【つけめんとは】ラーメンの神様、山岸一雄とつけ麺の歴史 直弟子・麺屋六文銭に聞く

つけめんとは?つけ麺の歴史、そして生みの親でありラーメンの神様と呼ばれた山岸一雄氏の意外な一面を直弟子である、さいたま市宮原のラーメン店『麺屋 六文銭 』店主に伺いました。山岸氏のこだわりと秘伝のレシピ、「特製もりそば」命名の経緯とは。つけ麺とラーメンの違い、つけ麺の食べ方、スープ割り・ご飯割り・飯割り・あつ盛りとは?なぜつけ麺は遅くて高いのか?など、つけ麺の根底に迫ります。

欧米ではタブーとされますが、日本ではズズーっと音を立てながら食べる麺。
日本は米食の文化ですが、そば・うどん・ラーメン・パスタ・・・といったバラエティ豊かな麺料理は日本の日常食といって間違いないでしょう。
そんな麺料理の中から、今回は『つけ麺の歴史』、そしてつけ麺の生みの親でありラーメンの神様と呼ばれた『山岸一雄氏』について取り上げます。

つけめんとは?

従来はそば、うどん、そうめんなどの麺つゆにつけて食べることを「つけ麺」と呼んでいました。しかし、近年では、中華麺つけ汁につけて食べることを「つけ麺」というようになり、従来のつけ麺を「ざるそば」「ざるうどん」と呼ぶほうが一般的になっています。
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つけ麺とラーメンの違い

つけ麺とラーメンの一番大きな違いは、スープと麺が違う器で提供される点でしょう。
店舗の造りは一般的なラーメン店と、さほど違いはありませんが、ゆでた麺を水で洗ってしめるため、ゆで麺機の近くに麺を洗うシンクが必要です。工程を考えると、そば店やうどん店の厨房と近いといえます。

つけ麺の短所。遅くて高い!?

つけ麺の魅力はなんといっても「麺」ではないでしょうか。しっかりした小麦粉の香りと風味、そしてコシのある食感とのどごし、そんな「麺の魅力」を存分に味わえる中太〜太麺を使用するお店が多く、自家製麺を使用したり、製麺所に特注したり、麺のこだわるお店も少なくありません。
 
しかし、つけ麺は同じお店のメニューの中でも「ラーメンより単価が高い」「出てくるまでに時間がかかる」と感じたことはありませんか?
それは、つけ麺には次のような特徴があるからなのです。
  • 中太〜太麺を使用するため、細麺よりゆで時間が長くなる
  • 一般的にラーメンよりも麺の量が多いため、原価が高くなる
  • ゆでた後に水で締め、水分を切るため、手間と水道代がかかる
  • つけ汁と麺、それぞれを器に盛るため、丼の数と洗い物の量が2倍になる

ラーメンよりもつけ麺の方が、原価も手間も提供時間もかかるのです。つけ麺とは寛大な気持ちで向き合いましょう。
(※あくまで一般論ですので、ラーメンの方が、原価・手間・提供時間がかかり、つけ麺よりも価格設定が高いお店もあるかもしれません。)

つけ麺の食べ方「スープ割り」と「ご飯割り」、「飯割り」とは?

つけ麺を食べる際、「つけ汁」をそのまま飲み干すには味が濃いですが、「スープ割り」をすることで新たな味わいを楽しむことができます。
店員さんにお願いしてスープを足してもらったり、卓上にスープのポットが置いてあるお店では自分でスープ割りにすることができます。
まずは麺とつけ汁でいただき、スープ割りで飲み干すもよし、残しておいた麺や具材と一緒に味わうもよし、ご飯を投入するもよし。どれが正解というわけではなく、思い思いにたのしまれているようです。
ちなみに、スープ割りをせずにご飯を投入することは「飯割り」「ごはん割り」と呼ばれています。

あつもり(あつ盛り)とは?

