有給休暇とは?飲食業界の有休事情と、意外と知らない正しいルール

人手不足が深刻な飲食業界。 すべての会社に存在する制度ではあるものの、「有給休暇が取れない」というのも実情。整った労働環境での優秀な人材の雇用と定着、離職率の低下につなげることができないか。アルバイトやパートへの有休付与や条件など社労士さんに教えてもらいました。

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こんにちは。人事採用担当のこめです。飲食業界は休みが取りづらいイメージがありますよね。実際に飲食業界の有給休暇取得率は他業界と比べて低いのか気になったため、社労士さんにも教えてもらいながら調べました。また、有給休暇がどのような制度なのか、お店の制度の見直しに使えるよう紹介していきます。
 
 

飲食業界の平均取得日数

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飲食業界の有給取得日数はどの程度でしょうか。
 
厚生労働省の「平成29年労働条件総合調査の概況」によると、「宿泊業・飲食サービス業」の平均取得日数は5.4日と、業界最下位です。全体の平均取得日数は、9.0日、取得率 49.4%です。
 
その背景には、飲食業界の人手不足が大きく関係していると考えられます。長時間労働で休みが少ない→離職率が上がる→人手不足で休みが取れない…という現状です。
 
 

有給休暇とは?

有給休暇(年次有給休暇)はすべての会社に存在する制度ではあるものの、業種や職種によっては「有休がない(取れない)」という声を多く聞くのが実情です。
 
飲食業界は人手不足が深刻といわれていますが、年間休日が少なく拘束時間も長いことが離職理由として挙げられています。有給休暇が取りやすい環境は、社員の満足度もパフォーマンスも向上し、結果的に離職率の低下につながります。有給休暇のルールを正しく理解して、会社の体制を見直してみましょう。
 
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付与される日数は?

有給休暇は、入社から6カ月経過すると、年に1度付与されます。付与日数は、雇用契約書の所定労働日数や時間により異なります。下記は、法律で決められている最低ラインのため、こちらより多く付与する企業もあります。
 
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有給休暇の時効(取得の期限)は現在(2018年6月)2年です。2年以内に取得しなかった有給休暇は消滅しますが、2020年4月1日施行の民法改正で、債権の消滅時効が5年に統一される動きがあるため、年次有給休暇の時効も2年から『5年』になる可能性もあります。
 

有給休暇の対象者は?

意外と知られていないのですが、有給休暇の制度は正社員だけではありません。アルバイトやパートなど、雇用形態は関係なくすべての労働者の権利です。付与日数についても雇用形態は関係ありません。アルバイトでも条件を満たせば、表の通りの有休が付与されます
 
労働問題のニュースが注目され、ネットでも情報を簡単に入手できる昨今は、アルバイト側の知識もついてきて、アルバイトの有休について知っているけど、自分からお店側に言えないという状況もあるかもしれません。
 
アルバイトやパートの方への有休付与を明示することにより、整った労働環境であることがアピールでき、優秀な人材の雇用と定着につなげることができるのではないでしょうか。
 
 

有給休暇の付与条件は?

先程「すべての会社に存在する」と説明しましたが、入社してから有給休暇が発生するには条件があります。
 
①入社日から6カ月が経過していること
②全労働日の8割以上出勤していること
 
入社して半年が経っても、欠勤が多く付与条件に満たなかった場合、残念ながら有給休暇は1日も付与されません。
 
例えば、パート/アルバイトの方で、週5日勤務できる予定で週5日の雇用契約を行ったけれど、実際は週3日しか勤務しなかった場合、有休は付与されません。
 
有休が付与されなかった場合でも、次の付与タイミングは1年後です。せっかくの制度を活用できない状況になってしまいますので、実態に即した雇用契約に変更することをお勧めします。
 
 

有給休暇取得率100%!六花亭製菓株式会社の事例紹介

有給休暇取得率向上のための取り組みで有名なのが、創業1933年の菓子製造・販売の老舗『六花亭製菓㈱』です。なんと29年連続で有給休暇取得率100%を達成しているそうです。

www.rokkatei.co.jp

六花亭製菓㈱の主な取り組み

①まずは機械化!機械化できる部分には積極的に設備投資…人の仕事量を減らす
②多彩な表彰制度で個々のスキル向上を促進…生産性の向上
③社員の表彰を数多く実施…社員満足度の向上
④社内旅行制度を活用すれば、旅費の70%が支給される…休暇の取得を促進
 
年二回の大々的な表彰に加え、毎月「今月の顔」「月間職場MVP」という形で個人やチームを表彰も実施。また、社内報で紹介することでやる気の促進、他部署へのヒントになります。結果として、個々のスキルアップ・チームの生産性向上となり、環境の改善につながります。
 
社内旅行制度とは、6名以上の従業員が集まって旅行を企画して、申請が通れば旅費の70%が支給されるという制度です(年間1人20万円まで)。70%会社が支給してくれるなら、有給休暇を取得して行きたくなりますね。
 
「作り手が心身ともに健康でなければ、美味しいお菓子はできない」
という創業者の理念に基づく「有給休暇取得率100%」という目標をトップが発信し続けることで、有休も浸透し企業文化として根付いています。
 
 

有休に関するよくあるQ&A

その他にも、有給休暇のあまり知られていない点について、Q&A方式でまとめました。
 
Q1.早退・遅刻をした場合、有休付与の発生条件に影響する?
A.いいえ。有給休暇の付与条件である「8割以上の出勤」のカウントに関しては、早退や遅刻をしても1日として扱います。ただし、有給休暇の1日の単価には影響する場合があり、これは企業の単価の計算方法により異なります。
 
Q2.会社の立場として、有給休暇を断ることは可能?
A.いいえ。有給休暇の取得を拒否することはできません。ただし、Q3の条件に限り変更は認められます。
 
Q3.業務が回らない日に有給休暇の申請があったら?
A.別の日に変更してもらうことが可能です。これは時季変更権といって、事業の正常な運営を妨げる場合は時期をずらすことが認められます。
 
Q4.学生アルバイトにも有給休暇は付与するもの?
A.はい。条件を満たした場合は、雇用形態に関係なく付与する必要があります。
 
 

さいごに

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人手不足の中、従業員に有給休暇を与えることはなかなか難しいとは思いますが、飲食業界の有休取得率が低いことを逆手に取り、求人広告で有休取得率が高いことを打ち出せば応募UPが狙えます。
 
また、きちんとした雇用契約を交わし、経営者と従業員の間で共通の認識を持つことで、信頼関係も築けるのではないでしょうか。
 
経営者と労働者の間で、急な有給休暇の申請などでトラブルになるケースもみうけられます。お店の運営を妨げずに、計画的に休暇がとれるようにするにはどうすればよいか、日ごろからコミュニケーションをとることが大切かもしれません。
 
従業員の定着率UP、流出の防止のためにも、少しでも有給休暇の取得率を上げていけるといいですね。
 
 

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こめ

 
●この記事の監修
社会保険労務士法人 山本労務管理事務所
特定社会保険労務士 代表 山本浩二 先生
 

 
 
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