「うちの店は大丈夫」それ本当ですか? 閉店を経験したオーナーの【退店レジュメ vol.13】-閉店の仕切り直し-

【閉店の仕切り直し】 店舗売却の目処が付きホッと一安心。 しかし大家承諾がでず、戻ってくるものと考えていた造作代金と保証金が水の泡。 定期借家賃貸借契約は大家から言われたら、出ていかなければならない契約なのです。 家主・不動産会社・場所・契約内容によって様々な進め方があります。

こんにちは。月一連載の退店レジュメもvol.13となりました。自分の振り返りで綴りはじめた連載もあと残り2回で完結します。宜しければ最後までお付き合いくださいませ。
 
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f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain第2話で立てたフラグが回収されたようですね」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「フラグ…?回収…?」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「いえ、こちらの話です。今回は、契約内容について改めて詳しく解説していただきました!」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「もちろん、物件契約時にも色んな想定をしました。契約内容についても、注意深く確認しました。それでも、何か起こる時は起こるのです…。」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「前にも後にも引けないような状況に追い込まれていきますが、そこからのロコズキッチンはどうなっていったのか。乞うご期待です。」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「残り2回、よろしくおねがいします!」

 
 
 
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ロコズが閉店できないワケ

「5年で90%が閉店する」と言われている飲食業界。ロコズキッチンの営業期間は2010年10月9日(土)~2015年8月16日(日)なので、5年弱…。結果的に90%の仲間入りとなりました。
 
閉店を決意してすぐ、浅野が現在勤めている店舗流通ネットのAさんに店舗売却を依頼。営業マンのスピーディーな対応のおかげで1ヶ月で店舗売却の目処が付きホッと一安心。しかし、管理会社に相談したところ大家承諾ができず、思わぬ事態に目の前が真っ白に…!
 
売却目処がついていたので、戻ってくるものと考えていた造作代金と保証金の250万円が水の泡となりました。
 
その時期2月下旬。
 
『このままだと夏で終わる』。閉店を決意してから1ヵ月と少し。『まだ資金に余力のあるうちに、できるだけ早く』。そう考え、急いで準備を進めてきました。一時も無駄にしたくない状況です。では、なぜ大家承諾ができなかったのでしょうか。
 
 
皆さまは以前、退店レジュメ第2話で書いた契約の話を覚えていますでしょうか?
 

契約締結までには1ヶ月以上掛かりました。またこの物件は普通賃貸借契約ではなく「5年定期借家賃貸借契約」という契約内容でした。
普通賃貸借契約は一般的に、2年に1度位の契約更新があり、その都度更新料支払います。しかし定期借家賃貸借契約は一般的に通常の賃料より安かったり、更新料がなかったり、うれしい条件が付いてくることが多いです。反面、甘い話には罠があるもので…。その裏には何か潜んでいます。そして後々ロコズはこれで大変な事態を招きます。そんなことは、契約当初は知るはずもありませんでした…。

(引用:「うちの店は大丈夫」それ本当ですか? 閉店を経験したオーナーの【退店レジュメ vol.02】-開業への第1歩 物件契約-)

 
記載の通り、ロコズは5年定期借家賃貸借契約といった不動産の契約をしていました。定期借家賃貸借契約を具体的に説明しますと
 

契約で定めた賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要。居住用建物だけでなく、営業用建物にも適用される。平成12年(2000)より導入。借地借家法第38条に基づく。→定期借地契約→定期借家制度
(抜粋:デジタル大辞泉より)

 
つまり、大家から「出てください。」と言われたら、話を受けた後6ヵ月後には出ていかなければならない契約なのです。
 
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2010年8月、物件の契約について進めていた頃でした。当初担当者には、「ビルが古いのでいずれ解体工事をするかもしれません。その兼ね合いで定期借家契約としています。ただこのビルは区分所有者が多く、10年15年でまとまる話ではありません。」と説明を聞かされてました。
 
