【強制執行】不動産の差押え・仮差押えとは?不動産競売の申立てのすすめ方

強制執行の債権回収方法、不動産の差押え。不動産(土地・建物)の差押えを強制競売というのはいわゆる競りを行うため。不動産差押え、債務名義とは、不動産競売の特徴と流れ、仮差押えとの違い、仮差押えの手続きと費用、不動産競売の申立てに必要なもの・書類・費用など、わかりやすくまとめ、解説します。

裁判所へ申立てする強制執行の中で、一番高額な債権回収の方法が『不動産の差押え』です。不動産(土地・建物)は、人が所有する財産の中で高額な資産価値を有する物と考えられますので、うまく差押えができれば、その効果は大きいですね。ただ、注意する点も多く、費用も他の申立ててと比べて、けた違いに高額になりますので、事前の調査・確認が大切です。
 
そうかと言って、のんびりはできません。また、申立てから実際にかんされるまでに時間も結構かかりますので、その点も注意が必要です。
 

 

不動産差押えとは

そもそも差押えとは、合意した内容の不履行などが生じた際に行う債権の回収手段です。一般的に差し押さえられるものには、不動産(土地・建物)・給与所得者の給与・預貯金・動産(家財など)が対象で、その中でも高額な回収手段が不動産の差押えです
不動産差押えがその他の差押えと異なる点は、対象となる物が「不動産」のため、担保に供され、抵当権が設定されていたりしていること、それに伴い、対象となる不動産の評価額の算出に時間と手間がかかるという点です。
 
手続きは、申立てをして完了ではなく、申立て後も書面のやり取りが生じます。その後、裁判所で出された評価額(最低売却価格)を基準に、購入希望者が買い値を提示し、一番高い値段をつけた人が買うことができるという、いわゆる「り」を行うことになります。不動産の差押えが「強制競売」とも言われるのはこのためです。
 

債務名義

また差押えを行う際には、「債務名義」が必要になってきます。債務名義とは、裁判で勝ち取った判決、相手と合意した和解調書などのことです。債務名義のほかには、それらの債務名義が相手方にきちんと送られた事を証明してもらう書類(送達証明)や、内容によって債務名義に執行文という書面の申請が必要となったりもします。
 
差押えについて詳しく知りたい方はこちら
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不動産競売の特徴

1つ目は、債務名義があるかどうかであり、時間との闘いということです。
「時間との闘い」というのは、債務者側は資金繰りにきゅうきゅうとしている状況のため、借り入れや、あらゆる物の現金化、もしくは、不動産を処分することに動いているかもしれません。不動産の処分が先にされてしまいますと、当然、差し押さえるものがなくなってしまします。そのため、「時間との闘い」になるという事です。
 
2つ目は、その不動産に抵当権(担保)がついているか、かつ、どの程度の担保が付いているかで、大きく変わってきます。抵当権が付いていると、その抵当権者の債権が、抵当権のない債権者に優先して弁済を受ける権利があるからです。また優先権でいうと、税金関係の滞納は、抵当権者よりも優先順位が上になりますので、苦労して手続きをしても、何にもならなくなってしまいますので要注意です。
 
3つ目は、上記の二つの点を把握した上で費用対効果を検討し、それに値するかどうか判断しなければならないということです。
 

不動産競売の流れ

不動産競売

手続きの大まかな流れをお話ししておきましょう。
 

    【競売の流れ】
  • ①「債務名義」に基づく差押えの申立てを当該不動産を管轄する地方裁判所に行う
  • ②問題がなければ「競売開始決定」が出される
  • ③裁判所が最低売却価格などを決めた後に競売手続へと移る
  • ④購入希望者は入札日までに希望価格を裁判所に届け出る
  • ⑤開札期日に最も高い金額を申し出た購入者に決まる
  • ⑥購入者は期限内に代金を一括納入する
  • ⑦代金の納付後に分配手続きに移る
 
分配に際し、不動産の場合では、誰が申立てしてたかに関わらず優先される債権があります。前項の、2つ目の特徴でも説明しましたとおり、当該不動産に抵当権を有する債権者であり、公的な税金関係がそれに当たります。優先債権ではない債権(一般債権)は、優先債権の残りを債権者で債権額に応じて分配されます。
ここまでを終えて、手続きが完了します。
  

仮差押え

ところで、債権はあっても「債務名義」が手元にないことが多いかと思います。その様な状況において、相手への請求手段として不動産の差押えを行うというのは困難です。何より債務名義が有りませんので、すぐに手続きを行う訳にはいかないのです。
 
そんな際に使えるのが、この「仮差押え(かりさしおさえ)」という手続きです。
 

①「仮差押え」を行うとは?

