
しかし知っていると、店舗の計画や店舗に必要な設備の話がわからなかったり、誤解によるミスの発生を未然に防げます。また、改修や用途変更で入居する建物の場合は、建物の構造や資金計画にも影響がでてくるケースがあります。
ちなみに、建築関係の人にとっては退屈な内容ですがご容赦ください。
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設計者泣かせの排煙設備
今回は店舗建築に関する誤解の多い建築用語の一つ、「排煙」を取り上げようと思います。排煙は同時に設計者泣かせの難解な法令とも言われます。
排煙は「煙を排出する」という字から、よく厨房や焼き肉などの煙を排出する設備と誤解されます。
工場などにおいては煙を外に出すことは「排煙」と言いますが、一般的には建築基準法の排煙設備のことです。端的に言うと「排煙」は火事の煙を対象にしているということです。
厨房や焼き肉などの煙を外に出す設備は、換気設備または排気設備といい、排煙設備と区別されています。

店舗の場合、換気設備も建築基準法で排煙設備とは別に義務づけられており自然換気設備と機械換気設備のどちらかが必要です。
排煙設備が必要な訳は安全に避難するため
実は、今回【排煙】をテーマに取り上げた理由は、誤解が多いという以外にもう一つあります。それは計画段階や現場で問題になることが多いということです。なぜかというと、対応の難しい場合が多いからです。排煙設備は、建物内の人が火災の煙に巻かれることなく安全に避難できるようにするために、煙を建物の中から外に出す設備なのです。←ココ重要
余談ですが、「排煙している時間があったら避難した方がいい」とよく言われます。世界でも珍しい法律で、設計者やオーナー泣かせの悪法と言われることもしばしばあります。

建築基準法では、一定の規模、用途の建物に排煙設備の設置を義務づけています。義務の対象になった建物や部屋は、後述する「自然排煙」もしくは「機械排煙」による二通りの排煙方法のどちらかで排煙をしなければなりません。しかし、場合によっては内装材を燃えにくい材料にするなどで、排煙設備の設置の免除(緩和)を受けられます。
また、排煙は居室(継続的または作業的利用室)、室(倉庫やトイレなどの一時的利用室)のほか、通路やエントランスホールにも求められます。居室と室では緩和(一定の条件を満たせば適用除外)の扱い方が異なります。このあたりは専門家にお任せしましょう。