「ペッパーフードサービス」から学ぶ立ち食い店の実態

流行の立ち食い店の中でも話題のペッパーフードサービス。2015年度の外食上場企業・売上高伸び率ランキングでは、堂々の一位。立ち食いブームの火付け役は、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の、俺の株式会社。“立ち食い業態”の成功を皮切りに、立食形式の飲食店が増えています。

近年流行の立ち食い店。その中でも特に話題なのがペッパーフードサービス。2015年度の外食上場企業・売上高伸び率ランキング(15年4月から16年3月期決算対象)では、堂々の一位にランクインしています。


2013年12月に1号店を銀座に出店して以降、好調なペースで出店数を伸ばし、現在は都内を中心に91店舗を展開しています。売上高は前年比788%増と、その人気の高さは一目瞭然です。
※店舗数:2016年7月20日時点


ブームの火付け役となったのは、「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」など、「俺の」シリーズで一世を風靡した、俺の株式会社。この“立ち食い業態”での成功を皮切りに、近年続々と立食をメインとした形式の飲食店が増えています。


今回は、ペッパーフードサービスを例に、注目の立ち食い業態について自身の考察とともに、メリットやデメリットについて紹介します。


立ち食いステーキ店「いきなりステーキ」とは?


f:id:tentsu_media:20160720112248j:plain※写真:ワイルドステーキ


15年度の売上高好調の背景には、この「いきなりステーキ」の存在を忘れてはいけない。


メインとしているのは立ち食いステーキです。聞きなれない“立ち食いステーキ”という言葉と、これまでに無い新たなスタイル。上質な肉を比較的安価で食べられるという、コストパフォーマンスの高さがポイントです。値段も通常店の半額程度で出しており、平均原価率は30%程といわれる外食産業の中で、異例の原価率70%超え!


さらにステーキ店というと若年層の男性をイメージしがちだが、店内には女性のお客さんも多い。客層は老若男女問わず、16年3月3日にはひな祭りに合わせ、男性禁制の「レディースデー」を開催しています。


同年7月には「肉マイレージカード」という独自のポイントカードに、70歳以上を対象としたシニアカードを導入するなど、新たな顧客層の獲得にも力を入れています。

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高成長のポイントとは!?


なぜこれほど上質な肉を安く提供できるのか。高い原価率をキープできるの理由は3つ考えられます。


1.滞在時間の短縮
2.取り扱い食材の限定
3.価格設定


滞在時間の短縮

斬新な立ち食いというスタイルで客の滞在時間を短縮でき、ランチ時は平均20分ディナーは平均30分程だという。一般的なレストランと比較すると、約半分程の滞在時間で済む。この高い回転率が集客数と売上率を伸ばしている理由です。

取り扱い食材の限定

店内のメニューは肉、ライス、サラダのみに絞っており、調理時におけるオペレーションの簡素化がすすみ、少人数でも対応できるシステムとなっている。また、取り扱う食材を絞ることにより、フードロスの減少が見込めます。

顧客単価を引き上げる価格設定

“1g=6.5円”~“1g=15円”という価格表示が魅力のひとつだが、実際は1gのみでも食べられるわけではありません。部位によって「一定のg数から注文できる」というルールを設けることにより、客単価を引き上げる効果があります。

上記の理由により、坪数の小さい店舗で利益を出し、高成長に繋がっているのではないでしょうか。


消費者・経営者のメリット・デメリットとは


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注目を浴びている“立ち食い業態”ですが、消費者・経営者の反応はどのようなものなのでしょうか。私の考察も含めメリット・デメリットをまとめました。


消費者メリット
・おいしいものを安価で食べれる
・時間が無いときに便利

消費者デメリット
・立って食べなければいけない
・立ち食いに抵抗がある人が一定数いる
・長居ができる環境が無い


経営者メリット

・狭い坪数でも出店できる
・回転率が高い
・人件費が抑えられる
・椅子などといった設備が不要
・フードロスの減少(食品廃棄等)


経営者デメリット

・原価率の高さによる、利益の減少
・立ち食い=行儀が悪いというイメージの定着


こうしてメリット・デメリットを並べてみましたが、立ち食い業態出店への障壁は、これまでの立ち食いに対するイメージの払拭だと筆者は感じました。シニアカードやレディースデーなど、に挙げられるターゲットは、いずれも「立ち食い=行儀が悪いというイメージ」を強く感じる方々が多いのではないでしょうか。


デートで立ち食い、1人で立ち食いなんて無理!


足腰が弱いので、立ちながらの食事なんて耐えられない


食事をするのに、立って食事なんて私の子供のころなら親に引っ叩かれ・・・


いずれにせよ、これまで商機を逃していた方々に適切なアピールをすることで、「いきなりステーキ」が成長したのは、言うまでもないでしょう。


海外に目を向けると、立ち食い業態は国や地域によっては広く親しまれている業態ですが、日本では人気は高まりつつあるものの、いまひとつ定着していない。今夏にはニューヨークでの出店も視野にいれているというペッパーフードサービス。今後の活躍にも注目したい。


まとめ


少子高齢化の影響など、様々な要因で飲食業界は市場の縮小傾向にあります。大手ナショナルチェーンの顧客離れなど、消費者の購買にも変化があり、多様化する消費者ニーズをいかに捉えるか。厳しい環境が続く中、こうした動きは今後も加速するものと見られます。


経営者としては、立ち食い業態のメリット・デメリットを理解し、今後一層深刻化する高齢者層をどのように顧客として招き入れるのかは大きな課題になりそうです。低価格で質の良い商品を提供するなど、こうした高齢者への対応が重要です。


これだけ成功例があれば、まだまだ立ち食い形式の飲食店が増えると考えられ、伸びしろのある業態です。立ち食い店は、単に低価格なだけではなく、「低価格でおいしい」というイメージが広まりつつあります。近い将来、ファストフード業界を席巻することになるかもしれない。


粕やん



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