一般的に冷たい麺に温かいつけ汁でいただくのが「つけ麺」、温かい麺に温かいつけ汁でいただくのを「あつもり」といいます。
「麺のコシとうま味、風味」を味わうには、冷たい麺のつけ麺がおすすめです。
つけ麺は、麺をつけることで、つけ汁がどんどん冷めていきます。つけ汁には麺をさっとつけ、一気にすするとつけ汁の温かさを保持できます。

あつもりは、ゆでた麺を水で締めた後、再度熱湯をくぐらせて提供します。あつもりの魅力は「つけ汁が冷めない」という点があげられるでしょう。「温かいスープと麺の優しさ」を味わえるので、芯まで冷えるような寒い日、優しさに出会いたい日にはあつもりがおすすめです。

つけ麺の歴史 「ラーメンの神様」山岸一雄氏とは

つけ麺を語るには、つけ麺の考案者である東池袋大勝軒の山岸一雄氏を知らなくてはなりません。
2001年9月に東池袋大勝軒の店前で撮影された山岸一雄氏と弟子の方々
東池袋大勝軒の店前で撮影された山岸一雄氏(2001年9月撮影)

東京都豊島区東池袋にあったラーメン店「東池袋大勝軒」の創業者である。
日本におけるつけ麺の普及に広く貢献し「つけ麺の元祖」や「つけ麺の生みの親」「ラーメンの神様」と呼ばれ広く親しまれた。
山岸 一雄 ーウィキペディア(Wikipedia)ー

2015年にお亡くなりになった今でも、ラーメン業界だけでなく、多くのファンに愛され続けている山岸氏とはどんな方だったのでしょうか。

今回は、東池袋大勝軒で山岸氏の弟子として修業された「麺屋 六文銭」の店主に、山岸氏がどんな方だったのか、伺ってまいりました。

弟子に聞く「山岸一雄氏とは」

◆東池袋大勝軒には、どうやって弟子入りしたのですか?
大手コンビニで店舗開発をしながらラーメン店の開業を決意し、まずは家系のラーメン店で修行しました。独立の目途が立ったころ、当時の大勝軒の後援会の役員の方のすすめで、山岸マスターの下で修行をさせてもらえることになりました。

弟子入り初日、気合いを入れて早くお店に出勤したところ、厨房で水浴びをしている半裸のマスターの姿がありました。当時、マスターは店に寝泊まりしていたので、朝の仕込み前にラーメンのスープ用の大きな寸胴ずんどう鍋に湯を沸かし、柄杓ひしゃくですくって湯あみ(湯で体を温め洗うこと)をするのが日課だったんです。

◆大勝軒の「弟子」はどんな待遇だったのですか?
入門したときの先輩弟子は、小遣い程度の給料をもらっていました。
私は無給、交通費もなしで働かせてもらうかわりに、優先的に直接マスターから指導をしていただきました。
製麺やスープ、チャーシュー、メンマなどのレシピ、常連さんにサービスしていたつぶ(ぎょうざ)のレシピなども教えてもらいました。

山岸氏の麺のこだわり

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◆東池袋大勝軒といえば自家製麺ですが、山岸氏のこだわりはどのようなところにありましたか?
製麺を指導していただくとき、「加水率は何%ですか?」と質問したら、「何%と決めてもうまくいかない。製麺時のさまざまなコンディションに対応して調整しなければいけないので、指先で粉と水の混ざり具合の感触を覚えなさい」と言われました。

大勝軒の特徴「大盛りの麺」も、「おなかいっぱいになってもらうこともおいしさの大事な要素」という、マスターのこだわりのひとつでした。

また、麺の表面の潤いを重視されていて、つけ麺の麺を盛る際、「水を切りすぎないように」と言われていました。
私が六文銭として独立してからも、山岸さんの教えを守って麺の潤いを重視していましたが、「水切りが悪い」と言われることが多くありました。それを山岸さんに話したところ、「その方がおいしいんだから、気にせず続けなさい」と言っていただきました。ですが、あまりにも言われることが多いため、今では極力水切りをしています。

ちなみに山岸さんのまかないは、麺丼に並々と水を入れた中に麺を盛り、釜ゆでうどんのようにつけ汁につけて食べていました。
つけ汁が薄まっていくのがまたおいしい、それを楽しみながら食べなさい」と言われていました。
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また、スープの仕上げの際、にんにくひとかけの量にもこだわり、寸胴に「粒2!」「粒3!」と追加して味を調えていたのがとても印象に残っています。
そして、それとは対照的に、「捨てるものは何もない!」と言って、仕込中に出るくず野菜(皮や芯など、通常は口にしない野菜部位の総称)や、ゆで卵のむき損じ(形が崩れて味付け卵にできないゆで卵)など、量を決めずに何でもボンボンと寸胴に放り込んでいたのも印象的でした。

