【カラーユニバーサルデザイン】飲食店の人に知ってほしい、人それぞれの色の見え方

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ユニバーサルデザイン「心配りのある飲食店の色づかい」

「色」に関わる話をこれまで二度に渡って取り上げてきました。今回は少し見方を変えて、すべての人にやさしい心配りのある色の話を紹介していきます。

 

突然ですが、こちらの2枚の画像。これは何を比較したものかお分かりになりますか?

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実はこれ、色を判別しにくい方が見ている草花の画像(上)と、色がすべて見える方が見ている草花の画像(下)です。
(参照動画:ほんとのいろ.com http://www.hontonoiro.com//

 

色を判別しにくい方は、人種や性別によって異なりますが、日本人の場合男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合でいらっしゃるそうです。
世界を見ると、北ヨーロッパでは男性で10人に1人、女性では200人に1人の割合、アフリカ系の人では50人に1人から25人に1人の割合でいらっしゃるということです。

 

「はじめて色が見えた」はなし

そんな方々に「鮮やかな色のある世界」を贈ろうというコンセプトでValspar(バルスパー)社とEnChroma (エンクロマ)社の合同プロジェクトで2012年に開発されたのが、ノーベル賞級の優れもの「EnChroma(エンクロマ) Cxグラス」です。
 
このエンクロマグラスは、色の違いが見えにくい人でもすべての色と鮮やかさを見ることができる「色の判別めがね」です。この技術の進化が、その後開発されたネオダルトン社の色覚補正レンズにも見ることができます。おととし、このめがねを初めてかけた人の動画を見て、私は涙がこぼれそうになりました。 
 
◆その動画がこちら、エンクロマグラスをつけた人が初めて色鮮やかな世界を目にした瞬間の動画です。www.youtube.com

 

この動画以外でも、色の見え方に関して心を動かされるブログに出会いました。

 

◆イエロー系とブルー系の2色だけの世界を見ている人がいることをこのブログを通して知りました。
私たちがいつも当たり前のように見ている信号の色や、黄色と赤の看板が読み取れなかったり、本来目立つはずの赤と黄色の看板が読めていなかったり…。色を判別しにくい方が実際にどういう場面で、どんな困難な状況を体験し、そしてどう対処してきたかを知りました。
【色覚異常の話】周りの人達には、どうやら虹が虹色に見えるらしい。 | STORYS.JP
出典:STORYS.JPより 

 

◆色が見えにくいからこそ出来上がる世界。色づかいのセンスの良さに圧倒されました。
幼い頃からの色の見え方についての苦悩を克服し、現在デザイナーとしてすばらしい感性を発揮されている方のブログです。色が見えにくいと、色の濃淡や明暗の違いに敏感になるそうです。
色が見えません。色覚異常、いわゆる色盲です。 : チャーリーのブログ
出典:チャーリーのブログより


◆偉大な画家ゴッホ、そしてモネが色の区別が困難だったことをご存知ですか?

あのゴッホが見ていたと思われる世界や、色を判別しにくい方が見ていると思われる画像を再現しています。緑や赤といった色が黄土色に見えていたり、紫色が青色に見えていたり。色の区別が困難だったにも関わらず、すばらしい作品の数々を生み出したことに驚きです。
ゴッホはこんな風に世界を見ていた!?色覚異常者たちが見ている景色を再現した画像がスゴイ!! | コモンポストムービー
出典:コモンポストムービーより

 

今、世の中ではこうした色を判別しにくい方にも不自由なく生活を送ってもらうために、しっかりと色の判別がしやすい色づかいを取り入れるようになりました。
 
そういった全ての人に正確な情報が伝わるよう配慮されたデザインのことを「カラーユニバーサルデザイン」と言います。ぜひ、飲食店の方にもその方法を知っていただきたいと思います。

 

区別しやすい色と区別しにくい色

色を判別しにくい方のケースには大きく分けて二つあります。生まれた時から見えにくい人と、高齢になって目の機能が衰えた人の場合です。まず、生まれた時から色を判別しにくい方々のことを考えたデザインについてご紹介します。
 
生まれた時から色を判別しにくい方の場合にはいくつかのパターンがあります。最も多いのは赤緑色覚異常と呼ばれるものです。この場合、赤と緑と紫が見えず、ピンクは灰色に、青と紫は青に、全体的に黄色と茶色の多い光景になります。紅葉がちっとも美しく見えないという話はよく聞きますが、区別がつかない色の組み合わせは次の通りです。
 

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このほか、鮮やかな蛍光色同士の色の見分けも難しいとされています。しかし、先ほどのブログ紹介でもお伝えしたように、明るさの微妙な差を見分けることに非常に優れているそうです。

 

共通していることは、どのパターンでも青だけは青に見えるということ。青以外はセピア系モノトーンに近い見え方なので、青とその他の色に濃淡をつけて組み合わせる方法がいいですね。

 

飲食店では実際にどのようにすればいいの?

