地下店舗浸水!排水ポンプ故障の責任は?汚水槽・雑排水槽の漏水トラブル事例

地下物件特有のトラブル。それは汚水槽、雑排水槽、湧水槽といった、地下店舗特有の設備からの漏水・浸水。この排水用の槽から汲み上げる「排水ポンプ」の故障原因で、一番多いのが油汚れの蓄積です。地下ピットの排水設備と排水ポンプの仕組み、注意点、メンテナンスや対策、汚水槽清掃、契約前の確認事項について、事例とともに紹介します。

店舗流通ネットの施設部によるトラブル事例「実録!トラブル対応24時シリーズ」では、飲食店のダクト火災、漏電、漏水、騒音といったトラブル事例や、消防法や防水工事、空調設備など、飲食店に関わる方々に知っていただきたい情報をお伝えしてまいりました。
 
今回は地面の下の店舗、地下店舗特有のトラブル、注意点と対策、契約の際に確認しておくべき内容をお伝えいたします。
 
f:id:tentsu_media:20190405154353p:plain
 

地下店舗で注意しなければいけない事

地下店舗で注意しなければいけない事。それは汚水槽(おすいそう)雑排水槽(ざっぱいすいそう/ざつはいすいそう)湧水槽(ゆうすいそう)といった、地下店舗特有の設備である排水用の槽
地下店舗は下水道より下に位置しているため、直接下水道に流す事ができません。そこで地下店舗のさらに下に槽を設けて、そこに汚雑排水や湧水を流し、一定量を溜めてからポンプ排水枡(はいすいます)み上げ、下水道へ流す仕組みになっています。
f:id:tentsu_media:20190409094323p:plain

この設備が原因で、地上の店舗では起きないトラブルが、地下では起きるのです。

地下店舗 トラブル事例

◆Case1◆ 世田谷区 築50数年のビル ~営業8年目の居酒屋の場合~
世田谷区、とある駅近くの繁華街の地下1階。8年間営業を続ける居酒屋にて、営業中に床に水が溜まってくる現象が起きる。ただ、すぐにスタッフが事態を把握する事は難しく、厨房では通常通りに水を使用し続け、店内に水が溜まってしまい、客席まで排水汚染の被害が出てしまい、営業を中断。
 
結果からいうと、雑排水槽のポンプが作動せず、店内のグリストラップから排水があふれている状態だった。3日間休業し、汚水槽ポンプの交換、店内のクリーニング、浸水した座敷席の解体と新設といった造作復旧工事を行った。
 
◆Case1◆ 被害と損失額
3日間休業による売上損失 約75万円 
店内造作復旧工事代金 約250万円 
ポンプ(2基)の交換費 約40万円  ⇒ 総額・約3,650,000円
 

原因

雑排水槽のポンプは、なぜ作動しなかったのでしょうか?
この原因は、雑排水槽の定期清掃を行っていなかったために、排水ポンプのフロートスイッチ(※)に油汚れが固着し、機能しなくなった事でした。
 

※フロートスイッチとは

排水用ポンプのフロートスイッチとは、下の図のような「フロート」と呼ばれる「浮き」により、水槽内に溜まった水を感知し、電源を入切するもの。
f:id:tentsu_media:20190404142150p:plain
 
ポンプ設備が故障する原因で、一番多いのが油汚れの蓄積です。油汚れによりフロートが反応しなくなり、ポンプ設備が機能せず、槽に溜まった汚雑排水が店内にあふれ出るのです。
 
◆Case2◆ さいたま市 築20数年のビル ~営業4年目の居酒屋の場合~
さいたま市の商店街の地下1階、居酒屋にて。
歓送迎会シーズンの仕込みに追われる厨房で、水が流れていかないことに気づく。排水槽ポンプの操作盤を確認すると、汚水槽が満水になっていることを知らせる「満水警報」がでており、ポンプが作動していない状態。
 
緊急対応業者を手配し確認したところ、通常、排水ポンプは1号機と2号機の2基で交互に運転しているが、1号機を配線不良のまま放置し、2号機のみで運転していた。その2号機の排水管にヒビ割れが生じ、吸い上げができなくなっていた。
 
緊急処置として、2号機の配線を1号機につないで作動させ、汲み上げを行い、排水を再開。店舗も休業することなく、無事に営業をすることができた。
そして後日、排水ポンプの配線修理排水管交換を行った。
 
◆Case2◆ 被害と損失額
ポンプ補修費用   総額・約110,000円
 

原因

この件の原因も、「雑排水槽の定期清掃を行っていなかった」ということです。定期清掃をしていれば、設備の不具合を事前に発見し、防げるトラブルでした。
 

地下店舗で行わなくてはならないこと【地下店舗の義務】

今回ご紹介した以外にも、地下店舗の排水ポンプのトラブル事例は多数あります。そのほとんど全てが次の2点をきちんと対策していれば、免れるトラブルでした。
 
◆地下店舗で行わなくてはならないこと◆
  1. 店内のグリストラップで油を十分に除去する
  2. 排水槽の清掃を定期的に行う

 
店内のグリストラップはテナントの専用設備なので、テナントが清掃を行いますが、排水槽はビル側設備ではあるものの、地下テナントが専用使用する設備のため、誰が定期清掃を行うのか』が、明確な取り決めができていないケースも多くみられます。
排水トラブルが発生して初めて清掃が行われていないことが発覚し、さらに責任問題のトラブルになるという事例が多々起きています。
f:id:tentsu_media:20190405160359j:plain
 
なお、ビル管理の基本法令「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(ビル管法、建築物衛生法、ビル衛生管理法とも呼ばれています)では、6カ月に一度の排水設備の清掃が定められています。
さらに東京都は「建築物における排水槽等の構造、維持管理等に関する指導要綱」(ビルピット対策指導要綱)で、 グリストラップの清掃は7日ごとに1回排水槽の清掃は4カ月ごとに1回と、定めています。
※詳しくは、「ビルピット対策指導要網*1」で、ご確認ください。
 

地下店舗を借りる際の注意点

ここまで読んでいただいたみなさまに伝えたいことは、「地下店舗を賃貸する際は、賃貸借契約書に 排水槽について明記する」ということです。
排水槽の清掃、設備のメンテナンス・交換、費用負担など、ビル側が行うのか、テナントが行うのか、契約書に記載することが重要です。作業の回数や時期まで、より詳細な取り決めをおすすめします。

これは、健全な運営を継続するために、ビル側、テナント側双方にとって、非常に重要な取り決めなので、ぜひ行っていただきたいです。

この他に、排水槽は臭気や害虫の問題も起こりますが、これはまた別の機会で。

陸上型ネオンテトラ

この記事を読まれた方におすすめの人気記事

◆飲食店で多く発生する漏水トラブル!漏水トラブルの初期動作について解説

◆恐ろしいたばこの不始末による火災!火災発生の責任と予防策について紹介

◆一番多いダクト火災!その原因と対処法、点検・清掃、防災ポイントを紹介

◆感電する恐れも!漏電の発生原因の調査から、解決方法までを分かりやすく解説

防水工事は義務?居抜き物件の注意点と防水工事の金額比較、防水保証について
 
 
f:id:tentsu_media:20190405154353p:plain