◆大勝軒のつけ麺は、なぜ「特製もりそば」という名称なのですか?
山岸さんはただ「もりそば」と言ってしまうと、「日本そば」と思われてしまうので、特製と付け加えたとおっしゃっていました。
一般的には「特製」というと、具だくさんとか、豪華という意味合いですが、当時の特製もりそばは、決して「特製」的な感じではありませんでした。

山岸氏の秘伝のレシピ

◆山岸氏が大勝軒のレシピを公開し、多くの弟子を育てた経緯はご存じですか?
初めは秘伝としていたのですが、歳を取り、先が短くなってきたと感じたとき、「自分のラーメンを後世に残したい」と思うようになり、方針を変えてレシピの公開をしたと聞きました。
私は12~3番目の弟子なので、レシピ公開の初期の弟子なのですが、その後、爆発的に大勝軒は増えていきました。

◆大勝軒の分裂騒動はどのように関わっていたのですか?
山岸マスターが第一線を退いてから、事務局のようなものができて、大勝軒の系列を整理し、統制を図ろうとする動きがありました。
私も誓約書のようなものにサインを求められましたが、山岸さん本人に言われた訳ではなく、事務局設立の経緯や詳しい説明もなかったので、拒否しました。そして山岸さん亡き後の分裂騒動からも距離を置いていましたので、系列としては「かやの外」だと思います。

入り口から六文銭を見守る山岸一雄氏の色紙と六文銭店主との笑顔の写真
入り口から六文銭を見守る、山岸一雄氏の色紙と六文銭店主との笑顔の写真

「大勝軒」とは異なる屋号での開業

◆修行を終え、独立する際には山岸氏からのアドバイスなどはありましたか?
自分は他店での修行経験もあり、大勝軒の味を守るというよりは、大勝軒をベースとした自分の味を目指していたので、「大勝軒」の屋号を使うことにためらいがありました。
山岸マスターに、「麺屋 六文銭」で開業したいと相談したところ、少しさびしそうに「そっか…。わかった。大勝軒使わないのね…。いい屋号だと思うよ。がんばりなさい…。」と言われ、申し訳ない気持ちになりました。
出店時にはレイアウト図を見てもらい、「トイレの前にのれんをかけた方がいいね」などのアドバイスをしていただきました。

メディアで語られなかった山岸一雄氏

山岸一雄氏から贈られた六文銭の開店祝いの色紙「宮原に旨いものあり特もりの忘れられないそばの味」
山岸一雄氏直筆の「六文銭」の開店祝いの色紙
「ラーメンの神様」と呼ばれ、優しく穏やかな人柄で知られている山岸氏。
取引業者にも値切らないので、食材などは高く買っていたというエピソードも。

しかし、弟子に対する熱意は熱く、些細ささいなことでカッとなって怒鳴りつけることもあったとか、競馬が好きでいつも大穴狙いだったとか、意外な一面もあったそうです。

そんな弟子入りから独立、山岸一雄氏とのエピソードや、知られていない人柄をお話しいただいた六文銭店主から、店通-TENTSU-読者様へ『味玉サービス!』の特典をご用意いただきました。

『麺屋 六文銭 』店舗情報&店通特別特典!

『麺屋 六文銭』はJR高崎線の大宮駅のとなり、宮原駅の駅前にあります。
「手間や材料は惜しまず、天然素材から出る味で、一切添加物に頼らず作っています。」という六文銭の麺は北海道産小麦粉と、北海道産ゆめちからの全粒粉をブレンドし、店主自らが製麺する自家製麺。スープは「豚骨をベースに鳥と魚介類を合わせたしょうゆ味」とのことで、『○○系』と一括りにはできないオリジナルの味を、すべて国産原料、かつ無化調で仕上げているそうです。

社会人男性や学生だけでなく、女性のおひとり様や、小さなお子様連れの方も多く来店される六文銭。店通×味玉サービスの特典は、予告なく終了する場合がございます。山岸氏から受け継いだ自家製麺と、他では味わえないオリジナルのスープの相性をぜひお試しください。

麺屋 六文銭 店舗情報

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■ 住所
埼玉県さいたま市北区宮原町3-512
■ アクセス
JR高崎線 宮原駅西口から徒歩1分
■ 営業時間
11:00~15:00、18:00~23:00
■ 定休日
日曜日
店通-TENTSU-特別特典「店通をみたよ」というお客様に、味付け玉子をサービス!
※この特典は、予告なく終了する場合がございます。
麺屋 六文銭

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店通編集部

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