きちんと理解していますか?付与や計算方法など年次有給休暇の基礎知識

9月にとうとうボウリングでハイゲーム200超えを達成し、浮かれて家族に報告したら「じゃあ次の目標は私の記録超え(227)ね」と母に言われ気が遠くなった菫青石です。
 
もうあっという間に10月です。今年の4月に入社した新入社員は年次有給休暇が付与される頃ですね。待ちわびていた方も多いのではないでしょうか。今回は年次有給休暇についてお話ししたいと思います。
 
◆目次


年次有給休暇とは?

 
なぜ、年次有給休暇という制度があるのかというと、以下のように記されていました。
 

一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
引用:厚生労働省 年次有給休暇

 
つまり、従業員のためのお休みということですね。この年次有給休暇については、労働基準法第39条で定められていて、簡単に説明すると以下の2点です。
 
・従業員が入社して6ヶ月勤務したら(出勤率8割以上)有給休暇の付与が発生
※この場合給与の締め日等関係なく入社日から起算
・初年度は6ヶ月勤務したら付与されるが、その次の付与は一年ごとに決められた日数を付与
※週の所定労働時間が30時間以上、または週所定労働日数が5日以上の従業員は基本の日数が与えられ、それより少ない時間や日数でも別途定められた表にある日数を付与
 

チェック!
社員ではなく従業員という書き方をしたのは、正社員・パートアルバイトの区別なく発生するからです。
 
では内容を詳しく説明していきたいと思います。

年次有給休暇の発生時期や条件は?

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週30時間以上または週所定労働日数が5日以上の従業員は、勤務開始日から6ヶ月間勤務し、出勤率が8割以上ある場合、有給休暇が10日付与されます。
 
その付与された日から1年後に11日、その又1年後に12日と付与日数は増えていき、6.5年以降は最大付与日数である20日が付与されます。この時付与する日数は、全日数をまとめて付与します(分割付与はできません)。
 
チェック!
労災による休業、産前産後休暇、育児休業、介護休業、有給休暇取得日は出勤日として計算しますので注意してください。
 
【有給休暇付与日数(基本)】
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例えば、4月1日入社で週5日勤務している従業員は6ヶ月後の10月1日に10日付与され、次回は翌年の10月1日に11日付与されます。
 

短時間労働でも年次有給休暇は発生する

 
週30時間未満で尚かつ週所定労働日数が4日以下の従業員は、所定労働日数に応じて下記の表にある日数を付与します。
 
【有給休暇付与日数(短時間従業者)】
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管理しやすい「統一付与」

有休付与日は入社日によって変わってくるため管理が大変ですよね。企業によっては有休付与日を固定している所もあるようです。
 
毎年有休付与日を4/1に設定する場合は、以下のように社員に年次有給休暇を付与します。
 
・4/1~9/30までに入社した従業員は10/1に10日付与し、次の4/1に11日付与します。(ただし、10/1に付与された有給休暇の時効は2年後の9/30で、その後4/1に付与された有給休暇の時効は3/31です。)
・10/1~翌3/31までに入社した従業員は4/1に10日付与し、翌年の4/1に11日付与します。
 
チェック!
入社6ヶ月後に10日、その1年後に11日という法定の付与条件は下回ってはいけません。例えば、1回目の付与が10/1の場合、半年後の4/1ではなく、その翌年の4/1に2回目の付与をするケースなどが該当します。
 

消滅について

有給休暇は時効があります。付与された日から2年で消滅します。
 

例えば10/1に10日付与され、全く使用しなければ翌年の10/1に11日付与されると有給残数は21日になりますが、その翌年に12日付与されたときに2年前に付与された分は消滅するので有給残数は11+12=23で23日となります。これはずっと続いていくと、最大数は20+20=40で40日です。
 

支払計算方法

有給休暇を取得した場合の給与の支払い方ですが、就業規則その他これに準ずるものできちんと記載されていることが前提で、以下の計算方法があります。
 
・平均賃金(過去3ヶ月の1日あたりの賃金)
・所定労働時間に労働した場合に支払われる通常の賃金
・厚生労働省令で定めるところにより算定した額
 
前職や当社では所定労働時間に労働した場合に支払われる通常の賃金で計算しています。
月給制の従業員は減額することなく普通に給与が支払われ、時給制の従業員は契約時間×時給×申請日数で計算します。また別の会社の給与計算をしていたとき、時給制の従業員の場合は直近3ヶ月の平均賃金を算出して1日分の単価としていました。
平均賃金の算出方法は下記の2つの計算結果を比較して高い方を使用します。
 
①過去3ヶ月間の賃金の合計 ÷ 過去3ヶ月間の歴日数 
②(過去3ヶ月間の賃金の合計 × 0.6) ÷ 過去3ヶ月間の労働日数
 
★平均賃金を計算してみる
勤怠は末日締めで給与は翌月15日支払として5~7月(給与は6~8月)勤怠を元に計算
・暦日は 5月は31日、6月は30日、7月は31日
・労働日数は 5月は15日、6月は18日、7月は17日
・支給給与は 6月が120,000円、7月が144,000円、8月が136,000円

