「少額な売掛金の回収手段について」【強制執行】

「相手との話し合いが上手くいかず、訴訟まで行うことになり、それでも売掛金を入れてもらうことができない!」
前回で紹介した少額訴訟の手続きをしても、支払いに応じない場合もあります。
 
さて、前回の続きです。
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次は、少額訴訟を行って手に入れた「債務名義」により、裁判所へ「強制執行」の申し立てを行います。では、適切な手続きとはどのようなものでしょうか。今回は、少額訴訟での債務名義に基づく債権の差し押さえ手続きなので、弁済が見込める代表的な2例についてご紹介します。
 

「強制執行」とはなんでしょうか?

 
強制執行とは、裁判所の力(法律で認められた権利)を使い、債務者に対する債権者の請求権を、法律に基づき強制的に実現することです。
 
では、何でもできるのかというと、「何でも」という訳ではありません。あくまでも、法律で認められていること、認められている範囲内での事に限定はされます。それでは、一般的に、どの様な請求が認められているのでしょうか?
 
1.給料の差し押さえ
2.銀行口座の差し押さえ
3.家財・動産の差し押さえ
4.不動産の差し押さえ
 
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上記に示した4点が、おおまかな強制執行の対象となる財産です。その内、給与差し押さえ、銀行口座の差し押さえについて説明します。

 

「給料の差し押さえ」について

 
まずは、比較的わかりやすい、給与の差し押さえについてです。相手が、会社員や公務員の場合、会社・国・地方公共団体などと労働契約を結び、給料が支払われています。
 
「給料の差し押さえ」は、所属している会社・国・地方公共団体など(第三債務者という)を相手に、裁判所より命令を出してもらい、給料を出す基を押さえ、弁済に充てるというものです。これは、その会社・団体に勤務している間は、債権が無くなるまでの間、継続的に弁済を受けることができます
  
債権額も比較的少額ですので、相手の給料支給額が大きければ、1回で回収となるかもしれませんし、それほど長期間にはならないで全額の回収ができる可能性が高いです。
 
給料の差し押さえの場合、第三債務者が支給する給料の全額の差し押さえはできません。差し押さえができる金額には上限が設定されており、その範囲は総支給額の4分の1までです。つまり、給料の4分の3については差し押さえができません。
 
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また、例外としての規定もあります。これは、政令で定められており、月給制の場合に、4分の3の部分が33万円を超える場合、超えた分の給与については差し押さえの対象です。
 
注意する点!
・所属する会社を退職すると、給料の支給自体が存在しなくなるので、差し押さえができません。
 
基本的に、裁判所から「差し押さえ命令」が届いても、それに相手側が従わなければ、何の効力もありません。ですので、事実として、命令に従わない場合もあります。そのような場合には、追加で、別途に対応を考える必要があります。
 
通常、裁判所から差し押さえ命令が出されると、送り先である第三債務者側から裁判所への回答書を返送するように求められます。記載された書面は申し立てた側に送られますので、送られてきた書面の内容を確認しましょう。

「預金口座の差し押さえ」について

 
言葉の通り「預金口座」の差し押さえを行い、口座に預けられている預金残高を押さえるという申し立てです。
 
「給与の差し押さえ」と同様に、預金口座の基になる銀行等の金融機関(第三債務者という)を相手に、裁判所に命令を出してもらいます。ここで注意するのは、銀行口座には、預金残高がどれだけ有るかがわからない。また、残高の増減がどのタイミングで行われるかわからないことです。
  
「預金口座の差し押さえ」は、裁判所から金融機関(第三債務者)へ差し押さえ命令が届いた時点で、預金口座にある残高が押さえられます。差し押さえた後にお金が入ってきても、それは対象外です。当然、口座からお金が引き出され、残高が減っていれば、減った残高しか差し押さえができません。
 
利点としては、口座に入っている預金残高の全額が対象となる点です。給料の場合ですと、差し押さえができる範囲が制限されますが、同じ給与でも、口座に入っている時点で差し押さえ命令が届いた場合は、その全額が対象になります。
 
注意する点!
・相手の金融機関を調べる必要がある
・預金口座の残高を調べる必要がある
・差し押さえ命令のタイミングをはかる

 
相手の日ごろ使っている銀行・支店を知っていれば良いのですが、必ずしも知っているとは限りません。仮に知っていたとしても相手が警戒し、残高を別の銀行へ移す可能性があります。こういったケースでは、財産の仮差し押さえをすることで解決できる場合があります。

まとめ

 
比較的少額な売掛金の回収ということで、不動産ではなく、給与や預金口座の差し押さえについて紹介しました。
 
これらの手続きを踏む場合、どのような手段を踏むかにもよりますが、費用が発生します。前回までの少額訴訟の手続きにおいて、債権の回収が困難だった際に強制執行の手段をお考えいただければと思います。

パツラ



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