メニュー表に関して

メニューには様々な色が使われていることが多く、色を判別しにくい方にとっては難関です。最も多い赤緑色覚異常の見え方をシミュレーションしてみました。

 



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これらのことから、次のようなことに気を配ると親切かもしれませんね。

 

【メニュー作成時に注意したいこと】
◇文字は、大きくはっきり表示する。
◇強調文字は形の異なる太文字や字体、囲み線、アンダーラインとする。
◇赤を使いたい場合、青の効果を付け加える。(網掛け、影、縁取等) ※上図三段目参照
◇文字と写真がかぶる場合は背景と文字に濃淡の差をつけるか、文字に青の効果を付け加える。
◇壁付けメニューの文字色も色の組み合わせに注意する。
◇ホワイトボードの場合は黒、緑、赤のマーカーで区別せず、青と区別する。

 

店舗内設備に関して

店舗内設備に関しても、色を判別しにくい方にとっては不便に思う時があるそうです。
例えばトイレの鍵一つにしても、空室なのか使用中なのか、鍵の色で表されていて判断がつきません。お店の案内文として「赤い看板が目印です!」などと書かれているとその目印が見つけられない、といったケースも多くあるとのことです。
 

店舗内設備で注意したいこと】
◇トイレの使用中表示はロックの赤色だけでなく文字のあるものにする。
 ⇒こちらはなかなか市販品が見当たらないのが現状です。使用中状態の写真やシールを扉に貼る方法もありますが…。これからのメーカーの開発に期待したいですね。
◇看板、トイレやスタッフルームの表示板は、文字を使って区別しやすいようにする
◇花や緑を飾る場合、色の組み合わせ、背景色との組み合わせに注意する

 

商品提供に関して

これは焼き肉店での話ですが、焼き肉の火の通り加減が分からないというお客様がいらっしゃいます。これはお店側でも対策が困難でデリケートな問題です。こんな時は「色の判別めがね」の貸し出しサービスを行うのもありかも。周りを気にされないお客様であれば喜ばれるかもしれません。

 

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<参考資料>
平成22 年度調査研究報告書
視覚障害者にも見やすい
飲食店メニューの調査
長野大学 社会福祉学部
伊藤専門ゼミナール(伊藤英一教授指導)
カラーバリアフリー色使いのガイドライン(神奈川県発行)地域保健福祉課。
色覚問題に関する指導の手引き(平成6年 文部省作成)

 

老化による色の見え方の変化

ここからは誰にでもあり得る、知らず知らずのうちに本当の色が見えなくなっているという話です。
 
実は年を取るとともに、青やその他の色が見えにくくなるのです。一般的に青が白または薄紫、黒は金色や黄土色系に見えてくると言われています。

 

その例が下の画像です。既に見たことのある人が多いと思いますが、このドレス、あなたは何色に見えますか?

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出典:@non_ririツィッター画像引用

 

 

私は白と黄土色に見えましたが、正解は青と黒だそうです。

 

私の場合、時間がたってようやく薄紫とこげ茶に見えてきました。不思議なものですが、その後はずっと白と黄土色には見えません。
この画像が一昨年話題になった時、「目の錯覚」が原因という説が飛び交いましたが、しばらくたった後、「これは目の老化が原因」という説明が見受けられます。眼球の錐体細胞のうち、青を感知する細胞が衰えるそうです。

 

この話は飲食店にも関係があり、調理場や家庭の台所でコンロの青い炎の大きさに気づかずに衣服に燃え移ってしまうという事故が多いのだそうです。高齢の調理人は特に注意が必要ですね。

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まずはできるところから

これまで色の話をしてきましたが、私もあらためて知ることが多いテーマでした。今回取り上げた内容をお店でやってみて評判になれば、同じような取り組みを始める店舗が増えるかもしれません。

 

普段何気ないと思っていることが実は当たり前ではなかったり神秘的だったりします。こんなすばらしい世界をみんなが共有できれば素敵ですね。

 

あーきないと

 

 

 

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