セール店と毎日安い店。通いたくなるお店の価格設定とは?

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こんにちは、店通編集部ライターのコボです。
 
前回の記事は商品の価値や品質を見定める基準である価格。商品を購入する際の意思決定や、利益を左右する価格の設定方法についてご紹介しました。
 
■価格に関する記事
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お店の利益に直結する価格設定は、初期設定を誤ると大きな利益損失に繋がる可能性があります。前回の記事テーマの価格設定に焦点を置き、今回は毎日低価格のメニューを提供している店舗と、定期的にセール価格でメニューを提供しているお店。この2つを例に、消費者が通いたくなる価格設定について解説していきます。
 

利益を損なうチェリー・ピッカーという存在

 
「チェリー・ピッカー」という言葉をご存じでしょうか。この言葉が意味するものとは、「さくらんぼ」だけを摘んでいくもの、つまりいいとこ取りをする人です。これは主に小売業のマーケティング戦略において使われる言葉です。
 
チェリー・ピッカーは価格に魅力を感じていることが多く、セール価格ではない時には来店しません。これはクーポンサイトの利用経験がある飲食店の方なら、実感している方も多くいらっしゃると思います。
 
f:id:tentsu_media:20170724145444j:plainセール時に価値を感じる「チェリー・ピッカー」のイメージ
 
これと反する場所にいるのが、優良顧客(ヘビーユーザー)と呼ばれる人たちです。値引きに関心が低い優良顧客は、売上や利益面で店舗に対して大きな貢献を果たしてくれます。優良顧客という言葉から想像するイメージは各々違うと思いますが、ここでは値引き額に関わらず、購買額が大きい消費者と定義しています。
 

一定期間の値引きの価格プロモーションは、お店に賑わいをもたらす可能性を秘めていますが、チェリーピッカーを引き寄せてしまうことを忘れないようにしなければいけません。
 

 
こういったセールを行うと、売上や粗利益などお店への貢献度合いの小さい顧客への対応に追われます。それにより、本来店舗にとって大事にしなければならない、優良顧客へのサービスをないがしろにするケースもあります。これは、既にお店のファンとなっている消費者をみすみす逃す事態にもなりえます。


セールの情報をどの程度の人が気にしているのか

 
さて、話は変わって、日頃の生活を思い浮かべてみてください。洋服店でのセール、食品スーパーのセールと、多くの小売店ではセールの情報を広く発信しています。その中であなたの心に刺さる情報はどの程度あるでしょうか。
 
これらのセール情報などを活用する価格戦略を、「特売価格政策」と言います。特売商品で呼び込んだ消費者に対し、定価の商品も併せて購入してもらうことから、「ハイ&ロー価格政策」と呼ばれることもあります。なんだかEXILEファンが興奮しそうなネーミングですね。
  
一方、経済産業省が調べた「内食」と「外食」の飲食関連産業指数に関する結果によると、近年は価格が上昇傾向にありますが、外食では場面に応じて値段を気にせず利用することが多いと見て取れます。
 
f:id:tentsu_media:20170725162555j:plain外食時に財布の紐が緩んでいるイメージ
 
集客への誘導や、在庫の処分などのメリットこそあるものの、こういった一部の消費者に対する特売価格戦略は、おそらく無駄な値引きといえます。なぜならば、上記でお話したデータの“値段を気にせず購買する消費者”に対しては、値引きによって利益を失っているとも考えられるからです。
 
また、商品の価格イメージ形成において重要なのは、“自身に関連した商品”の影響が高いとされています。普段からビールを飲む人が、ビールの値段が安くなれば、「安いお店だ!」と印象付けられる可能性が高いです。しかし、個人個人で嗜好は異なります。多くのお客様に「安いお店!」と印象付けるには、「特売価格政策」は得策ではないかもしれません。
 
 

毎日安いお店が消費者に与える印象は

 
先の事例であげた「特売価格政策」とは別の価格戦略が、「エブリデイロープライス政策」です。
 
これは「通常の価格がいつでも安い」という価値を提供する戦略です。約20年にわたるデフレを経験した消費者の節約志向は根強く、他の店舗と価格を比較する機会が多くなりました。これを象徴するのが近年勢いを増している「晩杯屋」や、「薄利多賣半兵ヱ」などの低価格戦略を実施する店舗の増加です。
 
これらを実施するには、徹底したコスト管理や、それを安定供給するための仕組み(仕入れ値等)を構築する必要があります。人材不足に悩まされている日本の飲食企業では、労働力の確保など大きな課題がありますが、注文をタッチパネルにするなどのコスト削減を行い、低価格を実現している飲食店もあります。
 
f:id:tentsu_media:20170725190720j:plainメニューと値段を基に考えているイメージ
 
先ほどの経済産業省のデータを言い換えると、こだわりを持つモノなら多少高くても買う、一方でこだわりのないモノは安く、というのが消費者の感覚として適切だと感じます。
 

まとめ

商品の価格決定を行う際は、消費者が何にこだわりを感じ、何に低価格を求めているのかを把握することが重要です。店舗を利用するシーンを想像し、売れ筋商品の値下げや、こだわりを感じる商品の価値向上を検討することも重要だと筆者は感じます。
 
デートでの利用なのか、同僚との飲み会なのか。その際に重要視する点は、料理なのか価格なのか。自店舗の業態やターゲットを見直し、適切な価格決定(プライシング)を行うことが、求められていくでしょう。
 

特売価格戦略とエブリデイロープライス政策の違い
 
◆特売価格戦略

《メリット》
・セール時の一時的な集客が図れる。
・セール対象外の商品が売れることが期待できる。
・廃棄期限のあるメニューなど、在庫処理がしやすくなる。
《デメリット》
・値引きによるロスが増える可能性がある。
・固定客の獲得がしにくくなる
 
◆エブリデイロープライス政策
《メリット》
・値引きロスが減少する。
・価格に左右されない安定した収益が期待できる。
・顧客への低価格イメージの浸透がしやすい。
《デメリット》
・一時的に売上・粗利益の増加を図ることが難しい。
・コスト管理や安定供給の仕組みづくりが難しい。

 
どちらの戦略においてもメリット・デメリットが存在します。現在の小売業では、どちらの戦略も併用しているケースが一般的なようです。前回の記事でもお伝えしましたが、価格設定・値引きはリスクが伴うということを忘れないようにしましょう。
 
今回ご紹介してきた“価格”に関する事項は、消費者とコミュニケーションを行う手段のひとつです。価格決定における戦略では、飲食店と消費者がよりよいコミュニケーションが行えるよう、消費者のニーズを読み、利益をあげる価格に設定できるかが課題となりそうです。
 
※価格戦略にはいくつかの方法があります。今回の方法は確実な利益向上を保証する内容ではございません。

 

コボ



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