「うちの店は大丈夫」それ本当ですか? 閉店を経験したオーナーの【退店レジュメ vol.11】-夫婦経営の限界-

【第11話 夫婦経営の限界】 徐々に認知され始め、特長や立地特性を活かし盛り上がってきました。 震災後の閑散とした店のことを思うと、夢にまでみた光景といっても過言ではありません。 しかし、最初は気が付かなかった負のスパイラルに、売り上げが向上していく一方で、私たち夫婦の状況は悪化していきました。

皆様、こんにちは。ロコズ閉店後、2016年8月から店通-TENTSU-で連載をしてきたロコズの履歴書もvol.11。備忘録・自分への反省・今後の改善に活かすために始めました。そして今回から下り坂なお話です。書いてる本人も辛いですが、読まれる皆さんも目を背けてしまうかも、、、では始まります。
 
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f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「退店レジュメの連載も、残すところあと4回となりました!」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「今回からいよいよ『退店』へ向かっていく流れですね…!」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「はい。なかなか思い出すのがしんどい話も多いです(笑)」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「引き続きポップなオリジナルイラストで空気を緩和していきたいと思います。」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「そうしてもらえるとありがたいです(笑)」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「最後までよろしくお願い致します!」

 
 
 
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繁盛するお店、余裕のなくなる日々

ハワイアンカフェ「ロコズキッチン」も徐々に認知され始め、自分の特長や立地特性を活かし盛り上がってきました。すごくありがたい話です。震災後の閑散とした店のことを思うと、夢にまでみた光景といっても過言ではありません。
 
しかし、、盛り上がる→お客様がたくさん来てくださる→忙しい→疲れる→余裕がなくなる→夫婦喧嘩する…。といった負のスパイラルに私たちの夫婦はハマりました。
 
最初は気が付かなかったんです。夫婦経営だったからこそだと思います。でも溜まるんです。積み重なるのです。小さな不満が。気が付かないのか、気が付いてるけど目を背けているのか。
 
話し合い、フォローして解決する余裕もありませんでした。「忙しいからしゃあないじゃん」とほったらかし、見ないフリ。
 
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私たちには子供がいません。今まで2人でわりかし仲良く楽しくやってきました。お互い頑固なのでたまには衝突もありましたが、その度2人で解決してきました。しかし、店を始めてやっと軌道に乗ってきたかな?というあたりから、今度は「夫婦」の歯車がおかしくなり始めました。
 
自分の人生をかけたお店、売上の面では右肩上がりのこの状況を、なんとしてでも守りたいという気持ちが強く、心身共に命をすり減らしながら頑張りました。体調に異常をきたしMRI検査を受けたこともありました。
 
そうしながら築いてきた店ですが、売り上げが向上していく一方で、共に働く私たち夫婦の状況は悪化していきました。
 
ある時、突然些細なきっかけで爆発。営業中に喧嘩をして、嫁さんが自宅に帰ってしまい、自分1人で接客も厨房も対応する。という事態になりました。夫婦間の亀裂がドンドン酷くなり、「離婚」の話題が本格的になったこともありました。これは最終的に何とか回避できましたが…。
 
悪化する関係を前に「ロコズがなければこんなことにはならなかったのに」そう思ってしまうようにもなりました。ロコズをいっ時は恨み、憎み、ぶっ壊してしまおうかと考えていた時もありました。本当に今思うと自分勝手でワガママだったと思います。
 
何の解決もできず、相変わらずの日々を過ごしていると、遂に嫁さんがダウン。うつ病を発症です。家から出ず、めっきりふさぎこんでしまいました。
 
 

身内と仕事を共にする難しさ

夫婦経営の大変さや難しさは「身内だから」という「甘さ」にあるかもしれません。気付かぬうちに甘え、嫁さんの思いや体調をないがしろにした結果、とても辛い思いをさせてしまいました。
 
これを回避するのはお互いの「思いやり」。シンプルで簡単なこと。でも難しい。忙しくて自分の心に余裕がなくなると、つい目先のことしか見えなくなり、相手を思いやる気持ちを忘れてしまいます。
 
そんなこんなで嫁さんが突然の離脱…。しかし、店を閉める訳にもいかず1人で運営します!
 
今までのロコズは「個人経営で小回りが利くお店」として、お客さん1人1人と向き合う運営を心がけてきました。しかし、私1人ですべての業務をする…となると、そんな余裕もなくなってきてしまいます。お店を回すだけで精一杯の毎日でした。
 
20人位のウクレレライブを1人で回した時はしんどかった…。というか、成り立っていなかったと思います。フード・ドリンクを1人で捌き、提供・片付けも…と、できる訳がありません。実際はお客様にも手伝っていただくほど、運営状況はグチャグチャでした。
 
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皆さんが帰った後、1人で店中の食器の洗い物、客席の清掃とイス、テーブルのセッティング、翌日の準備…で終わったら朝の5:00。こんな状況が続いた頃には、心身共に限界で、体重も8kg痩せてガリガリになりました。
 
「オレは何のために店をやっているんだろう」と考え込むようになり、突然臨時休業をして隅田川を見に行ったこともありました。相当参っていたのでしょうね。池袋から出ずにロコズ→みずほ銀行→八百屋の繰り返しで、電車に乗ることも新鮮でした。 
 
 

アルバイトの採用

こんな生活にもようやく終わりがやってきます。それは、周りの方の力を借りての終結でした。
 
近所のオーナーさん達に当時「浅野さん、死んじゃうんじゃないか」と思われていたそうです。そんな自分を見るに見兼ねて、アルバイトを貸してくれました。久しぶりの助っ人のいる営業。心から救われました。この機会をきっかけに、ロコズでアルバイトを採用することになりました。
 
以前社員のNを退職させてしまい、採用恐怖症になってしまった私。アルバイトでも「雇う」と決心するまでに時間が掛かってしまいました。「きちんとお給料を払えるだろうか」「無責任に退職させることにならないだろうか」。あの時の記憶がよみがえり、そんな風に思ってしまうのです。
 
しかし、実際の営業のことを考えると、人手は完全に足りていませんでした。アルバイトを貸してもらったことで、ようやく決心をつけることができました。
 
そして採用。雇用し始めて1番良かったのは新しい風が吹いたことです。メンバーは立教生、そして個性溢れる主婦、音楽家、お魚好きの女子…と個性溢れる面々。
 
お魚好きの女子が大王イカを持参してきて「調理して!」と言われたのはビックリしましたけど、皆のおかげで、心身共に限界だったところから少しずつ、明るい気持ちと元気な身体を取り戻すことができました。
 
立教生の子は友達やゼミ、サークルの仲間を連れて来てくれたという恩恵にも授かり、また新しいお客さんも来てくれるようになりました。
 
世の中には夫婦経営を上手にずっと続けているお店もたくさんあります。人それぞれですが、ロコズは夫婦経営を断念せざる得ませんでした。しかし、得たものも沢山あります。ちなみに嫁さんは昔より大分元気になり、社会復帰もできました。今は夫婦仲良くやっています。
 
では次回「ロコズの履歴書vol.12」は定期借家賃貸借契約です。今年いっぱいでこの履歴書は完結します。よろしくお願いいたします。
 
 
 

浅野

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