債権の回収を法手続きで図ろうとする場合、まず債務名義の取得を目指すことになります。具体的には訴状・支払督促などになってくるかと思います。ただ、この方法による手続きは、時間が掛かります。
そうなると、相手はこちらが裁判所に手続きを取っている間に、自分の資産を隠してしまったり、先に売却して換価したりしてしまい、こちらが債務名義を取得できて、やっと目的の不動産を差し押さえようとする頃には、肝心の不動産は相手の手元からなくなってしまっているという状況も考えられるわけです。
その様な事態を避けるために、債務名義」の取得の前、または並行して相手方の所有する財産を他に売却されない様にしようというのが、この「仮差押え」(保全手続き)です。簡単に言うと「唾をつけておこう」ということです。
 

②「仮差押え」するには

この「仮差押え」をするのにも、当然、裁判所に申立てを行う事になります。必要性を説明し、裁判所に理解してもらう必要があります。
ちなみに東京地方裁判所では、申立て後に裁判所より呼び出しがあり、しんじん(面接)が行われます。これが認められますと仮差押えが成立します。「仮」であったとしても認められれば、登記簿謄本にその旨の登記がなされる訳ですから、簡単に認められないのは理解できますよね。
 

③「仮差押え」の手続きにかかる費用

この手続きでは、担保として一定金額(債権の10~30%)を裁判所へ納めないとなりません。これは、債務名義を取得する訴訟で結果的に負けて、仮差押えが必要でなかった事が後からわかった場合に、その仮差押えによって債務者が被った損害賠償に充てるためです。もちろん、債権者が訴訟に勝った場合、債務者の同意が有る場合には返還されるものです。
 
仮差押え」が認められた後の訴訟で勝った場合には、そこで取得した債務名義により「不動産競売」の手続きを申立てすることになります。
 

不動産競売の申立てに必要なもの

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申立てには何が必要かというと、この種の申立てには「債務名義」(具体的には、判決文・和解調書・仮執行宣言付支払督促・公正証書など)が必須であり、実務上は送達証明・執行文も必要です。また、当該不動産を特定するための資料などとして、登録事項証明書(土地・建物の登記簿謄本)、公図固定資産税評価証明書地図なども用意する必要があります。細かいところは、申立てを行う裁判所でも若干異なったりしますので、直接確認をすることをお勧めします。
 

申立てに必要な書類

それでは、具体的にどの様な書類を用意したら良いのかを、参考画像と併せて見ていきましょう。
 
①不動産強制競売申立書
今回の申立てがどの様な内容の申立てで、どこの裁判所に対して誰が行うのか、また一緒にどのようなものを作成しているかを記載します。
 
②当事者目録
申立てが誰によってなされ、誰を相手に行うかを記載します。
 
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①不動産強制競売申立書 ②当事者目録
 
③請求債権目録
何に基づき、どの様な内容を幾ら請求するかを記載します。
 
④物件目録
競売の対象となる具体的な不動産の内容を、登記簿謄本記載の表記通りに記載することが求められます。
 
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③請求債権目録 ④物件目録
 

費用

次に、申立てするのにかかる費用をまとめていきます。
 
①申立手数料
債務名義1つに対して4,000円必要になり、収入印紙を申立書に貼り付け届け出ます
 
②予納金
裁判所、物件数により異なりますが、60万円~200万円くらいかかります(東京地裁の場合)
 
③登録免許税
差押登記のため、請求債権額の1000分の4(1,000円未満を切り捨て)を国庫金納付書にて納付します(3万円以下は収入印紙でも可)
 
なお、直接的な費用ではありませんが、発行から3ヵ月以内の当該物件の謄本が必要になる場合もあるため、郵便代も掛かってきます。換価価値の大きな手続きですので、かなりの費用が必要ですが、リスクも大きい分、うまく行けば桁外れの金額を回収できます。
 
※下記サイト参考
www.courts.go.jp
  

おわりに

不動産の差押えの際に重要なことは、
 
  • ①差押えを考えた際に、「仮差押え」の必要があるかどうか
  • ②抵当権がどの程度(金額)ついているか
  • ③抵当権が付いていたとして、どの程度の残債が残っていると判断するかの見極め
  • ④税金などの負債が、どの程度あるかの情報収集
  • ⑤掛かる費用面を考慮して、それでも申立てを行う価値が有るかどうか
 
これらを総合的に判断し、それでも不動産の差押えを行った方が得なのかどうなのかを決めなければならない訳です。
 
どうでしょうか?それでも、やってみますか?
「では、レッツトライ!」

 
 

パツラ

不動産競売