその関係性は企業によってさまざまです。
 
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図のような対立は極端な例ですが、うまく関係性を築いていかないと、何かと穏便にいかないことが多いのも事実。
今回は、実際にあった企業親子関係のちょっとヒヤッとする実話をお伝えします。

親会社とは。子会社とは。

本来、親会社と子会社の関係性とは、親会社が子会社に対して経営指針や事業の方針を決定するなどの支配権を持つ関係性を言います。

子会社の定義

子会社(こがいしゃ、英語:subsidiary)とは、財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他)を他の会社(親会社 英語:parent company)によって支配されている会社である。ただし、「親会社」や「子会社」の定義は国により異なり、制定法上の定義の目的についても必ずしも親会社の株主保護や子会社の少数株主・債権者保護という目的で定義づけが図られているわけではない。
wikipedia「子会社」より

【会社法】親子会社関係の規律

会社法における、親会社・子会社関する規定は、次のようになっています。

子会社の計算で行う利益供与の禁止(120条1項)、利益供与罪(970条)
子会社の親会社株式の取得禁止(135条1項)
子会社による親会社の株主総会での議決権行使の禁止(308条)
監査役の子会社取締役等との兼任禁止(335条2項)
親会社の監査役等の子会社調査権(381条3項など)
監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる(381条3項)。
親会社の株主等による子会社に対する会計帳簿等閲覧請求権(433条3項)
会計監査人設置会社の連結計算書類の作成(444条)
wikipedia「子会社 親子会社関係の規律」より

子会社化のメリットとデメリット

子会社化するにはさまざまなメリット・デメリットがあります。
■メリット
・親会社の特定の事業・業務を子会社に移管することで、利益責任が明確にできる
・グループ全体の租税について、免税措置や節税対策ができる場合がある
・リスク分散できる

■デメリット
・事務手続きは煩雑になり、負担がかかる
・税務・法務・労務関係に2倍の事務作業が必要になる
・会計事務所の顧問料や、法人住民税のが2倍になる
 
条件によってさまざまなケースがありますが、本来は親会社・子会社双方にとってメリットがあるからこそ成り立つことがほとんどです。
しかし、親会社子会社の関係性を事前に明確にできなかったことで実際に起こってしまった、こわ〜い話をご紹介します。
 
※ここから話す内容は、私が前職の会社で体験した内容ですので、店通-TENTSU-運営会社の店舗流通ネット株式会社とは、まったく関係ありません。

 

Case:1 上から目線の勘違い子会社

あるところに事業多角化の失敗による経営難の会社と、それを救済するために資本注入した会社がありました。親会社・子会社関係の成立です。子会社の社長がやり手の敏腕社長だったこともあり、業績は順調に回復、親会社もほっと一安心。
 
しかしあるとき、子会社が親会社に黙って銀行借入をし、別会社に貸し付けしていることが判明しました。これは本来の目的・用途以外に資金を使用してしまう「資金の社外流出」にあたる大問題です。事を荒立てぬよう親会社が対応策を検討し、説明を求めたところ、子会社の社長から一本の電話が。
 
「●●さん(親会社の社名)が支援すると言うから事業拡大のために資本を受け入れたのであって、こちらから出資をお願いしたわけではない。事業拡大が方針なのだから余計なことは言わずに、親会社としてもっと応援してくれないと困る」・・・と。
 
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その言い分は無いだろう…と思いましたが、子会社の業績が好調なのは事実。やる気をなくされては困るので、穏やかに対応しました。しかしその後も子会社の態度は改善されず、資金の社外流出もうやむやになってしまいました。
 
その後さまざまな手法で好き勝手に資金調達をした結果、簿外を含めて短期間に何十億円もの負債を負うことに。コントロール不能で軌道修正がきかず、すべての持株を売却して完全撤退しました。
 