①(120,000+144,000+136,000)÷(31+30+31)=4,348(小数点以下切り上げ)
②((120,000+144,000+136,000)×0.6)÷(15+18+17)=4,800
 
結果は②の方が高いので平均賃金単価は4,800円を支払う計算です。
 
労働日数の合計が50日でしたが、これが60日(毎月20日)になると4,000円(小数点以下切り上げ)となり、①の方が高くなります。同じ金額を稼ぐのに日数が増えていると言うことは1日の単価が低いからですね。
 

【例外】年次有給休暇の付与制度

 

計画的付与

有給休暇に計画的付与というものがあります。付与する有給休暇のうち5日を超える分については労使協定を結ぶことによって計画的に休暇取得日を割り振れる制度です。
この5日というのは従業員が個人的に取得できるような日数を残しておかなければいけません。
 

時間単位・半日単位の有休取得について

労使協定を結び、1年に5日以内の範囲で定めることで、時間単位や半日単位での有給休暇の使用ができます。(ただし、分単位では認められません)これは義務ではありません。私は時間単位での有休処理はしたことがないのですが、資料を読むと時間管理や繰越など管理が大変そうという印象を持ちました。でも午前中病院に行きたいって時に使えたら良いですね。
  

時季変更権

有給休暇の申請は本来拒むことができませんが、有給休暇の取得により事業の正常な運営を妨げることになる場合は、別の日に変えて欲しいと申請者に伝えられます。ただ、慢性的に人が足りない、日常的に業務が忙しいというだけでは難しいです。なぜならそれを認めてしまうと有休休暇の取得ができないことを正当化されてしまいます。
 
この時季変更権に関して前職の会社で従業員やその上長から何回か問い合わせ受けました。業種が販売業だったので、完全週休2日(シフト制)で売り場は土日両日とも出勤が当たり前でした。
 
~前職販売業のケース~f:id:tentsu_media:20171011185455j:plain
 
ある時店舗の従業員から、
「有休を申請したが店長が認めてくれない。人事から店長に話してほしい。」という相談がありました。取りあえず本人から話を聞き、折り返しで店長に確認すると「ボーナス商戦で忙しいのに休むなんて困る。フロア全員出勤しているのに足りないくらいだよ。他の人にも示しがつかない。」
 
これは私達も返答に困りました。ボーナス商戦。ここは会社としても稼ぎ時ですので店長の言い分も分かります・・・。でも有給休暇は従業員の権利でもあるし・・・。
 
時季変更権の話を店長に説明して、もう一度本人と話し合ってもらいました。過去何人もそういう話をしていて、本人の申請通りに有休を取得したときもあれば、申請日を変更してもらう時もありました。中々判断が難しいときもあると思います。しかしすぐ駄目と伝えるのではなく、お互い話し合って融通を利かせることができたら良いですね。
 

まとめ

  
・有給休暇は社員、パート、アルバイトの雇用区分に関係なく付与されます。
・有給休暇は働いている日数や勤続年数で付与日数が変わります。そして時効があります。
・支払方法は平均賃金・所定労働時間に労働した場合の賃金・厚生労働省令で定めるところにより算定した額のいずれかを就業規則等で定めて計算します。
・労使協定を結べば、法律で決められた日数分を半日単位や時間単位での有給休暇を与えられます。
・基本的には有給休暇の申請を拒めませんが、別の日に取得するように求めること(時季変更権)ができます。
 
余談ですが、学生時代の友人と有給休暇の話をしたとき、たまにこんなことを言われます。
 
うちの会社は有給休暇がないとか、会社に有給休暇はあるのか聞いたらそんなものはないと言われたとか、そんなもの使われたら会社が潰れるけどそれでもいいのかと言われた(←これはかなり昔の話ですけど)等。
 
そもそも雇用通知書(雇用契約書)等に載せる内容ですし、載せなくても法律の方が優先されるので有給休暇がないってこと自体が通用しません。どんな会社でも年次有給休暇はあるよと伝えても、そんなのうちみたいな会社じゃ無理(綺麗事だとか)とか、あきらめモードでしかないんですよね。退職時にまとめて申請するとは言ってましたが・・・。
 
年次有給休暇は国が定めた法律なので、経営者の方に是非とも理解して欲しいこんな話題を聞くたびに感じます。ぜひ今回の記事を参考にし、活用していただければ幸いです。
 
≪参考資料≫

『東京労働局発行 しっかりマスター労働基準法-有給休暇編-』
厚生労働省HP『年次有給休暇の計画的付与制度』
厚生労働省HP『年次有給休暇の時間帯付与』
 

菫青石



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