「うちの店は大丈夫」それ本当ですか? 閉店を経験したオーナーの【退店レジュメ vol.04】-居抜き店舗の内装工事-

【第4話 居抜き店舗の内装工事】 ロコズの物件は居酒屋の居抜き物件でした。使える部分がほとんどなく、大規模な改装となり内装工事費用は1,000万円程かかりました。 とはいえスケルトンから作れば、より多額な費用がかかります。やはり「費用が抑えられる」点はメリットです。

店通-TENTSU-をご覧の皆さん、こんにちは。浅野です。【退店レジュメ】は、私の飲食店経営の実体験に基づき、店舗のオープンから退店までを記したコラムです。
第4話は店舗の内装工事についてお話していきます。バックナンバーはこちらから↓
 
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f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「前回は人・業者・資金。店舗の基盤となる部分についてお話していただきました。特に資金の部分では、詳細な金額まで公開させていただきました。」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「一例として、これから開業する方の参考になれば幸いです。」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「しかし飲食店開業。当たり前ですがとてもお金がかかりますねー…。」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「前回記述したように、ロコズは多店舗展開を考慮して資金集めを行っていたので、一般的なカフェ開業資金よりは少し大きい金額かと思いますね。」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「無くなっちゃうんですよね」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「ええ、無くなっちゃいますね」

f:id:tentsu_media:20160520164924j:plain「うう・・・」

f:id:tentsu_media:20151214132054j:plain「あなたがヘコんでどうするんですか・・・」

 
 
 
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怒涛の8月が過ぎ、9月からは店舗の内装工事がスタートしました。
 
今まで話題に出していませんでしたが、ロコズに選んだ物件は居酒屋の居抜き物件でした。通常お店を退店する際は、原状回復(スケルトン)義務が発生します。作り変えた部分を元に戻して、まっさらな状態で物件をお返しをする義務ですね。借りているものですから、当然といえば当然です。
 
原状回復にはもちろん工事が必要で、多額のお金が必要です。作るときにもお金をかけた設備。次のテナントも使えるのにまた壊さなきゃいけない…。勿体ない…。退去時に誰もが思い悩むことです。
 
居抜き物件とは、こういった需要から広まったもので、前テナントのさまざまな設備(内装の造作・調理器具etc...)を残した状態で次のテナントに明け渡すシステムです。わかりやすく例えると、元ラーメン屋の居抜き物件で新しくラーメン屋を始める場合、あらかじめ設備が整っているため、当然工事が安く済みます。
 
前テナントは原状回復(スケルトン)義務を回避したい。新規出店者は既存の設備・造作を活用し、費用を抑えてお店を出したい。お互いのニーズがマッチした大変合理的な仕組みです。
 
 

居抜き物件 ロコズキッチンの場合

さて、話は戻ります。先ほど話した例のように、ラーメン屋→ラーメン屋であれば良かったのですが、ロコズの物件は居酒屋→ハワイアンカフェ。実はこの居抜き物件、ロコズにとって使える部分がほとんどありませんでした。かなり大規模な改装工事となり、なんだかんだで内装工事費用は1,000万円程かかりました。
 
稼ぐのは大変ですが、出て行くのはあっという間。通帳の残高がドンドン減っていくのを見て冷汗が出ました。今のところ人生の中で一番お金を使った時期でしたね。
 
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しかし若干でも工費を抑えたかったので家族・仲間でお店の壁を塗りました。目の前でプロの工事さばきを見ていると、あっという間にできそうな感覚におちいりますが、素人には壁を塗るだけでも大変な作業です。皆に協力してもらいながら、壁のベタ塗りは2日間掛けて何とか仕上げることができました。
 
完了した時は全員ヘトヘトでしたが、振り返るとやって良かった。自分たちの手で塗った壁は大変思い入れが強いものとなり、「自分のお店」としての愛着もひとしおに。
 
そして9月下旬に工事完了し、いよいよ内装が完成しました!とは言っても当時は至ってシンプルで寂しい店内。5年掛けて色々と装飾が増えたのだな…と当時の写真を見て思い返しました。
 
f:id:tentsu_media:20161104184459j:plain※内装工事完成当初の写真です。
 
オープンまでの準備期間は、家族や仲間の支えなくしては語れません。壁を塗ってくれたり、弁当を作ってくれたり、大きなイベントの時には総出で手伝ってくれたり…本当に感謝の日々でした。
 
ロコズキッチンはオープン前から、閉店後の今日に至るまで、家族、スタッフ、お客様。多くの皆様に支えられ5年間を歩んできました。
 
そして自分の価値観、人生観も、自分がオーナーとなり、0から作り上げてきた5年間で大きく変わったと実感します。協力してくださる仲間や楽しみに来てくださるお客様たちができました。目に見える失ったモノは大きいですが、目に見えない得たモノはそれ以上に計り知れなく大きいモノでした。
 
 

居抜き物件のメリット・デメリットまとめ

最後に、ロコズを通じて感じた居抜き物件のメリット・デメリットについてまとめておきます。冒頭にもご説明しましたが、ロコズの場合は「居酒屋→ハワイアンカフェ」の大改装。元の業態と相性の良い場合はまた違ってくるでしょう。一例としてご参考ください。
 
《メリット》
①初期投資は少なくて済む。
 ⇒スケルトンから作る場合と比べれば、金銭的負担は軽減されます。
②工期が短縮出来る。
 ⇒営業開始前の工事期間も、当然家賃は発生します。工期の短縮により、空家賃発生を最小限に食い止めることができます。
③原価償却を圧縮出来る。
 ⇒既に耐用年数が経過しているため、それだけ早く償却を終わらせることができます。
④投資回収期間が短縮出来る。
 ⇒①②③の結果、回収期間の短縮に繋がります。
 
《デメリット》
①残置物処理費用は自社負担である。
 ⇒不要なものを「捨てる」お金が最初にかかります。
②厨房区画等は変更出来ないので、レイアウトに制限がある。
 ⇒イメージ通りのデザインに出来ない場合もあります。
③すべて中古品のため、厨房機器の故障など、思わぬトラブルが発生する可能性がある
 ⇒予定外の金銭面負担が増える可能性があります。
 
内装工事費用が1,000万円程かかりましたが、とはいえ同じこだわりを持ってスケルトンから作れば、より多額な費用がかかります。やはり「費用が抑えられる」点は多かれ少なかれメリットです。
 
また、ロコズの場合は残置物がほとんど使えずに処理してしまったので、その部分はデメリットに加えています。「つくる」費用だけでなく「捨てる」費用が掛かることを忘れずに。
 
今回は私の経験を元にメリット・デメリットをまとめていますが、「元業態と新業態の相性」と「残置物の有用性」を考慮した物件選びをすれば、私の事例よりもっともっと居抜き物件で出店するメリットを活かせると思います。
 
今後出店される方にはこれらのことも考慮して物件を選ぶことをおススメします。

浅野

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