■Case1 まとめ
歴史のある会社は独自の企業文化を持っていますが、独自性が強ければ強いほど、親会社のコントロールが効きにくくなります。
親会社から幹部クラスを派遣しても、大概は弾き飛ばされて戻ってきます。もともと元気のあるヤンチャな子会社だったので、活力を殺さないように緩やかな企業統治をしていたことが、裏目に出てしまいました。 
最初に親会社と子会社の関係を互いにハッキリさせないと、どちらかが勘違い経営者になりかねません。
 

Case:2 甘く見てはいけない資産調査

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ある親会社が、子会社の売却を計画していました。複数の買い手候補が挙がる中、最終的にA社とB社の2社が候補に残り、書類調査・面談・諸条件の調整と交渉が行われました。
 
まずA社。こちらの会社は朝早くから夜遅くまで、実に熱心に調査に取り組んでいました。 
一方B社は表面上の簡単な調査で、あまりやる気のない様子に見えました。買収に対する真剣さは誰が見てもA社が勝っている状況。しかし、実際には破格の条件提示により、B社が買収しました。B社は経営計画の中で積極的な企業買収を対外的に発表しており、実績を作らなければならないため、最初から破格な条件で買収するつもりだったのです。つまり結論は、最初から買収するつもりの「出来レース」だったのでした。
 
すでに買収の意思が固まっている案件なので、B社の担当者は真剣に調査に取り組まなかったのでしょう。しかしその手抜き仕事によって、いろいろな問題が発生して、多額の赤字を出し、最終的には他社に会社を売却して撤退しました。
 
■Case2 まとめ 
B社に同情の余地はありませんが、親会社が代わるたびに、方針がころころ変わった子会社は本当に気の毒でした。子会社を売却する場合は、買い手の調査を念入りに行うこと。そして買収する立場になるのであれば、親会社となる責任を持ち、安定した経営を心がけてほしいと思います。
 

番外編:円満に関係性を解消したケース

親会社と子会社の関係性を解消するとなると、もめるケースも多いのですが、逆に利害が一致して円満に解消できたラッキーな事例もあります。
 
地方の子会社の社長が、親会社が持っている自社の株の買取りを検討していました。
一般的には、子会社の社長が「自社株を買いたい」といっても、株を所有している親会社が「売る」と言わない限り、買うことはできません。
しかし、この子会社は『①利益が出ていない状況 ②親会社の遠方にある』という理由から、親会社は株の売却を了承しました。
 
さて、問題は親会社が持っている株式の買取り資金です。社長には手持ち資金がないので、全額借入で進めるしかありません。さっそく付き合いのある地元の地方銀行や信用金庫に、融資して欲しいとお願いしましたが、借入金で株を買うような案件が通るわけもなく返答はすべてNO。
 
銀行からの借入をあきらめて別な方法を検討していたところ、政府系金融機関の担当者が突然「設備資金は必要ありませんか」訪ねてきました。設備投資の計画はないため、提案は丁重にお断りしましたが、ダメもとで親会社が持っている株式の買取りを検討していることを話しました。その時は特に反応はなかったのですが、後にこれが思わぬ幸運につながります。
 
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数日後、その担当者が上司の課長を伴ってふたたび訪ねてきました。なんと、株の買取り資金を融資するとのこと。その課長は胸を張って言いました、「中央資本の傘下におかれている地方会社の独立を支援する事も我々の使命でございます」と。よくもまあそんな理屈を考えつくものだと思いながらも、1億円近い融資額、低利、長期返済、無担保の条件に心からお礼を言ったのでした。
 

さいごに

本来であれば、まだ伸び代がある企業やサービスを支援し、お互いの利益を最大限に伸ばしていくのが親会社と子会社の醍醐味。しかし親子関係がうまくいかず、本業に全力投球すべきエネルギーを、他の業務に使わざるを得ないのはお互いにとって実にもったいないことだと思います。
 
これらのトラブルは、親会社子会社の関係性を結ぶ際に、クリアな話し合いをすることで防げることが多くあるはずです。自分の会社ばかり可愛がらずに、お互いを尊重した関係を築けるよう心がけることが大事なのかもしれませんね。
 

どんぐり

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