話を聞いた当時、私の理解はこうでした。「いつかはこの物件を明け渡すのか。でも、だいぶ先の話にはなりそうだな。」
 
つまり、『いつかは出ていく物件』というは理解はできていましたが、『居抜きで出れない物件』という風には考えていませんでした。
 
ロコズの前は居酒屋、その前はお好み焼き屋…。この物件はずっと居抜き店舗として使われてきています。
 
定期借家賃貸借契約の内容は理解していましたが、「10年15年でまとまる話ではありません。」と言われていましたから、後継ができないとは1%も考えていませんでした。担当者との会話内容もしっかり覚えています。しかし、この会話の内容は口頭のみで書面には記載されていません。
 
まさか…代々居抜きで続いてきたこの物件が、自分の時だけ後継できないなんて!しかも、『契約終了まで居ないのならスケルトン戻しで退去』と言われるとは…。相当ショックでした。想定とあまりに違う展開。そうは言われても、こちらの人生もかかっていますから、易々とは引き下がれません‼︎
 
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「ちょっと待ってください。契約時に担当者から工事はだいぶ先の話と聞いていました。今までできていた後継が急にできないのは納得できません。次の後継者も決まっています。」
 
「しかし、もしダメなら、耐震補強工事でビルを修繕する時に、他の産業廃棄物と一緒にロコズも解体して欲しい。どうせ今後テナント募集しないなら、今回ロコズは現状有姿で明渡しとし、スケルトン工事は免除できませんか!?」
と交渉しました。
 
 

不動産・大家に報告する前に後継者を決めたワケ

前回の退店レジュメでコメントもいただきましたので、詳しく説明していきます。
 
「後継者を決める前にまず不動産会社と大家の承諾が先じゃないのか?」確かにおっしゃる通りです。ですが、家主・不動産会社・物件がある場所・契約内容によって様々な進め方があります。今回はロコズキッチンを通して実際私が体験したことを掘り下げてお話させていただきます。
 
まず家主について。ロコズが入居していた家主は、退店レジュメ2話でも記載しましたが、役所みたいに何でも書面の会社でした。賃貸借契約を締結するのに1ヶ月半掛かるほど、とにかく動きが遅い会社でした。
 
そして退店時期。資金繰りの関係上、遅くても8月末には撤退しないと辞めたくても辞められず、自己破産する可能性もありました。
 
また、家主や不動産会社はテナントが居ない空白の時間を嫌がります。当然ですね。賃料が入ってこないのですから。という理由もあり、「後継者も居ます」ということを踏まえて、安心感・信頼感を盾に話を進めるという算段だったのです。
 
ロコズの前のテナントもそのように動いていたので、家主や不動産会社に連絡する前に水面下で動いていました。お互いに1番の安全策…と思っての行動でした。結果、まさかの水の泡でしたが。
 
ロコズの件はあくまで一例です。さまざまなケースがあるため、動く順番はどちらが正しい…というのは一概に言えなかったりします。どちらにせよ、何事も事前に把握しておくことが大切ですね。
 
 

工事が早まったワケ

耐震補強工事のきっかけは2011年3月11日の東日本大震災です。このビルは築40年以上と耐震構造上不安があり、次に関東直下地震が来たらヤバいかもと言われていました。万が一ビルが崩壊し死者が出たら保証問題や体裁が悪い。ですので耐震補強工事をしたい。「いずれ全テナントには一旦退去してもらおう」という計画案の第1号にロコズは選ばれてしまったのです。
 
このタイミングで、ふたたび震災の影響を受けるとは思いもよりませんでした。もう、言った言わないは水掛け論です。契約書にはそんなことは明記されていませんから。
 
それに、理由が耐震補強工事のためならば…仕方ありません。2019年まで頑張ればスケルトン返しは免除で退去。いやいや、あと4年もあります。資金も身体も心も持ち堪えることは不可能でした。迷ってる時間はありません。物件の明渡しは解約予告6ヶ月前です。今解約予告通知書を出しても8月末明渡しです。
 
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「解約でお願いします。」
 
 
 
もはや選択の余地はありませんでした。
 
 
 

浅野

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